異世界で僕…。

ゆうやま

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2章59話

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ナイアはルルの冷たい視線に不満気にぶつぶつ言った。

「だって!仕方ないじゃん!」

「あ?何が仕方ないんだよ!」

「あのティアマト様だよ?」

「あ?それがどうした?」

「あのさ…もし!ティアマト様を少しでも傷つけたらあの方のすーーんごい数の愛人達にどんな目に合うか想像つくだろ!」

「………」

喧嘩上等のルルも…それを聞いて少し納得した顔をした。

大海母神ティアマトは男神に取って崇拝と憧れの存在であり…神々の中でもダントツのビッチでもある。

「私にどんな修羅の道を歩かせるつもり?それに……私も痛いのいやだし…」

「そ、そ、そうだね!お兄ちゃんが傷つくよりそれがいいよ!賢明な判断だった!」

「わかってくれるのはバルちゃんだけだよ…ありがとう!我が妹よ!」

「おにぃーちゃん!」

二人は互いの兄妹の愛情を確かめ合うように見つめていた。

「この馬鹿兄妹も……だめね」

「あ、主様私もそう思ってます!主様が辛くなるよりその方が1億倍いいです!

「私も私も!むしろそれしか選択肢は無いでしょー♪」

「みんな…ありがとう!」

バルトゥールに対抗するようにバムとレヴィもナイアをフォローした。

「あ…そういえばダメな馬鹿が二人増えてたわね…それはいいから話しを続けて…」

「ゴホン!話を続けよう…私はティアマト様の結婚式にお祝いに行った事もあって…面識もあった…それに凄く欲しかったと聞いたアプロディーテーの宝帯をゴマスリ…ゴホン!親睦の証で送った事もあってティアマト様も和解を応じる事にしたが…」

「今ゴマスリと言ったわね……」

ルルはナイアをゴミからゴキブリを見る目と変わった。

「…し、しかし息子のキングが黙ってエアに挑んで行方不明になった……それで激怒したティアマト様と仕方なく戦う事になってしまった……」

「おー!やっとか!って…どれぐらいボコられた?ククク…」

いよいよ戦いになったと聞いたルルは嬉しそうにしていた。

「破壊の女神よ…なんか怒ってるの?」

「ふん!怒ってない!ハルトの体で私を惑わした程度で怒るわけない!」

ルルは嘘か下手で、ハルトの真似をした事に根に持っていた。

「完全に怒ってるじゃん…まあ、てな訳で…戦いが始まったが…やはりティアマト様はべらぼう強くてだな……9日休まず戦い続けても勝負に決着がつかなかった」

「あーあー、その言い方…さらっと自分も強いとか自慢してる…ヤダヤダ」

「本当に…謝りますから!もう勘弁してくれませんか?」

「ふん!」

「戦いは終わりの目処が着かず…私も流石に疲れてやばい所だった…その時!意識を失って海に流されてるキングを見つけた…」

「へぇ…それで…助けて和解した訳?」

「いや……ちょっと甚振って人質としてティアマト様を脅したよ」

「くは!」

「だって!仕方ないじゃん!一発でも食らったら頭ぶっ飛ぶ相手だよ?頭回す余裕などなかったもん」

「もんって…キモいから!バルトゥール、お前の兄ってせこいな」

「んだとこら!賢いやり方だろうが!」

「そうだ!そうだ!」

「主様の生き様を愚弄するな!」

兄想いの妹と忠実なシモベたちはルルに嫌みに抗議をした。

「……はいはい、その素晴らしい生き様に乾杯だ」

ルルは出された蜂蜜酒を高く掲げたあと一気飲みした。

「って、そのあとは?」

「キングに甘いティアマト様は私の要求全てを受け入れてくれた…それで事は終わった」

「ちっ…聞かなきゃ良かった話しだったな、つまんない」

「ゴホン!危機を免れたエア達は私の為に宴を開き盛り上げてくれたが…私は疲れたせいで結構酔ってしまってな…次の日になって目を覚ますととんでもない事になっていた…」

「ん?オネショして洪水でも起こした?」

「オネショで洪水ってどんなオネショだよ!まあ…私がエアの養子になっていた…名前も死んだ息子と同じマルドゥックにして、今後からエア達の守護者として世界樹で住むっと…誓約書に署名していたよ…酔っていた私にエアがきっとなんかやったんだろう…」

「それにしても…間抜けだったな」

「くっ…それにしては反論出来ない、でも何だかんだあったが忠実な日々で悪くはなかったが…悲劇が始まった」

「序章が長かったね…今までそれを言う意味はあったの?」

「すみません…二度とハルトの真似はしないから本当に勘弁して貰えませんか?」

ナイアはそのゴキブリを見る目で刺々しい言葉を吐くルルに土下座して許しを請うとルルは渋々許した。

「それから長く平和が続いて、暇だった私がユグドラシルの構造を解明して新たな魔法を生み出した」

「へぇ…失われた秘術の塊というユグドラシルを?」

「普通は無理だけど…私が取り込んだ豊作の神クロノスの力のおかげでユグドラシルの抵抗はしなかった」

「そうか!大地母神ガイアとウラノスの子であれば…世界樹も抵抗しないだろうな」

「うむ、それで出来たのがあの具現言語魔法だ」

「あー私も見た…あれはチート過ぎるな」

「しかし、使い勝手はいいが本物のより遥かに劣るし、魔力の消耗が多すぎる欠点がある、具現化する規模に寄ってはアストラルラインでもオバーヒートする」

「それでも理の法則を無視するそれはチートすぎるだろ!あんなのぽんぽんぽんぼん使えたらたまらんわ!」

ルルは無の空間で自分の力を軽く弾いて八寒地獄まで開いた事を思い出して苦笑いしてた。

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