異世界で僕…。

ゆうやま

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2章90話

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僕は激怒しているカオスの力の威圧に耐え切れずに息が詰まって苦しさに立っていられなかった。

「ハルト君!早く私の背後に…」

ルル姉が壁となって僕をその力から守ってくれてカオスは知れば知るほど底が見えないどんでもない存在と思った。

「貴様ら…眷属風情がこの私をここまで愚弄するとは…いい度胸だな、誰から炭になりたい?」

「えっ?」

「か、か、か、神カオス!」

「身の程知らずが…ティアとは色々あったから私の印を見て捏ねる事ぐらいは大目に見てやるつもりだったがな…我慢ならん」

「何故貴方様がここに…」

「消滅される前に言い残す事はあるか?」

ティアマトの眷属達の顔は一瞬で恐怖に染まってパニックになった。

「ウ、ウリティンム!早く謝って!このままじゃティアマト様に迷惑かけるとかそんな生易しい事で済まないわよ!」

「あ、謝ったら許してくれるの?」

「知らないわよ!自分で何とかしなさいよ!バカ!」

「どうすんだよ!我々ではどうにもならんぞ!」

「お前ってやつはいつも感情的になって周りに迷惑ばかりかける!」

「そうだ!そうだ!」

「お前ら…仲間だろ…酷い」

眷属達はカオスに怯えたあまり…理性を失って仲間割れまでした。

このままだと死人が出る…。

その前に僕はカオスを止めないといけなかった。

イリヤ、リリヤ…一番ヤバイ爆弾の起爆装置が起動してしまったよ…。

本当に僕は君達に会えるだろうか…。

カオスはウリティンムの話に異常なほど激怒し、その顔と雰囲気は今までとまるで別人のようで威圧感も段々と強くなってルル姉は後ろで身を隠しても息が苦しくなった。

「カオス!落ち着け!」

「そこを退け」

「カオス…」

怒りでわれを忘れたカオスをルル姉が止めようとしたが聞き耳を持たなかった。

あれほど怒っている姿を見てその大厄災はカオスに取って何か深い訳がありそうに違いないと思った。

しかし…この様子ではティアマトの眷属はチリも残さず消される。

もしこの中に双子がいるとしたら、このままだと取り返しがつかない事になると思った。

だが…力でカオスを抑える手段などない…。

それで、一か八かの勝負でアレを使った。

僕は森羅万象の頂点に達して神を落とした者!

お金には完敗したが、神には負けぬ!

はぁぁぁぁあっ!姉キラーモードオーバーブースト!

全セイフティ解除!

臨界点解放!

行くぜ!

僕はカオスからの威圧感を必死に耐えながら密着して最大の愛情を込めて耳に囁いた。

「カオス様…お怒りを沈めて頂けませんか?カオス様の本当の魅力を知らない下々な者の言葉などに一々気になさらないで下さい、僕が見惚れたそのお顔が曇ってしまいそうで…凄く心配です」

「………」

姉キラーモードに反応したカオスは少し殺気が弱まって落ち着いた感じがした。

しかし、相手はカオス…一筋ではいかないと分かっている。

「お怒りになったお顔はカオス様に似合わないですよ…いつもの笑顔が僕は好きだな…」

「え~それって見た目だけ?」

「まさか…美しい顔もその明るい性格も大すきですよ~」

「うむ…んじゃ私のとこに見惚れた?」

くっ!やはり強敵だ!

なら仕方ない…早めに第2フェーズ移行!

萌え萌えドライブ転回して激カワモード追加だ。

「もう…そこまで言わせるなんて意地悪ですよ♪」

「でも…言われると気になるじゃないか」

「あの時ね…一緒に夜空を見上げていたカオス様の瞳と横顔はとても穏やかで切なくなるほど愛おしいと思いました…」

「へぇ…そう?」

「それに僕はあの者の戯言など信じません、カオス様は絶対そんな方ではないとわかってます」

僕はカオスに抱きつき彼女の顔を照れ臭そうに上目遣いで見つめた。

「ふ、ふーん…そうか…」

こ、これでもまだ足りぬか!

さすが神々の頂点に立った者…恐ろべし。

最終フェーズに移行…。

僕は最後に最大限の可愛い顔でお願いした。

「なぜこれほどお怒りになっているかはわかりませんが…僕の為だと思って怒らないで♪お願い♪」

「ん?」

そしてカオスの頬に軽く口づけをして恥ずかしそうに上目遣いで照れている仕草を見せた。

はぁはぁ…どうだ!

「あらやだー♪だよね!ティアの眷属ごときに一々腹立てたらシワがよるだけだね」

よっしゃー!

我が口説き道に一片の曇り無し!

僕の姉キラーモードは神々の頂点のカオスにも通じた…。

そして………あの即死の照れ隠しが炸裂した。

僕はそれが来ると見切っていたので軽く避けた。

「くはっ!」

「きゃぁ!」

しかし、その必殺照れ隠しはティアマトの眷属たち全員を倒した。

彼等はこうなると想像もしてなかっただろうね…。

「うう……何が起きた?」

「いきなり凄いカマイタチが来て…みんな大丈夫か?」

「なんとか生きている…」

さすがティアマトの眷属だ…あの照れ隠しを直撃しても命に別状はなさそうだった。

ゴゴゴゴゴゴー!

後ろから凄まじい怒りの視線を感じて振り向くと…今度はルルが怒っていた。

「ハルト君の…浮気者…!」

……またアレをやるしかなさそうだね。

本当に勘弁して欲しい…。
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