異世界で僕…。

ゆうやま

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2章32話

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タグマイの内乱に勝利した魔王の政権は今まで無いほど強くなった。

魔王国最大領地や経済力をもっていたタグマイの領地を直轄地に出来てまた、タグマイの死により魔王テスラに刃向かう領主はいなくなった。

だが……魔王テスラは悲しい表情でタグマイの亡骸を持って魔王に投降したイルヨラスと話をしていた。

「イルヨラス…母上の側近であった貴殿が見て余は母上と比べて未熟と思っているだろ?この内乱に勝ったのは正直全てハルト殿の助力があってこそだ」

「正直言ってその通りです…だが…」

「だが?」

「今は初代よりテスラ様をもっと高く評価しております…そう気付いたのは戦に負けた後ですが…」

その以外の言葉にテスラはイルヨラスに問い詰めた。

「余のとこが母上より優れてる?」

「ホッホッホ…そいう事ではありません、初代はカリスマ的な存在で努力家で凄く有能な方に違いないですが…本体に孤独な方でした」

「母上が孤独?みんなに慕われていたではないか?」

「ええ…ですが…親友…いや、仲間と呼べる者は一人もいなかったです…それはテスラ様が一番ご存知かと」

「……」

テスラは黙り込んでイルヨラスの言葉の意味を理解した顔をした。

「初代は誰にも頼らず全て一人で背負い一人で解決しようとしました…それで躓き…どうしようも無くて最後に神々に頼るしかないと判断した時は…それはそれは…」

「ああ、一月程泣きながら自分を責めておられたな…」

「そして聖都で初代と私達は偶然出会ったある女性と短い間でしたが一緒過ごして初代は少しずつ変わり始まりましたね…」

その女性と魔王一行は奴隷になった亜人を助けたり…冒険者ギルドに登録してイビルゲートに潜ったりクエストを受けるなど一月ほど一緒に過ごしたとイルヨラスに聞いた。

「そのようなことがあったのか…その女性とは何者だ…?」

「はい…その女性の正体は破壊の女神様でございます…最後に別れる時…正体をあかして私達は心臓が止まるかと思いました」

「……はぁぁぁああ?」

「そのリアクション…初代とそっくりですね…あはははははは」

「ああ…聖都からお戻りなられた母上は今までない生き生きして眩しい笑顔だった!破壊の女神様とどのように過ごしたか詳しく聞きたい!」

テスラは初代から聞いてないそのエピソードを興奮しながら聴いていた。

「だが…それが実る時間もなく戦争が始まりました…連盟軍との最後の戦いに孤独に一人で人間の勇者一行と戦い…お亡くなりました…もし、初代が一人でも背中を任せれる仲間がいたのであれば…あのような最悪の結果にはならなかったと…」

「ああ、余も…そう思う」

「テスラ様は…初代より何もかもが劣ります…だが、それは王としてどうでもいいところです」

「どうでもいいとは…言い過ぎであろう」

「偉大な王は力や知力たげてはなれませぬ…周りを包み込む包容力と融通性こそ必須です」

「それが余にはあると?」

「ホッホッホ…どうでしょうな?」

「凄く腹が立つが…そのような王になる為に貴殿の言葉…胸に刻んでおこう」

「やはり、私の選択に狂いは無かったようですな…ホッホッホ」

「魔王様、ハルト様達がお戻りになりました」

親衛隊から報告を受けたテスラはハルト達を迎えに急ぎ正門まで走って行く行った。

「ただ今!テスラ姉さん!」

ハルトを迎えに来たテスラに笑顔で手を振った。

「おお!ハルト殿のおかげさま…うわー!血が…傷が…え、衛医を呼べぇぇー!」

テスラさんは僕の肩や首の切り傷を見て顔が真っ青になって慌てた。

ハルトの傷が心配でたまらないテスラを見てイルヨラスは優しく微笑んだ。

(…もういい仲間が出来てるではないですか…初代よ…テスラ様は貴方が夢見た王にきっとなりますぞ…)

これで魔王国の内乱は終わって平和な日々が続く事になる。
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