異世界で僕…。

ゆうやま

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一章56話

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無の空間は崩壊が進んでいる今…それなのに!何故か帰らないと言い出す我が女神様。

いい加減にして欲しいな…一体何故だ!

全身に感じる激痛のせいか余計に腹が立った。

僕はなんの為にここまで苦労したの?ほら見てよ!この鼻血!歯もちょっとグラグラしてるし…目あたりは見事にパンダになってるよ!

そう抗議したいが…言えるはずがない。

「ごめんね…今回の事で気付いたんだよ」

「なにがだよ?」

「私は戻ったらいけないんだと…」

「な、何言ってる!そんな事ない!」 

「ハルト君…」

ルル姉は全て諦めたような悲しい顔をしていて、ガーラウと無の神の事で心に深い傷を負ったようた。

「ハルト君は優しいな…こんな私の為に必死になって助けてくれて…短い間だったが異界で君と一緒に過ごしたその時間がなんと恋しいか…」

「ルル姉…」

「君と出会ってから…私は本当に楽しかった」

「僕もルル姉と会えて幸せだよ!」

「懐かしいな…初めてハルト君と出会って私の鼻にポテトを差し込んだ時…」

「それは忘れて!」

「私が浸かったお湯を飲んだ時…笑いを堪えるのに必死だったわ」

「やめてやめて!……はっ?それになんでその事を知ってるのよ!」

「ゲームセンターで私の胸を見て感激した時も…」

「はうっ!」

「私が腕を組むと胸の方にちょっと力を入れてきた事も……」

「くはっ!」

ああ…死にたい…人生やり直したい。

「しょうがないじゃん!僕も男だし!好きな人を見たい感じたいのは当然だよ」

「ハ、ハルト君…へぇ…私の事がそんな好きなんだ」

「そうだよ…悪い?」

「あははははは…その時に戻りたいよ…ううううわぁぁあん」

「ルル姉……」

僕と出会い只の女の子として過ごしたあの日々をルル姉はその時間に戻りたいと切ない顔で笑って、子供のように泣いた。

「これから楽しい思い出を沢山作ればいいじゃん!やっとここまで来たよ!」

僕は必死に説得したが、ルル姉は首を横に振って泣き声で話した。

「ハルト君も見たよね…私と関わった者達を、皆んな怯えて、嫌って、いなくなればいいと…」

「そんな事は無いよ!魔王国の人達は皆んなルル姉が帰って来た事を喜んでいたよ!それに僕はそんな事思ってない!」

僕の反論にルル姉は顔を下に向けて涙をポタポタ落とした。

「でも…私のせいでレナートは死んだんだぁ!私が興味半分で彼女と関わったせいで無残に殺されてしまった!それが今回はハルト君になるかと思うと怖いんだ…辛いんだよ…それだけはいやだよ…うううう」

その気持ちは少しわかる気がした…。

イビルゲート攻略の時、イリヤ達を連れ行かないようにした僕もそうだった…。

「でも!僕は大丈夫だよ!体がバラバラになっても生きてたし…勝手に動いてたりして…気持ち悪いけど…」

はぁ…考えるたけでまた憂鬱になる。
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