異世界で僕…。

ゆうやま

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ニ章 1話その2

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バルちゃんは釣りには全く興味がないようで、ただ僕に抱きついて一人で喜んでる…。

この笑顔は本当に可愛いけど、まだちょっと怖いのが本音だ。

大分時間が経ったが…ウキが全く動かない。

この異世界に来てからお魚料理は食べてなくて、こっちの魚はどんな味か気になって仕方ない。

刺身食いたい!刺身刺身刺身!

刺身が食べたい僕は大物を釣ると気合を入れた。

一時間ほど経ってようやくイリヤの竿に反応があった。

「イリヤ!ウキが動いたよ!ヒットじゃない?」

「しっ!まだよ…奴は警戒してる」

「へぇ…そんなのもわかるの?」

イリヤは慎重に竿を少しずつ動かして手の感覚に集中した。

しばらく睨み合いが続いてから糸が海の下に引っ張られて竿が大きく曲がった。

「よっしゃ!来た!」

「頑張って!」

魚とイリヤの息がつまるような戦いが始まった。

引っ張ったり離して糸が切れないように全神経を使い集中していた。

それでイリヤは汗まみれになって下着が少し透けて見えた。

ちょっと角度変えると鮮明に見えるはず…コックリ。

しかし!バルちゃんが抱きついているから動けない…。

離してくれないかな…。

ずっと海と空しか見てないから別の物が見たいんだが…。

数分後、見た事ないお魚が水面からその姿を見せて釣り上げると1メートルほどの大物だった。

「イリヤ!凄いよ!大物だよ!」

「お姉ちゃん!やったね!」

リリヤは自分が釣ったように喜んでイリヤを褒めた。

勿論僕も嬉しい!これで刺身が食べられる♪

「ふーん、まあまあね……♩」

っと言ってるがイリヤもかなり嬉しいそうだった。

それにバックから紙を取り出し魚に黒い液体を塗って乗せた。

魚拓…この世界にもあるんたね。

そのあと自慢するようにいつものドヤ顔して見せた。

イリヤの挑発するこの表情は本当にムカッと来る!

その時、イリヤが取った魚をバルちゃんが海に投げ捨てた。

ああ……さ、刺身が…。

「あーー!私の魚!このババァ!何をしやがる」

「キャッチアンドリリース…知らんのか?」

「そんな事言ったら漁夫さん達は飢え死するわ!それにキャッチアンドリリースだと?アレを見ろ!」

投げられた魚は…バルちゃんの力によって肉片に変わって流れている。

「命あるもの土に還るのがこの世の理」

「ここ海だけど」

「あ…そうだったね、てへっ!」

「ふん!まあいい…また釣ればいいし」

イリヤは意外と怒らずにまた釣りを始めた。

「勿体なかったね…」

「アレぐらいならすぐ取れるわ、ハルトにはちょっと難しいけどね!うふふっ!」

「ほぉ!いいぜ!その挑発、受けてたとう!」

僕は大物用のエサに変えて竿を投げた。

「オホホホ!やれるならやって見せなさい!」

「待ってろよ!絶対凄いやつ釣ってやる!」

「初心者がそんな大物用のエサで釣れる訳ない、釣り舐めんなよ!オホホホ!」

いつも通りの僕達のやり取りを楽しそうに見てるリリヤは僕の隣に来てイリヤの昔話しを語った。

「お姉ちゃんは子供の頃から釣りが大好きで父とよく釣りに行ってたんですよ」

「へぇ…釣りが好きな女の子ってなんかカッコいいね!」

「それにすぐ上達して村一の釣り師と言われましたよ」

「まじかよ!イリヤすごいな!」

リリヤは懐かしそうな表情でイリヤとの思い出話しをしてくれた。
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