7 / 8
第7話 あと少しの辛抱
しおりを挟む
「お嬢様‼明日でダンスの練習は終わりですよ‼頑張ってください‼」
「はぁ…はぁ…もうすぐこの辛い日々も終わるのね。本当に待ち遠したかったわ。」
あれからいろいろな事があった。
まずお父様が交渉を計ったのだけど…当然のように駄目だった。まぁこれは予想していたことなので特段気にしていない。
正直こんなことにはなるだろうと思っていたから、元々覚悟は決めていた。
そして…ダンスの方も大きな進捗があった。
結論から言うと…劇的に上手くなれた訳では無いが、少なくとも以前よりかは上達することが出来た。
もし仮にダンスをすることになったとしても、なんとか体裁を保つことが出来るはずだ。
しかしそれもギリギリといったところだ。
当日は普段よりも緊張するだろう。
緊張すれば体は強張ってしまい、まともに動かなくなることもある。
他にも自分の意思とは違う行動をしてしまうことだってある。
そうならないように平静を保つ必要があるのだが…厳しいだろう。
「まぁ後少しの辛抱だし、終わればこんな生活ともお別れよ‼ダンスなんて将来何も役に立たないのにこんな事やる必要あるのかしら?」
「お嬢様の言いたいことは分かります。分かりますけど…ダンスも重要ですよ。」
「どうして?踊ることに何の意味があるの?というかそもそも…こんな事するの前時代的すぎないかしら?」
「一応ダンスは体幹を鍛えられますから…戦場では近接戦に持ち込まれることもあります。そういった点では重要なのでは?」
そう言われると返答に困る。
しっかし上手くなったものだ。正直、練習をしても一向に上手になることはないと思っていた。諦めずに練習をすることが大切なのかもしれない。
「ふぅ…一旦休憩を挟みましょ。流石に二時間も連続してダンスの練習をしていれば疲れるわ。集中力の低下を招くし、更に効率も悪くなると思うの。どうかしら?」
「そうですね。水分を補給する時間等は設けていましたが、しっかりとした休憩時間は取ることが出来ていませんでしたし…ここらで休憩にしましょう‼」
私は二時間ぶりに休憩を取れることに感謝しつつも、頭の中では常に自分のこと、今後のことについて考えていた。
「さて…どうするべきかしら。ねぇリーナ。何か飲み物をいれてくれない?」
「分かりました‼お嬢様の好みをいれてきますね‼ちょっとまっててください‼」
リーナは私への忠誠心が高い。彼女は私のしたいことややりたいことを積極的に手伝ってくれる。それにこうやって頼めば率先してやってくれる。
私は彼女が帰ってくるまで、前世での彼女とのつながりを考えることにした。
彼女との出会いは同じで、私を含めて家族で旅行をしに行ったときだ。
旅行をしている最中、私達が乗っていた馬車の眼の前で倒れ込んでいたのが彼女だった。
私の父であるアラベルは、彼女の事を放置するわけにもいかず連れて帰ろうと私達に提案した。
私は同意したが、私の母…ルリアーナはあまり良く思っていなかったようだ。
なぜそう思ったのか…それは今でもわからない。
だが今は関係も良好で、よくリーナは母と話をしている。
彼女にとって私の次に信頼できるのが、母なのかもしれない。
いづれ話を聞くことにしよう。
でも私は一番大切なことを思い出せずにいた。前世であんな風になってしまった原因がわからないのだ。
正確にはある程度の内容は分かるけど、一部の記憶がかけていると言った具合だ。
記憶というのは時間が経てば劣化し、忘れていってしまう。そうならないためにも、今のうちに覚えていることは書き出してしまったほうが良いのかもしれない。
私がそんな事を考えていると、いつの間にか目の前にお気に入りのカップが置かれていた。
「何か考え事でもあるんですか?」
「まぁね。私にだって考え事の一つや二つ有るわよ。なんなら今は三つくらいあるかしら。」
私はカップを手に取り中の液体を口に注いだ。
甘いけど何処か苦みを感じるようなこの紅茶が私は好きだ。なんというか…その時の気分によって味が変化しているような気もする。
自分に良いことがあったり、精神的に何も問題なければ甘く感じる。そして悩み事があれば少しの苦みを感じる。悩み事や考え事で日々頭をいっぱいにしているととても苦く感じるのだ。
…自分でもいれる練習してみようかしら。
私も自分で紅茶をいれてみたいし…別に良いよね?
私はその言葉を口に出しそうになったが、リーナに何を言われるかわからないためやめておくことにした。
「はぁ…1日って早いわね。明日には移動よ。面倒くさい…ここの領地は王都に近くて本当に助かったわ。」
「ですね。他の所はひどいところだと一週間近くかけて来るそうですし…なんだか可愛そうですよね。」
「まぁうちはうちでゆっくりやっていきましょ。明日は早いけど、後もう少しだけ練習をしよと思うの。」
「私も付き合いますよ‼それじゃあ後30分だけやりましょう‼」
そこから30分だけダンスの練習をした後…私はすぐに着替えてお風呂に入り、早々に寝床についた。
明日は早い。いつもよりも早く…起きないと。
「はぁ…はぁ…もうすぐこの辛い日々も終わるのね。本当に待ち遠したかったわ。」
あれからいろいろな事があった。
まずお父様が交渉を計ったのだけど…当然のように駄目だった。まぁこれは予想していたことなので特段気にしていない。
正直こんなことにはなるだろうと思っていたから、元々覚悟は決めていた。
そして…ダンスの方も大きな進捗があった。
結論から言うと…劇的に上手くなれた訳では無いが、少なくとも以前よりかは上達することが出来た。
もし仮にダンスをすることになったとしても、なんとか体裁を保つことが出来るはずだ。
しかしそれもギリギリといったところだ。
当日は普段よりも緊張するだろう。
緊張すれば体は強張ってしまい、まともに動かなくなることもある。
他にも自分の意思とは違う行動をしてしまうことだってある。
そうならないように平静を保つ必要があるのだが…厳しいだろう。
「まぁ後少しの辛抱だし、終わればこんな生活ともお別れよ‼ダンスなんて将来何も役に立たないのにこんな事やる必要あるのかしら?」
「お嬢様の言いたいことは分かります。分かりますけど…ダンスも重要ですよ。」
「どうして?踊ることに何の意味があるの?というかそもそも…こんな事するの前時代的すぎないかしら?」
「一応ダンスは体幹を鍛えられますから…戦場では近接戦に持ち込まれることもあります。そういった点では重要なのでは?」
そう言われると返答に困る。
しっかし上手くなったものだ。正直、練習をしても一向に上手になることはないと思っていた。諦めずに練習をすることが大切なのかもしれない。
「ふぅ…一旦休憩を挟みましょ。流石に二時間も連続してダンスの練習をしていれば疲れるわ。集中力の低下を招くし、更に効率も悪くなると思うの。どうかしら?」
「そうですね。水分を補給する時間等は設けていましたが、しっかりとした休憩時間は取ることが出来ていませんでしたし…ここらで休憩にしましょう‼」
私は二時間ぶりに休憩を取れることに感謝しつつも、頭の中では常に自分のこと、今後のことについて考えていた。
「さて…どうするべきかしら。ねぇリーナ。何か飲み物をいれてくれない?」
「分かりました‼お嬢様の好みをいれてきますね‼ちょっとまっててください‼」
リーナは私への忠誠心が高い。彼女は私のしたいことややりたいことを積極的に手伝ってくれる。それにこうやって頼めば率先してやってくれる。
私は彼女が帰ってくるまで、前世での彼女とのつながりを考えることにした。
彼女との出会いは同じで、私を含めて家族で旅行をしに行ったときだ。
旅行をしている最中、私達が乗っていた馬車の眼の前で倒れ込んでいたのが彼女だった。
私の父であるアラベルは、彼女の事を放置するわけにもいかず連れて帰ろうと私達に提案した。
私は同意したが、私の母…ルリアーナはあまり良く思っていなかったようだ。
なぜそう思ったのか…それは今でもわからない。
だが今は関係も良好で、よくリーナは母と話をしている。
彼女にとって私の次に信頼できるのが、母なのかもしれない。
いづれ話を聞くことにしよう。
でも私は一番大切なことを思い出せずにいた。前世であんな風になってしまった原因がわからないのだ。
正確にはある程度の内容は分かるけど、一部の記憶がかけていると言った具合だ。
記憶というのは時間が経てば劣化し、忘れていってしまう。そうならないためにも、今のうちに覚えていることは書き出してしまったほうが良いのかもしれない。
私がそんな事を考えていると、いつの間にか目の前にお気に入りのカップが置かれていた。
「何か考え事でもあるんですか?」
「まぁね。私にだって考え事の一つや二つ有るわよ。なんなら今は三つくらいあるかしら。」
私はカップを手に取り中の液体を口に注いだ。
甘いけど何処か苦みを感じるようなこの紅茶が私は好きだ。なんというか…その時の気分によって味が変化しているような気もする。
自分に良いことがあったり、精神的に何も問題なければ甘く感じる。そして悩み事があれば少しの苦みを感じる。悩み事や考え事で日々頭をいっぱいにしているととても苦く感じるのだ。
…自分でもいれる練習してみようかしら。
私も自分で紅茶をいれてみたいし…別に良いよね?
私はその言葉を口に出しそうになったが、リーナに何を言われるかわからないためやめておくことにした。
「はぁ…1日って早いわね。明日には移動よ。面倒くさい…ここの領地は王都に近くて本当に助かったわ。」
「ですね。他の所はひどいところだと一週間近くかけて来るそうですし…なんだか可愛そうですよね。」
「まぁうちはうちでゆっくりやっていきましょ。明日は早いけど、後もう少しだけ練習をしよと思うの。」
「私も付き合いますよ‼それじゃあ後30分だけやりましょう‼」
そこから30分だけダンスの練習をした後…私はすぐに着替えてお風呂に入り、早々に寝床についた。
明日は早い。いつもよりも早く…起きないと。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる