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2章7話
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僕はラプス族の生活の改善と今後の自力で生き抜く事が出来るまでラプス族と一緒にいる事にした。
それでまず目先の食材集めると決めてラプス族二十人を連れて食材採取に出た。
道案内はラシュトルニとレーイミが立候補したが…ラシュトルニに任命された。
理由は族長の孫娘だからである。
「ハルト様!この辺りは魔物も多い危険地域ですが…薬草や木の実が多いですよ」
「へぇ…なら!収穫だぁ!取り尽くせ!」
「はい!!」
ラプス族が食材を取る間に僕は警護に当たり、ラシュトルニは耳を澄まして魔物の位置を的確に把握して僕に伝えた。
それで食材を採取してるラプス族に魔物が来る前に排除する事が出来た。
「ハルト様…2キロメートル先に何が近づいて来ます」
ラプス族の耳はは人の何十倍程も聴覚が優れている。
それにラシュトルニはラプス族の中でも別格に耳がいいと聞いた。
「魔物か?数は?」
「いいえ、魔物ではなさそうです、数は10人…足音が速すぎます!これは?」
「魔物じゃないなら人間じゃないの?」
「この軽い足音!間違いなくこの大陸に流れてきたとスヴァルトアールヴではないかと…」
「なにぃ!」
おお!来ました!希少種…ダークエルフ!
ドキドキする!早く会いたい!
スヴァルトアールヴ。
通称ダークエルフと呼ばれてる彼らは地下に住む、かなり希少な種族であり、元は神族だった。
森を住処にしている自然を司るリィヨースアールヴ…光のエルフと呼ばれる彼らとは相容れない関係らしく長年争いを続けていたとラシュトルニが説明してくれた。
「へぇ…亜人達には荷が重い相手だね」
「いいえ…彼等は亜人を敵視したりはしませんが…」
「しませんが?」
「彼らはマムンティア大陸の者ではありません…最近この大陸に来たらしく、その詳しい事情までは分からないと叔父さんが言ってました」
「そうか…」
亜人を敵視しないと聞いて少しホッとして少し警戒を緩めた。
そして、僕とラプス族の前に十人のダークエルフ達が現れた。
「私はスヴァルトの族長エムライだ!ここ一帯は我々の領域と伝えたはずだ…ラプス族よ!二度と無許可で足を踏み入れる事は許さん!ここから去れ!」
ダークエルフの族長は厳重に警告したがラシュトルニの言う通り彼らからは悪意も殺気も感じられなかった。
しかし、死活問題のラプス族を助けると決めたには…はいそうですか!っと引き退る訳にはいかないので僕はダークエルフの族長に抗議した。
「あの?すみませんが…貴方達よりずっと先にラプス族の皆さんはここに住んで居ましたよ?一方的に縄張りと決めるのは良くないと思いますが…」
あとから来て無許可で住み着いたダークエルフ達の警告には筋違いで納得出来ない。
「ん?人間の少年?…ラプス族よ!いつから人間と連むようになった?」
僕を見たダークエルフ達は急に敵対の目をして武器を取り構えた。
「待って下さい!この方は違います…ょ?人間のような…違うような…何でしたっけ?」
ラシュトルニーはどう説明すればいいか戸惑い僕に聞いてきた。
僕も僕がなんなのか知りたいね……。
このままではダークエルフ達と戦う事になるのは確実だ…それは避けたい。
仕方ないと思って大きくため息をした後…僕はでダークエルフ達の前に出た。
「レーーツ!!ぱー、う、ぷ、ぷーー」
しかし…またあの悲劇の技を使おとしたら僕の口をラシュトルニが塞ぎ止めた。
「お、お願いです!それはやめて下さい!!」
ラシュトルニーは下半身に追い回されたせいで下半身トラウマになったようだ……。
これは責任重大だね。
「信じて下さい!それに、この方は破壊の女神様のお使いです!」
それを聞いたダークエルフ達は急に騒ぎ出した。
「噂は本当だったか…」
破壊の女神の帰還と魔王と共にその使いがマムンティア大陸に来たと噂が広がってるとエムラい族長は言った。
意外と話しが通じる相手と見て魔王テスラと一緒マムンティア大陸に渡る最中にリヴァイアサンと遭遇してここに流されたとダークエルフ達に説明した。
「だが…信じ難いな…どう見てもだだの人間にしか見えない」
「嘘ではありません!」
ラシュトルニーの力強い言葉にエムライ族長も真実はどうあれ嘘を言ってると思えないと判断したようでダークエルフ達に武器を収めるように命令してくれた。
「ふむ…それが本当なら力で示せ!あの女神様のお使いならそれなりの実力はあるはずだろ?」
またのこの展開…予想はしたけど!
「どうすればいいてすか?」
「ヴィゼー!」
エムライ族長の後ろから一人のダークエルフが出て来た。
「……………」
薄く輝く金髪…やや黒肌…大人の魅力が漂うクールビューティの女性が現れた。
「この子は我々が誇る魔法使い、近接戦闘も中々の腕前だ!彼女に勝ったら認めてもいい」
「分かりました」
彼女はしばらく黙って僕を見つめてから口を割った。
「族長…無茶言ってくれるわね…多分私達が束にかかっても敵う相手ではないわよ?」
ヴィゼーは僕の事を見抜いるようできっと凄腕で間違いないようだ。
「怖気ついたかヴィゼーよ?」
「うふふ…もちろん怖いですが…でも楽しみだわ!」
それでも戦う気満々のヴィゼーは槍のような杖を振り回して構えだ。
ダークエルフの魔法…興味深い!
もう一度言うが…僕はカッコいいと思って派手な広範囲殲滅魔法と接近戦の対策で強化魔法しか覚えてない。
メテオストライクを一発ぶっ放して早く終わらせたいが…ラプス族とダークエルフ…そして僕の人生も終わりそうなのでやめた。
「行きます!闇の精霊よ、我が身に纏え!」
ヴイゼは闇の精霊と同調した。
同じ闇属性…どんな魔法を使って来るか興味深々と楽しみでワクワクして来た。
「影を止める闇の杭よ、ウンブラコンペジバス!」
影のような黒杭が僕の影の脚に刺さると足が動かなかった…
得意の近接戦が封じられ、ワクワクが一瞬で焦りに変わった。
「奮い立つ!鉄壁の守り、テトラへドロンイシス
足が動かず避けられなくなった僕は防御を強化してなんとか防げようとした。
「高位強化魔法を?なら!空間を切り取る闇の刃よ!ラティオーファルセム!追跡する影の矢敵を貫け ウンブラサジッタ!」
真っ赤なオーラを纏う黒影のような鎌と七本の矢が飛んで来て、その魔法は明らかに殺傷力が高いように見えた。
まじで殺す気かよ!ど、とうしよう…そうだ!
同じ属性だとダメージは半減する!なら強化魔法と闇属性の同時効果ならなんとか防げるはずだ。
焦った僕は急ぎ闇属性を発動した。
「や、闇の魔神さん!助けて!」
魔神が身に降りて猛烈な闇属性のオーラが発生した。
焦ったと言え…こんな呼び声にも同調出来た事にちょっと複雑な気分だ。
闇の魔神と同調すると影に刺さった杭が破壊されて、飛んで来た矢と鎌も全て弾かれた。
「詠唱無視して魔神同調まで…そんな!あり得ない!」
驚いたヴィゼーさらに魔力増幅してまた身構えた。
さすがダークエルフの戦士…まだ諦めてないようだ。
僕も少し本気を出そうとして身構えたが…パジャマの袖が切られたのを見つけた。
「ち、ちょっと待った!」
「はい?どうした?」
「ああ…僕のお気に入りのパジャマが!」
ウサギと猫の絵柄のパジャマ…これはナーズラ村で寝巻きが欲しくて自分で作った。
これを見た双子も可愛いから作って貰いたいと言われたぐらい僕の傑作だ。
これ以上パジャマを損傷させたくない僕はそれを脱いで綺麗に畳んでラシュトルニにわたした。
そして…トランクス一丁の姿になった。
ラシュトルニとヴィゼーは僕の姿を見て目を隠した。
だが…目の部分だけ指の隙間が大きい。
(プニプニです…可愛い)
(………コックリ)
隠す意味あるのか問いたいが我慢して戦いに集中した。
あやふやに終わらせたら今後もラプス族とダークエルフ達は揉める事になると思った。
それで僕はダークエルフ達が納得するほどの力を行使する必要があると判断した。
さて…あまりやりたくないが…反撃開始だ。
「避けないと死にますよ!流れ込め、龍の血脈…ドラゴニアケイン」
拳程の石を拾いヴィゼーに向けて全力投球した。
かーーーーん!!
投げられた方向は地面が大きく抉り取られて石が当たった山には見事なトンネルが出来た。
バルちゃんのようには出来なかったが…まあまあ上出来である。
「族長…私は降参します、交代して下さい」
「いやだ…俺も死にとうない!」
「……」
力の差を知ってヴィーゼは降参、ダークエルフ達も僕を破壊の女神の使いとして認めて全員土下座した。
「今までの無礼をお許しください」
しかし…何故かラシュトルニ以外ラプス達も土下座している。
うん、今まで完全に信用してなかったんだ…ちょっと傷付くな…。
そして、ダークエルフの族長に事情を聞いた。
「皆さんはどうしてここに来ました?別の大陸で住んでいたと聞きましたが…」
ダークエルフの族長は悲しそうな表情で語り始めた。
「私達はレガリア大陸から来ました…訳があって里を捨てこの大陸に……」
族長の話しによるとリィヨース族と長年争いで数が減りすぎて双方…スヴァールトとリィヨースは絶滅の危機に落ちた。
それでスヴァールトとリィヨースは休戦する事に同意した。
その後…彼らは国々の争いに巻き込まれない為どの国にも属さない未開拓地の地下で隠れて里を作り住んでいたと言った。
「だが…天災が起きたんです…深い地下に住んでいたお陰で全員無事でしたが、里は崩壊瞬前、地上一帯は死の地に変わって…住める環境では無くなったので他の住処を探す事になりました」
「へぇ…それは大変でしたね…」
自然の力ってこの世界でもみんな抗えないね…。
「食料も尽きて絶望した時…やっとここに辿り着きました…でも、この大陸は今どこも食料不足で…」
「なるほど」
同じく死活問題のダークエルフ達を同情したが…ラプス族は力が無さ過ぎる。
それで優先して貰いたいと思った。
「知ってると思いますがラプス族はこのままだと餓え死になり状態です、今すぐとは言えませんが…ダークエルフ達は別の場所を探して貰いたいですが…」
「そうですか…出来るだけここを去るようにします…しかし、とこも人間達の住処に近くて…また長い旅になりそうですな…」
ダークエルフの族長は肩を落としていたが辛そうにしたが素直に受け入れてくれた…。
ちょっと気の毒で後味が悪い感じだが…仕方ない。
「はぁ…あの忌々しい星振りが無かったら…あはは…天災に文句を言っても虚しいだけですね」
…………………ンー?
星振りの話しになにか引っかかるな…ちょっと待てよ……
レガリア大陸?無統治区域?
あっ!あれか!フィリア姉さんの護衛の時の…あの自爆魔法か!
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!
これで…僕は自分のせいで住処を失ったダークエルフ達を知らないフリする事が出来なくなった。
それで悩んでいた僕はある提案をした。
「あの?ラプス族さんと一緒共存しませんが?」
「ラプス族と…ですか?」
ダークエルフの族長は気がのらないようだ。
確かに戦闘能力が高い彼らにとってラプス族は足手纏いでお荷物になるだけだ…。
だが!
「彼らはこの地に詳しいです、協力すれば食料確保が捗ると思いますよ?それにダークエルフさんは人数が少ないでしょう?」
「私達は全員百九人で狩や一人で動ける者は三十人程ですね…」
「ラプス族は総数412人、彼らは食料採取してその護衛にダークエルフさんが協力すれば沢山食料を確保できると思いますがいかがでしょう?それに僕も出来るだけ協力したいと思ってます!」
「そうですね、今現状…私もそれが一番いいと思います」
僕はダークエルフとラプス族の協力関係を結ぶようにした。
そして…二人の族長は話し合い食料調達のルートと危険な魔物の位置を共有して、必要な食料と資材に関して話し合い、協力関係が成立した。
これで、ラプスさんやダークエルフさんも食料問題は何とかなるだろう。
……はぁ、今後から魔法は気をつけて使おう…。
ダークエルフの族長エムライさんから尊敬の眼差しで感謝された。
僕は後ろめたい気持ちで顔を逸らしたくなったが…頑張って耐えた。
それでまず目先の食材集めると決めてラプス族二十人を連れて食材採取に出た。
道案内はラシュトルニとレーイミが立候補したが…ラシュトルニに任命された。
理由は族長の孫娘だからである。
「ハルト様!この辺りは魔物も多い危険地域ですが…薬草や木の実が多いですよ」
「へぇ…なら!収穫だぁ!取り尽くせ!」
「はい!!」
ラプス族が食材を取る間に僕は警護に当たり、ラシュトルニは耳を澄まして魔物の位置を的確に把握して僕に伝えた。
それで食材を採取してるラプス族に魔物が来る前に排除する事が出来た。
「ハルト様…2キロメートル先に何が近づいて来ます」
ラプス族の耳はは人の何十倍程も聴覚が優れている。
それにラシュトルニはラプス族の中でも別格に耳がいいと聞いた。
「魔物か?数は?」
「いいえ、魔物ではなさそうです、数は10人…足音が速すぎます!これは?」
「魔物じゃないなら人間じゃないの?」
「この軽い足音!間違いなくこの大陸に流れてきたとスヴァルトアールヴではないかと…」
「なにぃ!」
おお!来ました!希少種…ダークエルフ!
ドキドキする!早く会いたい!
スヴァルトアールヴ。
通称ダークエルフと呼ばれてる彼らは地下に住む、かなり希少な種族であり、元は神族だった。
森を住処にしている自然を司るリィヨースアールヴ…光のエルフと呼ばれる彼らとは相容れない関係らしく長年争いを続けていたとラシュトルニが説明してくれた。
「へぇ…亜人達には荷が重い相手だね」
「いいえ…彼等は亜人を敵視したりはしませんが…」
「しませんが?」
「彼らはマムンティア大陸の者ではありません…最近この大陸に来たらしく、その詳しい事情までは分からないと叔父さんが言ってました」
「そうか…」
亜人を敵視しないと聞いて少しホッとして少し警戒を緩めた。
そして、僕とラプス族の前に十人のダークエルフ達が現れた。
「私はスヴァルトの族長エムライだ!ここ一帯は我々の領域と伝えたはずだ…ラプス族よ!二度と無許可で足を踏み入れる事は許さん!ここから去れ!」
ダークエルフの族長は厳重に警告したがラシュトルニの言う通り彼らからは悪意も殺気も感じられなかった。
しかし、死活問題のラプス族を助けると決めたには…はいそうですか!っと引き退る訳にはいかないので僕はダークエルフの族長に抗議した。
「あの?すみませんが…貴方達よりずっと先にラプス族の皆さんはここに住んで居ましたよ?一方的に縄張りと決めるのは良くないと思いますが…」
あとから来て無許可で住み着いたダークエルフ達の警告には筋違いで納得出来ない。
「ん?人間の少年?…ラプス族よ!いつから人間と連むようになった?」
僕を見たダークエルフ達は急に敵対の目をして武器を取り構えた。
「待って下さい!この方は違います…ょ?人間のような…違うような…何でしたっけ?」
ラシュトルニーはどう説明すればいいか戸惑い僕に聞いてきた。
僕も僕がなんなのか知りたいね……。
このままではダークエルフ達と戦う事になるのは確実だ…それは避けたい。
仕方ないと思って大きくため息をした後…僕はでダークエルフ達の前に出た。
「レーーツ!!ぱー、う、ぷ、ぷーー」
しかし…またあの悲劇の技を使おとしたら僕の口をラシュトルニが塞ぎ止めた。
「お、お願いです!それはやめて下さい!!」
ラシュトルニーは下半身に追い回されたせいで下半身トラウマになったようだ……。
これは責任重大だね。
「信じて下さい!それに、この方は破壊の女神様のお使いです!」
それを聞いたダークエルフ達は急に騒ぎ出した。
「噂は本当だったか…」
破壊の女神の帰還と魔王と共にその使いがマムンティア大陸に来たと噂が広がってるとエムラい族長は言った。
意外と話しが通じる相手と見て魔王テスラと一緒マムンティア大陸に渡る最中にリヴァイアサンと遭遇してここに流されたとダークエルフ達に説明した。
「だが…信じ難いな…どう見てもだだの人間にしか見えない」
「嘘ではありません!」
ラシュトルニーの力強い言葉にエムライ族長も真実はどうあれ嘘を言ってると思えないと判断したようでダークエルフ達に武器を収めるように命令してくれた。
「ふむ…それが本当なら力で示せ!あの女神様のお使いならそれなりの実力はあるはずだろ?」
またのこの展開…予想はしたけど!
「どうすればいいてすか?」
「ヴィゼー!」
エムライ族長の後ろから一人のダークエルフが出て来た。
「……………」
薄く輝く金髪…やや黒肌…大人の魅力が漂うクールビューティの女性が現れた。
「この子は我々が誇る魔法使い、近接戦闘も中々の腕前だ!彼女に勝ったら認めてもいい」
「分かりました」
彼女はしばらく黙って僕を見つめてから口を割った。
「族長…無茶言ってくれるわね…多分私達が束にかかっても敵う相手ではないわよ?」
ヴィゼーは僕の事を見抜いるようできっと凄腕で間違いないようだ。
「怖気ついたかヴィゼーよ?」
「うふふ…もちろん怖いですが…でも楽しみだわ!」
それでも戦う気満々のヴィゼーは槍のような杖を振り回して構えだ。
ダークエルフの魔法…興味深い!
もう一度言うが…僕はカッコいいと思って派手な広範囲殲滅魔法と接近戦の対策で強化魔法しか覚えてない。
メテオストライクを一発ぶっ放して早く終わらせたいが…ラプス族とダークエルフ…そして僕の人生も終わりそうなのでやめた。
「行きます!闇の精霊よ、我が身に纏え!」
ヴイゼは闇の精霊と同調した。
同じ闇属性…どんな魔法を使って来るか興味深々と楽しみでワクワクして来た。
「影を止める闇の杭よ、ウンブラコンペジバス!」
影のような黒杭が僕の影の脚に刺さると足が動かなかった…
得意の近接戦が封じられ、ワクワクが一瞬で焦りに変わった。
「奮い立つ!鉄壁の守り、テトラへドロンイシス
足が動かず避けられなくなった僕は防御を強化してなんとか防げようとした。
「高位強化魔法を?なら!空間を切り取る闇の刃よ!ラティオーファルセム!追跡する影の矢敵を貫け ウンブラサジッタ!」
真っ赤なオーラを纏う黒影のような鎌と七本の矢が飛んで来て、その魔法は明らかに殺傷力が高いように見えた。
まじで殺す気かよ!ど、とうしよう…そうだ!
同じ属性だとダメージは半減する!なら強化魔法と闇属性の同時効果ならなんとか防げるはずだ。
焦った僕は急ぎ闇属性を発動した。
「や、闇の魔神さん!助けて!」
魔神が身に降りて猛烈な闇属性のオーラが発生した。
焦ったと言え…こんな呼び声にも同調出来た事にちょっと複雑な気分だ。
闇の魔神と同調すると影に刺さった杭が破壊されて、飛んで来た矢と鎌も全て弾かれた。
「詠唱無視して魔神同調まで…そんな!あり得ない!」
驚いたヴィゼーさらに魔力増幅してまた身構えた。
さすがダークエルフの戦士…まだ諦めてないようだ。
僕も少し本気を出そうとして身構えたが…パジャマの袖が切られたのを見つけた。
「ち、ちょっと待った!」
「はい?どうした?」
「ああ…僕のお気に入りのパジャマが!」
ウサギと猫の絵柄のパジャマ…これはナーズラ村で寝巻きが欲しくて自分で作った。
これを見た双子も可愛いから作って貰いたいと言われたぐらい僕の傑作だ。
これ以上パジャマを損傷させたくない僕はそれを脱いで綺麗に畳んでラシュトルニにわたした。
そして…トランクス一丁の姿になった。
ラシュトルニとヴィゼーは僕の姿を見て目を隠した。
だが…目の部分だけ指の隙間が大きい。
(プニプニです…可愛い)
(………コックリ)
隠す意味あるのか問いたいが我慢して戦いに集中した。
あやふやに終わらせたら今後もラプス族とダークエルフ達は揉める事になると思った。
それで僕はダークエルフ達が納得するほどの力を行使する必要があると判断した。
さて…あまりやりたくないが…反撃開始だ。
「避けないと死にますよ!流れ込め、龍の血脈…ドラゴニアケイン」
拳程の石を拾いヴィゼーに向けて全力投球した。
かーーーーん!!
投げられた方向は地面が大きく抉り取られて石が当たった山には見事なトンネルが出来た。
バルちゃんのようには出来なかったが…まあまあ上出来である。
「族長…私は降参します、交代して下さい」
「いやだ…俺も死にとうない!」
「……」
力の差を知ってヴィーゼは降参、ダークエルフ達も僕を破壊の女神の使いとして認めて全員土下座した。
「今までの無礼をお許しください」
しかし…何故かラシュトルニ以外ラプス達も土下座している。
うん、今まで完全に信用してなかったんだ…ちょっと傷付くな…。
そして、ダークエルフの族長に事情を聞いた。
「皆さんはどうしてここに来ました?別の大陸で住んでいたと聞きましたが…」
ダークエルフの族長は悲しそうな表情で語り始めた。
「私達はレガリア大陸から来ました…訳があって里を捨てこの大陸に……」
族長の話しによるとリィヨース族と長年争いで数が減りすぎて双方…スヴァールトとリィヨースは絶滅の危機に落ちた。
それでスヴァールトとリィヨースは休戦する事に同意した。
その後…彼らは国々の争いに巻き込まれない為どの国にも属さない未開拓地の地下で隠れて里を作り住んでいたと言った。
「だが…天災が起きたんです…深い地下に住んでいたお陰で全員無事でしたが、里は崩壊瞬前、地上一帯は死の地に変わって…住める環境では無くなったので他の住処を探す事になりました」
「へぇ…それは大変でしたね…」
自然の力ってこの世界でもみんな抗えないね…。
「食料も尽きて絶望した時…やっとここに辿り着きました…でも、この大陸は今どこも食料不足で…」
「なるほど」
同じく死活問題のダークエルフ達を同情したが…ラプス族は力が無さ過ぎる。
それで優先して貰いたいと思った。
「知ってると思いますがラプス族はこのままだと餓え死になり状態です、今すぐとは言えませんが…ダークエルフ達は別の場所を探して貰いたいですが…」
「そうですか…出来るだけここを去るようにします…しかし、とこも人間達の住処に近くて…また長い旅になりそうですな…」
ダークエルフの族長は肩を落としていたが辛そうにしたが素直に受け入れてくれた…。
ちょっと気の毒で後味が悪い感じだが…仕方ない。
「はぁ…あの忌々しい星振りが無かったら…あはは…天災に文句を言っても虚しいだけですね」
…………………ンー?
星振りの話しになにか引っかかるな…ちょっと待てよ……
レガリア大陸?無統治区域?
あっ!あれか!フィリア姉さんの護衛の時の…あの自爆魔法か!
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!
これで…僕は自分のせいで住処を失ったダークエルフ達を知らないフリする事が出来なくなった。
それで悩んでいた僕はある提案をした。
「あの?ラプス族さんと一緒共存しませんが?」
「ラプス族と…ですか?」
ダークエルフの族長は気がのらないようだ。
確かに戦闘能力が高い彼らにとってラプス族は足手纏いでお荷物になるだけだ…。
だが!
「彼らはこの地に詳しいです、協力すれば食料確保が捗ると思いますよ?それにダークエルフさんは人数が少ないでしょう?」
「私達は全員百九人で狩や一人で動ける者は三十人程ですね…」
「ラプス族は総数412人、彼らは食料採取してその護衛にダークエルフさんが協力すれば沢山食料を確保できると思いますがいかがでしょう?それに僕も出来るだけ協力したいと思ってます!」
「そうですね、今現状…私もそれが一番いいと思います」
僕はダークエルフとラプス族の協力関係を結ぶようにした。
そして…二人の族長は話し合い食料調達のルートと危険な魔物の位置を共有して、必要な食料と資材に関して話し合い、協力関係が成立した。
これで、ラプスさんやダークエルフさんも食料問題は何とかなるだろう。
……はぁ、今後から魔法は気をつけて使おう…。
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