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2章69話
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左目の解決法が見つからないまま…みんな頭を抱えていた時にまた誰が入って来た。
「遅れてすまぬ」
その声と顔を見た僕は全身の血液が頭に登る感覚と怒りの激情に駆られた。
「オーディン!貴様ぁぁぁぁ!…くあっ!」
「ハルト君!落ち着いて!こ奴を呼んだのは私だ…気持ちは分かるが今は話を聞こう…」
その怒りの感情に左目が反応してまた激痛に襲われて呪いが発動した。
しかし、オーディンには何も起きなかった。
「凄まじい呪力だが…余には効かぬ」
「さすが…落魄れても元邪神君主だな、呪力の抵抗力が強くて効かないようだ」
そういう事か…。
オーディンは僕の前に来て、イリヤとリリヤの仇が何故ここに居るのか分からなくてルル姉に尋ねた。
「ルル姉……どう言う事だよ!何故オーディンが!ここにいるんだよ!こいつは!」
「ハルト君…落ち着いて」
「落ち着いていられないよ!」
「ハルト君、話を聞いて、私はこいつを殺そうとした…でも」
「……」
「こいつを出来れば許して欲しいと…君の中にいるバルトゥールの兄に頼まれた」
「バルちゃんのお兄さんの頼み……」
何度も私を助けてくれて…無の神からルル姉を救ってくれた。
そのバルちゃんの兄の頼みとあればいやでも仕方なく受け入れるしかなかった。
「こ奴の話を聞いた後、それでも許せないなら私が必ず殺す…君には神殺しの大罪を背負って欲しくないからね」
「……わかったよ」
そしてオーディンは地に膝を付いて僕に頭を下げた。
「すまぬ…誤解と言え君を襲い、大切な人まで殺めてしまった…君の気が済むなら我が首でも差し出そう…」
オーディンの表情には嘘偽りなどなかった。
しかし、双子を奪った彼を許せない。
でも、バルちゃんの兄が許して欲しいと頼まれたには仇を打ちたくでも出来ない。
それに僕はルル姉の手を汚させたくない。
本当に卑怯だよ……。
「ハルト君どうする?悩まなくていいよ」
「ルル姉は本当に意地悪です…うううう」
「本当に優しいね…ハルト君は私の宝だよ」
双子の仇を討つ事も出来ない…こんな情けない自分に耐えられず泣いてしまって、そんな僕をルル姉はそっと抱きしめてくれた。
「本当にすまぬ!死を覚悟して邪神界を出た身、君が良ければ余を存分に使って貰いたい…罪の償いがしたい」
僕は何の返事も出来なかった。
正直オーディンの謝罪も聞きたくないし償いなどして貰いたくもない…。
でも…恩人のバルの兄の願いには答えなければそれが仁義ってものだ。
「正直…まだ飲み込められず複雑な気分です…でもこれ以上誰が死ぬ姿は見たくありません」
許すとは言わなかった…。
言えるはずがない…。
でも…オーディンを謝罪を僕は受け入るしかなかった。
「本当にすまぬ…」
「謝るのはもういい…君も聞いただろ?ハルト君の目を治せる方法を知ってるなら教えて欲しい…そのような知識だけは誰より豊富だろ?」
「うむ…」
オーディンの左目が黄金の色の瞳に変わって僕を見つめた。
その瞳の形は爬虫類の目のように歪だった。
「呪視眼……?いや…これは違う…」
「は?違うってどう言う事だ?」
「これの詳しい話しはナイアに聞こう…その方が早いだろ」
「ナイア?そいつはハルトの意識があるうちには出て来られないようだが…」
「ならあれを使おうか…出でよ!フリズスキャールヴ」
オーディンの前に大きくて様々な宝石が埋め込まれた椅子が現れた。
「ここに座ればナイアと話が出来る…少年よ…そこに座りたまえ」
「へぇ…これが世界を見渡す神具…玉座フリズスキャールヴか!初めて見たわ」
ルル姉は興味深々にそれを見ていた。
僕はオーディンの玉座フリズキャルーヴに座ると世界の色々な景色と見てみたいと思っただけでその場所が見えた。
ムキムキマッチョの男達に囲まれて憂鬱そうな表情のフィリア姉も…冒険者ギルドのおじさんと受付姉…ギルドの全員はナーズラ村から出てどこかに移動していた。
何故かクイル兄とネイビー姉もおじさん達と一緒だった。
大神殿のイッセリナ司祭長とラネースは今どうしているか見てみたかったが聖都の中は何故か見れなかった。
「ナイア…聞こえるであろう?今なら話せるはずだ」
[[あ?この声は?オーディン?どうやって?]]
「フリズキャルーヴを使って話している…それより、この少年の事で聞きたい事がある」
[[ちょ、ちょっと待って…今ムラビトクエス…いやちょっと取り込み中なんでね…]]
この声…やはり無の空間から聞こえた声…バルちゃんのお兄さんの声だった。
しかし……今、ムラビトクエストと言いかけた気がしたが?
「悪いが緊急事態だ…この子の左目が神カオスに食われたようだ」
…はっ?食われた?どいう事?
「なんだと!……神カオスの一部になってしまったのか!それはまずいな…」
そう言う事か…びっくりした。
ルル姉と他のみんなも驚いた表情で僕を見ていたが……今更の事で僕は全く気にならないかった。
[なに!…ちょっと待って!]
[ナイア!レイド中だぞ!集中して!あと援護しろ!ああっ!プニプニ魔王が回復し始めたよ!」
プニプニ魔王?
………間違いなくムラビトクエストだ。
「遅れてすまぬ」
その声と顔を見た僕は全身の血液が頭に登る感覚と怒りの激情に駆られた。
「オーディン!貴様ぁぁぁぁ!…くあっ!」
「ハルト君!落ち着いて!こ奴を呼んだのは私だ…気持ちは分かるが今は話を聞こう…」
その怒りの感情に左目が反応してまた激痛に襲われて呪いが発動した。
しかし、オーディンには何も起きなかった。
「凄まじい呪力だが…余には効かぬ」
「さすが…落魄れても元邪神君主だな、呪力の抵抗力が強くて効かないようだ」
そういう事か…。
オーディンは僕の前に来て、イリヤとリリヤの仇が何故ここに居るのか分からなくてルル姉に尋ねた。
「ルル姉……どう言う事だよ!何故オーディンが!ここにいるんだよ!こいつは!」
「ハルト君…落ち着いて」
「落ち着いていられないよ!」
「ハルト君、話を聞いて、私はこいつを殺そうとした…でも」
「……」
「こいつを出来れば許して欲しいと…君の中にいるバルトゥールの兄に頼まれた」
「バルちゃんのお兄さんの頼み……」
何度も私を助けてくれて…無の神からルル姉を救ってくれた。
そのバルちゃんの兄の頼みとあればいやでも仕方なく受け入れるしかなかった。
「こ奴の話を聞いた後、それでも許せないなら私が必ず殺す…君には神殺しの大罪を背負って欲しくないからね」
「……わかったよ」
そしてオーディンは地に膝を付いて僕に頭を下げた。
「すまぬ…誤解と言え君を襲い、大切な人まで殺めてしまった…君の気が済むなら我が首でも差し出そう…」
オーディンの表情には嘘偽りなどなかった。
しかし、双子を奪った彼を許せない。
でも、バルちゃんの兄が許して欲しいと頼まれたには仇を打ちたくでも出来ない。
それに僕はルル姉の手を汚させたくない。
本当に卑怯だよ……。
「ハルト君どうする?悩まなくていいよ」
「ルル姉は本当に意地悪です…うううう」
「本当に優しいね…ハルト君は私の宝だよ」
双子の仇を討つ事も出来ない…こんな情けない自分に耐えられず泣いてしまって、そんな僕をルル姉はそっと抱きしめてくれた。
「本当にすまぬ!死を覚悟して邪神界を出た身、君が良ければ余を存分に使って貰いたい…罪の償いがしたい」
僕は何の返事も出来なかった。
正直オーディンの謝罪も聞きたくないし償いなどして貰いたくもない…。
でも…恩人のバルの兄の願いには答えなければそれが仁義ってものだ。
「正直…まだ飲み込められず複雑な気分です…でもこれ以上誰が死ぬ姿は見たくありません」
許すとは言わなかった…。
言えるはずがない…。
でも…オーディンを謝罪を僕は受け入るしかなかった。
「本当にすまぬ…」
「謝るのはもういい…君も聞いただろ?ハルト君の目を治せる方法を知ってるなら教えて欲しい…そのような知識だけは誰より豊富だろ?」
「うむ…」
オーディンの左目が黄金の色の瞳に変わって僕を見つめた。
その瞳の形は爬虫類の目のように歪だった。
「呪視眼……?いや…これは違う…」
「は?違うってどう言う事だ?」
「これの詳しい話しはナイアに聞こう…その方が早いだろ」
「ナイア?そいつはハルトの意識があるうちには出て来られないようだが…」
「ならあれを使おうか…出でよ!フリズスキャールヴ」
オーディンの前に大きくて様々な宝石が埋め込まれた椅子が現れた。
「ここに座ればナイアと話が出来る…少年よ…そこに座りたまえ」
「へぇ…これが世界を見渡す神具…玉座フリズスキャールヴか!初めて見たわ」
ルル姉は興味深々にそれを見ていた。
僕はオーディンの玉座フリズキャルーヴに座ると世界の色々な景色と見てみたいと思っただけでその場所が見えた。
ムキムキマッチョの男達に囲まれて憂鬱そうな表情のフィリア姉も…冒険者ギルドのおじさんと受付姉…ギルドの全員はナーズラ村から出てどこかに移動していた。
何故かクイル兄とネイビー姉もおじさん達と一緒だった。
大神殿のイッセリナ司祭長とラネースは今どうしているか見てみたかったが聖都の中は何故か見れなかった。
「ナイア…聞こえるであろう?今なら話せるはずだ」
[[あ?この声は?オーディン?どうやって?]]
「フリズキャルーヴを使って話している…それより、この少年の事で聞きたい事がある」
[[ちょ、ちょっと待って…今ムラビトクエス…いやちょっと取り込み中なんでね…]]
この声…やはり無の空間から聞こえた声…バルちゃんのお兄さんの声だった。
しかし……今、ムラビトクエストと言いかけた気がしたが?
「悪いが緊急事態だ…この子の左目が神カオスに食われたようだ」
…はっ?食われた?どいう事?
「なんだと!……神カオスの一部になってしまったのか!それはまずいな…」
そう言う事か…びっくりした。
ルル姉と他のみんなも驚いた表情で僕を見ていたが……今更の事で僕は全く気にならないかった。
[なに!…ちょっと待って!]
[ナイア!レイド中だぞ!集中して!あと援護しろ!ああっ!プニプニ魔王が回復し始めたよ!」
プニプニ魔王?
………間違いなくムラビトクエストだ。
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