異世界で僕…。

ゆうやま

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ニ章 1話その4

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強欲上等…母に叩き込まれた我が家の家訓…。

それを思い出した僕は竿を強く握り直した。

「竿の弾力性と強度強化!糸の強化!流れ込め!蠢く竜の血脈!ドラゴニアケイン!貴様は僕のもんだぁぁ!うりゃぁぁぁぁ!」

僕は竿と筋力を強化してデビルヴェールを水面から上空まで引っ張り上げた。

「お兄ちゃん!頑張って!」

「お刺身食わせろーー!!」

デビルヴェールに飛び込んでオゥカスの斬撃波を放ち頭をサクッと切り落とした。

「よっしゃーー取ったどぉぉ!」

初の釣りに超大物を釣った僕はVサインを決めた。

「お兄ちゃん!凄い!かっこいい!」

相変わらず褒めるバルちゃん。

「おおーーさすがハルト殿!」

相変わらず尊敬の眼差しのテスラ姉さん

「ハルトさん!やりましたね!」

相変わらず僕を見て喜ぶリリヤ。

「そんな!バカな!」

相変わらず僕との勝負に負けるイリヤ。

さて……お返しお返し!

「ねぇイリヤ、魚拓頼んでもいい?」

ニヤッと笑いドヤ顔で最大級の憎たらしい表情でお返しした。

「あ、あ、あんなの…魚拓が出来る訳ないじゃん…それにこんなの釣りじゃないわ!」

「負け惜しみ?」

「うう…」

また勝った、それに圧勝だった。

それより…お刺身お刺身!

「テスラ姉さん、あれって食べられる魚ですか?」

「食べた事がないのでわかりません」

「えーー」

「あんなの釣れるのはハルト殿ぐらいですよ…」

テスラさんは質問の答えに困ってる顔をした。

「あっ!食べた事はないですがとても美味しい怪魚だと図鑑から見た記憶げあります」

怪魚か…なんか食欲が失せる。

でもせっかく釣ったし、そろそろ夕飯の時間でお腹も空いて食べてみようと思った。

海に浮いているデビルヴェールに乗り込んで身を少し切り取って味見をした…。

こ、この懐かしい味!この独特な歯ごたえ!

デビルヴェールの味はホシカレイにそっくりでとても美味しくて今日の料理は迷わず決めた。

デビルヴェールを急ぎ解体したが捌き切れなくて半分以上残った。

残りを捨てるのは勿体ないから船の後尾に縛って持って行く事にした。

解体したデビルヴェールの切り身を持って僕は厨房に向かった。自分の調味料を取り出した。

さあ…久々のお魚の料理なので気合いを入れて腕を振るうと思った。

料理の下ごしらえを初めるとバルちゃんとテスラ姉さんが来た。

「お兄ちゃん?何してる?」

「今日の夕飯!デビルヴェールの味見してみて食べたい料理があってね」

「そ、そ、そんな!国賓に食事を自炊させる訳にはいけません!国の威信が…」

テスラさんは慌てて僕を止めようとした。

「自分が食べたいだけですから!料理は僕の趣味です」

「しかし…」

趣味と聞いてもやはり客人に自炊をさせるのは王の立場として気まずいらしい。

しかし、美味しいお魚料理が食べたいこの欲求を抑えきれなくて僕はバルちゃんに頼った。

「バルちゃんは僕の愛情たっぷりの手料理食べたくない?」

「お、お兄ちゃんの愛の料理……食べたい食べたい!おい、魔王…お兄ちゃんの邪魔すんなよ…しっしっ!アチ行け!」

「ひぃ…わ、わかりました!」

食い付いたバルちゃんはテスラさんを追い払ってくれて気楽に料理が作れる。

しかし、量が多いのでせっかくだからみんなにも食べてもらいたいと思った。

「ちょっと待って!テスラ姉さん、ちなみにこの船に何人ほど乗ってますか?」

「ええ、この母艦だけなら1000人ほど乗ってますが…」

「多いな…わかりました!」

「ん?では失礼します…」

テスラさんが去ってからバルちゃんはニコニコ、ヘラヘラと僕の料理する姿を見ている。

正直、邪魔だった。

1000人前を作るには一人じゃ厳しそうだったのでバルちゃをに手伝ってもらおうと思った。

「バルちゃん、ちょっと後ろに置いてある皿を取ってくれる?」

「うん?これのこと?」

以外と素直に手伝ってくれてる。

「あと切ってある魚、こっちに入れてくれる?」

「うん」

「これ焼くの手伝って」

「うん…」

「焼けたのは皿に移してから盛り付けて、出来たものあそこに置いて、ちょっと!つまみ食いはだめだよ!」

「これはここ…あと、焼いて、皿に移して…ん?なんで私こんな事やらなきゃいけない?」

チッ、気付いたか。

「うーん、花嫁修業と思って、嫌ならいいけどお嫁にしてもらう為にはこれぐらい出来ないとね…他の人はわからないが、僕としては論外だな」

「こ、こんなのちょろい!見ててお兄ちゃん!」

ちょろいのはバルちゃんだよ。

バルちゃんは以外と素直で根は悪くないように感じた。

でも邪神だ。
.
.
.
一方…船尾でイリヤはまだ釣りを続けて後ろには山のように魚が積まれていた。

「くそ!くそ!シクシク」

「お姉ちゃん、あれ以上釣るのは無理だよ…釣っても困るよ」

「釣りには自信あったのにまた負けたよ…うううう」

ど素人に負けて意地になったイリヤだった。
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