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2章76話
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オーディンからヴァースキの目を貰ったあと僕はカオスの思念体を移す器の製作の状況を確認の為にラグレシア様の工房に向かった。
「お邪魔しま~…うわーアッツ!」
工房のドアを開けた瞬間…凄い熱気が出た。
普通の人には火傷だけでは済まない温度だった。
その高温の中でラグレシアとトルゥーガが器を作っている。
二人は凄く集中していて僕が入って来た事も気付いてなかった。
バムとレヴィが素材のオレイカルコスを運ぶのを手伝っていた。
「二人もお疲れ様!もうこんなに取って来たんだ…やっぱり凄いね」
「あっ!主様!」
「えっ!主様!私…汗臭いのにどうしよう!」
バムもレヴィも凄い汗を掻いていた。
それにレヴィの汗は…汗って言うか…これは完全に海水の匂いだった。
金属に海水って大丈夫か?
[オレイカルコスは酸化物質を受け入れないから問題ない]
「そうなんだ…ありがとう」
ヴァースは僕が知りたい事をすぐ感知して教えてくれる…中々気が効くやつだ。
「うん?主様、その目は義眼ですか?それに何故からヴァースキの気配がしますが…」
「なんでわかったの?バムは凄いね!そう!オーディンから貰った」
バムはそれを聞いて落ち込んだ顔をした。
「そうでしたか…その手があったとは!それなら…自分の目を使って欲しかったですが…残念です」
その好意はちょっと重いね…。
「ごめんね…でもバムのその綺麗な目は僕は好きでね…使うよりずっと見ていたいな…」
「……そ、そ、そうですか!それなら…仕方ないですね!あははは!」
「主様と四六時中一緒に……おのれヴァースキめ!主様!私の目と交換して下さい」
レヴィは自分の目を取ろうとした。
「バム!止めろ!」
僕じゃレヴィの力に敵わないから止められない…それでバムに任せた。
それにそんな電流がビリビリ流れているやばい目はお断りしたい…。
「別にどっかぽいっと捨てればよろしいかと思いますが…」
「ひどっ!」
この二人本当に仲良く出来ないかな…。
「騒がしいな…」
ラグレシアが僕達に気付いて汗を拭いて手を止めた。
「凄い汗ですね…ちょっと休憩しませんか?」
「ああ…丁度終わってるところだ…あとは仕上げのみだ」
「えっ?もう!」
「ああ…二人の怪力が役に立ったよ…一ヶ月程打ち続けないといけないオレイカルコスを粘土みたいに扱うとか…あの怪力には恐れ入ったよ、ああ…思い出したくもないわ」
……その気持ちよ~く分かります。
「トルゥーガ…冷却して休憩しよう」
「はっ!」
トルゥーガはカオスの器に氷水をぶっかけると工房の中は完全にサウナ状態になった。
「息苦しい…ですね」
「そう?…まあ、休憩する場所を変えるか…」
「ですね…」
僕はサウナが苦手だ…。
お風呂もすぐ逆上せてしまうからかなり温度は低めで入っている。
工房の外の巨木の下でラグレシアは休憩して僕も隣に座った。
ラグレシアは涼しい風を感じながら嬉しそうに周りの景色を眺めていた。
「ここは本当にいい場所ね…貴重な素材も豊富で静かな場所だ…これから気楽に物作りに励めそうた」
「そうですか…お気に召して良かったです」
「ありがとう…これも君のおかげて…また気ままに物作りが出来るようになった…」
「正直…こっちはラグレシアさんをかなり頼らないといけない状況です」
「それは妾として都合のいい話だ…沢山頼るほど神格も早く取り戻せるからな…」
「それで神殿を…」
「うむ…それにしてもルナを異界に飛ばしてからいつ戻って来るか不安で何も手に付かずに無駄な時間を過ごしてしまった…」
ラグレシアは過去の事を思い出しながら苦笑いしていた。
「何故ルル姉と…?」
「ああ…実は私はラズリックとルナの幼馴染でもあるんだ、そうね…幼い時は仲が悪くはなかったよ」
「えー!幼馴染だったんですか!」
「もう…その話しはやめようか…ああ…また思い出すと血圧が上がってくる」
残念…詳しく聞きたかったがラグレシアの不機嫌そうな顔を見て諦めた。
破壊と創造…聞かずとも大体想像が付く。
「下界に来ても大したものも作れずにいた時こんな大仕事を貰えるとは…有り難い」
ラグレシアの楽しそうに鼻歌を歌っていた。
僕の都合で苦痛かと思っていたが…それを聞いて安心した。
「主様!お飲み物の用意をしました。」
バムとレヴィ、トルゥーガが飲み物を持って来た。
「みんなも一緒に休憩しよ!座って座って」
「では…お言葉に甘えて」
「よいしょ!主様の隣ゲット♪」
「……チッ」
レヴィが僕の隣に座ってバムは不満そうな顔で飲み物を出した。
「トルゥーガも座りなさい」
「…光栄です」
トルゥーガはラグレシアに本当に忠実だった…。
しかし…トルゥーガってウェーダーの神…あのシヴァの妻プァルヴァティーの眷属のはずだ。
何故ラグレシアの使徒になったか…疑問だったが…疲れているトルゥーガの様子と話しかけ辛い雰囲気で、その事は後に聞く事にした。
「しかし…本当に君には驚きを通り越して呆れたよ」
「はい?何がですか?」
「破壊の女神に愛され…あのティシーポネーに懐かれて…バハムートやレヴィヤターンと邪神君主ランジュールまで味方にするとは…これは…天界も邪神界も注目するぞ?」
「あはは…」
ルル姉以外はバルちゃんの兄さんのおかげですが…。
「身に余る力は…己を滅ぼす」
「……ご忠告…ありがとうございます」
「心配で言っただけだよ…君に何かあれば妾も困るからな」
僕もラグレシアのその話は同感した。
オーディンとの戦いでルル姉が止めてくれなかったらラグレシアが言った通りになったと思った。
「そろそろ出来上がったところかな…妾は仕上げをしに行く」
ラグレシア様とトルゥーガは先に工房に向かてバムとレヴィにはその手伝いを頼んだ。
一人になった僕は何故かラグレシアが言った言葉が頭から離れなくて不安感を感じた。
「身に余る力か…」
[全くだ…人の身でこんな加護持ちなど見た事聞いた事ないわ…前代未聞だ]
「あはは…大袈裟だよ、いくら神の加護持ちが珍しいと言っても僕以外もいるよ」
[はっ?ちょ、お前…自分がどんな加護を持っているか知らないのか?]
「知ってる知ってる…破壊の女神様の加護でしょ?」
[………呆れた]
「え?どいう意味だよ?」
[お前…本当に何も知らないんだな…]
ヴァースの言い方にはまるで別の加護もあるような感じだった。
「ヴァース…僕がどんな加護を持っているか分かる?」
[私にも解析出来ないのもあるが…見てみるか?]
「………頼む」
[分かった…心して見るがいい!]
ヴァースの目を通して僕の加護の内容が見れた。
……………なにこれ?
悲願…加護…この凄い重い愛ってなに?
それにこの呪い…エキストラにユニーク?ふざけてる?
[呪い無効化があるのに解除不可の呪いって…超うけるんですけど!ぷははは]
……なんだこれは?
ルル姉ぇぇぇ!!
「お邪魔しま~…うわーアッツ!」
工房のドアを開けた瞬間…凄い熱気が出た。
普通の人には火傷だけでは済まない温度だった。
その高温の中でラグレシアとトルゥーガが器を作っている。
二人は凄く集中していて僕が入って来た事も気付いてなかった。
バムとレヴィが素材のオレイカルコスを運ぶのを手伝っていた。
「二人もお疲れ様!もうこんなに取って来たんだ…やっぱり凄いね」
「あっ!主様!」
「えっ!主様!私…汗臭いのにどうしよう!」
バムもレヴィも凄い汗を掻いていた。
それにレヴィの汗は…汗って言うか…これは完全に海水の匂いだった。
金属に海水って大丈夫か?
[オレイカルコスは酸化物質を受け入れないから問題ない]
「そうなんだ…ありがとう」
ヴァースは僕が知りたい事をすぐ感知して教えてくれる…中々気が効くやつだ。
「うん?主様、その目は義眼ですか?それに何故からヴァースキの気配がしますが…」
「なんでわかったの?バムは凄いね!そう!オーディンから貰った」
バムはそれを聞いて落ち込んだ顔をした。
「そうでしたか…その手があったとは!それなら…自分の目を使って欲しかったですが…残念です」
その好意はちょっと重いね…。
「ごめんね…でもバムのその綺麗な目は僕は好きでね…使うよりずっと見ていたいな…」
「……そ、そ、そうですか!それなら…仕方ないですね!あははは!」
「主様と四六時中一緒に……おのれヴァースキめ!主様!私の目と交換して下さい」
レヴィは自分の目を取ろうとした。
「バム!止めろ!」
僕じゃレヴィの力に敵わないから止められない…それでバムに任せた。
それにそんな電流がビリビリ流れているやばい目はお断りしたい…。
「別にどっかぽいっと捨てればよろしいかと思いますが…」
「ひどっ!」
この二人本当に仲良く出来ないかな…。
「騒がしいな…」
ラグレシアが僕達に気付いて汗を拭いて手を止めた。
「凄い汗ですね…ちょっと休憩しませんか?」
「ああ…丁度終わってるところだ…あとは仕上げのみだ」
「えっ?もう!」
「ああ…二人の怪力が役に立ったよ…一ヶ月程打ち続けないといけないオレイカルコスを粘土みたいに扱うとか…あの怪力には恐れ入ったよ、ああ…思い出したくもないわ」
……その気持ちよ~く分かります。
「トルゥーガ…冷却して休憩しよう」
「はっ!」
トルゥーガはカオスの器に氷水をぶっかけると工房の中は完全にサウナ状態になった。
「息苦しい…ですね」
「そう?…まあ、休憩する場所を変えるか…」
「ですね…」
僕はサウナが苦手だ…。
お風呂もすぐ逆上せてしまうからかなり温度は低めで入っている。
工房の外の巨木の下でラグレシアは休憩して僕も隣に座った。
ラグレシアは涼しい風を感じながら嬉しそうに周りの景色を眺めていた。
「ここは本当にいい場所ね…貴重な素材も豊富で静かな場所だ…これから気楽に物作りに励めそうた」
「そうですか…お気に召して良かったです」
「ありがとう…これも君のおかげて…また気ままに物作りが出来るようになった…」
「正直…こっちはラグレシアさんをかなり頼らないといけない状況です」
「それは妾として都合のいい話だ…沢山頼るほど神格も早く取り戻せるからな…」
「それで神殿を…」
「うむ…それにしてもルナを異界に飛ばしてからいつ戻って来るか不安で何も手に付かずに無駄な時間を過ごしてしまった…」
ラグレシアは過去の事を思い出しながら苦笑いしていた。
「何故ルル姉と…?」
「ああ…実は私はラズリックとルナの幼馴染でもあるんだ、そうね…幼い時は仲が悪くはなかったよ」
「えー!幼馴染だったんですか!」
「もう…その話しはやめようか…ああ…また思い出すと血圧が上がってくる」
残念…詳しく聞きたかったがラグレシアの不機嫌そうな顔を見て諦めた。
破壊と創造…聞かずとも大体想像が付く。
「下界に来ても大したものも作れずにいた時こんな大仕事を貰えるとは…有り難い」
ラグレシアの楽しそうに鼻歌を歌っていた。
僕の都合で苦痛かと思っていたが…それを聞いて安心した。
「主様!お飲み物の用意をしました。」
バムとレヴィ、トルゥーガが飲み物を持って来た。
「みんなも一緒に休憩しよ!座って座って」
「では…お言葉に甘えて」
「よいしょ!主様の隣ゲット♪」
「……チッ」
レヴィが僕の隣に座ってバムは不満そうな顔で飲み物を出した。
「トルゥーガも座りなさい」
「…光栄です」
トルゥーガはラグレシアに本当に忠実だった…。
しかし…トルゥーガってウェーダーの神…あのシヴァの妻プァルヴァティーの眷属のはずだ。
何故ラグレシアの使徒になったか…疑問だったが…疲れているトルゥーガの様子と話しかけ辛い雰囲気で、その事は後に聞く事にした。
「しかし…本当に君には驚きを通り越して呆れたよ」
「はい?何がですか?」
「破壊の女神に愛され…あのティシーポネーに懐かれて…バハムートやレヴィヤターンと邪神君主ランジュールまで味方にするとは…これは…天界も邪神界も注目するぞ?」
「あはは…」
ルル姉以外はバルちゃんの兄さんのおかげですが…。
「身に余る力は…己を滅ぼす」
「……ご忠告…ありがとうございます」
「心配で言っただけだよ…君に何かあれば妾も困るからな」
僕もラグレシアのその話は同感した。
オーディンとの戦いでルル姉が止めてくれなかったらラグレシアが言った通りになったと思った。
「そろそろ出来上がったところかな…妾は仕上げをしに行く」
ラグレシア様とトルゥーガは先に工房に向かてバムとレヴィにはその手伝いを頼んだ。
一人になった僕は何故かラグレシアが言った言葉が頭から離れなくて不安感を感じた。
「身に余る力か…」
[全くだ…人の身でこんな加護持ちなど見た事聞いた事ないわ…前代未聞だ]
「あはは…大袈裟だよ、いくら神の加護持ちが珍しいと言っても僕以外もいるよ」
[はっ?ちょ、お前…自分がどんな加護を持っているか知らないのか?]
「知ってる知ってる…破壊の女神様の加護でしょ?」
[………呆れた]
「え?どいう意味だよ?」
[お前…本当に何も知らないんだな…]
ヴァースの言い方にはまるで別の加護もあるような感じだった。
「ヴァース…僕がどんな加護を持っているか分かる?」
[私にも解析出来ないのもあるが…見てみるか?]
「………頼む」
[分かった…心して見るがいい!]
ヴァースの目を通して僕の加護の内容が見れた。
……………なにこれ?
悲願…加護…この凄い重い愛ってなに?
それにこの呪い…エキストラにユニーク?ふざけてる?
[呪い無効化があるのに解除不可の呪いって…超うけるんですけど!ぷははは]
……なんだこれは?
ルル姉ぇぇぇ!!
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