異世界で僕…。

ゆうやま

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2章12話

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僕とレーイミはラシュトルニの案内でまだラプス族が足を踏み入れてない場所に向かった。

しかし…そこにはほとんどが荒地で浅い川以外は特に食材が取れると思えない枯れた林がある場所だった。

この浅い川では魚も取れなさそうで周りは他の場所と同じで土も石だらけ…。

向かった度に無駄足だったラシュトルニは落ち込んでいるようでいつもピンと立ていた耳が力が抜けたように下がっている。

「無駄足になって…ごめんなさい」

「いや…ラシュトルニのせいじゃないよ…それに浅いけど綺麗な川だよ…水浴びでもして気を取り直そう!」

僕は落ち込んでいるラシュトルニを元気付けようと川に飛び込んだ。

「冷たくて気持ちいい!!みんなも水浴びしよ!」

久々の水浴びに僕は上着を脱ぎ体を洗い始めた。

(い、いけない…鼻血でそう)

(ほぉ…ツヤツヤ肌…柔らかそうな体…はぁはぁはぁはぁ……たまらん)

ラシュトルニとレーイミは至福の表情をして少し元気になったようだ。

うむ…サービスした甲斐があった。

「二人もどう?気持ちいいよ?さっぱりしてまた頑張ろう!」

「わ、わかりました!叔父様…今日ラシュトルニーは大人になります!」

「はっ?」

ラシュトルニは躊躇なく全裸になって飛び込んで来た。

「ら、ラシュトルニ!待ってよ!」

レーイミも焦って同じくすっぽんぽんになって僕の背後に来た…。

おう…こんなの双子に見られたらきっと命が危い。

「は、ハルト様!お背中洗ってあげる」

レーイミが僕の背中を洗い始めるとラシュトルニも加勢した。

「わ、私も手伝うわ!!」

「いいよ、私一人で大丈夫だよ!」

嬉しいシチュエーションだが…背中をかけて争う二人の乙女達によって爪に引っかかったり抓られてめっちゃ痛い…。

でも…背中に当たる二人の生肌…ヤバイ!ムラムラしてきた…。

「あと少しで終わるから私だけでいいよ」

「それじゃ…あ、私は前を!!」

「えっ!…や、やるわね…ラシュトルニ」

前は自分で洗えるが……。

僕の前面を洗うとするラシュトルニを止めたいが照れながら頑張ってる姿を見て諦めた。

正直に言うとめっちゃ気持ちいいからやめて欲しくない…。

しかし、このままではやばい。

奴が…凶暴な我がムスコが…立ち上がろうとしている!

その時、林の中からなにかが飛び出してきた。

それはヴィゼーさんでなぜか凄く緊迫な表情で急ぎ走って来たようで息が上がっている。

「はぁはぁ…ハルト様!緊急事…たい……失礼…」

このピンク色の状況を見たヴィーゼは背中を向けて帰ろうとした。

ん?緊急事態と言った気がするが?

「じゃなくて!緊急事態です!族長達が危ないです!手を貸して下さい!」

「はい?」

慌てて服を着て僕はヴィゼーの案内で食材確保に出たダークエルフの族長達がいる場所に急いで走った。

「一体何が起きたです?ヴィゼーさんが慌てるなんて…」

「スリーヴァルティが現れました…」

「スリーヴァルティって霜の巨人の一種の事?」

「はい…そうです」

霜の巨人族の一種であるスリーヴァルティ…。

頭が三つから九つの暴食の巨人で奴が現れた所は草一つ残さず食べ尽くすと言われてる。

そしてスリーヴァルティ一人でサイクロプス10体を軽く壊滅する程の強力な相手だ。

苦戦しているに違いないと族長達が心配になった僕は全速で走った。

そのスピードにラシュトルニとレーイミが追いついてきた。

ラプス族は本当に足が速い。


「くっ!さすがマムンティア大陸…こんなとんでもない化け物に出くわすとは…」

エムライ族長は負傷しているようで頭から血が流れていた。

巨人3体に退路を塞がれてラプス族は逃げられなくて置いて逃げる訳には行かないダークエルフ達は応戦する事になった。

ダークエルフ達は必死にラプス族を守りながら戦っているが完全に押されている。

「族長!」

「エムライ族長!」

「ヴィーゼ!おお!ハルト様!みんな踏ん張れ!ハルト様が来てくださったぞ!」

「おおー!」

ダークエルフ達は立ち直って陣形を固めて僕とヴィーゼと合流出来た。

「何とか間に合いましたね」

「よかった!」

ダークエルフ達の半数は負傷しているが、その奮闘のおかげでラプス族は全員無事だった。

「さて!僕も加勢します!」

三体のスリーヴァルティの後ろには岩に座ってただ観戦してる別の種の巨人がいる。

頭一つ、両腕、両足、ごく普通に見えるが風囲気でこいつがリーダーとすぐわかった。

僕はまずスリーヴァルティに飛び込んで一体を蹴り飛ばすともう一体が背後から大きな拳を振り回して来る。

しかし、力は強くても俊敏性がなく、その攻撃は遅い過ぎて脅威にならなかった。

その攻撃を避けて腕を掴み地面に投げつけるとヴィーゼが素早く退路を確保した。

「今です!」

「今だ!体制を立て直す!怪我人は後退しろ!ラプス族達も今のうちに安全な場所に避難して下さい!」

エムライ族長の指示に怪我したダークエルフとラプス族は素早く森の中に隠れた。

攻撃されたスリーヴァルティは何が起きたかわからないような表情で立ち直った。

しかし…ダメージはほぼ無いように見える。

「うへ……頑丈だな」

「ハルト様!スリーヴァルティは物理攻撃はあまり聞かないです!魔法で対処しましょう!」

魔法、魔法ね……。

なんかまたどこかで被害者が出そうで気が引ける。

「闇の精霊よ!我が身に纏え!」

魔法攻撃を始めるヴィゼーに続いて僕も精霊同調をした。

「闇の魔神よ!我が身に纏え!」

今回は格好よく魔神を呼んでみた。

が…何故か反応がない。

「…………ん?あれ?来ない?闇の魔神よ!我が身に纏えぇぇええ!」

何度も呼んだが魔神は答えてくれなかった。

「ん?………まさか」

「ハルト様?どうしました?」

「いや…ちょっと待って…」

僕はヴィゼーから背を向けて闇の魔人にお願いしてみた。

「や、闇の魔神さん~助けてぇー!」

すると…闇の魔神が降りて僕は猛烈やオーラに包まれた。

何時も硬い命令口調で呼び出された魔神は僕のお願い口調に味を占めたようだ

これから魔神はお願いしないと同調してくれないみたい。

恥ずかしくて死にそうだ…。

「ハルト様……」

「お願い、何も言わないで…」

「はい…」

見なかった事にしてくれたヴィゼーは攻撃を始める。

「追跡する影の矢、敵を貫け!ウンブラサジッタ!!」

七つの影の矢は一人のスリーヴァルティに命中する。

図体が大きいせいでいい的になった。

「うぐぅ………」

苦しそうなスリーヴァルティを見ると魔法攻撃はかなり効いているようで僕もその魔法を使ってみた。

「追跡する影の矢、敵を貫け!ウンブラサジッタ!!」

200本程のバリスタに使うような大型の影の矢が発生した。

この魔人さん…気前がいいね…ご機嫌かな?

「あはは…なんですか?その矢?」

「矢か杭か柱かよくわかりませんが!とにかく攻撃!」

ヴィゼーは顔を引きつった顔でその柱のような影の矢を見ていた。


そしてその影の矢はスリーヴァルティの体を次々と貫き、肉片に変えた…。

それを見て怯えて逃げようとするスリーヴァルティをリーダー巨人がを止めた。

「敵に背中を向けるとは…霜の巨人の恥だ…死ね!」

「グオーー!」

「くぇー!」

その巨人は素手の一撃で二体のスリーヴァルティの腹に大きいな穴を開けた。

それに一人になっても全く動じない。

余程力にに自信があるようだ。

「ほう…魔神と同調できる人間は最早いないと思ってたが……面白い」

この巨人はスリーヴァルティと違ってしっかりと喋れた。

「物理攻撃に強い耐性を持つスリーヴァルティを拳一突きで…ハルト様!この者は危険です!」

「うん…そんな感じがするよ」

ヴィーゼはその巨大をかなり警戒しているようで僕に注意するように言った。

「あの者との戦いは…避けるべきだと思います」

「そうですね…」

ヴィゼーの意見に賛成だ…こいつはめっちゃ強そうだし…。

だが…手下を躊躇なく殺す冷酷なやつに交渉が出来るとは思えないが一応、話はしてみる。

「ここから退いては貰えませんか?巨人さん?」

「クハハハハ!!面白い事言ってくれる…部下を殺してなお…退いてくれと言うか!」

「あの…部下を殺した貴方に言われたくありませんが…」

「あ………まあ、退くつもりはない!」

開き直った巨人は突進して来て僕の腕を摘もうとして強化魔法をかけてそれに対抗した。

「流れ込め、竜の血脈!ドラゴニアケイン」

「ほう!竜人の怪力か!……面白い!どっちが強いか力比べしてみようじゃないか」

僕と巨人は互いに手を取り合って力比べが始まった…。

「くっ!なんだ…こいつの力!押されてる」

「くははは!その程か?俺はまだ本気を出してないぞ?」

悔しいが…力比べは僕の負けのようだ。

奴の腕力は強化した僕より数倍は強くて…その怪力に押されて体が傾いた。

「ククク!小僧…人間としては中々の力だ……だが!!」

押し倒された僕は巨大に膝蹴りを食らってから蹴り飛ばされで岩に激突した。

その衝撃で口から血が吹き出た。

「かはっ!!」

今日食べた物が全部戻されそうな感じと内臓を抉られたような痛みで立っていられなかった。

なんとか痛みに耐えて立ち直ったが既にその巨人は飛び込んで僕の目の前にいた。

そして、全身に猛攻撃を加えた。

その猛攻撃の衝撃で目の前が真っ白になって体も動かなかった。

「つ、強い…」

「所詮人間か…ちょっとは楽しませてくれると期待したのに…つまらんな…もう死ね!」

「ハルト様!だめぇぇぇ!」

「うわああん!ハルト様!」

巨人がトドメを刺そうとした時、ラシュトルニとレーイミが僕を庇った。

「ラプス族か…獣臭い!先に消えろ!」

巨人が二人を殺そうとした瞬間、後ろからヴィゼーが槍のような杖で巨人の背中を突いた。

カーン!

「くっ!なんて硬さなの?まるで鋼のような皮膚じゃない!」

「ほお!ダークエルフの女か…俺の好みだ!ククク」

いやらしく笑う巨人はヴィゼーに近寄った。

「ハルト様!」

「ああ…こんなに血塗れに…」

三人のお陰で何とか意識と体の感覚を取り戻した。

「だ、大丈夫……ありがとう、ラシュトルニ、レーイミ、ヴィゼーさん…」

それにラシュトルニとレイミを殺そうとした巨人にこころの底から怒りを感じた。

「待たせたな…続きをやろうか!」

「ガハハハ!アレを食らって立ち直るとは!面白い!!坊主、名はなんと言う?」

「志村晴人…」

「シムラハルトよ!我が名はバーグリサール!ギンヌンガガップの生まれし者の直系の巨人である!」

ギンヌンガガップの生まれし者?

それって原始の巨人ユミルの事?その子孫…?

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