異世界で僕…。

ゆうやま

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2章77話

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僕はヴァースキの目を通してどんな加護を持っているか…自分の体がどうなっているか把握出来た。

不老不死…異常効果無効、超高速再生、人間であると微かな僕の小さい希望はこれで完全に砕かれた。

[分析に特化した私すら残りは分からない…これ…神々にバレるとやばいぞ]

その通りだ…無の神一件でボルクランに殺される所だった…。

バレたらきっと今度こそタマを抜かれる!

[それにこの感じは…隠蔽?いや、封印されているね…特定の条件を満たした場合発動するタイプだな…こんな強力な封印は見た事ない]

「そ、そうなんだ」

この件はルル姉が戻って来たらみっちり尋問しよう…。

そう思ってラグレシアのところに戻ろうとした最中に一人でしょぼくれてるバルちゃんを見つけた。

バルちゃんが向けているその気持ちは僕の中にいる兄に対してだ…。

それにバムもレヴィも…。

正直ちょっとヤキモチを感じるが…でも何とかしてあげたい…。

三人に会わせてあげたいと思った。

「なにしょぼくれてるバルちゃん」

「ふんっ!もうお兄ちゃんなんか知らない!あの牛チチとイチャイチャすればいいさ!」

ああ…これは完全に拗ねている。

「ルル姉とは前に約束してしまったんだ…わかってくれよ」

「……知るもんか!」

拗ねているバルちゃんは…正直めっちゃ可愛くて…頬が緩んでしまった。

その萌える気持ちについ言ってしまった。

「もう…わかったよ、機嫌直してくれたらお兄ちゃんが一つオネダリを聞いてあげる!」

「本当!…んじゃ!それなぁ…」

食い付いて来たが…なんか変なオネダリじゃないように祈った。

「前なぁ…牛チチに聞いたよ…」

「ん?なにを聞いたの?」

「そ、そのなんちゃらモードで私の機嫌を直してみて!」

「はい?」

バルちゃんは凄く興味深々な目で僕を見ていた。

ルル姉…この子に何を言ったの?

正直気が引けるが…言い出したのは僕なのでやるしかなかった。

それにバルちゃんも神!半端に手加減したら効果がないだろ…

ゴットバスターモード…フルドライブ!リミッター解除!

行くぜ!

バルちゃんそっと抱きしめて耳元で囁いた。

「あはは、急に言われても…でもそんな簡単な事で機嫌直してくれると言ってくれる…兄思いの可愛いバルちゃんが僕は大好きだよ…ありがとう」

バルちゃんをそっと抱きしめてオデコにキスして…そのあと照れ臭そうに顔を赤くしてにっこり笑った。

ふむ……下腹にグッと力を入れて!血圧を上げて顔を赤くしながら…いい笑顔を維持する!

これは至難の業でかなりしんどい…。

「……………」

「……バ、バルちゃん?機嫌直った?」

バルちゃんは何の反応がないように見えた。

失敗か?

「う…」

「う?」

「うきゃぁぁぁあああー!」

バルちゃんの鼻と耳から血が逆流したかのように吹き出して…体も痙攣した。

「ば、は、バルちゃん!」

やばい!逆に効き過ぎた…。

その時…ティルナノーグの一帯のマナが乱れて来た。

「これは!」

サンチュアリーからバルちゃんに僕が何だかの精神攻撃をしたように感じ取ったようだ。

「ああー♪この世はなんと素晴らしいか♪見るもの全てがお美しいなぁー♪」

……やばい!バルちゃんが壊れた!

サンチュアリーも攻撃か否か迷ってるようで僕に対しての攻撃は発動しなかった。

「おほほほほほほっ♪」

バルちゃんは幸せそうな顔で笑ってどっか走って行ってしまった。

バルちゃんも神…いずれ効果は切れると思って放置して工房に向かった。

ラグレシア様の工房についた僕は中に入るとオーディンも帰って来ていた。

それに目の前の1:1スケールのフィギュアのような人形を目にして驚いた。

「うわー!すげー!クオリティー高っ!」

「ん?遅かったじゃないか…どうよ?神カオスの器の感想は?」

「凄いです!このすべすべの皮膚…本当に人の肌みたいです!それにこれ…中は完全に人の骨格を型取りしたようですね!」

「ふふふ…君は中々見る目がいい!」

凄い腕だった!今度欲しいフィギュアをラグレシアに作って貰おうと思った。

「さて…器は出来上がった…あとは君の因子を刻めれば終わる」

「どうすればいいか分からないですが…」

「簡単さ…君の髪の毛何本と血を何滴入れればいい」

僕は髪の毛を三本を抜いたあと…血を出す為に針で指を刺そうとした。

しかし…これがまた中々怖くて手が震えて来た。

「……目を瞑っているから誰か針を刺してくれない?」

「我々と邪神君主と戦った君が針一本を怖がるのか!」

「何故か…凄くプライドを傷つけられた気がするが…あはははは」

ラグレシアは爆笑してオーディンは凄く落ち込んだ。

それはそれこれはこれだ!苦手な事は仕方ないだろ!

誰も針を刺してくれなかったがトルゥーガが針を持って刺してくれた。

トルゥーガは見た目によらず凄く器用で刺されたかも分からないほど…全然痛くなかった。

「ありがとう…トルゥーガさん」

「……うむ」

そして血を混ぜた髪を器に置くと中に吸い込まれたあとまるで生きているように生気を感じた。

「うむ…これで完成だな」

その時…聞き覚えがある人の歌声が聞こえた。

「トマト♪トマトトマトトマト♪アイアンクローでプレスプレス♪」

ルル姉だった…。

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