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一章 36話
しおりを挟む魔王国軍の登場でガランディア、ラーズの両軍は混乱して、ラーズ軍の本陣でフィリアもこの現状に戸惑っていた。
「元帥、どいう事でしょう?何故我が領土に魔王軍がきているのですか!」
「わ、わかりませぬ…予測ができない状況ですので一時退却しますか?」
「魔王軍が宿敵のガランディアと手を組むはずがありません…しばらく防御を固めて様子を見ましょう」
「はっ!全軍に通達!各隊は防円陣で展開し、本陣の守りを固め!」
フィリアは状況の把握が出来ず決断を迷う時…ラネースがフィリアの前に降りて来る近衛達が瞬時に囲み剣を抜いた。
「止まれ!何者だ!」
「私は破壊の女神様に仕えている司祭ラネースと申します!」
その言葉を聞いたフィリアは今の現状を把握できたような表情でラネースの前に出て来た。
「皆んな、剣を納めて下さい…司祭ラネース、貴女を魔王国の使者で判断してよろしいですか?」
「はい!我が魔王国はシムラハルト様に害をなそうとするガランディアと創造の女神に破壊の女神様の名の元で交戦します」
ラネースの言葉を聞いたラーズの将軍は顔が青ざめた。
「それって聖戦戦争の再来になりましたぞ!女王陛下!!」
「その通りです…なので!ラーズ王国は退却しても構わないとの事です」
フィリアはしばらく黙って、戦っている自軍とガランディア軍を見て決断した。
「いいえ!我が領土を侵犯したガランディアをただ見てるだけでは我国の威信に関わります、それに、ハルト様は私の恩人でもあるのです!盟約を破ったガランディア国はこれより完全に敵国と見なします、元帥!全軍に命令を…魔王国と連携してカランディア軍を追い出します!」
「はっ!全軍に通達!魔王国と連携してガランディアを叩き出せ!」
フィリアの命令に魔王軍と手を組み戦いの流れは一気にラーズに傾いた。
カランディア軍はラーズ軍と魔王軍に挟み討ちにされて陣形が崩れ始めた。
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魔王軍の獣人達の攻撃は凄まじくガランディア軍は完全に崩れて勝敗が決まろうとした。
「そろそろ、出てくると思うけど…」
「ラズリック…やっと来たぞ!」
「待ちくたびれたわ…あらまあー、創造の門まで開いて派手に登場しちゃって…」
その時、空から巨大な光の門が現れて、それを見たガランディア軍は歓声を上げた。
「おおおう!我らの女神様よ!」
「おお!使徒様だ!我らを救いに来て下さった!」
「うおおおおーーー!」
総崩れして敗北前のガランディア軍は一気に士気が上がってなんとか立ち直って、カランディアの本陣の上から人らしき姿が見えた。
「あら…トルゥーガが連れて来た神獣ってグランデのフロトスとキリシューのラーダじゃない?」
「ラグレシアに自分達の神獣を貸したようだ」
「なりふり構わずだね…哀れだわ」
創造の門の中から、使徒ドルゥーガと二匹の歪な獣が出て来た。
「神獣フロトス、ラダーよ!魔王軍とラーズ軍を蹂躙せよ!」
二匹の神獣は二手に分かれ両軍に襲いかかった。
芸の神グランデの神獣フロトスは、6メートル程の大き狼の形をして氷のように冷たい冷気を全身から放て、魔王軍を凍らせて鋭い牙で噛み砕いた。
虚無の神キリシューの神獣ラダーは馬の形で黒い炎を体に纏いラーズ軍に猛突撃した。
ラーズ軍はラーダの炎で焼かれて体当たりと足蹴りに吹き飛ばされていた。
美の女神メルティアの神獣、雷獣ガライオは既にルル姉に殺されて…美の神の出番はないようだ。
「さて…私達も一仕事しましょう…ハルトちゃん達はフロトスを頼んでいい?ラーダは私が捻るからレイラはあのむっつり男を相手して~」
「うむ、承知した」
「わかりました!イリヤ、リリヤ!行こう!」
僕達とレイラさんは各自任された相手に向かった。
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