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2章72話
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僕は神カオスの憑代にならずに済みそうで少し安心した。
神の憑代になると普通は神と憑代と体を共有して共生共存するらしい。
でも…それは普通の神の話しであり…神カオスは例外である。
魂は人間である僕が神カオスを身に降ろすと…そのとてつもない力のせいでスピリチュアリティー(霊性)が崩壊し、魂も耐えきれず消滅すると聞いた。
つまり…僕は消えて抜け殻になって体には神カオスのみが存在する事になる。
今更驚かないと思っていた僕もそれを聞いて凄く焦ってしまった。
ラグレシアは神カオスの移し身の用意の為にまだ完成してもない工房に急いで行った。
大した設備も用意出来てなかったのに…今持っている自分の道具で何とか頑張ってみると言ってくれた。
みんなのおかげで…本当に僕一人では何も出来なかったと思う。
今まで自分がどれほどのいい気になっていたか実感が出来でこんな僕の為に頑張ってくれてるみんなを見ると…恥ずかしくなった。
ルル姉とバルちゃんは僕が抉り取った目を見て泣いていた。
あれほど泣かさないと誓ったのにルル姉をまた泣かせてしまった。
僕ってやつは本当にどうしようもない情け無い男だ。
[あ…そうだ…オーディン。君に伝えないといけない事がある]
「なんだ?」
[フレイヤは生きてる…]
「また笑えない冗談を…我々ヴァルハラの神々は器を持たぬ神…巨人との間から生まれた者が多い…余もまた同じ、故に致命傷を受けたり空の果てまで流されると終わりだ」
[それが運が良く私の体から出た神カオスが実体に戻る時…彼女を発見して保護したらしい」
「なんだと!」
「怪我を治して彼女をこの地に送り返したとカオス様が言ったが…あそこから距離が距離でね…まだ戻るまで時間はかかるがそのうち会える]
「フレイヤが生きている!あははは…そ、それなら…今度こそ!そ、そうだな…まず愛人を作れないようにしないと…ロキのイタズラであのオッタルが死んでどれだけ痛快だったか!あははっ!ヴァルハラも滅んで愛人はみんないなくなったし…いやっふー♪よし!いいぞ!これならやり直せる!」
オッタルか…フレイヤに一番偏愛された…愚かなオッタルで有名なドワーフ…。
フレイヤと密会の為…オーディンとロキが出かける事を待っていたオッタルはカワウソに化けて隠れていた。
イタズラ好きのロキがカワウソを見つけて投げた石に当たって死んだ…。
あの話し…本当だったんだね…。
やばい!
それなら…その賠償金として呪いの黄金を受け取った遺族はプァフニールだ…。
なんかややこしくなりそうで気が重くなった。
オーディンはガッツポーズをして喜んでいたが……僕達は威厳など微塵も感じられない元邪神君主のその姿にガッカリした。
アレがオーディンの素だどすぐ分かった。
「初めてお話しが出来ましたね…バルちゃんのお兄さん…」
「ああ…ハルト…私も君と話が出来て嬉しい…」
初めて話しをしたが…何故か昔からずっと一緒いた家族のように感じた。
「君が生まれてからずっと一緒だったから…兄弟みたいなものだ…ナイアと呼んでくれ」
「ナイア…兄さんと呼んでもいいですか?」
「ありがとう…ハルト。本当の弟が出来た気がして嬉しいよ」
なんか照れ臭いが…でも嬉しい!
「って…ハルト君もう決めた?」
ルル姉は本当に短気で息つく間も与えてくれない。
それに何か気に食わない感じで拗ねている。
でも皆んなのおかげで気持ちが固まった。
「うん…皆んなのおかげで決心が出来たよ…僕、イリヤとリリヤに会いに行く!そして伝えたい事…伝える!例え記憶が無くても関係ない…だから…お願い!助けて下さい」
僕はみんなに助けを求めて頭を下げた。
「そうか…女としてあまりいい気分では無いが…ハルトの心に痼が残ったままじゃ私も嫌だからな…仕方ない!」
「あのツイン虫にはそのまま消えて欲しいが…お兄ちゃんの為なら仕方ない」
「ありがとう…本当にありがとう!」
二人は不満そうな口調であったが…顔は嬉しいように暖かい笑顔だった。
[破壊の女神よ…その二人はどの神に戻ったか調べは着いたか?]
「どの神か大分絞れた…眷属や使徒を人間に生まれ変える大業…原始の神の中でも限られる、ハルト君その二人に何か特徴は無いか?」
「…双子?」
「うん…そうだね…立派な特徴だね…ちなみに何かの特別な能力とかないか?」
「ある…生まれてから風の加護を持って生まれたと聞いた」
[えっ?まじ?それって!いやだな!どうしよう…]
「お兄ちゃん…それって」
ナイア兄とバルちゃんは何故か凄く取り乱した。
「それだけで確信出来た」
「ルル姉!本当に?どの神様なの?」
「二人の主人は大海母神…風と生を司る原始の神ティアマトだ」
「すまん!ハルト!今回だけは力になりそうではない…」
「ごめん…お兄ちゃん」
「そうだな…ティアマトを脅した君が出たら余計に拗らせてしまうだろ…」
ナイア兄…あのティアマトに一体何をしたんだよ…。
「しかし…ティアマトの聖域だけは…鍵が無いと入れない」
[そうだな…困ったな]
何かのドアならルル姉には何の問題にならない…そう!すぐ壊してしまうからね。
それで…普通の鍵ではないとすぐ分かった…。
「ルル姉…何の鍵が必要なの?」
「うん…その鍵は空の怪鳥…空帝ジズ…バハムートに食われて死んだ」
……うん、終わった。
僕の決心なんかこんなオチだもんだな…。
あれほど格好つけて頭まで下げたのに…死にたい。
神の憑代になると普通は神と憑代と体を共有して共生共存するらしい。
でも…それは普通の神の話しであり…神カオスは例外である。
魂は人間である僕が神カオスを身に降ろすと…そのとてつもない力のせいでスピリチュアリティー(霊性)が崩壊し、魂も耐えきれず消滅すると聞いた。
つまり…僕は消えて抜け殻になって体には神カオスのみが存在する事になる。
今更驚かないと思っていた僕もそれを聞いて凄く焦ってしまった。
ラグレシアは神カオスの移し身の用意の為にまだ完成してもない工房に急いで行った。
大した設備も用意出来てなかったのに…今持っている自分の道具で何とか頑張ってみると言ってくれた。
みんなのおかげで…本当に僕一人では何も出来なかったと思う。
今まで自分がどれほどのいい気になっていたか実感が出来でこんな僕の為に頑張ってくれてるみんなを見ると…恥ずかしくなった。
ルル姉とバルちゃんは僕が抉り取った目を見て泣いていた。
あれほど泣かさないと誓ったのにルル姉をまた泣かせてしまった。
僕ってやつは本当にどうしようもない情け無い男だ。
[あ…そうだ…オーディン。君に伝えないといけない事がある]
「なんだ?」
[フレイヤは生きてる…]
「また笑えない冗談を…我々ヴァルハラの神々は器を持たぬ神…巨人との間から生まれた者が多い…余もまた同じ、故に致命傷を受けたり空の果てまで流されると終わりだ」
[それが運が良く私の体から出た神カオスが実体に戻る時…彼女を発見して保護したらしい」
「なんだと!」
「怪我を治して彼女をこの地に送り返したとカオス様が言ったが…あそこから距離が距離でね…まだ戻るまで時間はかかるがそのうち会える]
「フレイヤが生きている!あははは…そ、それなら…今度こそ!そ、そうだな…まず愛人を作れないようにしないと…ロキのイタズラであのオッタルが死んでどれだけ痛快だったか!あははっ!ヴァルハラも滅んで愛人はみんないなくなったし…いやっふー♪よし!いいぞ!これならやり直せる!」
オッタルか…フレイヤに一番偏愛された…愚かなオッタルで有名なドワーフ…。
フレイヤと密会の為…オーディンとロキが出かける事を待っていたオッタルはカワウソに化けて隠れていた。
イタズラ好きのロキがカワウソを見つけて投げた石に当たって死んだ…。
あの話し…本当だったんだね…。
やばい!
それなら…その賠償金として呪いの黄金を受け取った遺族はプァフニールだ…。
なんかややこしくなりそうで気が重くなった。
オーディンはガッツポーズをして喜んでいたが……僕達は威厳など微塵も感じられない元邪神君主のその姿にガッカリした。
アレがオーディンの素だどすぐ分かった。
「初めてお話しが出来ましたね…バルちゃんのお兄さん…」
「ああ…ハルト…私も君と話が出来て嬉しい…」
初めて話しをしたが…何故か昔からずっと一緒いた家族のように感じた。
「君が生まれてからずっと一緒だったから…兄弟みたいなものだ…ナイアと呼んでくれ」
「ナイア…兄さんと呼んでもいいですか?」
「ありがとう…ハルト。本当の弟が出来た気がして嬉しいよ」
なんか照れ臭いが…でも嬉しい!
「って…ハルト君もう決めた?」
ルル姉は本当に短気で息つく間も与えてくれない。
それに何か気に食わない感じで拗ねている。
でも皆んなのおかげで気持ちが固まった。
「うん…皆んなのおかげで決心が出来たよ…僕、イリヤとリリヤに会いに行く!そして伝えたい事…伝える!例え記憶が無くても関係ない…だから…お願い!助けて下さい」
僕はみんなに助けを求めて頭を下げた。
「そうか…女としてあまりいい気分では無いが…ハルトの心に痼が残ったままじゃ私も嫌だからな…仕方ない!」
「あのツイン虫にはそのまま消えて欲しいが…お兄ちゃんの為なら仕方ない」
「ありがとう…本当にありがとう!」
二人は不満そうな口調であったが…顔は嬉しいように暖かい笑顔だった。
[破壊の女神よ…その二人はどの神に戻ったか調べは着いたか?]
「どの神か大分絞れた…眷属や使徒を人間に生まれ変える大業…原始の神の中でも限られる、ハルト君その二人に何か特徴は無いか?」
「…双子?」
「うん…そうだね…立派な特徴だね…ちなみに何かの特別な能力とかないか?」
「ある…生まれてから風の加護を持って生まれたと聞いた」
[えっ?まじ?それって!いやだな!どうしよう…]
「お兄ちゃん…それって」
ナイア兄とバルちゃんは何故か凄く取り乱した。
「それだけで確信出来た」
「ルル姉!本当に?どの神様なの?」
「二人の主人は大海母神…風と生を司る原始の神ティアマトだ」
「すまん!ハルト!今回だけは力になりそうではない…」
「ごめん…お兄ちゃん」
「そうだな…ティアマトを脅した君が出たら余計に拗らせてしまうだろ…」
ナイア兄…あのティアマトに一体何をしたんだよ…。
「しかし…ティアマトの聖域だけは…鍵が無いと入れない」
[そうだな…困ったな]
何かのドアならルル姉には何の問題にならない…そう!すぐ壊してしまうからね。
それで…普通の鍵ではないとすぐ分かった…。
「ルル姉…何の鍵が必要なの?」
「うん…その鍵は空の怪鳥…空帝ジズ…バハムートに食われて死んだ」
……うん、終わった。
僕の決心なんかこんなオチだもんだな…。
あれほど格好つけて頭まで下げたのに…死にたい。
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