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第1話 謎の卵との邂逅
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「おいおい…なんでこんな所に卵が落ちてるんだ?」
会社から帰宅途中の俺の前には、段ボール箱が一つあった。まるで捨て猫のように段ボールの中に入れられていたのは、俺の手のひらの2倍以上の大きさはあるであろう大きな卵だった。
俺はその卵を拾い上げてみた。
ずっしりとした感覚に思わずびっくりしながらも、卵だったらこんなものかと考えることにした。
中にどんな子がいるのかは分からない。それに俺自身この中にいる子を育てられるとは限らない。
モンスターは人間にとって憂慮すべき存在であり、危険な存在だ。
人間では到底太刀打ちできないようなモンスターも中には存在する。そんなモンスター達は今から数年前に突如として地球に現れたのだ。
モンスターが人類を蹂躙するかに思われたが…そうはならなかった。
人類はモンスターに対抗するための力を得たかのように、魔法という力を手に入れたのだ。威力や属性…効果は人それぞれだが全員がその力を得たのだ。
俺も魔法を手に入れたのだが…自分でも効果を正確に把握しきれていない。
というのも、俺が出来ることは大きめのコップを満たすことが出来るくらいの氷をどこでも出せるというだけだ。
温度的には通常の手順で作られたものよりも低く、夏場にはもってこいだが冬場は全くと言っていいほど活用できない。
「最近の流行はテイマーだったか。モンスターと友好的な関係になって一緒に戦うとか言ってたな。でも準備にかかる資金で大変だとかも言ってたなぁ…」
モンスターと友好的な関係を築くことは難しい。
というのも基本的にモンスターは敵対的で、人間のことを捕食対象くらいにしか思っていないらしい。
温厚なモンスターもいるらしいが、そういったモンスターは相対的に弱く戦力としては数えられない。
では卵からモンスターを孵してみたらどうか?という結論に至ったらしい。
つい2週間前くらいのニュースで、世界で初めてモンスターの卵を発見したと言っていたし…これは相当貴重な経験なのかもしれない。
「こんな貴重な経験…これはあれで情報を募るしかないな。実際一人でやるのには限度があるだろうし、他人からの意見ももらったほうが良いだろ。」
普段は仕事でたまるストレスのはけ口にさせてもらっている場所だが…これは使うほかない‼
「とはいえまずは自宅に帰ってからじゃないとな。後は写真でも撮っておこう。写真とかがないとアイツラまともに信じてくれないからな…こういうのはちゃんとしておかないと嘘つき呼ばわりされるからなぁ…」
俺はその場でスマホを起動して複数の角度から写真を取った。機種の割に、思いの外鮮明に撮れた事に驚きながらも俺は摂った写真を保存していった。
ここから家まではまだ距離がある。この卵をどうやって運ぼうか…
幸いにも俺は独り身な上に、誰かと同棲しているわけでもない。
マンションもペット同性可だし何も問題はない。それに俺自身、ペットは好きだし特に心配があるわけではない。
とはいえモンスターでも一緒にこれからの時間を過ごす以上、俺に責任は生じる。
俺は必然的に責任を背負わなければいけない。
「さて…家まで後数分と言ったところか。家賃も安いのに比較的部屋もきれいだから良いんだけど…駅から遠いんだよなぁ…最寄り駅からも結構掛かるし、そろそろ他の所に帰るべきなのかもしれないな。」
俺は卵をバックの中にもう一度押し込んだ。
卵が大きいせいで、バックから零れ落ちそうになっているのだ。
俺は卵が落ちそうになるたびに、歩く速度を落とした。
万が一にも、卵を落としたくはなかったからだ。もし卵が落ちたら衝撃で割れかねない…
「ふぅ。時間はかかったけど家に帰ってこれたな。さて…部屋に入りますか。」
隣の部屋からこぼれる光を頼りにして俺はバックの中を漁った。俺はバックの中から鍵を取り出して差し込んだ。
ドアを開けた俺はすぐに風呂へと直行した。ついでに卵も洗うことにした。なんとなくだが、洗っておいたほうが良い気がしたのだ。
そして風呂から上がり、俺は改めて卵の事を観察しながら携帯を操作し始めた。
俺が今からすること…それは掲示板にスレッドを立てることだ。
とりあえず写真も一緒に送っておけば言われることはないだろう。今日は会社にこき使われたせいで体力の限界だ…社畜は辛いよ。
とはいえこんな生活もこの卵で一変するかもしれないし…人生何があるかわかったものじゃないな。
俺は卵の説明と入手した場所を書き込んで眠りにつくことにした。
翌朝…俺は布団をはぎ、まぶたをこすりながら起き上がった。
しかし眠気は一気に冷めることになった。なぜなら卵の色が変色してしまったからだ。
「えっ…これどうしよ…どうするのが良いんだろ。昨日の内に相談でもしておけばよかった…」
俺は昨日書き込んだスレッドを確認することにした。昨日書き込んだスレッドは途中で見るのをやめたところ以降も、多くの質問と憶測で飛び交っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
長らく投稿が空いてすみませんでした!
少しモチベーションがこちらで再スタートしようと思います!
会社から帰宅途中の俺の前には、段ボール箱が一つあった。まるで捨て猫のように段ボールの中に入れられていたのは、俺の手のひらの2倍以上の大きさはあるであろう大きな卵だった。
俺はその卵を拾い上げてみた。
ずっしりとした感覚に思わずびっくりしながらも、卵だったらこんなものかと考えることにした。
中にどんな子がいるのかは分からない。それに俺自身この中にいる子を育てられるとは限らない。
モンスターは人間にとって憂慮すべき存在であり、危険な存在だ。
人間では到底太刀打ちできないようなモンスターも中には存在する。そんなモンスター達は今から数年前に突如として地球に現れたのだ。
モンスターが人類を蹂躙するかに思われたが…そうはならなかった。
人類はモンスターに対抗するための力を得たかのように、魔法という力を手に入れたのだ。威力や属性…効果は人それぞれだが全員がその力を得たのだ。
俺も魔法を手に入れたのだが…自分でも効果を正確に把握しきれていない。
というのも、俺が出来ることは大きめのコップを満たすことが出来るくらいの氷をどこでも出せるというだけだ。
温度的には通常の手順で作られたものよりも低く、夏場にはもってこいだが冬場は全くと言っていいほど活用できない。
「最近の流行はテイマーだったか。モンスターと友好的な関係になって一緒に戦うとか言ってたな。でも準備にかかる資金で大変だとかも言ってたなぁ…」
モンスターと友好的な関係を築くことは難しい。
というのも基本的にモンスターは敵対的で、人間のことを捕食対象くらいにしか思っていないらしい。
温厚なモンスターもいるらしいが、そういったモンスターは相対的に弱く戦力としては数えられない。
では卵からモンスターを孵してみたらどうか?という結論に至ったらしい。
つい2週間前くらいのニュースで、世界で初めてモンスターの卵を発見したと言っていたし…これは相当貴重な経験なのかもしれない。
「こんな貴重な経験…これはあれで情報を募るしかないな。実際一人でやるのには限度があるだろうし、他人からの意見ももらったほうが良いだろ。」
普段は仕事でたまるストレスのはけ口にさせてもらっている場所だが…これは使うほかない‼
「とはいえまずは自宅に帰ってからじゃないとな。後は写真でも撮っておこう。写真とかがないとアイツラまともに信じてくれないからな…こういうのはちゃんとしておかないと嘘つき呼ばわりされるからなぁ…」
俺はその場でスマホを起動して複数の角度から写真を取った。機種の割に、思いの外鮮明に撮れた事に驚きながらも俺は摂った写真を保存していった。
ここから家まではまだ距離がある。この卵をどうやって運ぼうか…
幸いにも俺は独り身な上に、誰かと同棲しているわけでもない。
マンションもペット同性可だし何も問題はない。それに俺自身、ペットは好きだし特に心配があるわけではない。
とはいえモンスターでも一緒にこれからの時間を過ごす以上、俺に責任は生じる。
俺は必然的に責任を背負わなければいけない。
「さて…家まで後数分と言ったところか。家賃も安いのに比較的部屋もきれいだから良いんだけど…駅から遠いんだよなぁ…最寄り駅からも結構掛かるし、そろそろ他の所に帰るべきなのかもしれないな。」
俺は卵をバックの中にもう一度押し込んだ。
卵が大きいせいで、バックから零れ落ちそうになっているのだ。
俺は卵が落ちそうになるたびに、歩く速度を落とした。
万が一にも、卵を落としたくはなかったからだ。もし卵が落ちたら衝撃で割れかねない…
「ふぅ。時間はかかったけど家に帰ってこれたな。さて…部屋に入りますか。」
隣の部屋からこぼれる光を頼りにして俺はバックの中を漁った。俺はバックの中から鍵を取り出して差し込んだ。
ドアを開けた俺はすぐに風呂へと直行した。ついでに卵も洗うことにした。なんとなくだが、洗っておいたほうが良い気がしたのだ。
そして風呂から上がり、俺は改めて卵の事を観察しながら携帯を操作し始めた。
俺が今からすること…それは掲示板にスレッドを立てることだ。
とりあえず写真も一緒に送っておけば言われることはないだろう。今日は会社にこき使われたせいで体力の限界だ…社畜は辛いよ。
とはいえこんな生活もこの卵で一変するかもしれないし…人生何があるかわかったものじゃないな。
俺は卵の説明と入手した場所を書き込んで眠りにつくことにした。
翌朝…俺は布団をはぎ、まぶたをこすりながら起き上がった。
しかし眠気は一気に冷めることになった。なぜなら卵の色が変色してしまったからだ。
「えっ…これどうしよ…どうするのが良いんだろ。昨日の内に相談でもしておけばよかった…」
俺は昨日書き込んだスレッドを確認することにした。昨日書き込んだスレッドは途中で見るのをやめたところ以降も、多くの質問と憶測で飛び交っていた。
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