異世界で僕…。

ゆうやま

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2章87話

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これでティアマトの聖域に行く準備がトド乗った。

後は0時を待つのみ。

0時になるまではまだ大分時間があったので僕はテイルナノクの今後の事をみんなと話し合った。

「えーと、今は魔王国の支援があるので何とか維持出来ていますが長くは持ちません、それで…自力で維持出来るようにしたいですが…手っ取り早く効果があるいい案がある方はいませんか?」

「無茶言うな…ここは外部から人が集まるようなこれといった特別なモノが何一つない」

プァフニールが鋭い指摘をしてため息までした。

確かにここは広くて自然が豊か事以外は何一つなく、それだけでは人と金は集まらない…。

「特別なモノならある!」

ティルナノークの女神…バルちゃんが特別な物があると力強く言った。

「まじで?何があるの?」

「お兄ちゃんがいる~♪」

「その通りだ!」

「お馬鹿なバルちゃんが最近凄くいい事言ってるよ!」

「おいこら…レヴィお前…ちょっと面を貸せや」

こいつらに期待した僕が馬鹿だった。

「うむ…それは私もそう思う!」

ルル姉もこいつらに伝染されたようだ。

「あの……」

「あれ?メディアさん?いつここに来ました?」

「最初からずっといましたが…」

「そんな隅っこに隠れていたら気付かないですよ」

メディアは神と神獣と竜に挟まれて片隅に縮こまっていて全然気付かなかった。

「せ、せめて…こ、ここにイビルゲートでもあれば冒険者や商人が来ますが…二方の神獣様の力でここに持って来れないでしょうか?」

「そうね…あの田舎のナーズラ村すらイビルゲートのおかげで凄く繁栄したので是非欲しいですね…バム、レヴィ…出来そう?」

「申し訳ないですが…あれは破壊は可能ですが持って来る事は不可能です」

「はい、あれは地層にあるものじゃなくて一種の別次元の空間ですよ…核を破壊すれば次元から切り離されて移す事は可能ですが…それじゃ持って来る意味がなくなるし…」

「そうか…確かにイビルゲートさえあればいい足掛かりになると思ったが…ない物強請っても仕方ないね」

メディアの意見は参考になって他の方法を考えた。

「下界の侵攻目的で作ったのに、下界に利益に利用されるとは皮肉のものだ」

オーディンはイビルゲートを逆に利用されている事で苦笑いした。

「お兄ちゃん…イビルゲートが有ればいいの?それ作れるよ」

バルちゃんのその話しに先が見えなくて絶望していた感情が一瞬で希望に変わった。

「まじで?作れるの?」

「サンチュアリーも完成したし、こいつらをどうしようかなと迷ったけど…」

バルちゃんは何か二つの神の器を見せた。

「ティシーポネー…それはアレークトーとメイガラじゃないか…」

「こいつら…私に喧嘩売って来やがって返り討ちにしてやったわ」

「それに主様に狼藉を働いた!同然な報いだ」

「もう用済みなら壊そうよ!」

バムとレヴィは器を見ながら怖い顔で笑っていた。

「そうか!余とティシーポネー…アレークトーとメイガラ…丁度イビルゲートを立ち上げれる!しかし、こやつら消滅瞬前まで弱ってるな」

「まあ…かなり力を絞り取ったからな」

「容赦ないな」

「オーディン、お前さんの神具ならこやつらの神格程度…すぐ回復出来るだろ?」

「うむ、分かった。出でよ…目覚めたるものヴァク!」

銀の盃が現れてオーディンはその器に水のようなものを注いだ。

「ヴァクってオーディン数々の呼び名の一つじゃないの?」

「良く知っるな…余の呼び名は全てに余が作った神具が関わっている」

オーディンの呼び名は20~30以上ある…それなら神具もそれぐらいあるって意味だ。

それにオーディンの魔法は一般的な魔法とは異なるルーン魔法…。

精霊達や周辺の地脈とエネルギーを利用するのは一般的な魔法と同じだが、自信の属性など無視して使える。

ただし、その場の精霊やエネルギー、地脈なとの流れを完全に把握し、そのあり方や流れを描き、自在に操る魔法で、いわゆる風水魔法とも言える。

こいつどんだけ万能だ?僕がオーディンと戦って生き延びたのが不思議でならない。

その後、すぐ二人の邪神は回復して器から元に戻った。

「おお!メガイラ!私達…生きているよ」

「ああ…本当に酷い目にあったわ…」

二人の邪神は自分達の無事を確かめながら喜んでいた。

「やあ…アレークトー、メガイラ」

「ふふふ…」

「ヤッホー♪」

その喜びは一瞬で終わった。

「ひぃ!ティシーポネー!バハムートとレヴィヤタンまで!」

「やめてやめて!許して!もうイタズラしないから!」

バルちゃんとバムとレヴィに囲まれた二人の邪神は昇天しそうに顔で怯えていた。

きっと凄く酷い目にあったんだろうな…。

問題児トリオに怯えている二人の邪神のその姿に…オーディンは哀れな目で見ていた。

「余がティシーポネーにあまりちょっかい出すなとあれほど言ったはずだったが…」

「ランジュール様!」

「申し訳ありません!」

二人は跪いて謝罪の言葉を述べたあと…すぐオーディンの後ろに隠れた。

「余はもう邪神君主ではない…邪神界から降りたただのノラガミに過ぎん…」

「え?そんな!なぜですか!」

「ランジュール様に一体何があったのですか!」

オーディンは二人に事情を説明してイビルゲートの建造に協力するように二人を説得した。

でも…彼女達には拒否権はない。

拒否したら用済みと思った問題児トリオに今度こそ消される。

それを二人も気付いたようですぐ協力すると言ってくれた。

「あの…ランジュール様はこのままこっちに止まるお考えですか?」

「ああ…余もここが気に入ってる、ここに役に立ちたいと思っている」

「なら…このアレークトー!ランジュール様のお力になりたいと存じます」

「このメイガラ…力の限りを尽くしますので是非お側に置いて下さい」

二人はオーディンの事を心から慕っているようで一緒にいたいと切実に願っていた。

「其方らが望むなら拒む理由はないが…それは余は決められない…この地の領主であるこの少年に許可を取りなさい」

「は、はい?」

「えー?人間ごときに許可を…ですか?」

その言葉にまた問題児トリオが二人を囲んでリンチを始めた。

「痛い!いきなりなにをするのよ!」

「な、なんだよ!やめて!」

「うちのお兄ちゃんをごときだと?もう一度アダマスで切断するぞコラァー」

「我が主様をごときだと?もう一度燃やすぞコラァー!」

「私の主様をごときだと!もう一度ビリビリしてやるぞコラァー!あとばーちゃん…ローキックコンボも追加して!」

「わかった!」

この話でどんな目にあったかはっきりわかった…。

「し、失礼した!」

「もう、悪い事はしないから許して…」

グラトニの事を思えば許し難いが…問題児トリオにかなりやられたようだし、ティルナノークの未来の為に許す事にした。

「わかりました…その代わりに僕達にきっちり協力してもらいますよ」

「わ、わかったわ」

「協力を惜しまないと違う」

半分脅迫のような形であるが、新たな協力者が出来た。

「しかし、アレークトー、メイガラ、ここに残る事は邪神界から降りて二度と戻られない事になるが…良いのか?」

「構いません!もうあそこには戻りたくもありません」

「そうですよ!ご存知ですか?最近破壊の女神が戻った事を知ったあの馬鹿共がまた騒ぎ出しているんですよ…あんな壊す事しか能がない小娘が何がいいんだか…ヤダヤダ…もう嫌気がさしてます」

うむ…血の嵐の予感しかしない。

「アレークトー、メイガラ…後ろを見ろ」

「はい?」

「背後に何か?」

ルル姉は指を鳴らしながらストレッチを始めた。

「ちょっと一回死なすから冥界に行ってメタファールに頼んでこっちに戻って来い」

「……」

「……」

みんなは腹を抱えて爆笑してアレークトーとメイガラは石のように固まった。

「誰が壊す事しか能のない小娘だって?あん?」

「あの……ランジュール様」

「何故…破壊の女神がここに?」

「うむ…それは彼女に聞きなさい」

二人はまたオーディンの後ろに隠れて助けを求めた。

しかし、イビルゲートを立ち上げるために大事な人材なので僕とオーディンがルル姉を必死に止めた。

これで目先の目標が出来たので…各自に役割を決めて頼んだ。
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