異世界で僕…。

ゆうやま

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2章47話

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僕達はバムに乗ってラーズ国に向かって出発した。

「バム、ラーズ国までどのくらいかかる?」

「申し訳ありません…今の体調では丸一日かかるかと…でももうちょっと頑張ります!」

「いやいや!随分速いから!ゆっくりでいいから無理しないで」

「あ、ありがとうございます」

船では1週間かかるのに…さすがバムだ。

僕は双子に膝枕をして貰って空を見上げていた…。

青く雲一つない晴れた空に春のような日差しが暖かくて気持ちいい。

「ハルト…ラーズに着いたら一緒ちょっと息抜きしよ?」

「王都は行った事ないので…」

「そうだね、久々に一緒に買い物して、食べ歩きして見て回ろう」

「本当に?」

「やった!楽しみです」

こんな事で喜んでいる双子を見ると連れて来て良かったと思ってた。

双子とこんなにぼのぼのした時間を過ごすのは本当に久しぶりだ。

でも…運命の神は僕の素朴で静寂な幸せを許さなかった…。

「レヴィ!警戒して主様を守れ!」

「わかってる!」

はっきり感じる強い殺気がしてバムはスピードを落としてレヴィは身構えた。

この二人がこんなに警戒してる事は、きっとかなり大物に違いない。

本当に今日は…人生最悪の日になりそうだ。

「ハルト!!」

「上です!!」

「なに!」

空から避けられないほど無数に光の矢が落ちて来た。

「レヴィ!」

「言われなくてもわかってる!がぁあああああ!」

レヴィがブレスで光の矢を広域化したブレスで消し飛ばした。

「卑怯者め…姿を現せ!」

「我々に喧嘩売るとは…そんな命知らずは誰だ?」

上空から凄まじいプレッシャーを感じて良く見ると人の影が見えてきた。

そいつから今まで感じた事がないほど強い殺気を感じて鳥肌が立った。

「あははは…」

「クククク…」

そいつを見たバムとレヴィの様子が可笑しくなった。

「バム…レヴィ?ど、どうしたの?」

「貴様ぁぁぁぁ!!」

「殺す殺す殺す!お前だけは絶対ゆるさない!!」

バムとレヴィは急に怒り狂ってレヴィまで元の姿に変えた。

只ならぬ雰囲気でこのまま戦いに巻き込まれるとイリヤとリリヤが心配になった僕は二人を抱き上げてバムから飛び降りた。

バムは今より更に巨体化してこの一帯を覆うほどの巨大な翼を出した。

レヴィも元の姿に戻ってその者に憎しみを込めた咆哮を放った。





ティルナノーグの拠点でサンクチュアリーの調整をしていたバルトゥールもハルト達を襲った存在に気が付いて慌てていた。

「くそ!気付くのが早すぎる!それにアイツ自ら動くとは…まずい!今はサンクチュアリーどころじゃない!私も行かないと」

「チビ、待って…」

ハルトの所に急いで行こうとしたバルトゥールの前に何者かが現れて呼び止めた。

「誰だ!お、お、お前は!」

自分の前に現れた者の姿を見たバルトゥールは驚いて呆然として見て安心した表情に変わった。

「お前は相変わらずめっちゃくちゃだな…」

「ん?何がだ?」

「どうやってこんなに早く回復出来た?お前ほとの神力を回復するには100年以上はかかるはず…」

バルトゥールの前に現れたのは破壊の女神ルナファナリールカだった。

「あははは!……エンテレケイアを吸いまくった!」

「げっ!それって!」

「うん…天界は今機能停止して大パニックってところ…」

神界は高濃度のエンテレケイアよって維持されていて…それを過度に消費されるとどうなるか…言うまでもない。

エンテレケイアとは可能の力を意味し、それとエネルゲイア…つまり実現力、最後にデュナミスと言って具現力を意味する。

この三つを第三霊力元素と言い、これを魔力、マナと呼んでいる。

魔法を使う為にはこの三つの元素が必要で一つでも欠けたら魔法は発動しない。

それは神も例外なく、唯一それを自ら作り出せる者は原始の神のみである。

そのエンテレケイアを急激に消耗した天界は絶賛停電中で完全に機能停止している。

「ほぇ、お前のアニキ…また白髪とシワが増えそうだね…可哀想だわ」

「それより…バルトゥール、お前に聞かないといけない事がある」

「今そんな場合じゃない!早くお兄ちゃんの所に駆けつけないとまずいの!」

「わかってる!何故私が急ぎエンテレケイアを吸いまくって天界の機能を停止させたと思う?」

「お前…」

「アーカシャ記録を見た」

それを聞いたバルトゥールは気まずいような様子で黙り込んだ。

「………」

「お前の兄は…」

「ああ…知ってる通りだよ」

「やはりそうか…これではっきりわかった」

「ん?何がたよ?」

「奴の狙いが何かわかったと言っている」

「ん?狙い………!い、いかん!」

バルトゥールはその狙いがなにかか気付いたようで慌ててバルトのいる場所に向かった。
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