異世界で僕…。

ゆうやま

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2章10話

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マムンティア大陸中央に移動してるビヒモスに向かって数百の飛竜部隊が飛んで来ていた。

「ばーーちゃん!なんか来てるよ?」

「レヴィ…お前ちょっと降りろ」

「いや~よ!また殴るつもりでしょ?」

その時…飛竜隊の先頭に紫色の髪に銀の鎧と青いドレスを着た女性がビヒモスの前を飛びながら呼びかけていた。

「お待ち下さい!ビヒモス様!」

「………………」

「ビヒモス様!お話があります!お願いします!」

その女性は無反応で前進しているビヒモスの上に降りて何故急に動き出したか調べ始めていた。

その時、人化したリヴァイアサンと出会った。

「あやや…勝手に乗ったらばーーちゃんに怒られるよ?」

「……誰だ」

その女性は剣を抜きリヴァイアサンに向けた。

「ふっ…相変わらず人間は物騒な生き物だな…」

もっとも物騒な生き物が彼女を哀れな目で見つめている。

「我が名はリンテルス、メディア!この国の聖女の役を任される者だ!」

聖女と名乗った彼女をリヴァイアサンはぼーと見てるだけだった。

「こっちが名乗ってからにはそっちも名乗れよ!」

「あやや…ごめんな人間の作法には疎くてね…」

「なに!人間ではないのか…」

それを聞いた聖女はリヴァイアサンを警戒して距離を取った。

「私はレヴィと言うんだー♪宜しく♪」

リヴァイアサンは軽いノリで名乗った。

「うむ…レヴィとやら…ここで何をしてる?」

「見てりゃ分かるやんけ?………ビッちゃんに乗って人探しの旅をしてるんよ?」

それを聞いた聖女は怒りリヴァイアサンに殺気を放った。

「やはり…ビヒモス様を刺激して動かしているのは貴様の仕業か!」

聖女は剣に魔力を込めて構えるといきなり剣を突き出されたリヴァイアサンはイライラして目元がビッグビッグと痙攣している。

「そろそろムカついて来たけど…」

「来い!何が目的か分からないが…貴様を倒したらビヒモス様も止まるはず!」

勘違いした聖女はリヴァイアサンに攻撃を仕掛けた。

「聖剣よ我が祈りに答えたまえ!」

眩しい白い剣光を放つその剣はとある神の使徒から下界に送られたと伝わる…その名は聖剣ズルフィカール…。

少し曲がった曲剣で刀のような形だった。

「あやや…それ神々のおもちゃじゃない?」

「き、き、貴様!!おもちゃって!不敬な!やはり貴様は邪悪な存在に違いない!!」

聖剣を侮辱された聖女はリヴァイアサンに斬りかかった。

「へぇ…人間の割にはいい動きだね…」

聖女は上段突き、上振り、下段切りから中段の突きの4連撃を2秒で繰り出した。

確かに人間離れした剣撃ではあるが余裕で避けているリヴァイアサンだった。

「今だ!ズルフィカール!」

聖女は姿消えてリヴァイアサンの背後に現れた。

カッキンカッキンカッキン!

瞬速の三連撃をリヴァイアサンに食らわせてから距離取った。

「あら?そのおもちゃの能力かな?」

近距離時空移動…それがズルフィカールの固有能力の一つだった。

「化け物め…この聖剣でも傷一つもつけられないとは…」

「あっ?はーあ?ば、化け物って私の事?こんな愛らしいのに?海のアイドルと言われてるあたしに?もう許さない!覚悟は出来てる?」

リヴァイアサンは化け物と言われてブチ切れた。

「私は聖女!敵わない相手の前にしても!引くわけには行かぬ!さあ!来い!」

その威風堂々の姿にリヴァイアサンは何か言いたがる表情をした。

(……ちゃうわ…それは聖女じゃなく…勇者のセリフや)

そして、聖女を援護に飛竜隊も攻撃を始めた。

魔力を込めた槍を投げる続けたがリヴァイアサンは軽く素手で全て薙ぎ払った。

聖女は攻撃を緩めずに斬りかかってうっとしくなったリヴァイアサンは怒りモード全開。

「ばーーちゃん!もう我慢の限界だよ!こいつら死なす!」

「待て待て!やめろ!」

バハムートは慌ててリヴァイアサンを止めようとしたが言う事を聞くはずがない。

「変身!じゃなくて…元の姿にほいっと!」

リヴァイアサンは猛烈に光が発生して元の水龍に戻り始めた。

「元の姿?ようやく化け物の本当の姿をあらわ………………」

聖女はビヒモスと同じ超危険生物のリヴァイアサンを見て口を開けたままずーっと上を見上げた。

(うほぉ……デカイし長い!いつまで続くの?その体…)


果てしなく伸び続けるリヴァイアサンの体は雲の上を突き抜けてもまだ伸び続けてどこまで伸びてるかわからない。

「墓穴掘った!!ああぁぁぁ!」

聖女はどんでもない化け物に喧嘩売った事に気付いた。

「レ、レ、レヴィヤターン!ビヒモスの説得に来たのにそれと同じレベルの化け物に遭遇するとは……神よ!残酷です!」

しかし…しばらくしてリヴァイアサンのその長くて太い体が痙攣しているようにブルブル震え始めて倒れて来る。

「い、いかん!押しつぶされる!全員退避ーー!」

聖女は飛竜を乗ってビヒモスの背中から全速で離脱した。

「お、おい!しっかりせんか!バカ!レヴィィィィィ!!!」

そして…倒れて来たリヴァイアサンの巨大が体がビヒモスの背中に激突した。

ビヒモスも流石にその巨大の衝撃に耐えきれずたっていられなくて腹部が地面に激突して大惨事となる。

地は揺れ…凄まじい衝撃波でその一帯の森や山や川が吹っ飛び何もかもが無くなった。

「はぁはぁはぁはぁ…ばーーちゃん!窒息死するかと思ったよ……」

その大きくて長い巨大は大気圏を突き抜いたようだ…。

「死ねば良かったのに!生きて残念だ!!このバカ!退きやがれ!重いんだよ」

「重いですって!失礼しちゃうわね!私のどこが重そに見えるのよ!」

「お前の体から存在自体…全部だ!」

ビヒモスは身体を起こしてリヴァイアサンを激しく踏みつけた。

「いや~ん!肩こりが…解れて行くぅぅ♪もっと~♪もっと~♪」

「この変態め!てめーに肩がある訳ねぇーだろ!頭身体尻尾しか無かろう!!!」

「腕も肩もあるよ…ほらー♪」

図体に比べて小さい腕とあるかないか分からない微妙な肩を見せた。

これ以上踏んでも無駄と悟ったビヒモスはそれをやめてリヴァイアサンも人型に戻った。

「ビヒモス様があの化け物を退治なさった!」

「おおおおおおおお!!!!」

身内のちょっとした喧嘩を聖女と聖堂騎士団の目にはその光景がビヒモスがリヴァイアサンを倒したように見えたようで喜んでいた。

それで聖女はまたビヒモスに近づき話しかけた。

「ビヒモス様!!お待ち下さい!」

「なんだお前は…?ああ…毎年私の周り彷徨きうっとしい事する聖女とやらか?」

「は、はい…ビヒモス様の為の祭事ですが……覚えて頂き光栄です」

これ以上付き纏われると面倒だと思ったバハムートはビヒモスから出て来て話に応じた。

「私に何の用だ?」

聖女はバハムートを見て驚いた。

「えっ?人の姿?そ、そのお姿は?それにビヒモス様の姿が抜け殻のように…」

バハムートが出たビヒモスは生物に見えないただの土と岩の塊のように見えた。

「一体…これは…」

「あっ?ビヒモスは私が作った義体だ…」

「はい?義体?」

理解に苦しんでいる聖女が戸惑っていたその時…何処かでナレーションが流れた。

[昔、昔、大昔…ビヒモスと言う凶暴ですんーごぉく巨体の亀のような魔物がいました…だが…それより数千倍大きい生き物が現れて…それをうっかり踏み潰してしまいました…]

「どこからの声だ?それになんの話しだ?」

「おい……他人の昔話しを…やめろ!」

聖女は太古のビヒモスの話に興味が湧いた顔で話を黙々と聞いていた。

[その巨大生物はある都合でその魔物の形にカモーフラジューして長い時が流れました…]

「ほう!その都合とは?」

[私はただのナレーション…質問は一切受け付けておりません]

「は、はい…続きをどうぞ」

[コホン!…どこまで言ったかしら?…あっそ!…人々や神々はそれを知らずにビヒモスが突然変異したと思い込み…今まで勘違いして来たおバカな話しですよ?ぷっぷーー!うける♪まぁ…後から神々は気付いたようですが……何が神の傑作ですか?笑わせてくれますね…キャルルルル♪」

「まさか…このノリがいい声は?先死んだはずの…レヴィヤターン!」

そのナレーションはリヴァイアサンの声だった…。

[失礼な人間やな!死んでないわ!せっかく親切に教えてあげたのに!やっぱこいつ死なす!]

聖女の余計な一言でムカついたリヴァイアサンはビヒモスから猛烈にダッシュして来た。

「レヴィ…巫山戯るのはやめろ、主様を探すのが一番大事だ」

「あ…そうでしたねー♪」

それを聞いたリヴァイアサンは何もなかったようにヘラっと笑いながらまたビヒモスの背中に乗った。

「えっ?…ビヒモス様…ひょっとしてレヴィヤータンとな、仲間でしたか?」

「あ?こんなのと仲間だと!貴様ぁあ!私を侮辱しているのか?」

「馬鹿じゃないのぉ?」

「し、失礼しました!お許しください!」

全く二匹の怪獣の関係かわからず更に判断を苦しむ聖女だった。

「んじゃ聖女よ…私達は行くぞ…」

「ビヒモス様!お、お待ち下さい!」

バハムートはビヒモスに乗り移ろうとした時、聖女に止められた。

「この先に帝都があります!お願いします!」

「そこを避けて行けばいいのか?」

「はい!」

「だが断る!」

「え?」

「我が主様が待っている!回り道する時間などない!」

バハムートは回り道をしたくないと頑なに断った。

「回り道する必要など御座いません!ちょっと一歩足を避けるだけですよ…そ、そこを何とか……」

「……う、うむ…そ、そうか、その程度なら…」

その簡単な事で切実にお願いする聖女にリヴァイアサンが笑いながら話した。

「ぷぷぷー!言い忘れましたが…私、見ちゃったのよ」

「はい?」

「ほらね!先の衝撃で貴方の帝都?それの…吹き飛ぶ有様を…うける♪」

「え?………て、帝都が?ああ…そんな…」

聖女は帝都が無くなったと聞き絶望した。

「は、早く行くぞ……レヴィ」

バハムートはちょっと気まずいような顔でこの場を離れようとした。

「はい!ばーーちゃん!」

「お前は歩いて来い!」 

「そんな薄情な!!!!」

ムカついたバハムートは乗車拒否をした。

「ちょっとお待ち下さい…」

「な、なんだ?まだなんかあるのか?」

「しつこいわね!」

聖女は人生終わったような暗い表情で2匹の害獣を止めた。

「私もついて行きます!」

「ん?……何故だ?」

「ストーカーなの?」

「いや…その主様…でしたっけ?その方に用があります!」

「ん?……どんな用事だ!」

「あ?アポを取って出直してくれる?」

聖女は血涙を流しながら力強く訴えた。

「弁償デッス!!!!!!!!!」

ハルトは顔も知らない…会った事も無い2匹の従属神獣のせいで莫大な借金を背負う事になった。

「………に、に、逃げるぞ!レヴィ!」

「ま、待って!」

「逃しマセーーーン!!」

聖女は飛竜を乗って二匹の怪獣を必死に付いていた。
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