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十ニ 就活と地域おこし協力隊
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上板町役場の会計年度任用職員にならないかと千草が誘われたのは、四月中旬だった。
もともとその部署に勤めていた常勤職員が家庭の事情でとつぜん退職することになり、容易には補充できないため、後任は非常勤職員を探しているのだと言う。産休代替のような任期付きのものではないが、毎年度、雇用を継続するかどうか判断されるアルバイト的なものだと説明を受けた。
話を持ち込んできたのは、祖父だった。千草自身は、帰郷したからには家業を手伝う心づもりでいたものの、人手は足りていると、断られていた。仕事を探してくれたのは、その埋め合わせなのかもしれない。
ちょうど、弱っていたときだ。渡りに船と飛びついて、千草はさっそく履歴書を作成して、面接を受けに役場にむかった。
役場には、転入の手続きのときに訪れて以来だ。一ヶ月ぶりくらいだろうか。建物に入ったとたんに、物音に気づいた住民人権課の職員と目が合って挨拶され、少し気後れする。しかし、これから雇われるかもしれないのだ。負けてはいられない。同じくらいの声量と笑顔で挨拶と会釈を返す。
壁に貼られた案内板を見て、目当ての部署の位置を確認し、深呼吸して、うしろをふりかえった。話のあった税務課は、住民人権課のちょうど真向かいだった。よかった、さっきの挨拶を無視しなくて。見られていたかもしれない。思いながら、カウンターから奥へ声をかける。
「こんにちは! 深見と申します」
声に応じて、年配の男性が笑顔で椅子から腰をあげた。
「本日は、面接の機会をいただきまして、ありがとうございます。どうぞ、よろしくお願いいたします」
「ああ、深見さんの。山田です。こちらこそ、よろしくお願いします。──課長、面接予定の深見さん、おいでになりましたよ」
課長と呼ばれた男性が顔をあげ、浅くうなずき、立ち上がる。ふたりに先導されて二階に上がり、広々とした会議室へ通される。三人には明らかに広すぎる空間に面食らったが、そこは前職の経験値が物を言った。まごつくことなく、勧められた席に着く。
持参した履歴書を手渡し、改めて自己紹介と挨拶をすると、課長は履歴書を片手に、ずれた眼鏡を押し上げる。
「前職は、サンサン生命保険株式会社勤務。大手ですね。これは、事務職ですか?」
「いいえ、営業です。保険の外交員をしておりました」
「ああ、保険のおばちゃんってヤツか。八年もやって、なんでまたもんてきたんか」
後半はほぼつぶやきに等しかったが、念のため、答えを返す。
「ちょうど、仕事にも慣れたころではありましたが、故郷で家業に従事したく思いまして」
「それなのに、非常勤職員になってええんか」
その切り返しを待っていた。予想どおりの流れに安堵しながら、千草は照れ笑いをする。
「はい。実は、お恥ずかしいかぎりなのですが、事業の主体となる祖父との調整が足りておりませんで、家業に携わることに関しては、人手が足りていることを理由に断られてしまいました」
隣から、山田が補足する。
「課長。深見さんは、深見製藍所の弥吉さんのお孫さんなんですよ」
山田のことばに、合点がいったようすで、ああ! と、課長は大きくうなずいた。
「そりゃあ、そうや。あの深見さんか! あんたも、どうせなら地域おこし協力隊に応募してから、もんてきたらよかったのに」
「地域おこし協力隊、ですか?」
どこかで聞いた単語が会話に登場して、千草は首をかしげたくなりながら、説明を求めるニュアンスを出してみる。
話が噛みあっていないのを見かねていたのだろう。山田が助け船を出すように説明してくれた。
「国の事業の名称です。都市部から地方へ住民票を移して移住してくれるひとを募集して、地域ブランドや地場産品のPR大使みたいなものに任命するんです。都会出身のかただけでのうて、Uターンでも構いません。うちの町でも、毎年募集をかけていて、期間限定で町の嘱託職員として委嘱して、阿波藍について学んでもろうたり関連事業に就いてもろうたりしています」
「へえ、そういったものがあるんですか」
知らなかった。性急にことを運びすぎたのかもしれない。いつか聞いたときにも、ちゃんと意味を調べればよかったのに。
後悔が胸に去来するも、そもそも募集というからには選考に勝ち抜かなければならないのだ。失恋と失業が立て続いたあとに、応募のことを考える余裕などなかっただろう。
そんなことを考えていた千草の返答に、課長が少々、不思議そうな顔をした。
「あれ? もしかして、ご家族からお聞き及びではないですか?」
「なんのことでしょう?」
問い返されて、課長は笑う。どこか、こちらを小馬鹿にしたような笑みだった。課長のかわりに、千草のことばに返事をしたのは、山田だった。
「いつもの年度なら、協力隊員の委嘱は一名ですが、今年度は選考過程でいずれ甲乙つけがたいと、三名もの採用が決まりました。人数が多すぎるけん弱っとったら、深見製藍所さんが全員引き受けてくださったんですよ。……たぶん、そのせいで人が足りているのかと」
「三名は、技の館で預かるにはな」
「ええ、技の館なら内容は藍染めですが、今年度は年末まで実地で蒅づくりを学んでもらう予定だそうです」
課長と山田のやりとりに、口に出さないふくみを感じとる。千草はそこにきてようやく、この話が自分のもとにやってきた経緯を察した。役場のために大勢を引き受けた祖父が、なにがしかの見返りを求めたのだとしたら?
顔から火が出そうなほど恥ずかしくなる。さきほどの地域おこし協力隊の話もそうだが、自分はリサーチが足りなすぎる。家族経営で万年人手不足に喘いでいたはずの家業が、いきなり持ちなおすなんて、何か特別なことがあったに違いなかったのだ。それなのに、千草は原因を尋ねもしなかった。
役場の推進する事業を手伝うことで、孫娘を雇うことができない。そうした事情を祖父がだれかに匂わせでもすれば、直接見返りを求めなくとも、斟酌があっておかしくない。藍師の家は、県内に数軒あっても、町内には深見製藍所の一軒だけなのだから。
千草はすっと立ち上がった。驚いたようすの山田が止めようとする。それを無視して、深く頭をさげる。
「──こちらの都合で無理を言ってしまったのだとしたら、お時間を取らせまして誠に申し訳ありませんでした。このお話は、どうぞ無かったことに」
五秒間きっかりと待って、ゆっくりと頭をあげる。課長は、さきほどまで見せていたような笑みを引っ込め、真面目な顔つきで千草を見上げていた。その口角が、ぐっと持ち上がる。目がうれしそうに細められた。
「ええなあ。頭を下げられる若いひとは、貴重や。深見さん、私の発言でご気分を害されたことと思います。そちらについては、お詫びします。山田くん、採用手続きを進めてつかい」
それだけ言って、所用のためと断りを述べ、課長は早々と離席する。ぽかんと見送っていると、山田はすまなそうな顔をした。
「税務課は、金がからむせいか、いきなり怒鳴りこんでくる町民がなんでも多うなります。相手の感情をいなせるひとでないと、続かんのです。うちの課長は、あのとおりの曲者ですが、それでもよろしければ、わたくしどもを手伝うていただけると、幸いです」
「いいんですか? わたしにお声がかかったのって、祖父のコネなんですよね? うちの祖父がねじこんだんじゃ。かえって、ご迷惑にはなりませんか」
すぐには山田のことばを受けとめきれないでいると、彼はなるほど、と、何かに納得したような顔になった。
「確かに、コネといえば、コネですね。東京で大手の保険会社の営業職を長うされとったお孫さんなのだと、弥吉さんから聞きまして、私のほうから、あなたをご紹介いただきたいと頼みました」
いけしゃあしゃあと言う山田に、千草のほうが凍りつく。それをわかっているだろうに、彼はさらに続けてよこした。
「渋る弥吉さんを説得するのに、地域おこし協力隊員をお引き受けいただいたことへのせめてものご恩返しだと思うて欲しいと、お話ししたのもむしろ、こちらです。個人情報に触れる職員というのは、守秘義務という概念を理解できる人材を育てることから始まります。だれそれさんがなんぼ滞納しとってね、なんて、よそで話されては困る。その点でも、あなたはきっと適任だろうと直感しました」
──どうしよう、課長よりも同僚の山田さんのほうがずっと食えない性格してる。
この話、ほんとうに受けても平気なのだろうか。若干の不安を感じつつも、千草は採用手続きのための書類について説明を受け、ほうほうの体で会議室をあとにした。
町役場の駐車場に停めておいたミニバンに乗りこみ、まさにエンジンをかけようとしたとき、スマホが鳴動した。
もともとその部署に勤めていた常勤職員が家庭の事情でとつぜん退職することになり、容易には補充できないため、後任は非常勤職員を探しているのだと言う。産休代替のような任期付きのものではないが、毎年度、雇用を継続するかどうか判断されるアルバイト的なものだと説明を受けた。
話を持ち込んできたのは、祖父だった。千草自身は、帰郷したからには家業を手伝う心づもりでいたものの、人手は足りていると、断られていた。仕事を探してくれたのは、その埋め合わせなのかもしれない。
ちょうど、弱っていたときだ。渡りに船と飛びついて、千草はさっそく履歴書を作成して、面接を受けに役場にむかった。
役場には、転入の手続きのときに訪れて以来だ。一ヶ月ぶりくらいだろうか。建物に入ったとたんに、物音に気づいた住民人権課の職員と目が合って挨拶され、少し気後れする。しかし、これから雇われるかもしれないのだ。負けてはいられない。同じくらいの声量と笑顔で挨拶と会釈を返す。
壁に貼られた案内板を見て、目当ての部署の位置を確認し、深呼吸して、うしろをふりかえった。話のあった税務課は、住民人権課のちょうど真向かいだった。よかった、さっきの挨拶を無視しなくて。見られていたかもしれない。思いながら、カウンターから奥へ声をかける。
「こんにちは! 深見と申します」
声に応じて、年配の男性が笑顔で椅子から腰をあげた。
「本日は、面接の機会をいただきまして、ありがとうございます。どうぞ、よろしくお願いいたします」
「ああ、深見さんの。山田です。こちらこそ、よろしくお願いします。──課長、面接予定の深見さん、おいでになりましたよ」
課長と呼ばれた男性が顔をあげ、浅くうなずき、立ち上がる。ふたりに先導されて二階に上がり、広々とした会議室へ通される。三人には明らかに広すぎる空間に面食らったが、そこは前職の経験値が物を言った。まごつくことなく、勧められた席に着く。
持参した履歴書を手渡し、改めて自己紹介と挨拶をすると、課長は履歴書を片手に、ずれた眼鏡を押し上げる。
「前職は、サンサン生命保険株式会社勤務。大手ですね。これは、事務職ですか?」
「いいえ、営業です。保険の外交員をしておりました」
「ああ、保険のおばちゃんってヤツか。八年もやって、なんでまたもんてきたんか」
後半はほぼつぶやきに等しかったが、念のため、答えを返す。
「ちょうど、仕事にも慣れたころではありましたが、故郷で家業に従事したく思いまして」
「それなのに、非常勤職員になってええんか」
その切り返しを待っていた。予想どおりの流れに安堵しながら、千草は照れ笑いをする。
「はい。実は、お恥ずかしいかぎりなのですが、事業の主体となる祖父との調整が足りておりませんで、家業に携わることに関しては、人手が足りていることを理由に断られてしまいました」
隣から、山田が補足する。
「課長。深見さんは、深見製藍所の弥吉さんのお孫さんなんですよ」
山田のことばに、合点がいったようすで、ああ! と、課長は大きくうなずいた。
「そりゃあ、そうや。あの深見さんか! あんたも、どうせなら地域おこし協力隊に応募してから、もんてきたらよかったのに」
「地域おこし協力隊、ですか?」
どこかで聞いた単語が会話に登場して、千草は首をかしげたくなりながら、説明を求めるニュアンスを出してみる。
話が噛みあっていないのを見かねていたのだろう。山田が助け船を出すように説明してくれた。
「国の事業の名称です。都市部から地方へ住民票を移して移住してくれるひとを募集して、地域ブランドや地場産品のPR大使みたいなものに任命するんです。都会出身のかただけでのうて、Uターンでも構いません。うちの町でも、毎年募集をかけていて、期間限定で町の嘱託職員として委嘱して、阿波藍について学んでもろうたり関連事業に就いてもろうたりしています」
「へえ、そういったものがあるんですか」
知らなかった。性急にことを運びすぎたのかもしれない。いつか聞いたときにも、ちゃんと意味を調べればよかったのに。
後悔が胸に去来するも、そもそも募集というからには選考に勝ち抜かなければならないのだ。失恋と失業が立て続いたあとに、応募のことを考える余裕などなかっただろう。
そんなことを考えていた千草の返答に、課長が少々、不思議そうな顔をした。
「あれ? もしかして、ご家族からお聞き及びではないですか?」
「なんのことでしょう?」
問い返されて、課長は笑う。どこか、こちらを小馬鹿にしたような笑みだった。課長のかわりに、千草のことばに返事をしたのは、山田だった。
「いつもの年度なら、協力隊員の委嘱は一名ですが、今年度は選考過程でいずれ甲乙つけがたいと、三名もの採用が決まりました。人数が多すぎるけん弱っとったら、深見製藍所さんが全員引き受けてくださったんですよ。……たぶん、そのせいで人が足りているのかと」
「三名は、技の館で預かるにはな」
「ええ、技の館なら内容は藍染めですが、今年度は年末まで実地で蒅づくりを学んでもらう予定だそうです」
課長と山田のやりとりに、口に出さないふくみを感じとる。千草はそこにきてようやく、この話が自分のもとにやってきた経緯を察した。役場のために大勢を引き受けた祖父が、なにがしかの見返りを求めたのだとしたら?
顔から火が出そうなほど恥ずかしくなる。さきほどの地域おこし協力隊の話もそうだが、自分はリサーチが足りなすぎる。家族経営で万年人手不足に喘いでいたはずの家業が、いきなり持ちなおすなんて、何か特別なことがあったに違いなかったのだ。それなのに、千草は原因を尋ねもしなかった。
役場の推進する事業を手伝うことで、孫娘を雇うことができない。そうした事情を祖父がだれかに匂わせでもすれば、直接見返りを求めなくとも、斟酌があっておかしくない。藍師の家は、県内に数軒あっても、町内には深見製藍所の一軒だけなのだから。
千草はすっと立ち上がった。驚いたようすの山田が止めようとする。それを無視して、深く頭をさげる。
「──こちらの都合で無理を言ってしまったのだとしたら、お時間を取らせまして誠に申し訳ありませんでした。このお話は、どうぞ無かったことに」
五秒間きっかりと待って、ゆっくりと頭をあげる。課長は、さきほどまで見せていたような笑みを引っ込め、真面目な顔つきで千草を見上げていた。その口角が、ぐっと持ち上がる。目がうれしそうに細められた。
「ええなあ。頭を下げられる若いひとは、貴重や。深見さん、私の発言でご気分を害されたことと思います。そちらについては、お詫びします。山田くん、採用手続きを進めてつかい」
それだけ言って、所用のためと断りを述べ、課長は早々と離席する。ぽかんと見送っていると、山田はすまなそうな顔をした。
「税務課は、金がからむせいか、いきなり怒鳴りこんでくる町民がなんでも多うなります。相手の感情をいなせるひとでないと、続かんのです。うちの課長は、あのとおりの曲者ですが、それでもよろしければ、わたくしどもを手伝うていただけると、幸いです」
「いいんですか? わたしにお声がかかったのって、祖父のコネなんですよね? うちの祖父がねじこんだんじゃ。かえって、ご迷惑にはなりませんか」
すぐには山田のことばを受けとめきれないでいると、彼はなるほど、と、何かに納得したような顔になった。
「確かに、コネといえば、コネですね。東京で大手の保険会社の営業職を長うされとったお孫さんなのだと、弥吉さんから聞きまして、私のほうから、あなたをご紹介いただきたいと頼みました」
いけしゃあしゃあと言う山田に、千草のほうが凍りつく。それをわかっているだろうに、彼はさらに続けてよこした。
「渋る弥吉さんを説得するのに、地域おこし協力隊員をお引き受けいただいたことへのせめてものご恩返しだと思うて欲しいと、お話ししたのもむしろ、こちらです。個人情報に触れる職員というのは、守秘義務という概念を理解できる人材を育てることから始まります。だれそれさんがなんぼ滞納しとってね、なんて、よそで話されては困る。その点でも、あなたはきっと適任だろうと直感しました」
──どうしよう、課長よりも同僚の山田さんのほうがずっと食えない性格してる。
この話、ほんとうに受けても平気なのだろうか。若干の不安を感じつつも、千草は採用手続きのための書類について説明を受け、ほうほうの体で会議室をあとにした。
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