異世界で僕…。

ゆうやま

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2章2話

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ハルトが海に流されて魔王軍艦隊とリヴァイアサン、バルトゥールは周辺の海域を捜索しているが見つからず…。

「はぁ……一番バレたくない奴にお兄ちゃんのことバレてしまったよ…あいつと関わるとロクな事がないのに…出くわした早々これだよ…」

バルトゥールは憂鬱そうな顔で海を見ながらブツブツ独り言を始めた。

リヴァイアサンも水面から顔を出して捜索を一旦中止した。

「見つからないね…バルちゃん…主様がとこにいるか感じないの?」

「この海域からお兄ちゃんの魂は感じられない…随分と遠く流されたかも…本当にお前ってやつは疫病神だな!」

バルちゃんがリヴァイアサンの顔を思い切り蹴った。

「痛い!辞めてよ!もう…昔と全く変わって無いですね!その凶暴な性格!」

「はっ?凶暴?今凶暴と言った?海で戦さをしていた人間達に昼寝を邪魔された理由でブチ切れて国二つを一夜に滅したお前がそれを言うか?」

「ああ…………そんな事ありましたっけ?…最近ちょっと認知症気味で…えへっ!」

「この際…もういいや…私はこのままお兄ちゃんの捜索に行くからお前は勝手にしろ」

「じゃあー、私はこの大陸にいるアレと一緒に捜索するよ」

「ん?アレ?………けっ!…アイツも今この大陸にいるの?やめろよ!あいつまで出しゃばり始めるとまじでロクな事ないって!」

バルトゥールは何故かアレという者にリヴァイアサン以上会って欲しくない顔をした。

リヴァイアサンの体から猛烈な光が発してその体が縮小されて人の形に変わった。

その姿は海のような青く膝まで伸びた長い髪で清純なイメージの女性に変わった。

「こっちかな?ルンルン♪♪♪」

そして…鯨のような海の生物に乗って鼻歌を歌いながらアレと言う存在がいる場所に向かった。

「はぁ‥相変わらず人の話し聞いてないや…まぁ、いいか…今はお兄ちゃんを見つけるのが最優先だ…」

魔王の船に降りたバルトゥールはテスラにハルトの捜索要請を持ちかけた。

「なぁ…魔王、うちのお兄ちゃんこんな広く深い海に流されてしまったよ…悲しいね…心配だね…って、これどうしてくれるのーぉ?」

バルトゥールは船のデッキでうんこ座りしてヤンキーのように魔王を睨んで脅迫している。

「ヒィ!!急な津波で…不可抗力ですよ…あんなのが来たら普通飲み込まれますよ!」

バルトゥールは魔王の首元を掴んで顔を近づけた。

「んじゃ…お前らは何で無事なの?」

「え?…それは…その…」

バルトゥールは腕をポキポキ鳴らしながらテスラをさらに睨んだ。

こうなった原因はバルトゥールとリヴァイアサンが後先考えずドンパチを始めて暴れたせいだが、テスラはそう思ってもそれを言えるはずがない。


「お、お許し下さい、我が魔王国の総力をかけて捜索します」

「ふーん、まあいいや、んじゃ頼むわ…私も別行動でお兄ちゃんを探しにいくから…あと食料倉庫に行って見ろ…」

「食料倉庫ですか?」

そう言い残したバルトゥールはマムンティア大陸に向かって飛んでいって危機を乗り越えた魔王は腰が抜けてそのまま座り込んだ

「うううう……私、魔王のプライドを捨て魔王国を救ったのよ…良く耐えた」

その時…魔王の近衛が慌てた様子でテスラに来た。

「魔王様!国賓のイリヤ様とリリヤ様も見当たらないです!」

「もう、何なんだよ…次から次…待てよ?」

バルトゥールの言葉を思い出したテスラは急ぎ食料庫に行くと双子は口を塞がれ縄に縛られていた。

「やっと解放されました……」

「あの年魔!!許さん!!」

二人は夜這いをかけようとしたバルトゥールを阻止しようとしたが返り討ちに合って拘束されたらしく、タイミングよくリヴァイアサンの登場でハルトの貞操は守れたようだ。

そして、テスラは海に流されたハルトの事を話して津波の規模と速度を考えると陸に漂着している可能性が高く捜索隊の編成の為に一度魔都に帰還すると言った。

「申し訳ないです…」

「謝らないで…悪いのは全部あのババァよ!それにあのような大怪獣に出くわして生きているだけで奇跡よ」

「そうです…それにハルトさんはきっと無事です」

「お心遣い痛み入ります…」

「私達は陸に着いたらそのまま捜索に出るわ!」

「うん!お姉ちゃん、魔都にはハルトさんを見つけてから行きます!」

「お願いです、二方まで何があれば我が国は…もうお終いです…うううう」

双子は上陸した後ハルトを探しに行くと言ったらテスラは泣き顔でやめるようにお願いした。

それで…双子はこれ以上意地を張ることが出来なかった…。

「し、仕方ないな…わかったわ」

「それじゃ…編成には私達も入れて下さい…」

「ありがとうございます!ありがとうございまーす!!」

テスラからまるで命を救われたような表情で感謝されて双子は逆に申し訳ないない気持ちになった。





ある海辺で一人の少女が海から流れて来た死体を枝で突いていた。

「ラシュトル二!!お待たせ!…ってし、し、死体?」

「あっ!レイミ早かったね、、何か見つかったの?」

「ちょっとだけね…」

森から出て来たレイミという少女が両手の平から木の実を見せた。

「節約すれば、2日は食べれられそうね…」

「はぁ…お肉…腹一杯食べてみたいよ」

「レイミ…贅沢言わないの…」

ラッシュトルニとレイミは頭にウサギ耳と小さなツノ、丸く柔らかそうな尻尾が生えているラプス族(角兎人族)だった。

「それより…その死体、海に落ちて流れて来た漁夫には見えないね…」

「死体じゃないよ?息してるよ」

「え?」

その死体と間違えたのは津波に流されたハルトだった。

津波に流されたハルトは海沿いの砂浜で爆睡していた。

「い、生きてるの?ヤバイよ…逃げるわよ!ラシュトル二!」

「でも、このままじゃ…魔獣達に食べられてしまうよ!」

「何言ってるのよ!人族だよ?人族に捕まったらどうなるか分かるでしょう?」

「……でも、まだ少年だよ?」

レイミはハルトから離れようとするがラシュトル二は躊躇する。

「もう!!ラシュトル二!うちらの力じゃこの子すら運べないし、魔獣が来たとしても私達でどうにか出来ると思う?」

「う、う、うん…そうだね」

「う………」

その時、二人の話し声でハルトは目を覚ました。


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