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2章88話
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元邪神組にはイビルゲートの立ち上げの準備、神獣組には魔王国から届いた大量の支援物資を各集落に迅速に届けるように手伝いをすると頼んだ。
お金が大好きなプァフニールは財政を担当してもらって、メディアは政務を、ラグレシアには鍛冶屋の業務と鍛冶士志望の人を預けて育成を頼んだ。
「私は?」
ルル姉も何かやりたいと意欲を示してくれた。
「牛チチは何もしないのがここの為だ!」
「んだとこら!」
イビルゲートを立ち上げるとしたら天界の反応が気になる。
ルル姉は天界の主神の妹であり、原始の神の業を受け継いだ女神…。
その影響力はかなり大きいと思った。
「ルル姉には天界とのテイルナノクの関係を築くのを手伝って欲しいけど…いいかな?」
「そうだな…イビルゲートを立ち上げたら天界も黙っている訳にはいかないと思う…それを私が事情を説明して納得させよう」
「頼むから穏便にな…」
「破壊の女神よ」
今までニコニコ笑いながらただ話を聞いていたカオスが急に口を割った。
「ん?なんだ?」
「これを…」
カオスは何か黒くて丸い玉を渡すと、それを見たルル姉の表情が硬くなった。
「これはなんの風の吹き回しかな?」
「念の為に持って行け、しばらくここに世話になるからそのお代だ」
「返すお釣りがそのお代の数倍になる気がするがな…」
「あははは…気にし過ぎたよ」
ルル姉のあんな深刻な表情を見る限り…ただ事ではないと思った。
「ルル姉…それは一体なんなの?」
「これは神カオスの印、つまりカオスがここの後ろ盾になっているとの証明だ…こんなの見せたら天界は大パニックになる…」
「最悪の場合に使いなよ」
「自力でなんとかしたいところだが…既に神カオスがここにいる事も黙っている訳にはいかないしな…」
「うん…そうだね」
カオスがいる事を知らずに天界から何か仕掛けて来たら天界が消し飛ぶ…。
それところか…力の加減を知らないカオスなら下手したらここも消し飛ぶに違いない!
「そうだね…ルル姉、イビルゲートの事とカオス様がしばらく滞在してるとちゃんと伝えて…」
「そうすれば天界はかなり神経質になるからイビルゲートの立ち上げに支障があるかも知らないよ?」
「カオス様がいると知れば天界も迂闊に手を出して来ないし…その間に冒険者達を集めて対処すればここのゲートは天界の意思に背くつもりで作ったものではないと証明出来るはず…」
「なるほど…時間稼ぎしろって事か、わかった!私に任せて」
「ありがとう!」
これでやる事は決まって、ティルナノークの進む道が開こうとしている…。
あとは僕の心残り…イリヤとリリヤに会って最後の言葉の返事と気持ちを伝えて僕も前に進む…。
そして…0時になると今まで黙々と僕達の話を聞いているだけだったナイア兄さんが口を割った。
[[ティアマト様は今までない強敵だ…それに私の力を使うのは最悪の事態以外はやめておけ…ハルトの中に私がいると分かったら絶対敵視する…]]
「ナイア兄さん…分かったよ」
[[ハルト…力になれずすまんな]]
「大丈夫…戦いに行く訳ではないからね」
[[わかった…頑張って]]
ティアマトの聖域に行く時間になった僕達は外に出た。
「さあて!0時になった!レヴィ…門を開けるよ」
「うん!ジズちゃん」
ジズは巨鳥に戻って空に上がり僕達の上を円を描きながら飛び回った。
「生命を運ぶ海を舞う風…我が名はジズ!開け!生命の海ナンムよ彼等を導け!」
ジズが飛び回っている空に異空間が現れた。
「レヴィ!今よ!」
「うん!分かった」
レヴィは龍の姿に戻ってその異空間まで体を伸ばして繋げた。
「あの空間は私を通じて行かないと入れないですよ」
ジズは門を開ける鍵、リヴァイアサンはナンムに繋げる渡橋だった。
風のジズと海のリヴァイアサン…この二人が生命の海ナンムの導き手だった事に僕は驚いた。
「ジズさん、レヴィ…ありがとう!それじゃ…行ってくるね!」
「ハルト君…待て!私も行く」
ナンムに行こうした時、ルル姉が同行すると言った。
「ルル姉…そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「違う…ティアマトに会うには同じ神格の神が同席しないと行けない」
「そ、そうなんだ…なんか大変だな」
「相手が相手だからな…」
大海母神ティアマト…どんでもない大物と実感した。
「それなら…今の君なら少し問題があるかも知れない…そんで私も行く!」
「えーー!カオス様まで?」
「まあ…久しぶりにティアの顔が見たくなってな…ふふふ」
[[いかん!止めろ!カオス様とティアマト様は最後までカオスカンムプフー…]]
ナイア兄さんが慌てた声でカオスの同行を止めるように言った。
「ナイア…それ以上喋るとお前の妹バラバラにしてブラックホールに突っ込むぞ」
「ほぇ……お、お兄ちゃん!」
[[………はい、すんません]]
カオスはその話を折ってナイア兄さんを黙らせた…。
神カオス…計り知れないほどの大物が隣にいると僕は更に実感した。
イリヤ、リリヤ…僕は君達に会えるだろうか?
僕は爆弾を抱えてナンムに入るような気分で…不安で仕方ない感じだ。
ナイア兄すら抗えないカオスを止める事など不可能なので…何かあれば機嫌を取りながら必死にお願いするしかないと思った。
「お願いてす…騒ぎは起こさないで頂きたいですが…」
「心配するなって!ドンパチしに行く訳じあるまいしな!あははは」
あなたの場合はいきなりエンカウントに入るから心配です!
それは…ルル姉も同じ…。
僕は腹をくくってナンムの入り口に向かって先進した。
イリヤ、リリヤ…待ってろ。
二つの超高性能爆弾を抱えて……今会いに行く!
お金が大好きなプァフニールは財政を担当してもらって、メディアは政務を、ラグレシアには鍛冶屋の業務と鍛冶士志望の人を預けて育成を頼んだ。
「私は?」
ルル姉も何かやりたいと意欲を示してくれた。
「牛チチは何もしないのがここの為だ!」
「んだとこら!」
イビルゲートを立ち上げるとしたら天界の反応が気になる。
ルル姉は天界の主神の妹であり、原始の神の業を受け継いだ女神…。
その影響力はかなり大きいと思った。
「ルル姉には天界とのテイルナノクの関係を築くのを手伝って欲しいけど…いいかな?」
「そうだな…イビルゲートを立ち上げたら天界も黙っている訳にはいかないと思う…それを私が事情を説明して納得させよう」
「頼むから穏便にな…」
「破壊の女神よ」
今までニコニコ笑いながらただ話を聞いていたカオスが急に口を割った。
「ん?なんだ?」
「これを…」
カオスは何か黒くて丸い玉を渡すと、それを見たルル姉の表情が硬くなった。
「これはなんの風の吹き回しかな?」
「念の為に持って行け、しばらくここに世話になるからそのお代だ」
「返すお釣りがそのお代の数倍になる気がするがな…」
「あははは…気にし過ぎたよ」
ルル姉のあんな深刻な表情を見る限り…ただ事ではないと思った。
「ルル姉…それは一体なんなの?」
「これは神カオスの印、つまりカオスがここの後ろ盾になっているとの証明だ…こんなの見せたら天界は大パニックになる…」
「最悪の場合に使いなよ」
「自力でなんとかしたいところだが…既に神カオスがここにいる事も黙っている訳にはいかないしな…」
「うん…そうだね」
カオスがいる事を知らずに天界から何か仕掛けて来たら天界が消し飛ぶ…。
それところか…力の加減を知らないカオスなら下手したらここも消し飛ぶに違いない!
「そうだね…ルル姉、イビルゲートの事とカオス様がしばらく滞在してるとちゃんと伝えて…」
「そうすれば天界はかなり神経質になるからイビルゲートの立ち上げに支障があるかも知らないよ?」
「カオス様がいると知れば天界も迂闊に手を出して来ないし…その間に冒険者達を集めて対処すればここのゲートは天界の意思に背くつもりで作ったものではないと証明出来るはず…」
「なるほど…時間稼ぎしろって事か、わかった!私に任せて」
「ありがとう!」
これでやる事は決まって、ティルナノークの進む道が開こうとしている…。
あとは僕の心残り…イリヤとリリヤに会って最後の言葉の返事と気持ちを伝えて僕も前に進む…。
そして…0時になると今まで黙々と僕達の話を聞いているだけだったナイア兄さんが口を割った。
[[ティアマト様は今までない強敵だ…それに私の力を使うのは最悪の事態以外はやめておけ…ハルトの中に私がいると分かったら絶対敵視する…]]
「ナイア兄さん…分かったよ」
[[ハルト…力になれずすまんな]]
「大丈夫…戦いに行く訳ではないからね」
[[わかった…頑張って]]
ティアマトの聖域に行く時間になった僕達は外に出た。
「さあて!0時になった!レヴィ…門を開けるよ」
「うん!ジズちゃん」
ジズは巨鳥に戻って空に上がり僕達の上を円を描きながら飛び回った。
「生命を運ぶ海を舞う風…我が名はジズ!開け!生命の海ナンムよ彼等を導け!」
ジズが飛び回っている空に異空間が現れた。
「レヴィ!今よ!」
「うん!分かった」
レヴィは龍の姿に戻ってその異空間まで体を伸ばして繋げた。
「あの空間は私を通じて行かないと入れないですよ」
ジズは門を開ける鍵、リヴァイアサンはナンムに繋げる渡橋だった。
風のジズと海のリヴァイアサン…この二人が生命の海ナンムの導き手だった事に僕は驚いた。
「ジズさん、レヴィ…ありがとう!それじゃ…行ってくるね!」
「ハルト君…待て!私も行く」
ナンムに行こうした時、ルル姉が同行すると言った。
「ルル姉…そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「違う…ティアマトに会うには同じ神格の神が同席しないと行けない」
「そ、そうなんだ…なんか大変だな」
「相手が相手だからな…」
大海母神ティアマト…どんでもない大物と実感した。
「それなら…今の君なら少し問題があるかも知れない…そんで私も行く!」
「えーー!カオス様まで?」
「まあ…久しぶりにティアの顔が見たくなってな…ふふふ」
[[いかん!止めろ!カオス様とティアマト様は最後までカオスカンムプフー…]]
ナイア兄さんが慌てた声でカオスの同行を止めるように言った。
「ナイア…それ以上喋るとお前の妹バラバラにしてブラックホールに突っ込むぞ」
「ほぇ……お、お兄ちゃん!」
[[………はい、すんません]]
カオスはその話を折ってナイア兄さんを黙らせた…。
神カオス…計り知れないほどの大物が隣にいると僕は更に実感した。
イリヤ、リリヤ…僕は君達に会えるだろうか?
僕は爆弾を抱えてナンムに入るような気分で…不安で仕方ない感じだ。
ナイア兄すら抗えないカオスを止める事など不可能なので…何かあれば機嫌を取りながら必死にお願いするしかないと思った。
「お願いてす…騒ぎは起こさないで頂きたいですが…」
「心配するなって!ドンパチしに行く訳じあるまいしな!あははは」
あなたの場合はいきなりエンカウントに入るから心配です!
それは…ルル姉も同じ…。
僕は腹をくくってナンムの入り口に向かって先進した。
イリヤ、リリヤ…待ってろ。
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