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一章 47話
しおりを挟む無の空間の膨張を一時的に止めた主神は大神達と対策を論じていて、ガラーウの話しを聞いたラズリックさんは彼女の前に出た。
「やはり貴方でしたか…身の程知らずの哀れな女…」
「ら、ラズリック!」
いつも冷静で笑顔のラズリックさんがガラーウを見てから殺伐とした雰囲気と変わって、その顔は鳥肌が立つほど怒りに満ちていた。
「どうする?やはりやるしか手はないと思うが…」
「破壊の女神をを消滅?そんな事ができるのか?」
「しかし、このまま指を咥えて待つわけにはいかんだろ?」
大神達は力で解決する方向で話が傾き、この事態を一刻も早く収拾をつけないとルル姉が危ないと思った。
しかし、僕にできる事はなく、どうすればいいかもわからず自分の無力さに悔やんでいるだけだ。
「静まれい!」
主神の重い号令にその騒ついた雰囲気は消えた。
「主神様…やはり、この空間ごと破壊の女神を消滅させるしか…」
「うむ…ルナを消滅させる…」
自分の妹を殺すと聞いて怒った僕は体が勝手に主神を殴ろうとしたがラズリックさんに止められた。
「…事は無理だ」
間が長いんだよ!びっくりしたじゃない!
「うむ…」
「しかし、それしかないと思うがな…」
「相手は無の神とあの破壊の業を受け継いたルナだ…易々やられてくれると思うか?」
「うむ…確かに」
「それに、もし万が一で我々の全力で運良く消滅させたとしても器に戻る事になってしまう…その後は…」
「問題は邪神達か…どの道我らは終わりか…くっ!」
大神達は滅亡しかない選択肢に頭を抱えて悩み、他の方法を話し合っているが、やはり答えが出なくて主神にも焦りがみえた。
天界一の頭脳と言われているラズリックさんも無の空間を調べているが進展がない。
「ルル姉を元に戻す方法は無いですか?ラズリックさん!」
「無の神にお身体まで乗っ取られてしまったら絶望的です…それに、この空間は我々神は入れない仕組みになっているようです」
バルトゥールが結界を触るとすり抜けた…無の空間自体は無害のようたが力を加えると反発していた。
「うーーん、お兄ちゃん、無理にこじ開けようとすると刺激されて膨張が早まる仕組みだね…私も入れないよ!それに結界も長くは持たなさそうだよ」
「邪神も神だしな、当然よ」
「では、ルル姉は…」
「………」
ラズリックさんは黙って顔を下に向けていた。
打つ手なしか…。
苦労と苦労と死ぬ思いでやっとここまで来た…。
なのにここで諦めてたまるか!大切で大好きな人が苦しんでいる…。
僕を救ってくれたルル姉のピンチの時に僕が諦める訳にはいかないとラズリックさんに強く訴えた。
「ラズリック姉さん!僕達が諦める訳にはいけませんよ!何が手があるはずです!なんとしても方法を探さないと!諦めてたまるものか!!」
「ハルトちゃん…そうですね!私達が諦めたらいけませんね!やって見せましょうこの謀略のラズリックの名をかけて!!」
ラズリックさんは自分の全知識を持って無の空間に入る方法を試した。
その時…。
「この暗闇は相当な広さですね、ん?この感じは!この結界の仕組みがわかったわ!それなら入れるはずよ!」
ラズリックさんは入る方法は見つけて大喜びに僕をがっつり抱きしめと、僕の体内から何か折れる音と激しい痛みが全身に伝わった。
ルル姉のためならこれしきの痛みなど耐えられると我慢しながら僕は泣いた。
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