異世界で僕…。

ゆうやま

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3章24話

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僕は疲れ果てて着替えもせずにそのまま朝まで寝てしまった。

朝の眩しい光に目が覚めると昨日あった出来事が面白い思い出になったようにクスッと笑ってしまった。

生きてるてやっぱ最高だ。

顔を洗って食堂に行こうとした時…僕の部屋の前から騒がしい足音が聞こえた。

「ハルト!ハルト!大変だ!」

「ハルトさん!助けてください」

イリヤとリリヤが慌てて僕の部屋に入った。

はぁ……今度はなんですかね。


「どうしたの?そんなに慌てて……」

「キング様が大変な事に…」

「とにかく来てください」

「なに!キング様が?」

ティアマトのご子息に何かあれば大変な事になる…。

身も心もボロボロだが、歯をくいしばってキングの部屋に入った。

「あれ?キング様いないよ?」

「あれ?どこに行ってしまったのよ!」

「お姉ちゃん…あそこに!」

「あっ!いた…」

「帰りたい帰りたい帰りたい………」

キング様は片隅に縮こまって震えながら隠れていた。

「イリヤ、リリヤ…キング様に何があったの?」

「それがね…朝になって城の中を散策していた時、ある部屋の中にいる男を見てからこうなって…」

「ナイア!っと叫びながら自室に逃げて来ました…」

「あ?ナイア兄さん?」

「あの者が何故ここにいる…母上はこの事を知っていたの?まさか私母上に嵌められた?」

キングは一人で何がぶつぶつと意味が分からない独り言を喋っていた。

「キングよ!荷物整理は終わったか?…ん?なんだこの有様は?」

丁度いいところにアプスー様がキングの様子を見に来た。

「父上!父上!ここに奴が奴がいます!あのナイアが!」

「あははははは!………会ってしまったか…」

「父上?ひょっとして彼がいる事を知ってました?」

「まあ…仕方ない」

アプスーは何故キングがナイア兄さんをあれほど恐れているか知っているようで僕はその理由を聞いた。

「な、なるほど…そいう事でしたか…」

「なるほどじゃない!その時、私がどんな目にあったか!思い出すだけで…ああー」

「キング様…気絶するならベットの上でお願いします」

「はぁ…面倒だわ」

「ギ、ギルタフリル?まあ、そいう事だ…あとは頼んだぞ」

「えっ?ちょっと!アプスー様?」

アプスーは僕に丸投げしてどこかに去って僕と双子は気絶しているキングをベットに運んで目が覚めるまで待った。

キング様は中々目を覚まさなくて時間はどんどん流れていた。

お腹空いたな…。

その時…誰かがキングの部屋に入って来た。

「やあ…ハルト!昨日は大変な一日だったね」

この面倒事の元凶…ナイア兄さんが来た。

「あははは…ナイア兄さんのおかげで今日も大変な一日になりそうだよ…」

「あははは!ハルトは本当に苦労が絶えないな」

「本当にそうだよ…だから、ナイア兄さんがなんとかしてくれる?」

「あははは……でも若いうちは色々苦労して沢山の経験をした方がいいぞ」

さらっと僕の為になると善意化しやがった…。

この人…やはり手強い。


「それより…一体何をしたらキング様があれほどナイア兄さんを怖かってるの?」

「まあ…ちょっと色々やり過ぎたな…」

「色々って…」

「私もキングが女性だったと知ってたらそこまではしなかった!」

「本当かな?……は、はい?ちょっと待って?キング様は息子と聞いてるけど?」

「キングは女だ…私の目ではっきりと見た」

「うそ…本当に?ってどこを見た!」

「ん……全部だ」

「ワウ!このスケベ♪」

「あははは!山ほどのギャルゲーを攻略したハルトに言われると恐縮だな」

「……すんません」

ナイア兄さんは僕が生まれてからずっと一緒だったので…僕より僕の事を知っている。

敵に回したら厄介な存在だ。

「イリヤ、リリヤ…ナイア兄さんが言った事は本当なの?」

「うん…本当だよ…アプスー様が息子が欲しくてね…」

「キング様が生まれてから息子のように育てて…他の神々も今まで息子と勘違いしてしまって…」

「そ、そうなんだ…」

「う…うーん…ギルタフリル、水をくれ」

キングが目を覚ましてイリヤが体を起こすのを手伝ってリリヤがお水をのませた。

「やあ!キングちゃん」

「プフゥッ!ゲホッゲホッ…ナ、ナ、ナイアァァ!」

「キング様!落ち着いて下さい!大丈夫ですよ!ナイア兄さんはもう何もしませんから!」

ナイア兄さんも罪悪感を感じているようで…キングに謝ったが逆効果だった。

「いや…いや…また…私の体を…いやぁぁあああ!」

「ナイア兄さん…一体…何をしたの?」

「すまん…あのティアマト様を脅すには普通の方法では難しいと思ってね…」

「それで…何をしたの?」

「まさか…あんなに激甘な母とは思わなかったよ」

「最後まで…黙秘権を行使するつもり?」

「あははは…」

ナイア兄さんは話を逸らして何をしたか教えてくれなかった。

キング様は凄く取り乱して極限の恐怖状態だったのでそのまま放って置くわけにはいかない。

それで僕は最終手段を使った。

キング様が女の子なら大人しくされる方法は一つある。

あの呪いが消えた状態でどれほど効果があるかわからないが…やるしかない。

いざ!姉キラーモードオン!

「キング姉さん…もう大丈夫だよ!ここに来てからには僕が責任持ってキング姉さんを守ってみせるから安心して」

「うううう…人間の身で何ができる?」

「僕だけではなくここの皆がキング姉さんの味方だよ…なので心配はいりません」

「そ、そうなのか?」

「ナイア兄さんもキング姉さんにはもう指一本ふれないから、だから安心して、だよね…ナイア兄さん」

「うん…約束しよ…キングよ、すまなかった」

「……」

ナイア兄さんが誠実に謝罪するとキングは少し落ち着いた雰囲気に変わった。

なら…問答無用で攻めるのみ!

「僕はね…明るく笑ってるキング姉さんと一緒に居たいな…ティアマト様に似てきっと見惚れるほど可愛いに違いない!」

「そ、そうかな?…ずっと男の振りをしてきてそんな事を言われたのは初めてだよ…」

「勿体ないな…こんなに可愛いのに…」

「う、うん…ありがとう」

「ここには誰もキング姉さんを虐める者はいないから…もう怖がらないで」

「うん…努力して見る!だから私を責任持って守ってよ」

「うん!分かったよ」

「えへへ…なら安心だ…これからよろしくね♪」

よぉし…姉キラーモードは健在だ!

照れ臭いように笑ったキングはティアマトに似て本当に可愛かった。

「ねぇ…リリヤ…定期報告の時にハルトがキング様を口説いたと加えて…」

「ふふふ…今書いているよ…二股かけていると加えてね…今から特急で送って来る」

「えっ?イリヤ?リリヤ?ちょっと誤解だよ?口説いてないし…二股ってなに?」

僕は二人に謝って必死に機嫌取りをして許してもらった。
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