198 / 250
2章75話
しおりを挟む
天界に戻ったルルは冥界の主…女神メタファールとの交渉の準備をしていた。
それをラズリックが心配そうな顔でルルを見ている。
「ルナ様…本当にお一人で行かれるんですか?」
「ああ…交渉法はお前に耳にタコができる程聞いたから問題ない」
「しかし…」
「それに自分の力で成し遂げないとハルト君との約束を守って貰える資格がなくなる、あとバルトゥールをトマトにする楽しみもな…ククク」
「へぇ……ハルトちゃんと何か約束を?」
「うふふ♡まあねえー♪」
(何かか知りませんが…抜け駆けはさせませんわ…ふふふ)
ラズリックの口が微かに笑った。
「ルナ様!せめてこの私だけでも付き添いで連れてて下さい!」
「あ?お前はだめだろ…」
「な、何故ですか!」
「当たり前だろ!お前の匂いでケルベロス達が騒ぐからな…」
「くぅー!…この肉が憎い!無念なり!」
レイラは地面を叩きながら自分の肉を呪った。
「冥界の開門時間だ…んじゃ行って来る」
時間になるとルルはゲートを開き冥界に入って行った。
「この先が冥界の境界線、気合い入れて行こう…まず手探りから…そして相手の反応を見て徐々に交渉を進めて行く…よし!」
境界線を越えて冥界に入ったルルは気を引き締めて凛々しく歩いて行った。
その瞬間…。
エエエーーーーーン!
「ん?なんの音?一体何事だ?」
冥界全域からサイレンの音が鳴り響いた。
[[緊急事態!緊急事態!破壊の女神の反応が検出されました]]
「はぁ?こ、この私を何かのヤバイウィルスみたいに言いやがって!腹立つな!」
しかし、ルルはハルトの為に堪えた。
[[これより冥界は戒厳令を発します!全ての死神は職務を中断して戦闘及び警戒態勢の配置について下さい]]
「おいおい…ちょっとやり過ぎじゃない?」
ルルが冥界の入り口に立つと数万の死神とメタファールが待ち構えていた。
「ほぇ……凄い歓迎だな」
「破壊の女神よ…何しに来た!」
死神達とメタファールは怯えながらもルルを囲んで包囲した。
「これ…本当にやめてくれないか?私はただメタファール…君に用があって来ただけだ…何かやらかしに来た訳じゃないから!」
「う、うむ…そうか…ならちょっと調べさせろ」
「あ?いいけど」
死神達はルルの周りを隅々に確認し、メタファールも厳重なボディチェックをしてようやく信じる事にした。
「……本当のようだな」
「ああ…すんげー血圧上がって爆発しそうだが…今は我慢しよ」
「……って私に何の用だ?使いを出せばいい事を…自ら来た事はあまりいい話ではなさそうだがな?」
メタファールはルルが何を言い出して来るか検討も付かなくて緊張して冷や汗をかいる。
「冥界によっては悪い話だけではないと思う」
「うむ…話でみろ」
「ジズの魂を譲って欲しい」
「ジズ?……はっ?あの空帝ジズを?」
「まだ冥界にいるのはわかっている…それを貰ったらササっと冥界から出る」
「あまり調子に乗るなよ、私の業は死者の魂を浄化して輪廻に送り届ける事だ…お前は私に不正を要求してる!冥界を統べる私がそれを受け入れると思うか?それは断じて許されない!」
(いよいよ交渉開始だ…始めは軽く手探りから…)
予想通りメタファールは頑固に拒否してルルは最初のカードを切った。
「まあまあ落ち着けよ…ただでくれとは言わない…」
「舐めるな!私は物欲しさに死者の魂を売ったりしない!」
「わかっている、ジズを譲ってくれたら私…破壊の女神とそのシモベ達は今後一切冥界に迷惑行為や破壊行為をしないと約束しよ」
「…ククク、あはははははは」
メタファールはそれを聞いて大笑いをした。
「驚いたな…迷惑かけていた自覚はあったのね……君にそんな言葉を聞けると思ってもなかったぞ」
(チッ…甘かったか?最初のカードは弱過ぎて手探りにもならなかったな…すぐ次のカードを切るしかなさそうだ…次は!)
ルルは条件の上乗せて交渉を続けようとする時…メタファールは背を向けた。
「何だよ?ちょっと待って!まだ交渉は終わってないぞ!」
「破壊の女神よ…これを…」
メタファール紙を取り出してルルに渡すと…それをルルは黙々と読んだ。
そして…読み終わったルルはその紙に自分の名前を書いてメタファールに返したあと二人の女神は握手を交わした。
「破壊の女神よ…交渉成立だ」
「ああ…君の英断に敬意を払おう」
最初のカードでさらっと交渉は終わってしまった。
「おい!誰かジズの魂を持って来い」
「しかし…メタファール様、それは…」
「バカヤロ!破壊の女神の気が変わる前に早く持って来んか!」
「は、はい!」
ルルはジズの魂を貰って冥界から出るとメタファールは死神を集めてその前に立ってルルとの誓約書を見せた。
「皆の者!よく聞け!これは破壊の女神と私の契約書である!この内容はジズの魂を譲る代わり破壊の女神一派は冥界に一切の迷惑行為をしないと誓うと書いてある!」
「何ですと!」
「まじかよ?あの破壊の女神とそのシモベ達が?」
「そんなバカな!あり得ない!」
死神の皆は信じられないような表情で騒いでいた。
「思えば長き苦難であった…番犬のケルベロス達が絶滅瞬前まで減ったせいで…逃げられた魂の数は数え切れないほど…挙句に冥界で派手にドンパチやって魂魄の収容設備は壊れ…補修でまだ警備に穴が開いて…また大量の魂が逃げらて冥界の威信は地に落ちて…皆が苦労してたのは私もよぉーく分かっている…大義であった!」
メタファールと死神達は過去の数々の出来事を思い出しながら涙を流していた。
「うううう…メタファール様」
「メタファール様の心境に比べれば我々の苦労など些細な事でしょう…」
「ジズの魂を譲る事になったが…しかし!この冥界の未来と君達の為ならその汚名!私は喜んで受け入れよう!」
「メタファール様を非難する者などいるはずがありませぬ!」
「そうだそうだ!」
「皆…ありがとう!今日は破壊の女神からの解放日としてこの日を祝日とする!皆…今宵は宴会だぁぁあああ!」
「わあああー!」
これで…冥界にも平和が訪れた。
それをラズリックが心配そうな顔でルルを見ている。
「ルナ様…本当にお一人で行かれるんですか?」
「ああ…交渉法はお前に耳にタコができる程聞いたから問題ない」
「しかし…」
「それに自分の力で成し遂げないとハルト君との約束を守って貰える資格がなくなる、あとバルトゥールをトマトにする楽しみもな…ククク」
「へぇ……ハルトちゃんと何か約束を?」
「うふふ♡まあねえー♪」
(何かか知りませんが…抜け駆けはさせませんわ…ふふふ)
ラズリックの口が微かに笑った。
「ルナ様!せめてこの私だけでも付き添いで連れてて下さい!」
「あ?お前はだめだろ…」
「な、何故ですか!」
「当たり前だろ!お前の匂いでケルベロス達が騒ぐからな…」
「くぅー!…この肉が憎い!無念なり!」
レイラは地面を叩きながら自分の肉を呪った。
「冥界の開門時間だ…んじゃ行って来る」
時間になるとルルはゲートを開き冥界に入って行った。
「この先が冥界の境界線、気合い入れて行こう…まず手探りから…そして相手の反応を見て徐々に交渉を進めて行く…よし!」
境界線を越えて冥界に入ったルルは気を引き締めて凛々しく歩いて行った。
その瞬間…。
エエエーーーーーン!
「ん?なんの音?一体何事だ?」
冥界全域からサイレンの音が鳴り響いた。
[[緊急事態!緊急事態!破壊の女神の反応が検出されました]]
「はぁ?こ、この私を何かのヤバイウィルスみたいに言いやがって!腹立つな!」
しかし、ルルはハルトの為に堪えた。
[[これより冥界は戒厳令を発します!全ての死神は職務を中断して戦闘及び警戒態勢の配置について下さい]]
「おいおい…ちょっとやり過ぎじゃない?」
ルルが冥界の入り口に立つと数万の死神とメタファールが待ち構えていた。
「ほぇ……凄い歓迎だな」
「破壊の女神よ…何しに来た!」
死神達とメタファールは怯えながらもルルを囲んで包囲した。
「これ…本当にやめてくれないか?私はただメタファール…君に用があって来ただけだ…何かやらかしに来た訳じゃないから!」
「う、うむ…そうか…ならちょっと調べさせろ」
「あ?いいけど」
死神達はルルの周りを隅々に確認し、メタファールも厳重なボディチェックをしてようやく信じる事にした。
「……本当のようだな」
「ああ…すんげー血圧上がって爆発しそうだが…今は我慢しよ」
「……って私に何の用だ?使いを出せばいい事を…自ら来た事はあまりいい話ではなさそうだがな?」
メタファールはルルが何を言い出して来るか検討も付かなくて緊張して冷や汗をかいる。
「冥界によっては悪い話だけではないと思う」
「うむ…話でみろ」
「ジズの魂を譲って欲しい」
「ジズ?……はっ?あの空帝ジズを?」
「まだ冥界にいるのはわかっている…それを貰ったらササっと冥界から出る」
「あまり調子に乗るなよ、私の業は死者の魂を浄化して輪廻に送り届ける事だ…お前は私に不正を要求してる!冥界を統べる私がそれを受け入れると思うか?それは断じて許されない!」
(いよいよ交渉開始だ…始めは軽く手探りから…)
予想通りメタファールは頑固に拒否してルルは最初のカードを切った。
「まあまあ落ち着けよ…ただでくれとは言わない…」
「舐めるな!私は物欲しさに死者の魂を売ったりしない!」
「わかっている、ジズを譲ってくれたら私…破壊の女神とそのシモベ達は今後一切冥界に迷惑行為や破壊行為をしないと約束しよ」
「…ククク、あはははははは」
メタファールはそれを聞いて大笑いをした。
「驚いたな…迷惑かけていた自覚はあったのね……君にそんな言葉を聞けると思ってもなかったぞ」
(チッ…甘かったか?最初のカードは弱過ぎて手探りにもならなかったな…すぐ次のカードを切るしかなさそうだ…次は!)
ルルは条件の上乗せて交渉を続けようとする時…メタファールは背を向けた。
「何だよ?ちょっと待って!まだ交渉は終わってないぞ!」
「破壊の女神よ…これを…」
メタファール紙を取り出してルルに渡すと…それをルルは黙々と読んだ。
そして…読み終わったルルはその紙に自分の名前を書いてメタファールに返したあと二人の女神は握手を交わした。
「破壊の女神よ…交渉成立だ」
「ああ…君の英断に敬意を払おう」
最初のカードでさらっと交渉は終わってしまった。
「おい!誰かジズの魂を持って来い」
「しかし…メタファール様、それは…」
「バカヤロ!破壊の女神の気が変わる前に早く持って来んか!」
「は、はい!」
ルルはジズの魂を貰って冥界から出るとメタファールは死神を集めてその前に立ってルルとの誓約書を見せた。
「皆の者!よく聞け!これは破壊の女神と私の契約書である!この内容はジズの魂を譲る代わり破壊の女神一派は冥界に一切の迷惑行為をしないと誓うと書いてある!」
「何ですと!」
「まじかよ?あの破壊の女神とそのシモベ達が?」
「そんなバカな!あり得ない!」
死神の皆は信じられないような表情で騒いでいた。
「思えば長き苦難であった…番犬のケルベロス達が絶滅瞬前まで減ったせいで…逃げられた魂の数は数え切れないほど…挙句に冥界で派手にドンパチやって魂魄の収容設備は壊れ…補修でまだ警備に穴が開いて…また大量の魂が逃げらて冥界の威信は地に落ちて…皆が苦労してたのは私もよぉーく分かっている…大義であった!」
メタファールと死神達は過去の数々の出来事を思い出しながら涙を流していた。
「うううう…メタファール様」
「メタファール様の心境に比べれば我々の苦労など些細な事でしょう…」
「ジズの魂を譲る事になったが…しかし!この冥界の未来と君達の為ならその汚名!私は喜んで受け入れよう!」
「メタファール様を非難する者などいるはずがありませぬ!」
「そうだそうだ!」
「皆…ありがとう!今日は破壊の女神からの解放日としてこの日を祝日とする!皆…今宵は宴会だぁぁあああ!」
「わあああー!」
これで…冥界にも平和が訪れた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
約束の子
月夜野 すみれ
ファンタジー
幼い頃から特別扱いをされていた神官の少年カイル。
カイルが上級神官になったとき、神の化身と言われていた少女ミラが上級神官として同じ神殿にやってきた。
真面目な性格のカイルとわがままなミラは反発しあう。
しかしミラとカイルは「約束の子」、「破壊神の使い」などと呼ばれ命を狙われていたと知る事になる。
攻撃魔法が一切使えないカイルと強力な魔法が使える代わりにバリエーションが少ないミラが「約束の子」/「破壊神の使い」が施行するとされる「契約」を阻む事になる。
カタカナの名前が沢山出てきますが主人公二人の名前以外は覚えなくていいです(特に人名は途中で入れ替わったりしますので)。
名無しだと混乱するから名前が付いてるだけで1度しか出てこない名前も多いので覚える必要はありません。
カクヨム、小説家になろう、ノベマにも同じものを投稿しています。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる