異世界で僕…。

ゆうやま

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2章81話

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ルル姉はミョルニルの試し打ちに行ってしまって僕は加護の事を聞くそびれた

あんなに喜んでいたので仕方ない。

加護の事は今度じっくり聞く事にした。

そして、ラグレシアは気が重そうな顔でアウリカルクムの材料を持って溶かす準備を始めた。

「んじゃ…私はこの街をちょっと散歩でもして来るか」

「え?ちょ、ちょっと待って下さい!」

「ん?どうした?」

時間が空いたカオスはティルナノークを見回りたいと言って僕は焦って止めた。

その暇つぶしの散歩によってここが滅び兼ねない。

「カオス様ほどの神様を一人にする訳にはいけません…心配です」

「大丈夫、大丈夫~心配症だな…私より相手の心配した方がいいよ?あははは!」

正にそれが心配なんだよ…。

[[ハルト…大丈夫だ、慈愛深いカオス様は下界に迷惑かける方ではない…ですよね?]]

「あ……う、うん…そ、その通りだ!君達に迷惑はかけないと誓おう…」

ナイア兄さんの言葉にカオスも自重してくれると約束してもらって案内役としてメディアを同行させた。

[[次はジズを蘇らせる…オーディン頼んだ物は?]]

「ああ…ジズの残骸は持って来た」

ジズの残骸は骨のかけらで完全に化石になっていた。

[[オーディン…やれそうか?]]

「問題ない…出でよ!ウルズ、ヴェルザンディ、スクルド!」

オーディンの呼び声に三人の女性達が現れた。

この方がノルンの三姉妹…オーディンに付き慕うヴァルハラの女神であり、姉の二人は女神と末っ子の最強のヴァルキュレ。

「ウルズ…ジズの過去と死の鎖を断ち切れ…」

ウルズは巨大な鎌でジズの魂を縛っていた過去の因果の鎖を砕いた。

「ヴェルザンディ…ジズの運命を書き換えて現在に繋げろ…」

ヴェルザンディがジズの魂に触れると強く光って人魂のように火が付いた…その火は体温のように暖かった。

「スクルド…ジズを新たな未来に導け」

スクルドが小さい鈴を鳴らしながら誘導してジズの魂を化石の中に入った。

[[よし!次はバム、ジズの力を返してくれるか?]]

「はい!仰せのままに…」

バムの体から真っ赤なオーラが出てジズの化石に吸い込まれた。

[[最後にレヴィ…肉体を再生させる為に君の血が必要だ、頼めるか?]]

[主様!ありがとうございます!ジズちゃん…これで私達、本当の姉妹だよ」

レヴィがジズの化石に自分の血を注ぐと化石が割れて骨のかけらから細胞達が急速に増殖を始めだ。

そして…拳程の小さくて炎ような赤い小鳥が出来上がった。

生まれたばかりの可愛い小鳥は赤ちゃんのように静かに息をしながら寝ていた。

[[上手くいったな!」

「主様…ありがとうございます!あの忌々しい呪いでジズを殺めてから…ずっとその時の感覚が忘れられずに辛かったですが…もう大丈夫そうです…本当にありがとうございます」

[[そうか…]]

ジズを殺めたバムはその事でかなり苦痛な日々を過ごしていたようで…僕は全く気がつかなかった。

本当にナイアさんには敵わないと思った。

「ああ…ジズちゃん!」

レヴィは両手でジズをそっと持って…寝ている姿を涙目で見つめていた。

これでジズの復活は成功して準備は全て整った。

しかし…こんな小さな小鳥に鍵の役を任せて大丈夫かと心配になって来た。

[[レ、レヴィ…そろそろジズと外に出てくれないか?]]

「は、はい!やばいやばい!えーい!」

ジズは1秒1秒事にどんでもない程に早く大きく成長して慌てたレヴィはジズを外に投げ出した…。

心配などいらなかった…それに本当に姉妹のように仲が良かったか疑いたくなった。

「うう…痛たたた…何すんだよ!投げる事はないだろ!」

「ジズちゃん!私が分かる?レヴィ姉ちゃんだよ!」

「…お姉ちゃん!」

それを聞いた僕はレヴィが姉だった事に驚いた!

どう見てもレヴィも…バルちゃんと同じくイタズラ好きの末っ子にしか見えなかった。

「あら!レヴィちゃん♪……冗談はその残念な脳みそだけにしてくれる?」

「……チッ!記憶の欠損はないか…立場逆転出来ると思ったのに!ぶーぶー!」

やっぱそうだよね…。

「しかし驚いたわ…私本当に蘇ったのね…」

「うん!本当に良かった…ジズちゃん!これからも宜しくね♪」

「はいはい…それにしても…あのくそバムに食われてからどれほど時間が経ったの?」

「60000年以上経ってる…あとちょっと君の肉は生臭かったけど…うまかったぞ?」

バムがジズを見てにっこり笑った。

「げっ!…バ、バムちゃん!久しぶりね…まあまあ…次はうなぎにしなよ」

「うなぎか…口直しでは悪くないな…わかった!」

「ちょっと!ジズちゃん…うなぎって私の事?ひどーーっ!」

賑やかな雰囲気で微笑ましい光景だったが…僕としては…厄介者が増えた気がして仕方なくて更に気が重くなった。

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