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3章2話
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僕はナイア兄さんに頼まれてティルナノークを守る為にカオスを止めに行った。
教えてもらった場所の近くに行くと、シューーンと風を切るような音が聞こえた。
そして僕の足幅二つほどの距離に凄いスピードで何か落ちて来た。
「あっぶねぇ…なんだ?」
「わ、若様…お逃げ下さい…がはっ……」
飛んで来た物体はレヴィで、大量の鼻血を出しながら気絶している…。
それにジズも倒れてバルちゃんは血面に釘付けされて気絶していた。
カオスは凄く怒っている様子で僕は近づく勇気はない。
しかし、バムだけは無事で必死にカオス止めていた。
「ナイア!どこだぁ!出て来い!」
「カオス様!お願いです!落ち着いて下さい」
「ちょっと…ルティーヤー!危ないから離して」
カオスはバムには声を荒げたり、手荒な真似はしなかった。
まるで…大事な娘が怪我でもするかのように困っている顔だった。
[[見ている場合じゃないぞ!バハムートもカオス相手じゃこれ以上は持たない]]
「わかってる…でも」
バムの体力も限界に見えて加勢しようとしたが…躊躇した。
よく考えると今の僕にはルル姉のあの馬鹿げた加護はもうない。
つまりチキンと自負している僕はカオスと目があっただけで心臓麻痺で即死だ。
ど、ど、どうすればいいんだ?
ルル姉も天界に行ってしばらく戻って来れないと言ってたし…。
しかしカオスが言った通り気持ちの問題かもしれないと思って勇気を出した。
「カオス様!お待ち下さい!今ナイア兄さんがブラボーステーション6を作ってます!」
「ん?この声はハルトか?」
「ラグレシア様の工房に居ますから確認して下さい」
「しかし…ハルト?どこにいるんだ?」
「こ、ここです…」
僕は手を振って自分の位置を教えた。
そう…30メートルほど前でな。
それが僕は命を繋げるギリギリの距離である。
カオスにナイア兄さんが今ブラボステーションの製作に取り掛かっている事と工房にいる事を教えた。
「ん?そこにいたのか…なんだ?体半分隠れて猫みたいだな…」
カオスはその話を聞いて怒りを鎮めて僕の方に向かって走って来た。
あ、あれ?
ナイア兄さんはラグレシアの工房にいると伝えたはずだが、何故こっちに来るんだ!ヤバイ!
[[お前は本当にチキンだな]]
「仕方ないじゃん!死にたくないし、お前はカオスとまともに相手出来るの?死んだら責任取ってくれるのかよ!」
[[そ、そうだな…悪かった]]
ヴァースはバルちゃんは地面に体半分クギ付けられていて、レヴィとジズは大量の鼻血を出しながら気絶している姿を見て珍しく僕に謝った。
「ナイアのやつ…約束の事を聞いたら冷や汗かいて逃げるようにどっか走って行ったから私を騙したと思ったよ」
「まさか、カオス様を騙す命知らず者はこの世に居ないと思いますが…」
「あははは!それもそうだな」
カオスは先までの怒って暴れていた人に見えないいい笑顔で笑った。
その姿を見て少し安心した僕はカオスの前に出た。
そうすると…心臓が破裂するほど激しく脈動して、しばらくすると…心臓は止まったり、動いたり…また止まって段々と動きが弱くなった。
それに何故か先までの恐怖感もなくなった。
本当に気持ちの問題だと思ってこれからカオスに怯えなくてもいいと喜んだ。
その時…ヴァースが警告して来た。
[[緊急警告!危険状態を感知、生命反応低下…原因をサーチ中…結果報告、心臓麻痺による瀕死状態]]
心臓は…落ち着いたところか完全に止まりやがった。
僕は死にかけていてそれで怖いと感じなかったとわかった。
「ふんっ!」
僕は左胸を思いっ切り叩くとドクンドクンと心臓が再度動き出した。
「ん?なんで自分の胸を叩くんだ?」
「いや…ちょっとした心肺蘇生の訓練です」
「ん?そう?しかし暇だな…ハルト!散歩に付き合え」
今…生き返ったばかりなのにその散歩に付き合う間に心臓が何回止まると思う?
この神は…鬼だよ。
しかし、ティルナノクの安寧の為にはカオスの機嫌を取るしかなかった。
「バム…倒れてる三人を頼む…」
「分かりました…若旦那様、これを!ラグレシアに借りた物です」
「あれ?これはタルンカッペ?」
「ラグレシアがカオス様に渡すようにと言われました」
「ありがとう!」
また破裂すると思うが…このまま街に出たらは街の中はきっと死体の山が出来る…。
タルンカッペ…これを大量に生産する必要があると思った。
そして…カオスと街に出て色々見回った…。
拠点周辺は人口が密集して繁華街が出来て…魔王国からの物資のおかげで一気に街興しが進んでいる。
ティルナノークがどんな風に変わるか正直…楽しみだ。
カオスも人々の笑顔を見て優しく微笑んでいた。
彼女は何もかもが新鮮で興味深々な表情をしている。
そんなカオスを見ると何故かもう怖いと思えなくなった。
もちろん…心臓は既に止まっている。
「ふんっ!」
心肺蘇生を何回か繰り返すと体と精神的に耐性が出来たようで、もう心臓麻痺も起こらないし…怖くなくなった。
僕とカオスは夕暮れの丘に来て街の風景を楽しんでいた。
「君はここで何を求めている?」
「えっ?」
カオスの唐突の質問に返事に困った僕はいつものノリで適当に答えた。
「はいはい……世界征服です」
「おー!そうか!なるほど!」
なんか…カオスも僕のノリに乗ってきた。
「その為の足掛かりが!最初はどこを滅ぼす計画だ?」
「はいはい……天界です」
「さ、さすがだな!」
僕の冗談をカオスは真に受けているような感じがした。
「冗談ですよ!真に受けないで下さい!」
「なんだ…冗談か?面白そうだったのに…それに…やられる前にやった方がいいぞ?」
カオスは真面目な顔で返事をした…。
「戦わないし…やられたりもしませんよ!その為にルル姉が天界に行ってますから!」
「そうね、そのような事にならないよう祈ろう」
僕はカオスが言った言葉の意味をこの時は知らなかった。
教えてもらった場所の近くに行くと、シューーンと風を切るような音が聞こえた。
そして僕の足幅二つほどの距離に凄いスピードで何か落ちて来た。
「あっぶねぇ…なんだ?」
「わ、若様…お逃げ下さい…がはっ……」
飛んで来た物体はレヴィで、大量の鼻血を出しながら気絶している…。
それにジズも倒れてバルちゃんは血面に釘付けされて気絶していた。
カオスは凄く怒っている様子で僕は近づく勇気はない。
しかし、バムだけは無事で必死にカオス止めていた。
「ナイア!どこだぁ!出て来い!」
「カオス様!お願いです!落ち着いて下さい」
「ちょっと…ルティーヤー!危ないから離して」
カオスはバムには声を荒げたり、手荒な真似はしなかった。
まるで…大事な娘が怪我でもするかのように困っている顔だった。
[[見ている場合じゃないぞ!バハムートもカオス相手じゃこれ以上は持たない]]
「わかってる…でも」
バムの体力も限界に見えて加勢しようとしたが…躊躇した。
よく考えると今の僕にはルル姉のあの馬鹿げた加護はもうない。
つまりチキンと自負している僕はカオスと目があっただけで心臓麻痺で即死だ。
ど、ど、どうすればいいんだ?
ルル姉も天界に行ってしばらく戻って来れないと言ってたし…。
しかしカオスが言った通り気持ちの問題かもしれないと思って勇気を出した。
「カオス様!お待ち下さい!今ナイア兄さんがブラボーステーション6を作ってます!」
「ん?この声はハルトか?」
「ラグレシア様の工房に居ますから確認して下さい」
「しかし…ハルト?どこにいるんだ?」
「こ、ここです…」
僕は手を振って自分の位置を教えた。
そう…30メートルほど前でな。
それが僕は命を繋げるギリギリの距離である。
カオスにナイア兄さんが今ブラボステーションの製作に取り掛かっている事と工房にいる事を教えた。
「ん?そこにいたのか…なんだ?体半分隠れて猫みたいだな…」
カオスはその話を聞いて怒りを鎮めて僕の方に向かって走って来た。
あ、あれ?
ナイア兄さんはラグレシアの工房にいると伝えたはずだが、何故こっちに来るんだ!ヤバイ!
[[お前は本当にチキンだな]]
「仕方ないじゃん!死にたくないし、お前はカオスとまともに相手出来るの?死んだら責任取ってくれるのかよ!」
[[そ、そうだな…悪かった]]
ヴァースはバルちゃんは地面に体半分クギ付けられていて、レヴィとジズは大量の鼻血を出しながら気絶している姿を見て珍しく僕に謝った。
「ナイアのやつ…約束の事を聞いたら冷や汗かいて逃げるようにどっか走って行ったから私を騙したと思ったよ」
「まさか、カオス様を騙す命知らず者はこの世に居ないと思いますが…」
「あははは!それもそうだな」
カオスは先までの怒って暴れていた人に見えないいい笑顔で笑った。
その姿を見て少し安心した僕はカオスの前に出た。
そうすると…心臓が破裂するほど激しく脈動して、しばらくすると…心臓は止まったり、動いたり…また止まって段々と動きが弱くなった。
それに何故か先までの恐怖感もなくなった。
本当に気持ちの問題だと思ってこれからカオスに怯えなくてもいいと喜んだ。
その時…ヴァースが警告して来た。
[[緊急警告!危険状態を感知、生命反応低下…原因をサーチ中…結果報告、心臓麻痺による瀕死状態]]
心臓は…落ち着いたところか完全に止まりやがった。
僕は死にかけていてそれで怖いと感じなかったとわかった。
「ふんっ!」
僕は左胸を思いっ切り叩くとドクンドクンと心臓が再度動き出した。
「ん?なんで自分の胸を叩くんだ?」
「いや…ちょっとした心肺蘇生の訓練です」
「ん?そう?しかし暇だな…ハルト!散歩に付き合え」
今…生き返ったばかりなのにその散歩に付き合う間に心臓が何回止まると思う?
この神は…鬼だよ。
しかし、ティルナノクの安寧の為にはカオスの機嫌を取るしかなかった。
「バム…倒れてる三人を頼む…」
「分かりました…若旦那様、これを!ラグレシアに借りた物です」
「あれ?これはタルンカッペ?」
「ラグレシアがカオス様に渡すようにと言われました」
「ありがとう!」
また破裂すると思うが…このまま街に出たらは街の中はきっと死体の山が出来る…。
タルンカッペ…これを大量に生産する必要があると思った。
そして…カオスと街に出て色々見回った…。
拠点周辺は人口が密集して繁華街が出来て…魔王国からの物資のおかげで一気に街興しが進んでいる。
ティルナノークがどんな風に変わるか正直…楽しみだ。
カオスも人々の笑顔を見て優しく微笑んでいた。
彼女は何もかもが新鮮で興味深々な表情をしている。
そんなカオスを見ると何故かもう怖いと思えなくなった。
もちろん…心臓は既に止まっている。
「ふんっ!」
心肺蘇生を何回か繰り返すと体と精神的に耐性が出来たようで、もう心臓麻痺も起こらないし…怖くなくなった。
僕とカオスは夕暮れの丘に来て街の風景を楽しんでいた。
「君はここで何を求めている?」
「えっ?」
カオスの唐突の質問に返事に困った僕はいつものノリで適当に答えた。
「はいはい……世界征服です」
「おー!そうか!なるほど!」
なんか…カオスも僕のノリに乗ってきた。
「その為の足掛かりが!最初はどこを滅ぼす計画だ?」
「はいはい……天界です」
「さ、さすがだな!」
僕の冗談をカオスは真に受けているような感じがした。
「冗談ですよ!真に受けないで下さい!」
「なんだ…冗談か?面白そうだったのに…それに…やられる前にやった方がいいぞ?」
カオスは真面目な顔で返事をした…。
「戦わないし…やられたりもしませんよ!その為にルル姉が天界に行ってますから!」
「そうね、そのような事にならないよう祈ろう」
僕はカオスが言った言葉の意味をこの時は知らなかった。
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