異世界で僕…。

ゆうやま

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3章3話

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ハルトにカオスの対処を任せたナイアはラグレシアの工房でブラボーステーション6の製作に頑張っていた。

「ふぅ…これならカオス様の畑が枯れる前に完成出来そうだな…何故か畑にかなり力入れてたし…枯れたら何をされるか分からん!」

ナイアは一人でブツブツ不満を吐き出しながら制作を急いでいる中、カオスにやられたバル達が来た。

「うわーん!お兄ちゃん!カオスに殴られて突き飛ばされたよ…岩に釘付けされたし…最近私の頭は悲惨だよ!」

「うわーん!主様!カオスに踏まれて蹴り飛ばされましたよぉー!鼻血ブブーですよ!シクシク…」

バルとレヴィがカオスにやられた事を言い訳にナイアに抱き付かれて甘え始める。

ナイアは二人の頭を撫であげるとバムも仲間に入りたいような表情をしていた。

「う、う…うわ…ん」

「おいこら…お前は何もされてないじゃん!」

「箱入りお嬢様はお偉い方に慰めてもらいなよ」

「…チッ」

バハムートは生まれてから原始の神々に育てられた。

その中でもカオスとティアマトとカイアの三女神が一番長く世話をして娘のように可愛がった。

それでバハムートは酷い目に合わず済んだ。

「みんな、本当に助かった、あとバル…あれはどうなってる?」

「ああ…あれね、補修するまでもないぐらい綺麗だったよ…システムも異常はなかったし…あとはお兄ちゃんの承認とエネルギーをフルチャージできるまで待つだけだよ」

「そうか…それは良かった」

「本当にあれを動かすの?神々に戦争でも仕掛けるつもり?」

バルは何故かアレの存在に気が引いている顔だった。

「何も無ければそれが一番いいが…備えて置いた方が良さそうな気がしてね」

「まさか…ビヒモスの中にあんな物を隠しておったとはな…だからこいつがやけに増築したのね…」

「ああ…主様の物を守る為だ」

「バム…本当にありがとう」

「いいえ!当然な事をしたまでです…しかし、主様…あれは一体何ですか?」

「ああ…我々の外なる神達の文明の結晶であり、私の母艦…超時空移動要塞戦艦シャンタクだ」








ルルはティルナノークにイビルゲートを建てる事を伝える為に天界に戻って主神の聖地に足を運んだ。

「く、暗いな…これ大分時間がかかりそうだね…」

ルルが短時間で膨大なエンテレケイアを吸い取ったせいで天界は未だに機能が停止している。

ルルは気まずそうな顔で主神の間に入って主神の前に立った。

「ルナよ…またお前か…」

「お兄ちゃん!久しぶり♪」

「うむ!お前も元気そうでなによりだ!」

主神のシワが寄った不機嫌な顔が一瞬で笑顔に変わった。

「ゴメンね…お兄ちゃん、器にいると寂しくて、退屈でやってしまったの♡………ぉぇ」

「そ、そうか」

「許して…お兄ちゃん♪」

「そ、それは…仕方ないな!あははは」

「主神様!仕方ないな!ではありません!この有様が見えませんか?ルナ様、貴方様のせいでまた…」

「もうよい…ガラーウ、視察は終わったか?」

「は、はい…冥界までは影響がないようで問題はなさそうでした」

バルちゃんに壊れたガラーウが元気そうにしていた。

「ん?貴様はラズリックから頭がパァーになって復帰不能になったと聞いたが…」

「慈悲深い主神の愛の力のおかげですわ♡」

主神は自分が主神の座に就いてからずっと支えて来たガラーウを見捨てられずに治してあけだらしく、それから彼女は主神にベタ惚れした。

「ハイハイ…お前ら早く結婚しろ、めでたしめでたしだわ」

「る、ルナ?」

「…まぁ♪義姉として義妹の面倒を見るのは当然!天界の機能麻痺させたぐらい、私の手に掛かればどうって事ありませんわ!オホホホ」

「誰が義姉だ!本当に我々神々って本当に欲望に素直で身返りが早いな!まぁ…それは私も同じだけど…」

「うむ…ルナよ、ただ謝りに来た訳ではなかろう?余になにか用があるのか?」

「うん…用件は二つある、まず…これを…」

「ん?それは…」

ルルは小さい箱を取り出して使徒に渡した。

「ハルト君に頼まれた物だが…何それ?えらく頑丈な保護魔法がかかっていたが…」

「やっと来たか!これは彼との約束の…いや…報告書だ」

「うん?」

主神とハルトは妹に関する論文を交わす約束をしていた。

「まあいいけど…もう一件の用件を言う」

「うむ、その表情だと…またロクでもない事を言い出しそうな気がするな」

「大した事ないわよ、今からハルト君の領地にイビルゲートを建てるから承認して欲しい」

「そうか…えっ?」

「はぁー?ルナ様、自分が何を言ってるか分かってますか?」

主神は驚き、口を開けたまま固まって、ガラーウがシワを寄せた顔で突っかかってきた。

「静かに…ルナよ、どいう事だ?」

「それがね」

ルルはティルナノークに置かれた事情を説明し、バルちゃんとオーディンと二人の邪神の女神の事も伝えた。

だが…何故かナイアの事は黙っていた。

「ふむ…なるほど、だが危険過ぎるな…」

「そんな事にならないようにハルト達がちゃんと対処すると約束したわよ…お願いお兄ちゃん!認めてくれよ」

ルルが必死の頼みでも主神は躊躇した。

「ルナよ、聖都エーデルに出来たイビルゲートの下に何が眠っているか知っているであろう?」

「確かに名前が…オフィスだったかな?ラーが現存した時は確かにウロボロスと言われたような…」

「そうだ…あれは何もかも飲み込んで下界も天界にも危険な存在だ…それに不死の特性を持つやつは太陽神ラーがいない今は殺す事すら出来ない」

「だから眠らせたあと封印した…それで何が危険だ?」

「イビルゲートは世界樹が燃えた時、消えて存在を確認出来ない旧神獣や強力な魔物を呼び出すゲートでもあるからだ…もしそんな危険なものが現れたらあの少年でも対処出来ないだろう」

「四罪四凶の門…あれは確かにダースアクリア大陸のあの者達の術だよね…」

「うむ…何故邪神達があの者達の術を使えるか分からないが…それに我々はあれには関わってはならん」

「あ?つまり許可しないと?」

主神は頑なに拒否し、承認を貰えそうにないルルは不機嫌になった。

「ルナよ、余の立場ではどんな危険なモノが出てくるか分からない以上…認める事も見過ごす事も出来ない…わかってくれ」

「だから!それはこっちが対処すると言ってる…年を取り過ぎて耳が悪くなった?」

「それに最近目覚めたオフィスが封印を破壊しようと暴れているからこれ以上問題になる事は避けたい」

「それとこれは関係ないわ」

「もし…ゲートを開いたせいであのお節介な者達が干渉して来ると面倒な事になる」

「お節介な者達ってあの隠居された奴らの事か?それで承認出来ないと?」

主神は無言で頷いて一歩も引かなかった。

「それでも建てると言ったら?」

「我々が動く事になるのは避けられない」

「はぁ~仕方ないな…わかった」

「おお!ルナよ!諦めてくれたのか…兄はルナが神として自覚を持つようになって嬉しいぞ!あははは!」

主神はルルが諦めてくれたと思って玉座から立ち上がって喜んで笑った。

「あ?なに馬鹿な事言ってるの?諦めるつもりはさらさらないわ」

「え?」

ルルはある物を出して主神に渡した。

「あんた…これと戦うって正気か?」

「ん?なんだこの黒い玉は?ふむ……えっ?これ……ちょ、ちょっと!うっそ!まじで?」

ルルに渡された物を見た主神は取り乱して手を震えながらそれをずっと見つめているとその慌てている姿に謁見の間にいた全員は驚いき動揺した。

「主神様?如何なさいました?今まで見た事ないその慌てたお姿…それになんですか?その黒い玉は?」

「か、か、神カオス様の印だ…どいう事だ!あの方が何故?」

「はい?カオス?えっ……えーーーーー!」

その名を聞いた聞いた全員は固まって主神の謁見の間にはひやっとした空気が流れた。

「あーれ?これから戦う相手にびびってどうすんだよ?んじゃ…カオスにそう伝えに行くからな…健闘を祈るわ」

「ま、ま、ま、待てぇぇい!」

「あ?なんだよ…認められないてしょ?」

「ちょっと時間をくれ!ガラーウよ元老員を至急招集してくれ」

「か、かしこまりました」

ガラーウは慌てて謁見の間から出て主神の鐘を鳴らした。

「早くしろよ…私が待つのが苦手なのはよく知っているだろ?」

「そ、そこの者…ルナをVIP室に連れて時間稼ぎ…いや、おもてなししなさい!」

主神はルルが待ちきれず出て行く事を恐れて使徒に時間稼ぎを命じた。

「ルナ様…こちらへどうそ!」

「うむ…いいもんが見れたからまあいいか!ククク」

ルルは主神の慌てた姿を見てクスクスと笑った。

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