異世界で僕…。

3章6話

ティルナノークから出てしばらく冒険をしようと決めた僕は静かな真夜中に行動を開始した。

まずトラベルバッグに必要最低限の道具と相棒のオゥカスとナヴァを詰め込んだ。

バレないようにちょっとづつ買い込んだ食材と道具も大分溜まったのでしばらくは持ちそうだ。

旅の準備が終わった！

しかし、このまま出るとあの怪獣達に絶対バレる。

[[なぁ…ヴァース、いい案はないの？]]

[[窓から飛び降りろ…一番早くてバレずに済む]]

[[そうだね！]]

ヴァースに従ってそっと窓から脱出しようとした。

しかし…僕の部屋から地面まで高さが90メートルほどは余裕であった。

「あの…ヴァースさんや…まだ冥界への旅は予定してないんでだかな…」

[[オーディンと戦った時…バハムートから飛び降りた高さはこれの倍はあったぞ]]

確かにその通りだが…その時は双子が心配だったのとルル姉の加護があってこそ無茶が出来た訳だ。

[[鍛えていると言ってたじゃないか？]]

「体は鍛えたけど…でもね…精神的な事は鍛えてないんだ……えへへ、別の手段をを提案して欲しい！」

[[面倒なやつだな…それならこっそりドアから出るしかないな…まず偵察しろ]]

僕はヴァースの言う通りにして部屋のドアを開けて居城の正門まで偵察を行うとした。

まず部屋のドアを音を立てずに開けて廊下を偵察しようとした。

「ハルトお兄ちゃん♪」

「バルちゃん！それと…みんな…こんばんは…」

バルちゃんと害獣達がドアの前に構えていた。

「ハルトお兄ちゃん…こんばんは♪それと…無駄だから諦めて」

「な、何がですか？」

「おい…お前ら！やれ…」

「何を！そ、それは！や、やめて！」

「若旦那様…すみません」

「これも若様の為です…わかって下さい」

「ごめんね…ハルトちゃん」

害獣達にバッグを取り上げられて旅の資金も全部没収された。

「なんで分かったの！」

「ふふふ…私はこの一帯を隅々まで把握出来るの」

「まさか…それもサンクチュアリーの？」

「当たり！ハルトお兄ちゃんの気配をすぐ感知してどこで何をしているかまですぐわかるから…諦めてね」

「そんな……」

「ハルトお兄ちゃん、おやすみ♪」

バルちゃんと害獣達は僕の旅グッズを持って部屋から去った。

「ふふふ…だが！いい情報を聞いた」

[[ん？何か手があるのか？]]

僕にはカオスに貸したラグレシアのダルンカッペを持っている。

ラグレシア様ちょっとお借りします…。

バルちゃんはサンチュアリーを過信して、今頃間違いなく油断しているはずだ。

それに隠してある非常金が残っている…。

母にいつもお金を没収された父さんに非常金は分散しておくべきだと教わった。

ありがとうお父さん…役に立ったよ。

僕はタルンカッペをかけて速やかに居城から脱出した。

無言で出るのは心配かけてしまうからメモを残して置いた。

探さないでください…ハルトより……とな。

、

、

朝日が昇ってハルトの部屋に全員集まった。

「探さないでくださいって……家出かよ！」

バルちゃんはハルトのメモを見て呆れたような表情をした。

「ハルトちゃん…心配だわ」

「若様は今どこなの？」

「それがな…サンチュアリーに捕捉されないんだよ！一体どんな手を使った？」

「ん？そういえば…若旦那様にラグレシアから借りたタルンカッペを渡したが…」

「きっとそれだ！くぅ……完成にやられた！ハルトお兄ちゃんやるわね」

「とにかく若様を早く探さないと！」

「待て…」

全員ハルトを探しに出ようとしたがバムがそれを止めた。

「バム？どうした？」

「若旦那様はまだお若い、遊びたい年頃だろう…」

「うん、若様はまだ17だもんね」

「ハルトちゃん…」

「しばらく好きにさせてあげようじゃないか」

バムはまだ若いハルトを労って少し自由にしてあげるようにみんなに言った。

それを聞いたみんなは好きにさせてあげようと思って捜査を諦めた。

「お前らバカか！この下界がどんな所か分かってるだろ？」

しかし…バルちゃんは呆れた表情で声を荒げて喋った。

「あ？バカだと？」

「バルちゃん？私達に喧嘩売ってるの？」

「ハルトちゃんが心配なのはわかるけど言い過ぎだわ」

「お前らな…平然と人を騙す欲深い下界の者達に…あの世間知らずで人好しのハルトお兄ちゃんが誰かに騙されて！利用されて！奴隷にされて…弄ばれてもいい訳？」

「そ、それは！」

「若様が…危ない！」

「い、いかん！ハルトちゃん！」

怪獣達はバルちゃんの大げさな話にそそ抜かれて取り乱した。


「陸の全ての生き物よ！我が目となれ！」

それを聞いたバムは陸の生き物の目を共有してハルトを必死に探し始めた。

「海の全ての生き物よ！我が目となれ！」

「空の全ての生き物よ！我が目となれ！」

レヴィとジズも加えて陸、海、空の全ての生き物の目を共有してハルトを探し始めた。

そのあと…ハルトの冒険は始まって4時間後…無事終了した。