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2章6話
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ラシュトルニとレーイミが族長に事情を説明すると族長は丁重に謝って家に招待してくれた。
族長の家と言っても、他と変わらずボロボロでラシュトルニは族長と僕に飲み物を持って来た。
出されたお茶は…お茶だと思ったが只の水だった。
彼女は族長の孫娘で両親は奴隷にされた仲間を助けに行って人間と戦いになって亡くなったと聞いた。
この状況…生活…いや、生存に苦労してるとすぐ気付いた。
「申し訳ありません、シムラハルト様…同胞の非礼をお許しください…」
「気にしないでください…あと、持って来たトロイントは里の皆んなに分け渡して欲しいです」
「おお!ありがとうございます…最早食料も全て尽きて飢え死にすると絶望していた所でして…ありがとうございます」
飢え死からラプス族を救った…だが、あまり嬉しくなかった。
トロイントを食べ尽くした後…また同じ状況になるからだ。
非力なラプス族は狩もロクに出来ない…。
この状況を何とかしないとウサミミ達は絶滅だ。
それたけはだめだ!
「あの?魔王様に助けを求めたらどうですか?」
「ここから魔都まで、歩いて半年ほどかかります…何回か若い子を魔都に援助を求めて使いを出したが、未だに戻らず…多分魔物か人族に捕まって…」
ああ…僕…えらい遠い場所に流されたね。
皆んなの所にいつ戻れるか心配になった。
「それに…この一帯は人間の国の領土を渡らないといけないので…魔王国からの支援は難しいです」
「そうですか……」
仮に…僕げ彼らを魔王国まで連れて行ったとしても…彼らが安心して暮らせるとも限らない。
魔王国はまだパワー思考が強く弱いラプス族が迫害を受ける可能性がある。
一刻も早く双子のところに戻りたいがラプス族をこのまま放って置く訳にはいかない…。
仕方ない、イリヤ、リリヤ…ごめん!
僕はこの深刻な状況を解決してから戻ると決心した。
そして族長と解決策を議論した。
畑を耕し農作物を育てるとしても時間がかかり過ぎるし危険な賭けだ…。
今の現状で失敗したら飢え死は決定だ。
それにこの一帯は作物を育てるには土地が適してない…石だらけで土が硬すぎる…。
なので農業は保留した。
魔物を一掃して食料採取が出来るようにしようかと思ったが魔物が居なくなれば人の侵入が心配になる。
解決策が中々思いつかなくてまず体を動かす事にした。
むむ…仕方ない…目先の事を解決しよ!
ため息したくなるこの状況を解決するためにまず僕は護衛としてラプス族と食材採取に出る事にした。
その為にしばらくラプス族の里の滞在する事になった。
.
.
.
.
捜査の編成の為、魔都に帰還したテスラと双子は魔王城に入城した。
長旅と様々な壮大な経験をしたテスラは玉座に座ると力が抜けてしまった。
(ああ……内乱、暗殺、暴動など様々な経験をしたが…今回は身心にこたえたわ)
だが…ハルトの捜査に出ないと国が危うい現実に歯をくいしばり耐えた。
「遠征兵を再編してハルト殿の捜査に当たれ!」
魔王が王命を下して各士官は編成を始めた。
その時…テスらの後ろから誰か現れた。
「なぁなぁ?魔王ー」
(ああ…来ましたか)
玉座の後ろから現れたのはバルトゥールだった。
(ああ…ハルト殿…早くお戻り下さい)
バルトゥールを抑えてくれる唯一の存在の不在で不安で震えている魔王テスラである。
バルトゥールはテスラの後ろでニヤニヤしていた。
「妹様…何でしょう?」
「それがな…いい所見つけたからそこ寄こせ」
「……えっ?」
テスラは耳を疑がって問い直した。
「何を…お求めに?」
「だから!ここからちょっと離れの場所にこの国で一番デッカイ山があるじゃん?そこ辺を寄越しな」
「巨山?…………そ、そこは!申し訳御座いませんが…そこはタグマイと言う領主の領土なので無理です」
「つまり…いやだって事?」
「いやいや!そんな事では…ただ領土の領土を没収する事は出来ないです…そうすると必ず彼は内乱を起こすはずです」
そこは魔王国の国境に近い場所でタグマイの領土だったのでテスラは断るしかなかった。
テスラもタグマイの野心に気づいているので彼を警戒していた。
「この白髪の婆…めちゃくちゃだね…」
「頼みことに程がありますよ?もうアレになりました?せん妄…可哀想に…」
捜索準備を終わらせて魔王を報告しに来た双子がそれを聞いて呆れた表情をしていた。
「糞虫、毒虫…お前らな!くっそ!お兄ちゃんとの約束さえ無ければ…」
バルトゥールはハルトに双子を怪我させたら縁を切ると杭を打たれて手出し出来なくなっている。
「妹様!落ち着いて下さい!直轄地ならいくらでも…」
それを知らないテスラは双子が怪我でもしたら国の威信ところがハルトに合わす顔が無くなると思い流血事態たけは避けたい思いで直轄地を差出そうとした。
「ふん!あそこ以外は要らない」
「そうですか…残念です」
バルトゥールが諦めてくれたと思ったテスラは安心したように大きく息を吐いた。
「だからあそこは貰うわ…許可なんか要らんし一応言ってみたたげだ」
「え?」
バルトゥールははなから諦めるつもりは無かった。
「なあ…糞虫、毒虫…お前らもお兄ちゃんが可哀想と思わない?」
「どう言う事よ?可哀想って?」
「何が可哀想なんですか?意味が分かりません!」
ハルトの事を持ち出すと双子は食い付いて来た。
「あのな?話し聞いてたけどよ…お兄ちゃんは今まで狭いくて声が筒抜けの宿で暮らしていたでしょ?」
「そうね」
「あ?それがどうしましたんですか?宿生活は冒険者には当たり前の事ですが!」
「無神経なやつだぜ…年頃のお兄ちゃんが可哀想だ…きっと溜まってるだろうな」
「ん?何がだ」
「……」
「…ゴホン」
イリヤは意味が分からずキョトンとしてリリヤとテスラは顔を赤くして黙り込んだ。
「まあ…寝処はいいとしてイビルゲートも無くなったその村にお兄ちゃんが戻る訳ないだろ?」
「そうだな…ギルドも解散して別の所に移転するだろうね」
「でもイビルゲートは沢山あります!」
「そうだ!そうだ!」
双子はまた別の所に行けば良いと思っていた。
「はぁ…お前らな…あちそち転々と住所不確定な流れ者…他の冒険者はどうでもいいけど私は兄ちゃんがそうなって欲しくないわね」
「そ、それは!」
「くっ!悔しいが言い返す言葉がありません!」
双子もそれは同じ気持ちだった。
「それにあの性格のお兄ちゃんだ…このままだとどうなると思う?」
「ごめん…酷い事言って悪かった!」
「ハルトさんなら…一生かけて全世界を隅々廻るでしょうね…」
双子はハルトが一生流浪する事を思うと心配でたまらなくなった。
「それでね…お兄ちゃんがちゃんと帰る場所を作ってあげたいと思った訳よ」
双子はショックで座り込んでしまう。
「そ、そんな!それは思いつかなかった!」
「帰れる場所!暖かいお家…完、完敗です」
馬鹿にしてたバルトゥールに完膚無きまで負かされた気がした双子はしょんぼりして肩を落とした。
その時、魔王に謁見の要請が入った。
「魔王様、タグマイ様の使いで獣人将グラトニが謁見を求めて参りました」
「タグマイの猟犬グラトニか…何事だ?」
「よう!魔王様よ!久しいな」
獣人の虎族で筋肉ムキムキに顔に二つの大きい切り傷がある猛将の風格の彼は近衛をなぎ払い勝手に謁見の間に入った。
「グラトニか…謁見を承知した覚えはないぞ?」
「固い事言うなよ…それにアンタには用はない」
魔王に対して目に余る態度で不敬罪で処罰も出来たはずだが…テスラは大領主タグマイの使いを罰する事が出来ない。
タグマイに反乱の名分を与える事になるからであった。
「それより…女神様の使いってどいつよ?タグマイ様の命令で拝めに来たぜ!早く出せよ、あははははは!!」
「グラトニ!ぶ、無礼であろう!自国を滅すつもりか!口を慎め!」
「はっ?何馬鹿な事言ってる?」
「奴を捉えろ!」
「は?魔王…正気か?俺に何かあったらただで済まんぞ?」
国が滅ぶより反乱の方がマシだと思ったテスラは玉座から立ち上がりグラトニを捉えて罰せようとした。
「なぁなぁ…魔王ー私に任せて」
「えっ?は、はい…」
それをバルトゥールが無邪気な笑顔で止めてグラトニの前に出た。
「其方…わたくしがその使いで御座います」
「はっ?」
「ご用件を伺いましょう!まず祈りを捧げたいならまず渡す物があるでしょう?さあ…多ければ多いほど私…いや神も喜ぶでしょう!」
バルトゥールは聖女のように振る舞いながら…金銭を要求し、グラトニは幼女にバカにされたと思い不愉快になった。
「こんな幼女が神の使い?あははははは…笑わせてくれるじゃないか…ふざけってんのかぁぁぁ!!」
怒り狂ったようにグラトニは拳を握って大理石で出来る太くて固い柱を素手一撃で叩き割った。
(噂通り、凄まじい力だ…)
それを見たテスラはその腕力に少し感心した。
「オホホホ!ニャンコ風情が戯れて来るとは…笑わせてくれるじゃないか?…ふざけってんのか!コォラァーー!」
怒り狂ったバルトゥールはその小さくて丸い拳を一振りで大理石で出来た太くて固い数百本の柱と鉄筋、鉄骨で作られた頑丈な魔王城を半壊させた。
それを見たテスラはその腕力に大変驚いた。
(もう…なんと言えばいいか分からない怪力!)
グラトニは破壊された魔王城を見て固まってしばらく動けなかった。
「…こ、こいつは…何者だ…」
「グラトニ貴様!なんと許し難い無礼を!この方は神様だぞ!(邪…を抜いたが…)」
「はっ?か、神だと?」
「神を冒涜するとは!(邪…を付ける訳にはいかんからな…)それはタグマイの意思が!!」
テスラは目先の火を消す為タグマイに全ての罪を押し付けた。
「あのクソじじい!神相手とは聞いてないぞ!神相手にどうしろって?俺、どんだけ過大評価されてるのぉ?」
「グラトニ!今すぐ詫びろ!」
「其方?覚悟は出来てますか?出来てますよね?出来て無いと困るよ!ウヘヘへへ」
バルトゥールは聖女から悪女に変わった。
「いや…ちょ、あの…く、くるなぁぁ!!」
バルトゥールは逃げようとしたグラトニを押し倒して全ての毛をを毟り取った…。
爪や牙を根本まで抜き取り、オマケに全ての関節をある得ない方向に曲げた。
「うわーあーなりたく無いわ…ゴホン!王と神に不敬を働いたグラトニを投獄させろ!」
グラトニはテスラの命によって地下監獄に連行された。
タグマイの反乱よりバルトゥールの怒りによって国が滅ぶ事を避けたテスラであった。
「ちっ!…つまんない!遊びにもならん…」
「一人廃人にさせて遊びにもならないって」
「あ?なんか言った?」
「いいえ!なんでもありません!」
双子も毛一つもないあられもないグラトニの全裸の姿に目をそらした。
「なぁなぁ…魔王ータグマイってやつにオトシマエつけろ、イヒヒ~」
無礼を働いたお詫びにその領土を渡せっと言ってるようだ。
(もう…どうにもなれよ…ああ…魔王引退しよかな?)
族長の家と言っても、他と変わらずボロボロでラシュトルニは族長と僕に飲み物を持って来た。
出されたお茶は…お茶だと思ったが只の水だった。
彼女は族長の孫娘で両親は奴隷にされた仲間を助けに行って人間と戦いになって亡くなったと聞いた。
この状況…生活…いや、生存に苦労してるとすぐ気付いた。
「申し訳ありません、シムラハルト様…同胞の非礼をお許しください…」
「気にしないでください…あと、持って来たトロイントは里の皆んなに分け渡して欲しいです」
「おお!ありがとうございます…最早食料も全て尽きて飢え死にすると絶望していた所でして…ありがとうございます」
飢え死からラプス族を救った…だが、あまり嬉しくなかった。
トロイントを食べ尽くした後…また同じ状況になるからだ。
非力なラプス族は狩もロクに出来ない…。
この状況を何とかしないとウサミミ達は絶滅だ。
それたけはだめだ!
「あの?魔王様に助けを求めたらどうですか?」
「ここから魔都まで、歩いて半年ほどかかります…何回か若い子を魔都に援助を求めて使いを出したが、未だに戻らず…多分魔物か人族に捕まって…」
ああ…僕…えらい遠い場所に流されたね。
皆んなの所にいつ戻れるか心配になった。
「それに…この一帯は人間の国の領土を渡らないといけないので…魔王国からの支援は難しいです」
「そうですか……」
仮に…僕げ彼らを魔王国まで連れて行ったとしても…彼らが安心して暮らせるとも限らない。
魔王国はまだパワー思考が強く弱いラプス族が迫害を受ける可能性がある。
一刻も早く双子のところに戻りたいがラプス族をこのまま放って置く訳にはいかない…。
仕方ない、イリヤ、リリヤ…ごめん!
僕はこの深刻な状況を解決してから戻ると決心した。
そして族長と解決策を議論した。
畑を耕し農作物を育てるとしても時間がかかり過ぎるし危険な賭けだ…。
今の現状で失敗したら飢え死は決定だ。
それにこの一帯は作物を育てるには土地が適してない…石だらけで土が硬すぎる…。
なので農業は保留した。
魔物を一掃して食料採取が出来るようにしようかと思ったが魔物が居なくなれば人の侵入が心配になる。
解決策が中々思いつかなくてまず体を動かす事にした。
むむ…仕方ない…目先の事を解決しよ!
ため息したくなるこの状況を解決するためにまず僕は護衛としてラプス族と食材採取に出る事にした。
その為にしばらくラプス族の里の滞在する事になった。
.
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捜査の編成の為、魔都に帰還したテスラと双子は魔王城に入城した。
長旅と様々な壮大な経験をしたテスラは玉座に座ると力が抜けてしまった。
(ああ……内乱、暗殺、暴動など様々な経験をしたが…今回は身心にこたえたわ)
だが…ハルトの捜査に出ないと国が危うい現実に歯をくいしばり耐えた。
「遠征兵を再編してハルト殿の捜査に当たれ!」
魔王が王命を下して各士官は編成を始めた。
その時…テスらの後ろから誰か現れた。
「なぁなぁ?魔王ー」
(ああ…来ましたか)
玉座の後ろから現れたのはバルトゥールだった。
(ああ…ハルト殿…早くお戻り下さい)
バルトゥールを抑えてくれる唯一の存在の不在で不安で震えている魔王テスラである。
バルトゥールはテスラの後ろでニヤニヤしていた。
「妹様…何でしょう?」
「それがな…いい所見つけたからそこ寄こせ」
「……えっ?」
テスラは耳を疑がって問い直した。
「何を…お求めに?」
「だから!ここからちょっと離れの場所にこの国で一番デッカイ山があるじゃん?そこ辺を寄越しな」
「巨山?…………そ、そこは!申し訳御座いませんが…そこはタグマイと言う領主の領土なので無理です」
「つまり…いやだって事?」
「いやいや!そんな事では…ただ領土の領土を没収する事は出来ないです…そうすると必ず彼は内乱を起こすはずです」
そこは魔王国の国境に近い場所でタグマイの領土だったのでテスラは断るしかなかった。
テスラもタグマイの野心に気づいているので彼を警戒していた。
「この白髪の婆…めちゃくちゃだね…」
「頼みことに程がありますよ?もうアレになりました?せん妄…可哀想に…」
捜索準備を終わらせて魔王を報告しに来た双子がそれを聞いて呆れた表情をしていた。
「糞虫、毒虫…お前らな!くっそ!お兄ちゃんとの約束さえ無ければ…」
バルトゥールはハルトに双子を怪我させたら縁を切ると杭を打たれて手出し出来なくなっている。
「妹様!落ち着いて下さい!直轄地ならいくらでも…」
それを知らないテスラは双子が怪我でもしたら国の威信ところがハルトに合わす顔が無くなると思い流血事態たけは避けたい思いで直轄地を差出そうとした。
「ふん!あそこ以外は要らない」
「そうですか…残念です」
バルトゥールが諦めてくれたと思ったテスラは安心したように大きく息を吐いた。
「だからあそこは貰うわ…許可なんか要らんし一応言ってみたたげだ」
「え?」
バルトゥールははなから諦めるつもりは無かった。
「なあ…糞虫、毒虫…お前らもお兄ちゃんが可哀想と思わない?」
「どう言う事よ?可哀想って?」
「何が可哀想なんですか?意味が分かりません!」
ハルトの事を持ち出すと双子は食い付いて来た。
「あのな?話し聞いてたけどよ…お兄ちゃんは今まで狭いくて声が筒抜けの宿で暮らしていたでしょ?」
「そうね」
「あ?それがどうしましたんですか?宿生活は冒険者には当たり前の事ですが!」
「無神経なやつだぜ…年頃のお兄ちゃんが可哀想だ…きっと溜まってるだろうな」
「ん?何がだ」
「……」
「…ゴホン」
イリヤは意味が分からずキョトンとしてリリヤとテスラは顔を赤くして黙り込んだ。
「まあ…寝処はいいとしてイビルゲートも無くなったその村にお兄ちゃんが戻る訳ないだろ?」
「そうだな…ギルドも解散して別の所に移転するだろうね」
「でもイビルゲートは沢山あります!」
「そうだ!そうだ!」
双子はまた別の所に行けば良いと思っていた。
「はぁ…お前らな…あちそち転々と住所不確定な流れ者…他の冒険者はどうでもいいけど私は兄ちゃんがそうなって欲しくないわね」
「そ、それは!」
「くっ!悔しいが言い返す言葉がありません!」
双子もそれは同じ気持ちだった。
「それにあの性格のお兄ちゃんだ…このままだとどうなると思う?」
「ごめん…酷い事言って悪かった!」
「ハルトさんなら…一生かけて全世界を隅々廻るでしょうね…」
双子はハルトが一生流浪する事を思うと心配でたまらなくなった。
「それでね…お兄ちゃんがちゃんと帰る場所を作ってあげたいと思った訳よ」
双子はショックで座り込んでしまう。
「そ、そんな!それは思いつかなかった!」
「帰れる場所!暖かいお家…完、完敗です」
馬鹿にしてたバルトゥールに完膚無きまで負かされた気がした双子はしょんぼりして肩を落とした。
その時、魔王に謁見の要請が入った。
「魔王様、タグマイ様の使いで獣人将グラトニが謁見を求めて参りました」
「タグマイの猟犬グラトニか…何事だ?」
「よう!魔王様よ!久しいな」
獣人の虎族で筋肉ムキムキに顔に二つの大きい切り傷がある猛将の風格の彼は近衛をなぎ払い勝手に謁見の間に入った。
「グラトニか…謁見を承知した覚えはないぞ?」
「固い事言うなよ…それにアンタには用はない」
魔王に対して目に余る態度で不敬罪で処罰も出来たはずだが…テスラは大領主タグマイの使いを罰する事が出来ない。
タグマイに反乱の名分を与える事になるからであった。
「それより…女神様の使いってどいつよ?タグマイ様の命令で拝めに来たぜ!早く出せよ、あははははは!!」
「グラトニ!ぶ、無礼であろう!自国を滅すつもりか!口を慎め!」
「はっ?何馬鹿な事言ってる?」
「奴を捉えろ!」
「は?魔王…正気か?俺に何かあったらただで済まんぞ?」
国が滅ぶより反乱の方がマシだと思ったテスラは玉座から立ち上がりグラトニを捉えて罰せようとした。
「なぁなぁ…魔王ー私に任せて」
「えっ?は、はい…」
それをバルトゥールが無邪気な笑顔で止めてグラトニの前に出た。
「其方…わたくしがその使いで御座います」
「はっ?」
「ご用件を伺いましょう!まず祈りを捧げたいならまず渡す物があるでしょう?さあ…多ければ多いほど私…いや神も喜ぶでしょう!」
バルトゥールは聖女のように振る舞いながら…金銭を要求し、グラトニは幼女にバカにされたと思い不愉快になった。
「こんな幼女が神の使い?あははははは…笑わせてくれるじゃないか…ふざけってんのかぁぁぁ!!」
怒り狂ったようにグラトニは拳を握って大理石で出来る太くて固い柱を素手一撃で叩き割った。
(噂通り、凄まじい力だ…)
それを見たテスラはその腕力に少し感心した。
「オホホホ!ニャンコ風情が戯れて来るとは…笑わせてくれるじゃないか?…ふざけってんのか!コォラァーー!」
怒り狂ったバルトゥールはその小さくて丸い拳を一振りで大理石で出来た太くて固い数百本の柱と鉄筋、鉄骨で作られた頑丈な魔王城を半壊させた。
それを見たテスラはその腕力に大変驚いた。
(もう…なんと言えばいいか分からない怪力!)
グラトニは破壊された魔王城を見て固まってしばらく動けなかった。
「…こ、こいつは…何者だ…」
「グラトニ貴様!なんと許し難い無礼を!この方は神様だぞ!(邪…を抜いたが…)」
「はっ?か、神だと?」
「神を冒涜するとは!(邪…を付ける訳にはいかんからな…)それはタグマイの意思が!!」
テスラは目先の火を消す為タグマイに全ての罪を押し付けた。
「あのクソじじい!神相手とは聞いてないぞ!神相手にどうしろって?俺、どんだけ過大評価されてるのぉ?」
「グラトニ!今すぐ詫びろ!」
「其方?覚悟は出来てますか?出来てますよね?出来て無いと困るよ!ウヘヘへへ」
バルトゥールは聖女から悪女に変わった。
「いや…ちょ、あの…く、くるなぁぁ!!」
バルトゥールは逃げようとしたグラトニを押し倒して全ての毛をを毟り取った…。
爪や牙を根本まで抜き取り、オマケに全ての関節をある得ない方向に曲げた。
「うわーあーなりたく無いわ…ゴホン!王と神に不敬を働いたグラトニを投獄させろ!」
グラトニはテスラの命によって地下監獄に連行された。
タグマイの反乱よりバルトゥールの怒りによって国が滅ぶ事を避けたテスラであった。
「ちっ!…つまんない!遊びにもならん…」
「一人廃人にさせて遊びにもならないって」
「あ?なんか言った?」
「いいえ!なんでもありません!」
双子も毛一つもないあられもないグラトニの全裸の姿に目をそらした。
「なぁなぁ…魔王ータグマイってやつにオトシマエつけろ、イヒヒ~」
無礼を働いたお詫びにその領土を渡せっと言ってるようだ。
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