異世界で僕…。

ゆうやま

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2章16話

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聖女メディアはバグリーサルとの凄まじ戦いを目撃してかなり怯えている様子であった。

しかし、彼女にはやらなけばならない大事な使命がある。

「ん?…其方は?」

「わ、私はアラミティア帝国の者です、お取込み中…大変申し訳ありませんか…こ、これを…」

「なんだろ?むっ!………あ、あ、な、な」

聖女から弁償の詳細が書かれた書類を渡された兄はそれを見て固まった。

「しまった!!あのキモイ奴に気を取られてあいつの事を忘れていたよ…ど、どうしよう?ばーちゃん…これは怒られるよ」

「あわわわ!ヤバイ…ヤバイ!お前と関わると本当にロクな事にならない!ってばーちゃん言うな!まじ死なす!」

2匹の害獣は不安な表情でソワソワしながら主の顔の色を伺った。

「お兄ちゃん?何それ?」

「なんかしらんけど凄いことになってる」

バルトゥールもその請求書を見てプルプル震えた。

「なに?この金額?ゼロがいくつやら……目が回るぐらいだね…」

その請求書を読んだ兄妹は呆れた表情でその犯人達に顔を向けると、二匹の害獣は既に土下座している。

あまりにも壮大な額に言葉も出なかった二人の兄妹はただ彼女達を呆然として見ているだけだった。

「すまぬ…ハルトよ、後は任せた!皆んな!さらばだ!!」

どうにもならないと判断した兄は一言残してハルトの魂の中に逃げた。

「ちょ、ちょっと待って!お、お兄ちゃぁああーん……あははは」

苦笑いしながらバルトゥールはその害獣達を聖女の前に出し真顔でこう言った。

「なぁ…こいつら売ったらいくらになる?」

「え?あの…人身売買は断りします」

「いやいや……こいつら人じゃないから!だから大丈夫…だからいくらだ?」

「そうですね……いや!すみません!生き物の取り引きもお断りさせて頂きます!」

「ちっ…」

聖女は確かに二匹なら帝都を立て直すほどの高額になると思ったが人類には身に余る生き物だったので拒否した。

その時、ハルトは意識を取り戻した。

「う…う…ん?」

「お、お兄ちゃん……ごめん…」

「……ん?」

目が覚めていきなりなんた?何で謝るか状況判断が出来ない!

何故ここにバルちゃんがいる?

その困ったような顔はなんだ?

不安しか感じない!

「あのぉー?決済はどのように…」

「誰ですか?決済ってなんですか?僕…何も買ってませんが?」

「おほほ…ご冗談を…」

目を覚まして間もなく僕は見知らぬ人に支払いの催促をされいる。

この訳が分からない状況をバルちゃんが詳しく説明してくれた。

それに、丁寧に何かの巻物まで渡されてそれを読んだ。

「おほほぅ…ゼロがいくつやら…目が回るぐらいだね…」

「きゃっはー♪やっぱ!兄妹は絆は繋がれてるぅ♪」

呆れたリアクションするとバルちゃんは意味分からない事言ってなぜか喜んでいる。

しかし、起きて早々訳分からないこの状況はにすこし考える時間が欲しかった。

「しばらくお待ちください…額が額なので…」

「はい!勿論待ちますよ!ですが出来るだけ早めにお願いしますね…利息が発生しますのでご注意下さい」

しっかり利息まで発生すると聞いた二匹の害獣は怖い目でその女性を睨みつけている。

「ねぇ、ばーーちゃん…ちょっと耳を貸して」

「何だ?ふふふ…わかった」

二人は何かコソコソ悪い顔をして話しをしているように見えた。

そして、バルちゃんから僕が意識を失ってからの事となぜか僕を兄と呼ぶのが事情を聞いた。

今までの事と僕の中にバルちゃんの兄がいると聞いて驚いたが無の神の事件以後、僕の中になにかがいるような気がしていた。

「そうか…薄々感じたあの感覚はバルちゃんのお兄さんだったのね…」

「うん…ハルトお兄ちゃん」

バーグリサールと戦った場所からその一帯が死の地に変わり果てた光景を見て納得しざる終えなかった。

信じ難い話だが…無の神との戦いで聞こえた声がバルちゃんのお兄さんの声だとしたら辻褄があう…。

それと沈没した船がら海に流された魔王軍を助けた力…きっと彼が力を貸してくれたとわかった。

しかし…どうして別の世界で住んでいた僕にどうして彼が?益々謎が深まったが…今はそれどころじゃない。

そして二人の迷惑な存在に顔を合わせた。

「初めまして…」

「は、初めまして?主様?レヴィヤターンですぅ!レヴィとお呼びくださいな♪」

レヴィヤターン…貴方は前会えましたよ…僕の漂流の原因です。

「初めてまして主様…バハムートと申します!これから貴方様を命に代えても守り支えると誓います」

ば、ば、バハムート!?

最古の神獣?あのバハムート?まあ…びっくりしたが…借金の金額よりは物足りないな。

命に代え無くてもいいから弁償をなんとかして下さいと思った。

「バルちゃんから聞きました…今後とも宜しくお願いします」

「もうー♪主様たら♪堅苦しいのはなしですよ♪私はレヴィと呼んでください」

「こちらこそ宜しくお願い致します、バムとお呼び下さい」

本当は絶対関わりたくないんだが、バルちゃんの兄は僕とルル姉の恩人である。

その恩人の身内を知らないふりをするわけにはいかないと思った。

しかし、何百…何千年掛けても返せない借金を背負う事になった僕は、頭をフル回転しても返済の目処が立った無かった。

これは無理…無理だ!

この額は利息が膨れ上がるだけだ…。

やっと自由になって異世界を満喫出来ると思ったのに借金返済で人生終わるなんて…冗談キツ過ぎるわ!

それにこんな天文学な数字の額を一個人に…17歳の未成年者に押し付けるとは…この人…、いや…この世界自体えぐいわ!

どう考えても無理だと判断した僕は…賠償方法を考える事を諦めて……踏み倒すと決断した!

奥義発動!!さらばー借金!

「あの…お姉さん!僕もこれから…どうすればいいの?ねぇ…教えて…頑張って返済したいけど…どう考えても方法が思いつかないよ…だからお願い!お姉さん…何とかならない?」

メディアの隣にくっ付き少し悲し気の笑顔と愛くるしく切なくお願いしてみた。

「う…う…私は…いや…しかし!」

心が揺らぐ感じがしてあと一押しだと思った。

「一体…どれほどかかるかな…でも!お姉さんが困っているから……うううう…」

「ああぁぁ!私はなんて事を……」

彼女の泣きながら自分を責める姿を見て少し申し訳ない気持ちはあったが…正直すごくホッとした…。

イヤーフ♪効いてるぅ!

良かった!訳わからない借金なと…こめんだよ!!

僕って善人ではないようだ…なるつもりもないがな…。

しかし、彼女はキョロっと普通の表情に変わって絶望的な言葉を僕に言い渡した。

「すみません!お金の事だけはどうにもならないです!全額払って下さいね!お願いしまーす」

なにぃぃ!

一歩も引いてくれなかった…。

神すら落としたこの技が…姉キラーモードお金に破れた。

はぁ…神の威厳すら超えるお金の力を実感した。

「あの…主様…」

「ちょっと宜しいでしょうか?主様」

「はい……なんてしょう?」

バムとレヴィがソワソワしながら僕に話しかけてきた。

「あ、あの…弁償の件ですが……」

「なんとか解決出来そうなので…ちょっとだけおひまを頂きたいですが…」

「わ、わかりました…お願いします」

僕の許可をもらった二匹の害獣は何処かのに飛んで行った。

その姿を虚しく見ながら二人を信じて僅かな希望を抱いてみた。

「なぁ?二人に付いて行かなくていいのか?」

「大丈夫です、返済元はこの方なので!それに馬鹿じゃあるまいし、付いて行ったら殺されるに決まってます!」

間違いなく殺されるな…この人は賢い。

「ツッ…惜しいわね」

それを狙ったバルちゃんだった。

僕は天文学な数字の賠償金を背負って憂鬱な気分を変える散歩をしながら気分転何をした。

周辺を歩くと違和感を感じて周りを眺めた。

「ん?ここは?……」

「どうしたの?お兄ちゃん?」

「ここ、見た事ない場所でね、それにこんな綺麗で自然豊かな場所…この一帯になかったはずだが…」

「ああ…これね…バハムートの義体だよ?…ビヒモスと言うのよ」

「ん?ぎ、義体?」

バルちゃんはビヒモスの由来を詳しく説明をしてくれた。

僕の世界でもビヒモスがバハムートと同じとの説があったが…なるほどって感じだった。

「やはり…そういう事か」

「最初はここまで大きくなかったげとね…狭いと言い出して…増築の増築を重ねてこうなったのよ…」

この広さで狭い?

バムってどんたけセレブなんだよ!

「お陰で飛べなくなったらしいよ♪バカバカ♪」

「そ、そうなんた…」

こんなのが飛んだら…怖いわ!落ちたらメテオどころじゃない!星が割れるわ!

それで僕はビヒモスの背中一帯を回ってみた…。

ここはビヒモスに恐れて誰も踏み入れてなかったため自然豊かでとても綺麗な場所だった。

ここなら…ラプス族やダークエルフ達の生活に目処が立つと思って目を光らせ回り続けた。

案内役でバルトゥール…そして借金取り立て屋の彼女も後ろから付いて来た。

…すごい執念である。

「うわぁ…どれだけ広いの?」

「前のラーズ国?それの3倍以上はあるよ?」

「へぇ…どんだけ広いんだよ!」

「それがどうしたの?お兄ちゃん?」

「それがね…知り合いをここで住ませてもいいかな?っと思ったけど…だめかな?」

「バムならお兄ちゃんの頼みなら喜んで受け入れると思うよ?」

「本当?まあ…こんなに広いしね…返って来たら頼んでみるか」

しかし…二人を思い出すと気が重くなった。

本当に何とかできるかな?どうにかなる額ではないのに…どうやって?

また憂鬱な気分になるからそれは考えないようにした。

探索を続けた結果…ラプス族とダークエルフ達が住めそうな丁度いい場所を見つけて少し嬉しくなった。

「ねぇ、バルちゃん」

「なぁに?お兄ちゃん」

「一つお願いがあるんだが…」

「お兄ちゃんの頼みならなんだってやるよ♪あいつ、やっちゃう?」

無邪気な笑顔でメディアさんを殺気を込めて見つめている。

「ヒィ!!…な、何んですか!」

彼女は怯えて岩に隠れたが逃げなかった。

うむ…中々の根性だ。

聖女より勇者に向いてると思った。

「それは……やめようか」

一瞬悩んでしまったが…バルちゃんを止めた。

「残念…わかった」

「それより連れてて欲しい場所があるんだけど」

「どこに?」

僕はバルちゃんに目的地を教えてラプス族の里に瞬間移動をした。

.
.

ラプス族の里は暗い雰囲気で族長の家の前に全員集まっていた。

ダークエルフ達も全員ここに避難して来た様子だった。

「離して下さい!ハルト様を探しに行かないと!」

「この縄解いてよ!!なんなのよ!」

ラシュトルニとレーイミは縄に縛られて身動きが取れない状態になっていた。

「そうでもしないと足が速い君達を止められないからよ…ハルト様の所まで行くつもりでしょ?」

二人を縛ったのはヴィゼーだった。

「当たり前です!!」

「愚問だな!!早く解いて!」

「私はハルト様に貴方達を頼まれています…私も今すぐ助けに行きたいです…わかって下さい……」

頭を下げて悔しくて震えるヴィゼーの前に二人は大人しくなった。

「うおおおおう!!!」

ヴィゼーは外から騒がしくなって確認に出るとラプス族とダークエルフ達に囲まれているハルトが見えた。

「ハルト様だ!」

「ハルト様が無事にお戻りになられたぞ!」

ハルトとはバルトゥールは瞬間移動でラプス族の里に着いた。

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