異世界で僕…。

ゆうやま

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2章34話

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内乱が終わって魔王は聖魔戦争の勝利と反乱値圧を称えお祝いの席を設けられた。

魔王に付いて参戦した領主以外、敗れた領主とどこにも付かず事を見守っていた者も来ている。

「我々は聖魔戦争に終結を付け、内乱は我らの完全勝利した!皆に感謝する、よくやってくれた!」

「魔王様万歳!」

「魔王国に栄光あれ!」

テスラさんの勝利宣言に勝者達は喜び、敗者はこれからどうなるか不安で肩を落としている。

「この場に反逆者タグマイに付いた者も妾の命に応じず動かなかった者もいる…これに不自然に思う者もいるであろう!」

祝宴の場が静かになってテスラさんにみんな注目した。

「反逆者タグマイに付いたのも何もせずただ見てたのも許し難い罪!……だがそれも妾の不徳故にっと思っている今回だけは全て許す!それにこれは我らの女神ルナファナリールッカ様の使者様の意思でもある!」

「おお……ご寛大なお心に感謝します!」

「魔王様と我らの女神様に栄光あれ!」

先に救いの手を差し伸べたテスラさんに各領主はこれから忠義を尽くすと誓い、王として揺るぎない立場を築いた。

そして、宴が始まった。

しかし、勝者、敗者、傍観者…それぞれ積極的にコンタクトを取ろうとはしない気まずい雰囲気が続いていた。

すぐ仲良くはできないのは当たり前であり、騒ぎを今は起こさないだけでも上出来で、和を選んだ以上テスラさんの仕事はまたまた増えるだろう。

だが、その決意に僕は賞賛した。

「ハルト殿!双子殿!よく似合ってますぞ」

テスラさんの専属コーディネーターが用意してくれた礼服とドレス。

イリヤは赤いドレスに白いバラの髪飾り、リリヤは薄いピンクの青いバラの髪飾りをつけていた。

僕は…幼稚園の制服ような子供ぽい服でちょっと恥ずかしい。

しかし、せっかく用意してくれたのに断るのも気まずくてそのまま着ている。

「ハルト…可愛い!イヒヒ…」

「……と、とても似合ってます!」

「あ…そう…」

双子にも笑われた。

特にイリヤはこの姿をずっと笑いながらいじって楽しんでいる。

「キューキュー!」

「ん?マトニー腹減ったのか?」

マトニー…魔物になったグラトニだからそう名付けした。

僕には名前のセンスがないから双子に聞いたがバカとか…ブサイクとかそれはそれは僕以上酷かったのでこの名前にした。

まだ双子はグラトニが気に食わない目で見ている。

こんなにかわいいのにもう許してあけて欲しい。


「これはこれは!また珍しい魔獣を…」

「イルヨラスの爺さんでしたけ?この魔獣の事知ってますか?」

「はい…その赤い目、金色の毛並み…間違いなくゴールジィガですな…人に懐く魔獣ではないですが…こんなに懐かれるとは…」

「理由はわかりませんが…何故か懐かれて」

「ひょっとして魔力を与えました?」

あれか?グラトニにかけたヒスメディカ。

「ゴールティガは生まれてすぐ親が魔力を与えるそうです、その魔力を感じた相手を赤子は親と認識します」

「なるほど…」

イルヨラスさんが珍しい目でマトニーを触った。

「シャーーー!」

「ぷあっ!」

「うわっ!イルヨラス爺さん!」

イルヨラスはマトニーのネコパンチを食らって天井まで吹っ飛んだ。

小さいのに凄い力だった。

こんな乱暴な子だったっけ?ここに連れて来る時は声すら出さずに大人しくしてたのに…。

「ハルト殿?何事です……か……可愛い!」

テスラさんがマトニーを抱き上げ顔を擦り付けた。

「危ない!…ん?」

慌てて止めようとしたが、なんともなかった…。 

ただイルヨラスと相性が悪かったと思った。

「おお!魔王様!それはゴールジィガではないですか!」

「まあ!可愛いですわ!魔王様ちょっと触ってもよろしいでしょうか?」

みんなマトニーを見て触りだした。

「シャーーー!」

「くあっ!」

「くえっ!」

「うえっ!」

またイルヨラスさんと同じく天井までふっ飛んだ。

でも猫パンチを食らったのは男性のみだった。

さすがグラトニ!お前ってやつは生まれ変わっても最高だ。

祝会の冷え切った雰囲気はすこし盛り上がった。

みんなもこれからこのままではいけないとわかっているようですこしつづ距離を縮む努力をしている姿が見えた。

でも僕はこのような席はあまり慣れてなく息苦しさにバルコニーでマトニに餌を与えている。

「ここにいたの?」

「探しましたよハルトさん!」

「あっ…ごめん、このような場所には慣れてなくてね」

「まあ…それは私達も同じかな」

「はい…場違いな感じで…」

双子も疲れてる様子で…何故か暗い表情だった。

「どうしたの?イリヤ、リリヤ…そんな暗そうな顔して…」

「あ…ごめん、顔に出てた?」

「すみません…ちょっと不安で…」

「不安?」

イリヤは空を見上げながらちょっと震えた声で喋った。

「実はね…私達はハルトの重荷になってる気がしてね…」

「ハルトさんの周りにドンドンとんでもない人達が集まって…その中で私達は…」

神や使徒、次は邪神と魔王そして神獣…僕の周りから次々と想像を超える存在が集まる。

自分自身でも戸惑う事態なのに双子はもっと複雑な気分になるだろう。

それを僕は今更気付いた。

「もし、私達が重荷になってるなら…」

「このまま私達は…きゃっ!ハルトさん?」

それで、僕は両腕で二人を抱きしめた。

「ごめん、悩みに気がつかなくて…でも、二人は凄く勘違いしてるよ」

「勘違い?」

「何を?」

「僕が二人を重荷っと思う訳がないし、そんな事はある訳がない」

「ハルトは優しいから…でも…」

「私達はハルトさんの足を引っ張って、実際グラトニとの戦いで…」

「そうね…」

「…」

「…」

「あのね…覚えてる?僕と初めて会った時の時の事」

「忘れる訳無い…」

「はい…オークから助けてくれた時…」

この世界に来て一人になって初めて出来た仲間…僕の心の拠り所…。

それがイリヤとリリヤだ。

「もし、イリヤとリリヤと出会えてなかったら…僕は最深部ところかその前に倒れたと思う」

「…」

「…」

「無知な僕に色んな事を教えてくれたイリヤと…いつも僕が行き過ぎると冷静になるように止めてくれたリリヤ…二人にはいくら感謝しても足りないぐらいだよ」

「ハルト…」

「ハルトさん…」

「僕の隣に二人がいない事は考えられない…違う…有り得ないんだよ…二人がいないと僕は駄目なんだ!だから…これからもずっと一緒いて欲しいんだ」

「ハルト…それって」

「ハルトさん!」

あっ…聞き方によるとなんかプロポーズみたいになってしまったが…まあいいや。

「そんなに私達を…」

「これからもハルトさんと一緒に居ていいですか?」

「いなくなったりしたら嫌だよ」

「うん!わかった!そこまで言うならいてあけなくてもないわ」

このツンデレのやつ…。

「はい!これからもよろしくお願いします」

何時も強気で気がつかなかったが…こんなに不安な気持ちで今まで耐えて来た事を考えると自分が情け無くてたまらない…。

もう…ルル姉の事は無事に終わったんだ…。

焦る事は無い!これからは余裕を持って楽しく冒険をしよう。

しかし、僕はイリヤとリリヤ、双子とはずっと楽しい冒険者生活が続くと思っていた…。

この先に何が待っているか知らずに…。
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