106 / 250
一章53話
しおりを挟む
一章53話
ルル姉が無の神に体を乗っ取られて元に戻す方法もわからないままで、この世界の全てが消えてしまう。
「では、この私に不敬を働いたお仕置きしましょうか」
「くあっ!」
無の神は瞬く一瞬で僕の懐に入って腹部と後頭部を拳で強打し、目の前が真っ白になった。
「う、うう…」
「ほぅ?普通はバラバラになって死ぬはずだが…人の子に思えないほど丈夫ですね」
無の神は僕のクビを掴み頭と腹部を殴り続きながら楽しそうに笑っていた。
「くっ!かっ!うう……」
「あら?今の私ってまるで前の貴方のようだわ、ルナファナリールッカ?ふふふ」
無の神は攻撃を緩めず続けて、僕は意識が飛ぶような激痛に泣きたくなった。
「もう、やめて…くれ…」
「ほう…まだ抵抗する力が残ってますの?」
一瞬、攻撃が止まってから切ない声で泣いていて血塗れになっている僕を見っているルル姉の顔はとてもつらそうにみえた。
僕は内蔵が全て破裂したような激しい腹痛と目を開けているだけでも辛く、このなんとも言えない激痛から早く楽になりたいと一瞬思うようになった。
しかし、ここで諦めたら何もかも無駄になって僕の大切なものを全て失う事になる。
「時間の無駄だわ、もう諦めなさい!」
「ル、ルル姉……諦めたら、、、め、よ」
「お黙りなさい!」
「かはっ!」
僕は必死に意識を保ってはルル姉に手を伸ばした。
オゥカスの剣撃で同化率が下がったおかげでルル姉は少し体を動かしたり喋るようになったようだ。
「ああ、ハルト君…ごめん」
「ル…姉…、、まけないで、、、めた」
「こんなに傷ついて…必ず君を守ると誓ったのに情け無い…本当に私なんかがこの世に存在してはならなかったかもね」
「そんな事…は、ない…諦めた…だめ…はぁはぁ」
「ごめん…ハルト君、君には迷惑ばかりかけてる…異界に連れて来て一度死なせて…生き返って早々に苦労ばかりだったよね…ごめんなさい」
「へへ、楽で、なかっ、けど…楽しかっ、よ…ル、、姉には感謝、て、よ…」
ルル姉は僕の手を取り優しく抱きしめたあと血を拭き取って傷だらけの僕の顔を見て悲しい顔をしている。
そんな顔はルル姉には似合わないし、見たくないと思った。
「私の為に命がけでこんなに傷ついて…ハルト君、ごめんね」
「泣くなよ…大丈夫だから…ゲホッゲホッ」
「もういいのよ、こんな私の為に傷だらけになって…私って迷惑ばかりかける厄介者だね」
ルル姉は傷だらけの僕の姿に耐えきれずもう諦めた表情だった。
「さようなら…ハルト君」
「る、姉…!あきらめ、、いや、…」
意識が朦朧としてルル姉の顔もよく見えなくなって意識を保つのも辛い。
しかし、ルル姉を守りたい一心でなんとか耐えている。
「もう…私はこの世にいない方がいいだろ」
「ル、ル姉…だめだ!」
ルルは涙を拭き歯を食いしばって何か決心したような表情してから僕から離れた。
(ふふふ…やっと私に全て委ねる気になったようですね…)
「あはは…勘違いするな、この世からお別れは私だけではなく貴様もだ」
(はぁ?何を言ってます?貴方はまともに動く力も残ってないのに…ふふふ)
「破壊の女神の名において命じる…我が魂魄の自壊を発動せよ…」
(なに!まさか、貴方!)
「この私が誰だと思ってる!!私は破壊の業を受け継ぐし者…自分の身体を貴様などに好きにさせてそのままくたばる女では無いわ!!」
(魂魄の自懐?自分の存在ごと消すつもりか!ハッタリを…きゃっ!あ、貴方、本当に…正気か!)
器が猛烈に光を発するとルル姉の体から出てきた無の神は苦しそうに体を震えていた。
「あははは!それがどうした?貴様に乗っ取られて悔しくて泣きながら生きてるより一億倍マシだ!さあ、一緒に消えるとしようか」
(く、狂ってる…イかれてる!)
「私の目の前でハルト君をこんなに痛めつけて狂わない、イカれない訳ねぇたろうがぁぁ!」
(まだ消える訳には!あいつらに復讐しないと!やめろぉぉ!)
「…ル姉、ダ…メだ」
悲しみと怒りに満ちたルル姉は自ら消滅する最悪の選択をした。
好きな女の子一人守れない惨めで無力な自分が情けなく、ただルル姉を失いたくないと心の底から切なく願うしかなかった。
[[彼女を救えるように力を貸そう]]
その時、頭の中から知らない声が聞こえて、藁でも縋りたい気持ちでルル姉を助けられるならなんだっていいと、なんでもすると僕は願った。
[[後は任せろ…そしてバ、、、、、を……よ、、た、む…]]
しかし、何故かその声は懐かしく、頼もしく、ルル姉を失ってしまう不安を沈める海のような深い安心感を感じさせる。
ドクン!…ドクン!…ドクンドクンドクンドクンドクンドクン!!
その瞬間、急に心臓の脈が急上昇し、胸の奥から何かが解き放たれるような感覚がし、目の前が真っ白になった。
「くっ…う、う、うああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ハ、ハルト君?」
「Vindicare Fortia…dellenda Hostium!Sum Pertur batio!(力を解き放て、仇なす全ての者を滅せよ!)」
「これは一体なんなのよ!この人の子は?」
「こ、この歪な魔力の波動はあの時の見た渦と同じ…」
意識を失ったハルトは全身から黒いオーラを激しく放って鋭利な刃物のような殺気を無の神に向けていた。
ルル姉が無の神に体を乗っ取られて元に戻す方法もわからないままで、この世界の全てが消えてしまう。
「では、この私に不敬を働いたお仕置きしましょうか」
「くあっ!」
無の神は瞬く一瞬で僕の懐に入って腹部と後頭部を拳で強打し、目の前が真っ白になった。
「う、うう…」
「ほぅ?普通はバラバラになって死ぬはずだが…人の子に思えないほど丈夫ですね」
無の神は僕のクビを掴み頭と腹部を殴り続きながら楽しそうに笑っていた。
「くっ!かっ!うう……」
「あら?今の私ってまるで前の貴方のようだわ、ルナファナリールッカ?ふふふ」
無の神は攻撃を緩めず続けて、僕は意識が飛ぶような激痛に泣きたくなった。
「もう、やめて…くれ…」
「ほう…まだ抵抗する力が残ってますの?」
一瞬、攻撃が止まってから切ない声で泣いていて血塗れになっている僕を見っているルル姉の顔はとてもつらそうにみえた。
僕は内蔵が全て破裂したような激しい腹痛と目を開けているだけでも辛く、このなんとも言えない激痛から早く楽になりたいと一瞬思うようになった。
しかし、ここで諦めたら何もかも無駄になって僕の大切なものを全て失う事になる。
「時間の無駄だわ、もう諦めなさい!」
「ル、ルル姉……諦めたら、、、め、よ」
「お黙りなさい!」
「かはっ!」
僕は必死に意識を保ってはルル姉に手を伸ばした。
オゥカスの剣撃で同化率が下がったおかげでルル姉は少し体を動かしたり喋るようになったようだ。
「ああ、ハルト君…ごめん」
「ル…姉…、、まけないで、、、めた」
「こんなに傷ついて…必ず君を守ると誓ったのに情け無い…本当に私なんかがこの世に存在してはならなかったかもね」
「そんな事…は、ない…諦めた…だめ…はぁはぁ」
「ごめん…ハルト君、君には迷惑ばかりかけてる…異界に連れて来て一度死なせて…生き返って早々に苦労ばかりだったよね…ごめんなさい」
「へへ、楽で、なかっ、けど…楽しかっ、よ…ル、、姉には感謝、て、よ…」
ルル姉は僕の手を取り優しく抱きしめたあと血を拭き取って傷だらけの僕の顔を見て悲しい顔をしている。
そんな顔はルル姉には似合わないし、見たくないと思った。
「私の為に命がけでこんなに傷ついて…ハルト君、ごめんね」
「泣くなよ…大丈夫だから…ゲホッゲホッ」
「もういいのよ、こんな私の為に傷だらけになって…私って迷惑ばかりかける厄介者だね」
ルル姉は傷だらけの僕の姿に耐えきれずもう諦めた表情だった。
「さようなら…ハルト君」
「る、姉…!あきらめ、、いや、…」
意識が朦朧としてルル姉の顔もよく見えなくなって意識を保つのも辛い。
しかし、ルル姉を守りたい一心でなんとか耐えている。
「もう…私はこの世にいない方がいいだろ」
「ル、ル姉…だめだ!」
ルルは涙を拭き歯を食いしばって何か決心したような表情してから僕から離れた。
(ふふふ…やっと私に全て委ねる気になったようですね…)
「あはは…勘違いするな、この世からお別れは私だけではなく貴様もだ」
(はぁ?何を言ってます?貴方はまともに動く力も残ってないのに…ふふふ)
「破壊の女神の名において命じる…我が魂魄の自壊を発動せよ…」
(なに!まさか、貴方!)
「この私が誰だと思ってる!!私は破壊の業を受け継ぐし者…自分の身体を貴様などに好きにさせてそのままくたばる女では無いわ!!」
(魂魄の自懐?自分の存在ごと消すつもりか!ハッタリを…きゃっ!あ、貴方、本当に…正気か!)
器が猛烈に光を発するとルル姉の体から出てきた無の神は苦しそうに体を震えていた。
「あははは!それがどうした?貴様に乗っ取られて悔しくて泣きながら生きてるより一億倍マシだ!さあ、一緒に消えるとしようか」
(く、狂ってる…イかれてる!)
「私の目の前でハルト君をこんなに痛めつけて狂わない、イカれない訳ねぇたろうがぁぁ!」
(まだ消える訳には!あいつらに復讐しないと!やめろぉぉ!)
「…ル姉、ダ…メだ」
悲しみと怒りに満ちたルル姉は自ら消滅する最悪の選択をした。
好きな女の子一人守れない惨めで無力な自分が情けなく、ただルル姉を失いたくないと心の底から切なく願うしかなかった。
[[彼女を救えるように力を貸そう]]
その時、頭の中から知らない声が聞こえて、藁でも縋りたい気持ちでルル姉を助けられるならなんだっていいと、なんでもすると僕は願った。
[[後は任せろ…そしてバ、、、、、を……よ、、た、む…]]
しかし、何故かその声は懐かしく、頼もしく、ルル姉を失ってしまう不安を沈める海のような深い安心感を感じさせる。
ドクン!…ドクン!…ドクンドクンドクンドクンドクンドクン!!
その瞬間、急に心臓の脈が急上昇し、胸の奥から何かが解き放たれるような感覚がし、目の前が真っ白になった。
「くっ…う、う、うああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ハ、ハルト君?」
「Vindicare Fortia…dellenda Hostium!Sum Pertur batio!(力を解き放て、仇なす全ての者を滅せよ!)」
「これは一体なんなのよ!この人の子は?」
「こ、この歪な魔力の波動はあの時の見た渦と同じ…」
意識を失ったハルトは全身から黒いオーラを激しく放って鋭利な刃物のような殺気を無の神に向けていた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

空間使いは暴虐の使徒
火魔人
ファンタジー
気が付くと異世界の森にいた。空間使いという異能(高性能です)。異能を成長させ、森を脱出し、異世界の人族と遭遇。不幸?な巡り合わせで、暴虐キャラに。俺の邪魔をする障害物は全て叩き壊す!
ただし、その暴虐には使徒としての役割があった。主人公はこの先どうなっていくのやら。暴虐の限りを尽くしつつも、スッキリ楽しく人生を謳歌します!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
約束の子
月夜野 すみれ
ファンタジー
幼い頃から特別扱いをされていた神官の少年カイル。
カイルが上級神官になったとき、神の化身と言われていた少女ミラが上級神官として同じ神殿にやってきた。
真面目な性格のカイルとわがままなミラは反発しあう。
しかしミラとカイルは「約束の子」、「破壊神の使い」などと呼ばれ命を狙われていたと知る事になる。
攻撃魔法が一切使えないカイルと強力な魔法が使える代わりにバリエーションが少ないミラが「約束の子」/「破壊神の使い」が施行するとされる「契約」を阻む事になる。
カタカナの名前が沢山出てきますが主人公二人の名前以外は覚えなくていいです(特に人名は途中で入れ替わったりしますので)。
名無しだと混乱するから名前が付いてるだけで1度しか出てこない名前も多いので覚える必要はありません。
カクヨム、小説家になろう、ノベマにも同じものを投稿しています。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる