異世界で僕…。

ゆうやま

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一章38話

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聖域に器を置かないと回復しないと聞いたはずなのに何故かルル姉は僕の目の前に現れた。

「喜べ貴様ら、帰ってやったぞ、それにメルティア…よくもやってくれたな、覚悟はできてるんだよな?」

[[な、な、なぜだ!そんなバカな!一体どうやって回復出来た?ルナファナリールッカ!]]

[[なにあれ?どうなってる?]]

[[何かの間違いよ!きゃーーーシワが!!]]

[[脈拍上昇!呼吸混乱!!エマージェンシーエマージェンシー!]]

復活するはずもないと思ったルル姉の登場で創造の女神と三馬鹿神は取り乱した。

「ふふふ…ラズリック、お前ならやってくれると信じていたぞ」

「はい!見事に引っかかってくれましたね…わざと神の器の情報を漏らしたことも知らずに…ふふふ」

ガランディア軍に神の業火を放ったのも…ドルゥーガにやられたふりをしていたのも三馬鹿神と創造の女神を引っ張り出す為だった訳で、この状況は全てラズリックの計略の内で僕と4つの大神もその手の内に踊らされていたと気付いた。

「本当にルル姉だよね?」

幻なとじゃないかと思ってルル姉を思いっきり抱きしめてみた。

温かく柔らかい、ほんのり甘いいい香り…本物のルル姉が僕の前にいる。

「ハルト君!こんなに逞ましくなって…よく頑張ったね」

「ううああぁぁぁ!!ルル姉!」

「また泣く…仕方がない子ね…」

抱きついて泣いている僕にルル姉は黙々と頭を撫でくれた。

「しかし、聖地に行かないといけない回復てきないんじゃなかった?」

「普通はそうたけど…ほら、ハルト君の体には何がある?」

「まさか!アストラルライン!」

「正解♪しかし、完全に回復する為にはやはり私の聖域に行かないといけないんだ」

僕の体にはルル姉のアストラルラインが移植されている…。

そのマナ共有効果で体を現存するまで力を溜める事がてきて、ルル姉の体の一部であるアストラルラインの影響で神の器を持ち歩く事も可能だとわかった。

レイラさんも歓喜に満ちた顔で全力でこっちに走ってきて、本当に彼女はルル姉に忠実だと思った。

「おおぉぉ!我が主様ぁぁあああ!」

「……シッシッ!邪魔だ」

しかし、ルル姉は少しも振り向かず野良犬を追い払うような扱いをして僕の頭を撫で続けていた。

「は、はぃ…(おのれぇ!ハルトめぇぇ!)」

今度は血の涙を流して僕を呪っているように睨まれいた。

その目!こ、怖すぎる!

双子もいきなり現れたルル姉を呆然と見ていた。

僕らの詳しい関係や事情がわからない双子でもこの感動の再会に空気を読んで黙って待ってくれているようだ

「ねぇねぇリリヤ…なにあれ?あの傲慢な胸は?け、けしからん!」

「あ、あんな…無秩序なボディライン!カオスだよ…お姉ちゃん…」

ただ、ルル姉のダイナミックなボディに驚いただけだった。

「わ、我らの女神様がお戻りになられて、我らの前に降臨なさった!皆の者!腹の底から歓声を捧げろー!」

「ルナファナリルッカ様!!!うおおおおおおぉぉぉぉ!!!」

魔王からルル姉の降臨を知らせると魔王軍は戦場全てに響く大歓声を上げた。

逆にカランディア軍はルル姉の降臨に戦意を失うどころか恐怖に震えていた。

「あらまあ~盛り上がって来ましたね…ルナ様…」

「そうだな、雑魚はあの者達に任せて、本番をそろそろ始めよう!ハルト君、ここからは私達の戦いだから危険に巻き込まないように、下がっててね!」

「僕も手伝うよ!」

「まあまあ、ハルトちゃん…心配しないで!私達を信じて、ハルトちゃんはお友達を守ってあげてね」

「ふん!あんなの本気を出せば一捻りだ!ガキは黙って見てろ」

「あ?」

「あ?」

「す、すんません…」

謀略の女神ラズリックさんと血の涙を流しながら睨みつけているレイラさん…それに威風堂々なルル姉…。

その余裕のある姿を見て僕の出番はないと思った。

邪魔にならないように隅に行こう…。

僕は頷いてイリヤ達の所に戻って落ち込んだ。

ああ…ルル姉…。

僕…。

何の為に今まで死地で苦労した訳?

それはともかく、ルル姉が無事でよしとしよう。
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