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2章54話
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生きている間にもう一度会いたいと切実に願っていた…ルル姉が現れた。
夢か…幻覚か…?
いや!このダイナミックな感触は夢では再現出来ない!
……つまり現実だ。
「ルル…姉?」
「ああ…私だよ!」
「小娘!邪魔をするな!」
オーディンの声を聞いた瞬間…また激情に駆られてしまった。
「オーディン!お前だけは…お前だけは!絶対許さない!」
「ハルト君!それは駄目だ!やめるんだ」
あと一言を言えばオーディンを確実に始末できる…。
だが…ルル姉は悲しい顔でそれを止めようとしている。
ルル姉…お願いだからそんな悲しい顔…やめてくれ。
「お願いだよ…それを放ってはならない…アレを発動したら…君はあらゆる者の敵と見なされる…最悪…原始の神々まで君をゆるさない」
それはわかっている…。
僕は双子の仇を取る為にこの世界の全ての生き物まで殺そうとしている残酷で愚かな事をしようとしている。
でも…この抑え切れない激情が…やつの存在を許すなと叫んでる…。
「ハルト君、君が世界を壊すだろうが救うだろうが…私はいつも君の味方だ…全て敵に回しても君と一緒にいるから…」
「ルル姉…うううう」
ルル姉の言葉を聞いた僕は…怒りの激情が静まっていた…。
たとえそれが嘘だとしても…今はその言葉に救われた気がした。
「わかってくれ…ハルト君は私の為にこの世界に来た…君には幸せに楽しんでもらいたい…その手助けは惜しまずするつもりだよ」
ルル姉ら僕を強く抱き締めて切実に願った。
そのルル姉の願いに僕は破滅の最後の言葉を言い出せなかった。
「うう…あぁん…ルル姉…辛いよ!辛くて…耐えられないよ…イリヤを…リリヤを…お願い…助けて…助け……」
「ああ!ハルト君の為ならなんだってやるよ…だから今はゆっくり休みなさい」
僕は辛さに逃げるように意識を閉じた。
そして発動中の魔法は銀河の彼方に飛んで消えた。
「ありがとう…ハルト君、思い止めてくれて……」
ルルは玉のような大きい涙を落としながらハルトを強く抱きしめた。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!くっそー!貴様!お兄ちゃんに何をした!」
一足遅れてバルトゥールもハルトの所に来た。
「バルトゥール、ハルト君を頼んだ……」
「言われなくてもわかってるバム!レヴィ!」
「ああ!任せろ」
「主様にもう指一本触れさせない!」
涙を拭いたあと…ルルの顔は氷のように冷たくぞくっとした殺気をうオーディンに向けて放った。
「はじめましてだな…邪神君主様よ、よくも私の大切なハルト君を苦しめてくれたな…」
「貴様はファナリー神族の暴れ姫か…邪魔をしおって…」
「んだとごらー!喧嘩売ってるなら買うぞ!まあいい…それより、これって邪神界の総意と受け取っていいか?」
ルルは拳を強く握りしめて必死に冷静を保てていた。
「余はもう…邪神君主では無い!君主の座を捨てた…故に邪神界とは関係ない」
「ははっ!なら個人の意思で?」
「その通りだ!」
「ククク…あはははははは!」
ルルは急に狂ったように笑い出した。
「本当に助かるわ…この抑え切れない怒りをどうしたらいいか凄く悩んでいた所だったぜ……一度死ね!」
「くはっ!」
ルルはオーディンを蹴り飛ばした。
「久しぶりにフルパワーになったんだ…鈍った体を解すのちょっと付き合ってもらうぞ?あっさり死ぬなよ」
ルルは蹴り飛ばされたオーディンに向かって行った。
「さあ…邪神君主はどのように悲鳴をあげるか楽しみだね」
「待たれよ…破壊の女神よ」
「待たない待たない…邪魔す……ん?」
ハルトは起きてルルを止めた。
「えっ!お、お兄ちゃん?もう出て来ないんじゃなかったの?」
「うむ…そのつもりだったが、このままでは後味が悪くなると思ってな」
ルルを止めたのはハルトの体を借りたバルトゥールの兄だった。
「ああ、君がバルトゥールの兄か…邪魔するなよ…待たないからな黙っていろ…」
「……う、うむ」
ルルの怒りを静める手段がないバルトゥールの兄はオーディンが殴られる姿をただ呆然と見るしかなかった。
ルルは満身創痍になって倒れているオーディンを蹴って踏んだあと馬乗りになって顔面を容赦なく殴り続けた。
「ふんっ!ふんっ!ふんっ!うりゃっ!」
「くはっ!やめ…かはっ!ふはっ!」
ルルの強力な攻撃でオーディンの周りは地面か深く抉られた状態になって真っ赤な血で染められた。
「うあ…見てられないな」
「お兄ちゃん…もうあーなってしまったあれは止められないよ…でもね、一つ止める手段はあるの…」
「なに?どんな手段だ?」
ルルはオーディンの首を掴み持ち上げて拳に最大の力を込めた。
「ちょっとばか響くぞ…簡単に死ぬなよ」
「ルル姉…お願い…やめて…くれ…よ?」
「えっ?ハルト君?」
ハルトの声を聞いたルルは一瞬止まった。
「こ、これでいいのバル?」
「グッジョブ!」
「き、き、貴様ぁぁ!ハルト君の真似すんな!」
ハルトには限りなく弱いルルはそれがハルトではないとわかっていても殴るのを躊躇した。
夢か…幻覚か…?
いや!このダイナミックな感触は夢では再現出来ない!
……つまり現実だ。
「ルル…姉?」
「ああ…私だよ!」
「小娘!邪魔をするな!」
オーディンの声を聞いた瞬間…また激情に駆られてしまった。
「オーディン!お前だけは…お前だけは!絶対許さない!」
「ハルト君!それは駄目だ!やめるんだ」
あと一言を言えばオーディンを確実に始末できる…。
だが…ルル姉は悲しい顔でそれを止めようとしている。
ルル姉…お願いだからそんな悲しい顔…やめてくれ。
「お願いだよ…それを放ってはならない…アレを発動したら…君はあらゆる者の敵と見なされる…最悪…原始の神々まで君をゆるさない」
それはわかっている…。
僕は双子の仇を取る為にこの世界の全ての生き物まで殺そうとしている残酷で愚かな事をしようとしている。
でも…この抑え切れない激情が…やつの存在を許すなと叫んでる…。
「ハルト君、君が世界を壊すだろうが救うだろうが…私はいつも君の味方だ…全て敵に回しても君と一緒にいるから…」
「ルル姉…うううう」
ルル姉の言葉を聞いた僕は…怒りの激情が静まっていた…。
たとえそれが嘘だとしても…今はその言葉に救われた気がした。
「わかってくれ…ハルト君は私の為にこの世界に来た…君には幸せに楽しんでもらいたい…その手助けは惜しまずするつもりだよ」
ルル姉ら僕を強く抱き締めて切実に願った。
そのルル姉の願いに僕は破滅の最後の言葉を言い出せなかった。
「うう…あぁん…ルル姉…辛いよ!辛くて…耐えられないよ…イリヤを…リリヤを…お願い…助けて…助け……」
「ああ!ハルト君の為ならなんだってやるよ…だから今はゆっくり休みなさい」
僕は辛さに逃げるように意識を閉じた。
そして発動中の魔法は銀河の彼方に飛んで消えた。
「ありがとう…ハルト君、思い止めてくれて……」
ルルは玉のような大きい涙を落としながらハルトを強く抱きしめた。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!くっそー!貴様!お兄ちゃんに何をした!」
一足遅れてバルトゥールもハルトの所に来た。
「バルトゥール、ハルト君を頼んだ……」
「言われなくてもわかってるバム!レヴィ!」
「ああ!任せろ」
「主様にもう指一本触れさせない!」
涙を拭いたあと…ルルの顔は氷のように冷たくぞくっとした殺気をうオーディンに向けて放った。
「はじめましてだな…邪神君主様よ、よくも私の大切なハルト君を苦しめてくれたな…」
「貴様はファナリー神族の暴れ姫か…邪魔をしおって…」
「んだとごらー!喧嘩売ってるなら買うぞ!まあいい…それより、これって邪神界の総意と受け取っていいか?」
ルルは拳を強く握りしめて必死に冷静を保てていた。
「余はもう…邪神君主では無い!君主の座を捨てた…故に邪神界とは関係ない」
「ははっ!なら個人の意思で?」
「その通りだ!」
「ククク…あはははははは!」
ルルは急に狂ったように笑い出した。
「本当に助かるわ…この抑え切れない怒りをどうしたらいいか凄く悩んでいた所だったぜ……一度死ね!」
「くはっ!」
ルルはオーディンを蹴り飛ばした。
「久しぶりにフルパワーになったんだ…鈍った体を解すのちょっと付き合ってもらうぞ?あっさり死ぬなよ」
ルルは蹴り飛ばされたオーディンに向かって行った。
「さあ…邪神君主はどのように悲鳴をあげるか楽しみだね」
「待たれよ…破壊の女神よ」
「待たない待たない…邪魔す……ん?」
ハルトは起きてルルを止めた。
「えっ!お、お兄ちゃん?もう出て来ないんじゃなかったの?」
「うむ…そのつもりだったが、このままでは後味が悪くなると思ってな」
ルルを止めたのはハルトの体を借りたバルトゥールの兄だった。
「ああ、君がバルトゥールの兄か…邪魔するなよ…待たないからな黙っていろ…」
「……う、うむ」
ルルの怒りを静める手段がないバルトゥールの兄はオーディンが殴られる姿をただ呆然と見るしかなかった。
ルルは満身創痍になって倒れているオーディンを蹴って踏んだあと馬乗りになって顔面を容赦なく殴り続けた。
「ふんっ!ふんっ!ふんっ!うりゃっ!」
「くはっ!やめ…かはっ!ふはっ!」
ルルの強力な攻撃でオーディンの周りは地面か深く抉られた状態になって真っ赤な血で染められた。
「うあ…見てられないな」
「お兄ちゃん…もうあーなってしまったあれは止められないよ…でもね、一つ止める手段はあるの…」
「なに?どんな手段だ?」
ルルはオーディンの首を掴み持ち上げて拳に最大の力を込めた。
「ちょっとばか響くぞ…簡単に死ぬなよ」
「ルル姉…お願い…やめて…くれ…よ?」
「えっ?ハルト君?」
ハルトの声を聞いたルルは一瞬止まった。
「こ、これでいいのバル?」
「グッジョブ!」
「き、き、貴様ぁぁ!ハルト君の真似すんな!」
ハルトには限りなく弱いルルはそれがハルトではないとわかっていても殴るのを躊躇した。
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