異世界で僕…。

ゆうやま

文字の大きさ
上 下
99 / 250

一章 47話

しおりを挟む

無の空間の膨張を一時的に止めた主神は大神達と対策を論じていて、ガラーウの話しを聞いたラズリックさんは彼女の前に出た。

「やはり貴方でしたか…身の程知らずの哀れな女…」

「ら、ラズリック!」

いつも冷静で笑顔のラズリックさんがガラーウを見てから殺伐とした雰囲気と変わって、その顔は鳥肌が立つほど怒りに満ちていた。

「どうする?やはりやるしか手はないと思うが…」

「破壊の女神をを消滅?そんな事ができるのか?」

「しかし、このまま指を咥えて待つわけにはいかんだろ?」

大神達は力で解決する方向で話が傾き、この事態を一刻も早く収拾をつけないとルル姉が危ないと思った。

しかし、僕にできる事はなく、どうすればいいかもわからず自分の無力さに悔やんでいるだけだ。

「静まれい!」

主神の重い号令にその騒ついた雰囲気は消えた。

「主神様…やはり、この空間ごと破壊の女神を消滅させるしか…」

「うむ…ルナを消滅させる…」

自分の妹を殺すと聞いて怒った僕は体が勝手に主神を殴ろうとしたがラズリックさんに止められた。

「…事は無理だ」

間が長いんだよ!びっくりしたじゃない!

「うむ…」

「しかし、それしかないと思うがな…」

「相手は無の神とあの破壊の業を受け継いたルナだ…易々やられてくれると思うか?」

「うむ…確かに」

「それに、もし万が一で我々の全力で運良く消滅させたとしても器に戻る事になってしまう…その後は…」

「問題は邪神達か…どの道我らは終わりか…くっ!」

大神達は滅亡しかない選択肢に頭を抱えて悩み、他の方法を話し合っているが、やはり答えが出なくて主神にも焦りがみえた。

天界一の頭脳と言われているラズリックさんも無の空間を調べているが進展がない。

「ルル姉を元に戻す方法は無いですか?ラズリックさん!」

「無の神にお身体まで乗っ取られてしまったら絶望的です…それに、この空間は我々神は入れない仕組みになっているようです」

バルトゥールが結界を触るとすり抜けた…無の空間自体は無害のようたが力を加えると反発していた。

「うーーん、お兄ちゃん、無理にこじ開けようとすると刺激されて膨張が早まる仕組みだね…私も入れないよ!それに結界も長くは持たなさそうだよ」

「邪神も神だしな、当然よ」

「では、ルル姉は…」

「………」

ラズリックさんは黙って顔を下に向けていた。

打つ手なしか…。

苦労と苦労と死ぬ思いでやっとここまで来た…。

なのにここで諦めてたまるか!大切で大好きな人が苦しんでいる…。

僕を救ってくれたルル姉のピンチの時に僕が諦める訳にはいかないとラズリックさんに強く訴えた。

「ラズリック姉さん!僕達が諦める訳にはいけませんよ!何が手があるはずです!なんとしても方法を探さないと!諦めてたまるものか!!」

「ハルトちゃん…そうですね!私達が諦めたらいけませんね!やって見せましょうこの謀略のラズリックの名をかけて!!」

ラズリックさんは自分の全知識を持って無の空間に入る方法を試した。

その時…。

「この暗闇は相当な広さですね、ん?この感じは!この結界の仕組みがわかったわ!それなら入れるはずよ!」

ラズリックさんは入る方法は見つけて大喜びに僕をがっつり抱きしめと、僕の体内から何か折れる音と激しい痛みが全身に伝わった。

ルル姉のためならこれしきの痛みなど耐えられると我慢しながら僕は泣いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

空間使いは暴虐の使徒

火魔人
ファンタジー
気が付くと異世界の森にいた。空間使いという異能(高性能です)。異能を成長させ、森を脱出し、異世界の人族と遭遇。不幸?な巡り合わせで、暴虐キャラに。俺の邪魔をする障害物は全て叩き壊す! ただし、その暴虐には使徒としての役割があった。主人公はこの先どうなっていくのやら。暴虐の限りを尽くしつつも、スッキリ楽しく人生を謳歌します!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

約束の子

月夜野 すみれ
ファンタジー
幼い頃から特別扱いをされていた神官の少年カイル。 カイルが上級神官になったとき、神の化身と言われていた少女ミラが上級神官として同じ神殿にやってきた。 真面目な性格のカイルとわがままなミラは反発しあう。 しかしミラとカイルは「約束の子」、「破壊神の使い」などと呼ばれ命を狙われていたと知る事になる。 攻撃魔法が一切使えないカイルと強力な魔法が使える代わりにバリエーションが少ないミラが「約束の子」/「破壊神の使い」が施行するとされる「契約」を阻む事になる。 カタカナの名前が沢山出てきますが主人公二人の名前以外は覚えなくていいです(特に人名は途中で入れ替わったりしますので)。 名無しだと混乱するから名前が付いてるだけで1度しか出てこない名前も多いので覚える必要はありません。 カクヨム、小説家になろう、ノベマにも同じものを投稿しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...