異世界で僕…。

ゆうやま

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3話10話

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カオスがゆっくりとこっちに向かって来る姿が見えてから虫の鳴き声すら止まって、先まで騒いでいた神々も沈黙した。

「今までカオス様は力を押さえてくれていたんですね…」

「うむ!ワシもかなり押さえているぞ、そうしないと全ての大地から溶岩が吹き出して下界は大変な事になるからな」

「そ、そうですね!本当に助かります」

「あははは!当然な事だ、あまり気にするでないぞ?」

アプスーは息子の前でカオスと張り合うようにカッコつけた。

うちの父もよくあんな風にカッコつけていた事を思い出して…少し顔を立ててあげると喜んだ。


「父上…」

「ん?なんだ?キングよ」

「今カオス様と聴こえましたが…」

「う、うん…あっちから来てるぞ」

「そ、そんな話しきいてません!帰る!帰る帰る帰る!」

「それを知らないのは神々の中でお前だけだ!この引きこもりが!」

「ひぃ!もう嫌だよ!帰りたいよ!母上!助けて!」

キングはカオスがここにいる知ってパニックに落ちて暴れ出した。

それをアプスーとルル姉と双子が押さえてくれた。

「ハルト君!ここは私に任せてイビルゲートへ行って」

「わかったよ…バルちゃんとメディアさんがサポートしてくれるから、あとはお願いね」

「え?ハルトがあそこに入るの?なら…私も行く!」

「また一緒に潜れるですね!本当に楽しみです」

「ギルタフリルよ、悪いが今キングがこんな調子だ…この子の世話を頼みたい」

「え……そんな!」

「キング様……お邪魔虫です」

「ギ、ギルタフリル?」

双子も一緒に付いて行くと言い出したが残念ながらキングの事もあって一緒に来れないようだ。

一緒に来てもバム達と一緒だがらあまりやる事はないだろう。

視察に来た神々の対応はルル姉とバルちゃん達に任せて僕とバム達とイビルゲートに入った。

バムが先頭に立ってレヴィとジズが僕の護衛をして探索を始めた。

しかし、先まで騒いでいた魔物達が息を潜めて全く出て来ない。

きっとカオスの馬鹿げた気配に怯えているようだ。

「え……何も出て来ない!これじゃ話にならんな…一儲けできると思ったのに!」

後ろからプァフニールも特大バックを持って付いて来た。

お金の匂いを嗅ぎつくとどこまでも付いてくる…正に金の亡者だ。

このイビルゲートは一層一層が凄く広くて深かった。

そして…7階層に着くと魔物達が姿を表して僕達は大量の魔物達に囲まれてエンカウントに入った。

「よし!早く片付けて下の階層へ……」

「若旦那様…次の階層に行きましょう」

喋っている最中にバムが綺麗サッパリ全滅させてしまった。

まだ7階層だし…初級の魔物達相手で時間かける訳には行かないから黙って下の階層に降りた。

8階層にはトロールとウェアウルフの群れを確認出来た。

「よし!速やかに片付け…うわっ!」

今度はレヴィが高出力の電撃で全部炭にした。

「あれ…再生するから面倒なので墨にしました」

「うん…そうだね…次に行こう」

「いやっほー♪赤い魔核ゲットだぜ!みんな!この調子で頼む♪」

一番楽しんでいるのはプァフニールだけだった。

16階層までこんな調子で、17階層から上級の魔物が現れた。

「いきなり難易度がぐーんと上がったな…」

「若様!地面の下にワームもいるようです…足元には気をつけて下さい」

「げっ!まじ?あいつ苦手だよ…」

ナーズラ村でワーム討伐のクエストをクイル兄さんと受けた事があった。

ゲームではよく大きいミミズのような感じかと舐めていた。

しかし…実際見たらまるで手足と翼がないドラゴンのような姿の魔物でめっちゃ硬くて倒すのに苦労した。

それに、油断してお尻を少し齧られてしまいパンパン腫れて、毒のせいで炎症までを起こして凄く辛かった。

加護のおかげで一晩寝たらすぐ治ったけど…。

しばらく探索を始めると大勢のバジリスクやワームが現れて気を引き締めてオゥカスを抜いた。

しかし…ジズがカマイタチを放て一瞬で全て肉塊に変えた。

「あれ…毒性が強いから厄介なのよ…」

「うん…そうだね…ありがとう」

「ヤッホー♪ワームとバジリスクの肉ゲット!こいつら毒抜きすればかなり高値で売れるぜ!おーバジリスクの目玉ゲットこれも超レアだな!笑いが止まりまへん♪」

プァフニールのバックがどんどん膨らんで破裂しそうになっている。

僕は何も出来ずに職場見学に来た学生のようにバム達にエスコートされてまた下へ下へと降りていた。

予想はしたが、これほど暇になるとは思ってなかったので、もう帰って寝ようかなと悩んだ。








カオスが席に座ると神々は一丸となって席から立ち上がってカオスに礼をした。

「みな…楽にせい、ヘーメレー、彼の様子を映してくれ」

カオスがハルト達の様子を映像化してイビルゲートの入り口に集まっていた神々はそれを見ていた。

カオスはへーメルーの力を使いイビルゲートの中を自由に見れる。

それを神々は映画館に来たような雰囲気でメディアから出されたポテチとポップコーンとケケコレを飲み食いしながら見ている。

「さすが天界の最強の神獣バハムートだな」

「レヴィヤタン、あの子を私の神獣として欲しくなったな」

「諦めとけ…殺されるぞ?しかし…ジズのあのナイスボディ…唆るね」

神々はバム達の活躍を楽しんで観ていたが…何も活躍出来ないハルトには微塵も興味を示さなかった。

「ハルト君、つまらなさそうな顔をしている」

「あの子達と一緒だと安心だが…さすがに出る幕が無くてつまらないだろうね」

ルルは何も出来ずにただ付いて行くだけのハルトを見て可哀想な目で見ていた。

「ふふふ…計画とおりだわ」

「あ?計画通り?」

「どいう事だ?チビちゃん」

「バム達と一緒ならハルトお兄ちゃんは神々の目では只の無力な人の子にしか見えない…これで無害と思うだろう」

「なるほど!それなら仕方ないな」

「おチビちゃん?まさか、彼の秘密を知っているのか?」

「秘密?なんの事かな?」

カオスはバルを問い詰めるように質問をしていた。

「カオス…このチビとなんの話をしているんだ?」

「いや…なんでもない」

「って!チビと言うな!」

二人はその話を何故か隠しているようにさらっと流した。

そして、バルちゃんの狙い通りに神々はハルトに興味を示せず…最初の警戒の視線も最早感じなくなった。

「ハルトお兄ちゃんはこれでいいとして、役目を終えたバムは敵視しなければ天界に牙を向ける事はないからまず警戒しないだろうし…レヴィは人造神計画が破棄された後、天界はこれ以上干渉しないと誓約を交わしているから…もうなにも問題ない」

「まあ…ジズは元から中立を貫いていたのでこの怪獣達は脅威にならないと神々は判断するだろうな」

「後は最深部の主が脅威的な存在ではない事を確認出来れば視察は無事終了だね」

3人は召喚された主が危険な存在ではない事を祈った。

隣同士に座った主神とオーディンもお互い気を張って話をしていた。

「まさかランジュール…貴殿とこんな形で会うとはな…」

「余はもうランジュールではない…」

「ヴァルハラのオーディンが貴殿の正体だったとはな…裏に誰かいるであろう?」

「はて、なんの話かわからんな」

「まあ、いい…」

主神ディンとオーディンが話している最中…地面から空間の乱れが発生した。

「奴等も気になって来たようだね」

「アビスゲート!邪神界が動いたか.…」

カオスがクスクス笑いながらその空間の見て、天界の神々と使徒達も席から立ち上がって武器を構って警戒態勢に入った。



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