異世界で僕…。

ゆうやま

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3章20話

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イビルゲートの核となったヤマタノオロチを確認した僕達は原点移動石を使い、一瞬で地上に上がった。

そして、かび臭い匂いが鼻にこびり付いて外の空気を思いっ切り吸おうとしたが…周辺はほこりまみれで血生臭い匂いがしてやめた。

「あ、あれ?これはなんの騒ぎ?」

「なんか騒がしいですね」

「騒がしいところか…最早戦争ね」

「私達のお庭で何をしてるの?締め上げるぞコラ!」

イビルゲートの外では神々と邪神達が乱闘をしていて…まさにアルマゲドン状態だった…。

「なんで神々と邪神達が戦っている?」

「神争でも始めたんですかね?」

「いや…彼らから殺気は感じないわ」

「なんか手加減してる感じ?でもあの神はそうでもなさそうです」

レヴィが指差した所には主神が…あの怪力のアイアンクローで邪神達の頭を次々と粉砕していた。

あの指の力の入れ具合と指先の完璧な角度を見て…ルル姉のアイアンクローは主神から伝授してもらったと分かった。

「ハルト君!無事に帰って来て良かった!」

「そこは危ないからこっちに来なさい」

「ルル姉!カオス様…これはなんの騒ぎですか!」

「まあ…後で説明するわ」

「お兄ちゃん!そこにいると…死ぬよ?」

「ハルト君!気をつけて!そっちになんか飛んで行ったよ!」

「うわっ!」

僕の目の前に満身創痍になった邪神が砲弾のように落ちて来た。

こんな場所に突っ立っていたら巻き添いに食らって確実に死ぬと思った僕はルル姉達が居る場所に慎重に移動を始めた。

イビルゲートの周辺は神話級の爆発や天地を揺るがす衝撃が走った。

しかし、この周辺の一帯には強力な結界張られていて、ティルナノークの街には被害はなさそうだ。

「ルル姉!これは一体なんなの?」

「うん…今神々と邪神達のバトルロイヤルが始まったのよ」

「はい?何がどうしてそうなったの!」

「ハルトお兄ちゃん!詳しい事情はここに来たら話すから気をつけて来て」

「見てないて助けてよ!」

「ご、ごめん…うちらは主催者の立場だからここから動けないんだ」

「そんな…」

ルル姉の所まで約200メートルほどあるが神々は戦いに気を取られて僕達が戻って来た事に気付いてない。

とにかく流れ弾に当たらないように気をつけて行くしかない…。

その時…天界の神の攻撃によって吹っ飛ばされた邪神がまた僕の方に猛スピードで落ちて来た。

「うわー!死ぬ!死ぬ死ぬ!」

「若旦那様!危ない!ふんっ!」

バムかは飛んで来た邪神を爽やかに蹴り返した。

「きゃっ!」

「うぎゃー!」

蹴り返された邪神はレヴィとジズに激突して二人はビクビク痙攣したいた。

「バム…助けてくれてありがとう」

「あ……やってしまいました」

「うん…でも因果応報だからいいよ」

「はい?なんの事ですか?」

「いや…なんでもない」

レールガンの件もあったからこれでおあいこだろう…。

僕に飛んでくる魔法や飛び散る石からバムが守ってくれているが全然前に進めなかった。

こんな戦いに巻き込まれて痛い目にあうより泥水を啜っても無事にルル姉の所まで行くと思った。

「ねぇ、バム」

「はい、若旦那様、なんでしょう?」

「あの………………抱っこ抱っこ!」

「は、はい?」

「早くー!」

「わ、わかりました…それでは失礼します」

僕は生きる為に男のプライドを捨ててバムに子供のように抱っこを強請った。

「退け退け退け!邪魔だ!道を開けろ!あはははははは!」

バムは凄いハイテンションで僕を姫様抱っこして神と邪神達をなぎ払いながらこの戦場を駆け抜けた。

「あははは!お兄ちゃん可愛い!」

「くっふふふ…姫様抱っこがこんなに似合う男は初めて見たよ」

「ハルト君…今度私もやってあげる!」

やっとゴールに着くとみんな腹を抱えて笑っていた。

あんなに必死だったのに…楽しんでやかる。

この方達に怒っても体力と時間の無駄だ…まあ無事に着いたから良しとしよ。

「うむ…よく無事て帰った」

「あれ?アプスー様…キング様と双子は?」

「つい先、キングの荷物が届いてな…荷物の整理と住む部屋を見に城に行った…ギルタフリルはお世話がかりだから一緒に行ったぞ…色々文句を言われたがな…」

「そ、そうですか…」

双子がこの場に居なかったのが唯一心の救いだった。

あんな姿をイリヤが見たらその話で二年間は余裕で揶揄ってくるに違いない。

そして…僕はヤマタノオロチの事をみんなに報告した。

「なるほど…それでやつがここに来た訳ね…まあ…都合のいい話だ」

「都合のいい話しって?どいう事ですか?」

「アルケーミュス神とオノゴロ神は双方の神や神獣を害する事は神約で禁じられておるからだ」

「なるほど!それじゃイビルゲートはこれで問題ないですね!」

「うむ…あとは冒険者を派遣して適切な対応をすれば問題ないだろ」

それを聞いて僕はイビルゲートを破棄せずに済みそうでホッとした。

まだ課題は残っているが…あとは僕達の頑張り次第でなんとかなる。

「あっ!そうだ!オノゴロの霊鳥達が迷い込んだですが…どうすればいいんですか?」

ヤタガラスとキンシを思い出してどうすればいいかみんなに聞いた。

「オノゴロの霊鳥?」

「なら…早めに返した方がいいな…」

「ハルトお兄ちゃん…そいつは今どこにいるの?」

「僕の背中に隠れているよ…ヤタガラス、キンシ…もう安全だから背中から降りてくれる?」

先からヤタガラスとキンシが妙に静かだったので何かおかしいと思った。

「バム…背後の二人を引き離してくれる?」

「若旦那様…こいつら今の騒ぎとカオス様の気配で…心臓が止まってます」

「あら…仮死状態だね」

こいつら…態度はデカイくせに…肝は僕より小さいのね…。

「れ、レヴィ!AEDだ!」

「は、はい?」

「とにかく電気ショックを与えて!」

「はーい♪」

「炭にならない程度で頼む……」

「は、はい…」

食欲が唆る焼けた鶏肉の匂いが漂う中…何とかヤタガラスとキンシは無事生き返った。
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