異世界で僕…。

ゆうやま

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一章 37話

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僕達がフロトスを倒しに魔王軍の陣営に着くと既に魔人族五人が戦っていた。

五人の中で赤毛の魔法使いが強力な炎の竜巻の中にフロトスを閉じ込めて、倒したと思って背を向けた瞬間、フロトスは炎の竜巻を打ち消してその赤毛の魔法使いに襲いかかった。

それを間一髪で双子がそれを阻止した。

「今よ!ハルト!」

「お願いします!ハルトさん!」

「任せろー!斬鋼剣!!」

僕は渾身の一撃でフロトスの胴体を真っ二つに切断した。

「やったね!ハルト!」

「凄いです!ハルトさん!」

褒められて悪い気はしないが、あまりもあっさり倒されたせいでなんだか拍子抜けた感じだった。

双子が助けた赤毛の女性が僕達に向かって来て、敵視されてる感じはなかったので安心した。

(神獣をいとも簡単に…この少年がラネースから報告があったハルト殿か?)

「怪我はなさそうで良かったです」

その時…真っ二つに切断されて死んだと思ったフロトスの上半身がリリヤに飛び込んで大きな口をあけて噛み砕こうとした。

「リリヤ!!危ない!」

「きゃーっ!は、ハルトさん?」

僕は身を投げてリリヤを押し倒して庇った。

ぺっちゃー!!

その瞬間…馬の足のような物がフロトスの顔面に当たって…その上半身は見事なトリプルアクセルを決めて地面に落ちた。

そして、フロトスはそのまま動かなく、今度こそ死んだようた。

「ツッ!……」

馬の足が飛んできた方向にはバルトゥールが立っていて凄く残念な表情をして舌打ちをした。

「バルちゃん…ちょっといいかな?」

「うん?なぁに?お兄ちゃん?」

僕はバルトゥールに近付いてその耳に静かに喋った。

「悪ふざけはダメだよ」

「うーん?なんの事ぉ?分かんない…ょ?」

なんの事かわからないと惚けているが…僕ははっきりと見た。

フロトスの上半身がリリヤを襲う前に邪悪に笑っていたバルトゥールを…。

それに正確にリリヤを狙って馬の足らしきものを投げた。

僕が身を投げてリリヤを救おうとしたのはフロトスの攻撃ではない!

リリヤならそれぐらい余裕で避けれる…。

でも!バルトゥールの攻撃は別である。

あれを普通の人間は当たっても、掠っても、運が良くても、悪くても……きっと即死だ!

それが偶然、タイミングよくリリヤに襲いかかったフロトスに当たったたけの事だった。

「二度やったら、本当に怒るよ!」

「テヘッ!ばれっちた……」

「まじ!やめてよ!僕の大切な仲間なんだ」

「ふーん…どうしようかな」

「二度とバルちゃんと口聞かない」

「わ、わかったよ!やらないから!」

この邪神、本当に恐ろしい…。

バルトゥールに二度と悪さをしないように注意している時に魔王国の人達に来た。

「助力に感謝する!其方がハルト殿かな?」

「はい、志村春人といいます」

「申し遅れた、妾はテスラレイズ…魔王国の女王である!」

魔王国の女王…つまり魔王!

まじ!ま、魔王が目の前にいる…。

「二人は僕の仲間のイリヤとリリヤです」

「始めまして…イリヤです…」

「リリヤです」

「妾の危機を救ってくれて感謝する」

魔王に会って緊張した僕達は丁寧に挨拶してお辞儀までした。

「ラネースから聞いた通りの…ん?その子は?」

「ツッ…」

一応女神であるバルトゥールは魔王の態度が気に食わないようで不満そうな表情と舌打ちまでした。

しかし…急に豹変して可愛く笑いならが自己紹介を始めた。

「へへっ!ハルトお兄ちゃんの超可愛い妹!バルトゥールちゃんだよ~♪一応…邪神やってまーす♪♪」

バルトゥールは笑顔でノリノリで自己紹介すると魔王様は冗談と思って大きく笑った。

「ふははは!ハルト殿の妹君は冗談がお上手であるな!はははは!邪神か!それは凄い、あははは!」

その自己紹介を冗談と思うのか普通である…でも本物だ!

バルトゥールはニッコリ笑いながら石を一つ拾って山に向けて投げた。

「ふんっ!」

ドォカーーーン!

「なに?なに?何の音だ?」

爆音がした方に目を向けると山一つ消し飛んでいた。

さすが邪神。

「おい、お前、私の話がまだ冗談に聞こえるか?あん?」

「ほ、ほ、じゃ、じゃ、し…」

邪神と知って魔王様は驚きすぎて言葉もまともに出なかった。

(何?我が女神様の使徒が邪神の兄?なにそれ?意味わからん!)

「図が高いのう…うちのお兄ちゃんに対して随分横柄な態度だな…あっ?そのツノへし折るぞ?」

(わ、妾は誇り高き魔王!邪神には頭を下げぬ!媚びぬ!謝ってはならん!)

魔王はバルトゥールの威嚇に必死に耐えていたが…その目には涙が流れていた。

「ちょっとストップ!バルちゃん、そこまでね…」

魔王様が可哀想になって僕はバルトゥールの頭を撫でて機嫌を直す事にした。

「わかった!お兄ちゃん!へへ」

「よちよち…いい子だね…」

「えへへ、子供扱いしないでー♪」

ああ…この先、この子をどうすればいいの?手に負えない…。

僕はバルトゥールをどう扱えばいいかわからなくて、胃が痛くなった。
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