異世界で僕…。

ゆうやま

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2章27話

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魔王軍の圧勝で内乱は終わってグラトニーは呆れたように戦場を見ていた。

「くそ爺め…油断したか」

「もう勝敗は決まったよ?」

「お前さえ倒せば…あんな戦争など簡単にひっくり返せる」

その通りだと思った…。

僕が負けたら魔王軍はグラトニと戦わないと行けない…。

それに使徒相手では相当な被害者が出るだろうし…勝てるかもわからない。

「ミレナ姉さんの知り合いと戦いたく無いけど…諦めてくれない?」

「生温い小僧だな…死ね!」

グラトニは問答無用で攻撃して来た。

「貫けソニックピアシングスピア」

「押し潰せ!暴風の矢よ!」

「キャッン!!」

双子の攻撃で吹き飛ばされたグラトニは…またすぐ立ち直って僕に向かってテクテク歩いて来た。

「ちょーおま!あの双子を大人しくさせろ!今度邪魔したらわかってるな!」

「ご、ごめん…僕もいきなりの出来事で止めようがなかったよ…」

グラトニは最初から双子を殺すつもりはないようだ。

意外といいやつだ。

「イリヤ、リリヤ…一騎打ちなので手を出さないでくれる?」

「嫌だね!ハルトの敵は私達の敵だわ!」

「そうです!ハルトさんを傷付けようとする者は許せません」

「くそぉ!うらやまけしからん!」

言う事聞かない双子はグラトニに敵意を向けて構えるとグラトニの力がもっと増して、それに相手は使徒だ。

本気で怒ったら双子が危険だと思った。

やるしかなさそうだったので魔神同調をした。

「魔神さん…魔神さん…お願いできる?ちょっと助けて」

ボソボソ静かに魔神にお願いした。

しかし、反応なし…くそぉ!

「や、闇の魔神さーーん助けて!!」

仕方なく想いを込めて叫んだ。

「ぷははははははっ!なにそれ?うける!」

今まで無い程凄い闇のオーラが身に纏われた。

でも…今まで無いほど凄い精神的ダメージを受けた。

双子も僕から目を逸らした…グラトニにもめっちゃ笑われた。

「流れ込め、蠢く竜の血脈、ドラゴニアケイン、一瞬の死と生、刹那に食らい付けセネロプスバーサリオスデクッス」

僕は力と敏捷を強化して反撃したがその攻撃を簡単に打ち返すなど…獣人将の名は伊達じゃなかった。








ビヒモスに住む場所を決めたラプス族とダークエルフ達…そしてアラミティアの人々は住処の建設に取り掛かって…メディアは彼等のサポートで忙しかった。

「メディア様…道具が足りないです」

「メディア様…釘や金具が足りないです」

「メディア様…木材と石材が足りないです」

メディアは物資の不足で各集落の代表から補給の要望が殺到する中…その対応に攻められていた。

「わ、わかりました…手配しますのでお待ちを…」

様々な巨山を取り込んで作られたビヒモスには鉱物資源は豊富で…特にバハムートの高濃度魔力によって変質されたレア鉱石や長年人が踏み入れてないせいで木材や石も有り余っている。

しかし、それを活用出来る鍛冶士や職人が不足して宝の持ち腐れになっている。

「どうすればいいの…?百万人以上の補給など出来るかいな!…しかし、女神様に任されたこの役目…諦める訳にはいかない!」

メディアは打ち手なしで絶望しているが元聖女の彼女は神の期待に背く訳にはいかないと思って頑張っている。

「只今戻りました!メディア様!」

「ご苦労様でした……」

メディアと一緒について来た聖堂騎士団が視察から戻って来た。

彼らは飛竜を使いの各集落の視察や連絡をしばらく担当してもらっている。

「メディア様!いい報告があります!凄腕の職人がここから近い場所にいるようです」

「いくら凄腕でもな…これほどの物資は無理だろ」

テーブルの上とメディアの後ろに山のように積まれた要請届けがあった。

「それが一日で何箇所の集落の物資を作り上げているらしく、その周辺に集落を建ているものたちは何も困ってないと…」

「はっ?なにそれ?」

「それでその職人に訪ねたらこの地の代表と会いたいの事ですが…会ってみますか?」

「それが本当なら…今は藁にでも縋りたい気分だ…会ってみたい!」

「わかりました」

メディア達は急いでその職人を連れてくるように命じた。

一方、バルトゥールとバム、レヴィは丘の上で寝転がって暇そうにしていた。

「暇だな…レヴィ」

「やる事無いもんね…ばーーちゃん」

「うん…今丁度やる事が出来た…」

バハムートは拳に力を込めて構えた。

「ここで暴れたら主様に怒られるよ?ばーーちゃん!てへっ!」

「むっ!レヴィ…貴様!」

リヴァイアサンは住民達を盾にして堂々とハムのアダ名を呼んでいた。

「おい…巫山戯るのは後にしろ…客が来たようだ…ククク」

バルトゥールが遠い空を見て笑っていた。

「ん?この気配は邪神か?こっちに向けて血の気をプンプン出しているね…面倒だ」

「そうね…バルちゃん一人で相手してよ」

バムとレヴィはやる気が無さそうにまた寝転がった。

「お前らな!…もういい!この気配の持ち主は誰か知ってる…私に用がありそうだな」

バルちゃんは笑いながら邪神の方向に向かった。

「ばーーちゃん…本当に一人で行かせていいの?」

「危なくなったら行けばいい…ってまじ殺すぞ!」

「あややや…ついくせでな…そう怒らんでよ」

(はぁ…こいつを殴ったって…あまり効かないし…本気でやったら主様に怒られるし…)

バハムートはリヴァイアサンの事は諦めたようで…バルトゥールが向かった場所を見ていた。

「そんなに気になるなら行けばいいのに」

「主様との頼みで見ているだけだ…」

そう言いながらも少し心配気にバルトゥールから目を離さないバムとレヴィであった。
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