異世界で僕…。

ゆうやま

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2章43話

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僕はバルちゃんの道案内でバムに乗って北の山に向かった。

そして…狂龍レヴィも付いて来た。

「うふふん♪主様とデート♪ルンルン♪」

デートでも遊びに行く訳でも無いんだがな…。

レヴィを一人にしたら皆んなに迷惑かけるかもしれないので念の為連れて来る事にした。

でも…こんなに僕を慕ってくれているこの問題児トリオを憎めないし嫌いにはならない。

むしろ…可愛いと思っている。

「主様!もうすぐ着きます、あの山です」

バムから降りて少し歩くと大きい岩の山に天然の洞窟があった。

洞窟の中は暗いはずなのに中に進むほど何故か明るくなった。

「ここがプァプニールの巣です」

「な、なんだ…これは?」

金貨や銀貨…そして宝石が山盛り積まれていた。

「トォッ!いやーほぅ♪」

その財宝の中からイルカのように飛び出て泳いでる人がいた…

それに裸だった。

「金だ金だ!この世は金が全てだぁー♪」

その人は…僕が知ってる人の口癖と同じ事言ってた…。

そう僕の母の口癖だ。

財宝の中で泳ぐ姿…本当にあんな事をやってる奴が居るとは衝撃的だった。

プァフニールはこっちに気付かない程凄く楽しんでいて、またその財宝の中に潜った。

「ばーーちゃん、あれ完全自分の世界に行ってるね」

「あの様子じゃしばらく正気に戻れそうじゃないな…仕方ない」

「私も手伝ってあげる…うふふ」

しばらくしてまた財宝から飛び上がった瞬間、バムが石を投げて命中させた。

「ふんっ!」

「くあっ!」

そのあとレヴィが電撃を放った。

「えいっ!」

「ウギャャャ!」

バムとレヴィの前にその変人は丸焦げになって財宝の上に落ちた

「痛たたた!なになになんなの?なにが起きた?」

「おい!プァプニール」

「ヤッホー!プァフちゃん」

「あ?バハームトとレヴィヤターンか…またお前らかよ!いきなり攻撃するのはやめてよ!これで何万回なのよ」

良く生きてたな…まあこの二人に関わってしまった貴女が悪いっとしか言いようが無い。

「気付かないお前が悪い!」

「いい加減それ飽きない?プァフちゃん」

「ふっ!飽きるもんか!これは私の唯一の楽しみであり、癒しなのだ!」

残念で仕方がない癒しだね…。

「それに財宝が体に当たる感触…たまらんわ♪お前らもやって見て!やみつきになるぞ!あっ…でもやるなら自分の財宝でやって…」

なるほど…それで全裸か…。

それにドヤ顔でその変態趣味を勧めて来た…。

「主様…紹介します。こいつがプァプニールです」

「始めまして…ハルトで……えっ?」

プァプニールを見た瞬間…僕は言葉が出なく呆然とただ見つめるしか出来なかった。

「ん?お兄ちゃん…どうかしたの?」

「まさか!プァプニール貴様!主様に何か良からぬ事をしたのか!」

「いやいやいや!何もしてないよ!」

「バム、だ、大丈夫…ちょっと知っている人とそっくりで驚いただけだから…」

「そうですか!良かった…」

僕が驚いた理由は…このプァプニールの姿、声と雰囲気まで…死んだ母にそっくりだったからだった。

「ん?ちょっと待て?バハームトの主?」

「ああ、そうだ」

「えええええー!うっそ!指で掴んだらプッチっと潰れる人間だよ?それにこんなちっちゃい子が?何の冗談だよ?」

「プァフニール…もう一回我が主様を愚弄したらただですまんぞ?」

「わ、わかったから!その顔…本当みたいだね…へぇ!バハームトの主ね…」

バムの主と聞き、興味を持ったようでプァプニールは僕に近付いて来てじっと見つめていた。

「ちょっとちょっと近い!近い!貴女全裸なんですけどー!」

「はぁ?人族って面倒いわね…」

母の姿で全裸はマジでやめて欲しい!

「プァフちゃん…竜の姿に戻れば?」

「いやよ!体が大きくなったら…泳げないし中に埋もれて寝れない!」

どんだけお金好きなんだよ…。

「それにこの姿だと財宝を狙って来た冒険者や賊達が油断するから楽々に倒して儲かる!あと殺さない代わりに慰謝料も取って二度美味しい!最高だよ!オホホホ」

副業はカツアゲですか…母の姿でそれはやめろ!

「でもここに住んでから一人も来てないなぁ…誰か来ないかな」

ビヒモスに乗り込む人はいないだろ……こいつはここで隔離しよう。

「へぇ…かなり溜め込んでるな」

「貴様!私の財宝に触るな!」

バルちゃんが財宝に触れた瞬間プァプニールは激怒してバルちゃんに襲い掛かった。

「く、苦しい!はぁはぁ」

バルちゃんは指一本触れてないのにプァプニールが苦しそうにして体も震え始めた。

「馬鹿め…それはサンクチュアリーの効果の一つ…この地を聖域とした私を攻撃するとそうなるわさ…下級の魔物程度なら即死だぞ」

「へぇ!そんな効果もあるんだ!すげー」

「でしょー♪えへへ♪」

ビヒモスの中のバルちゃんは正に神だ…あっ!元々神だったよね…。

「サ、サンチクュアリーだと!そんな話し聞いてない!うううう…」

「うん!言ってないからな…」

母の姿で苦しいそうにしているプァフニールを見ると嫌な気分になった。

「バルちゃん…お願い、許してあけて」

「わかった♪今回だけは許す」

バルちゃんの言葉が終わった瞬間…プァプニールの苦しそうな表情が消えた。

「はぁはぁ…先の苦しみが嘘のように消えた!」

「おい!プァフニールとやら…私に楯突いた罰でこれ全部没収な」

「はぁーーーー!いやよ!横暴だ!そんな理不尽な事あってたまるか!」

「ここでは私が法であり、絶対なんだよ」


「バルちゃん、まさか、最初からこれを狙って財宝に触れたの?」

「えへへ、ばれっちた、よーし、バム、レヴィ!運ぶぞ!イヒヒ」

「任せろ!」

「あいあい♪主様との愛の資金♪」

お前は何でも愛かよ…。

それにしてもこれは完全に僕達は悪人だな…。

「そんな!!駄目ー!辞めろぉぉー!私の財宝を奪わないでー!」

プァフニールはサンクチュアリーの効果で抵抗する事すら出来ずに問題児トリオに財宝が運ばれる姿をただ見ているしか出来なかった。

これじゃ完全に強盗で罪悪感でプァフニールの顔を見ていられなく、僕は財宝をもらう代わりに見返りを考えた。
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