異世界で僕…。

ゆうやま

文字の大きさ
上 下
119 / 250

ニ章 1話

しおりを挟む
無の神からルル姉を解放し、その器を聖域に届ける使命を果たした僕はこの世界の人間と認められて自由になれて今、新たな旅に出た。

旅の目的地は亜人達の大陸と言われているマムンティア大陸でレガリア大陸から魔王軍の船を乗って移動中である。

魔王軍の母艦のデッキで僕とバルちゃんは潮風を感じている。

青い空、海の匂いと波の音、そして渡り鳥達の声…。

それを一週間の間ずっと同じ風景を見て、聞いて、感じている。

あ…退屈過ぎる。

「なんもないね…バルちゃん」

「うん、上も下も全て青いね…お兄ちゃん」

僕とバルちゃんは死んだ魚の目で果てしない水平線を見ている。

「まだ3日もかかるらしいよ…バルちゃん」

「お兄ちゃん…こいつら置いて私達だけでも先に行 行っちゃう?」

「そうしたいのは山々だが…我慢しようね」

「えーー、退屈すぎるよ」

バルちゃんの空間移動ならすぐマムンティア大陸まで行ける。

しかし、招待された身で勝手な行動は出来ない。

それにイリヤとリリヤを置いて行く訳にはいかないから我慢するしかない…。

その時…海を眺めている僕とバルちゃんの所に魔王テスラさんが来た。

「おっ!ハルト殿と妹様、そこにいたのてすか!」

テスラさんは僕達を探していた様子で何か長い棒を持って来た。

「テスラ姉さん…暇すぎて脳死しそうだよ」

「ん?脳死?お兄ちゃん、それは大変だ!人口呼吸しないと♡」

「大丈夫…酸素は足りてるよ」

「えーー残念…」

本当にこの子の頭の中は何でできてるか開いて見てみたいと思った。

「でも、お兄ちゃんと一緒にいるだけで私は幸せだよ」

「う、うん…そう?」

くっ!可愛い…。

僕より何百倍年上だけど…見た目は幼女だし、その仕草も表情も可愛い。

それに僕をお兄ちゃんと呼んでくれてる。

それで僕はアイデンティティ項目を追加する事にした。

可愛いも正義なり♪

「はははは!仲睦まじいですな…兄離れしないと」

「あ?なにをほざいてる?身体ごと摩り下ろして魚の餌にするぞ?」

「すみません…勘弁してください」

バルちゃんの頭に手を乗せて撫で始めた。

こうするとすぐ機嫌が治る。

「えへへ、お兄ちゃんの撫で撫で好き!」

「テスラ姉さんを困らせないでね…」

「はーい」

現在、僕だけがバルちゃんの暴走を止めれる唯一の存在なのでこの子から目が離せない…。

「ん?それって竿ですか?」

「はい!今、イリヤ殿とリリヤ殿も釣りを楽しむ最中でしてハルト殿もいかがかと…」

「いいですね!やります!やります!」

「お兄ちゃんがやるなら私もやる!」

丁度いい暇つぶしができて助かった。

僕とバルちゃんは竿を持って船の後尾に行くと先に釣りを始めていた双子が見えた。

双子も釣りを始めてばかりかまだ一匹も釣れてない。

イリヤは飲み物を飲みながらウキをじっと眺めていた。

「まだ釣れてないみたいだね…」

「釣りは魚を釣るのじゃない、時間を釣るものよ」

「へぇ…格好いいセリフだね」

「ふふふ、でしょ」

「でもじじくさい」

「はあ?」

イリヤの釣りの姿は渋いおじさんのようで釣りの経験が豊富なベテランのように見えた。

「んじゃ、うちらもやるか!」

「何が釣れるか楽しみ♪」

僕とバルちゃんも釣りを始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

約束の子

月夜野 すみれ
ファンタジー
幼い頃から特別扱いをされていた神官の少年カイル。 カイルが上級神官になったとき、神の化身と言われていた少女ミラが上級神官として同じ神殿にやってきた。 真面目な性格のカイルとわがままなミラは反発しあう。 しかしミラとカイルは「約束の子」、「破壊神の使い」などと呼ばれ命を狙われていたと知る事になる。 攻撃魔法が一切使えないカイルと強力な魔法が使える代わりにバリエーションが少ないミラが「約束の子」/「破壊神の使い」が施行するとされる「契約」を阻む事になる。 カタカナの名前が沢山出てきますが主人公二人の名前以外は覚えなくていいです(特に人名は途中で入れ替わったりしますので)。 名無しだと混乱するから名前が付いてるだけで1度しか出てこない名前も多いので覚える必要はありません。 カクヨム、小説家になろう、ノベマにも同じものを投稿しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

処理中です...