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一章35話
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一章35話
僕達は地上に上がってから吹き飛んだ村の中央部を見て呆然とした。
やっぱこの邪神は邪神界に返した方が良さそうだ。
「テヘッ!やりすぎちった?ごめんね、お兄ちゃん!」
「うん、今度からは手加減してね」
許す!村一つや二つぐらいまあいいんじゃない?
お兄ちゃん…その言葉に弱い僕だった。
ナーズラ村人達が慌ただしく避難しているのが見えた。
村の中央部が吹っ飛んだ事で慌ただしくなるのはわかるが、火事とか災害が起きてはないのに避難はおかしいと思った。
それで僕は避難している村人に何があったか状況を聞いた。
「あの…皆んな避難しているように見えますがどうしました?」
「ガランディアが攻めて来てる!君達も早く逃げた方がいいよ!」
「ガランディア……フィリア姉さんを襲った黒幕…」
また無意識に口に出してしまった…結果はご覧の通り…。
「おい!ハルト、フィリアってまた誰よ…」
「またまた…新しい女ですか?」
来ました…またのそのツッコミ!
「依頼主だよ!前の護衛依頼の!」
「ふーん」
「へーぇ」
その浮気を疑う嫁の目…まじやめてほしい。
「フィリア?ああ…あのはしたない女の事ね…ハルトちゃんを触りまくって膝枕…ぷっぷ」
「ラズリック姉さん…話がややこしくなるから黙ってて貰えません?それになんでその事を知ってますか?」
「あ……私は神だもん」
すんーげー理不尽な返事だが…その言葉に言い返す言葉が見つからなかった。
ガランディア軍に攻められてパニックになったナーズラ村は今までのぼのぼのした田舎の居心地良さは何処にもない。
「戦争になるとこうなるか…」
「この村好きだったのに…」
「私もです」
「ハルトちゃん、まずあの燃えるゴミ…いや…ガランディア軍を片付けましょう!」
「ラズリック姉さん、その言い方本当に怖いです」
「だって、アイツら嫌いだもん」
正門に向かうと大軍のガランディア軍が見えた。
「うわー!ウザウザ居ますね…」
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!燃やしていい?」
ディシポーネーの顔は「虐殺大好き」と書かれたようにワクワクしていた。
この邪神を止めないと大虐殺犯として僕が歴史に名を残す事になると予感がした。
「お願いですからやめてください、ディシポーネー様」
「えーー!残念、それにその呼び方ってひどい!バルちゃんと呼んでよ!お兄ちゃん」
「うん……バルちゃん?」
「私の名バルトゥールだよ!ディシポーネーは神名なんだ」
「そ、そうなんだ…」
ディシポーネー…復讐の女神達エリニューエスの一人で、惨殺の復讐者と呼ばれた女神…。
何故、彼女が僕を兄と言っているかその理由を聞きたいが…今はそれどころじゃないので後にした。
ぼぉーーーーん
「うおおおおおうーーー!」
ほら貝の吹き音と共に村の衛兵達の歓声が聞こえてからラーズ王国の国軍が到着したのが見えた。
.
.
、
女王フィリアが率いるラーズ軍はカランディア軍の背後に現れて突撃の命令を待っていた。
「元帥…全軍に突撃命令を…」
「はっ!全軍突撃!かかれ!」
「うおおおおおうーー!」
散回してるガランディア軍はラーズ軍の攻撃に次々とバッタバッタと倒れていた。
「慌てるな!数は我が軍が圧倒してる!第三、四陣!回り込み左から攻撃!」
ガランディア軍は数の優勢を利用し突撃するラーズ軍を受け止め反撃を始めた。
「敵将も中々やりますね…」
「数の優勢を活かして我々の突撃を阻止しようとしてます…やはりそう簡単には崩れてくれませんね…」
両軍は膠着して益々戦は激しくなった。
「中央本陣!押し返せ!第六陣は後ろに回り込め!」
兵の数に勝るガランディア軍はラーズ軍を三の方向で囲み同時攻撃を仕掛けるとラーズ軍は一つの陣営を集中攻撃し、活路を切り開けた。
「騎兵隊!左の敵陣を叩け!敵に後ろを取られるな!騎馬兵は回り込む敵陣に崩せ!」
女王フィリアが先頭に立ち指揮をする事で数の劣勢のラーズ軍は士気が高く、地の利を活用して兵の数が3倍に近いカランディア軍と互角に戦っていた。
、
、
、
、
ナーズラ村人の避難が終わって僕達は村の正門から戦さの状況を見るとラーズ軍の先頭にフィリア姉さんが軍を率いている姿が見えた。
女の身で戦場に立ち兵を動かしている凛々しい姿を見て女王の権威というものを実感した。
ラーズ軍は奮闘しているが、やはり数の劣勢に徐々に押されていた。
「ラーズ軍が少し押されてるようですが…」
「あら、あのはしたない女が心配なの?」
「一応、依頼してくれた人で、なにかあれば後味悪いじゃないですか…」
「ふーん、まぁ、そいうことにしとくわ、それと、心配する必要ないから私達はしばらくこの戦いを観戦するとしましょう」
「はい…?」
「しかし、遅いわね…そろそろ到着するはずだけと…」
ラズリックさんの心配無用と言われてなにかを待っている様子だった。
フィリア姉さんが心配になった僕は戦場に飛び込もうとしたがラズリックさんに止められた。
「うむ、ラズリック、来たぞ」
「あら、やっときたわね」
ナズーラ村北方向から大軍勢がこっちに向かっているのが見えてその中から高速で一人の翼人がこっちに飛んで来た。
「ハルト様ぁぁぁ!……けっ!ラズリック様!レイラ様!」
空から土下座したまま高速で降りた翼人は…司祭ラネースだった。
「ラズリック様、レイラ様…ハルト様!ただ今魔王テスラレイズが自ら魔王国軍1万5000率いて参戦に参りました!」
「えっ?ま、魔王!」
「やっと来たわね…私を待たせるとはいい度胸だわ」
「ひぃーーお許しを!」
「まぁいいわ、ラーズ軍に魔王軍が加勢すると伝えてなさい、まあ、ラーズ軍は退却しても構わないとも伝えてちょうだい、あとは…あの方達が動いてくれるの待つだけかな♪」
「は、はい!」
「ラズリック姉さん…僕はどうすればいいですか?」
魔王軍の出現はラズリックさんの差し金だと分かったが遠いマムンティア大陸の魔王軍をこの戦さに呼び出したその意図がわからなかった。
「ハルトちゃん…これはね、聖魔戦争の続きなのよー」
「あっ!そうか、そういう事ですか!」
「まあ、2000年前と違って勇者も賢者も居ないからつまんないけど、まぁいいでしょう…本命を楽しみに待ちましょう…ウフフ」
本命を待つと聞き、それはルル姉を異界に飛ばした四つの大神の事だとわかった。
それって神々の戦いになるのでは?そんな話し聞いてない!それとルル姉の復活と関係ないんですけど!
僕達は地上に上がってから吹き飛んだ村の中央部を見て呆然とした。
やっぱこの邪神は邪神界に返した方が良さそうだ。
「テヘッ!やりすぎちった?ごめんね、お兄ちゃん!」
「うん、今度からは手加減してね」
許す!村一つや二つぐらいまあいいんじゃない?
お兄ちゃん…その言葉に弱い僕だった。
ナーズラ村人達が慌ただしく避難しているのが見えた。
村の中央部が吹っ飛んだ事で慌ただしくなるのはわかるが、火事とか災害が起きてはないのに避難はおかしいと思った。
それで僕は避難している村人に何があったか状況を聞いた。
「あの…皆んな避難しているように見えますがどうしました?」
「ガランディアが攻めて来てる!君達も早く逃げた方がいいよ!」
「ガランディア……フィリア姉さんを襲った黒幕…」
また無意識に口に出してしまった…結果はご覧の通り…。
「おい!ハルト、フィリアってまた誰よ…」
「またまた…新しい女ですか?」
来ました…またのそのツッコミ!
「依頼主だよ!前の護衛依頼の!」
「ふーん」
「へーぇ」
その浮気を疑う嫁の目…まじやめてほしい。
「フィリア?ああ…あのはしたない女の事ね…ハルトちゃんを触りまくって膝枕…ぷっぷ」
「ラズリック姉さん…話がややこしくなるから黙ってて貰えません?それになんでその事を知ってますか?」
「あ……私は神だもん」
すんーげー理不尽な返事だが…その言葉に言い返す言葉が見つからなかった。
ガランディア軍に攻められてパニックになったナーズラ村は今までのぼのぼのした田舎の居心地良さは何処にもない。
「戦争になるとこうなるか…」
「この村好きだったのに…」
「私もです」
「ハルトちゃん、まずあの燃えるゴミ…いや…ガランディア軍を片付けましょう!」
「ラズリック姉さん、その言い方本当に怖いです」
「だって、アイツら嫌いだもん」
正門に向かうと大軍のガランディア軍が見えた。
「うわー!ウザウザ居ますね…」
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!燃やしていい?」
ディシポーネーの顔は「虐殺大好き」と書かれたようにワクワクしていた。
この邪神を止めないと大虐殺犯として僕が歴史に名を残す事になると予感がした。
「お願いですからやめてください、ディシポーネー様」
「えーー!残念、それにその呼び方ってひどい!バルちゃんと呼んでよ!お兄ちゃん」
「うん……バルちゃん?」
「私の名バルトゥールだよ!ディシポーネーは神名なんだ」
「そ、そうなんだ…」
ディシポーネー…復讐の女神達エリニューエスの一人で、惨殺の復讐者と呼ばれた女神…。
何故、彼女が僕を兄と言っているかその理由を聞きたいが…今はそれどころじゃないので後にした。
ぼぉーーーーん
「うおおおおおうーーー!」
ほら貝の吹き音と共に村の衛兵達の歓声が聞こえてからラーズ王国の国軍が到着したのが見えた。
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女王フィリアが率いるラーズ軍はカランディア軍の背後に現れて突撃の命令を待っていた。
「元帥…全軍に突撃命令を…」
「はっ!全軍突撃!かかれ!」
「うおおおおおうーー!」
散回してるガランディア軍はラーズ軍の攻撃に次々とバッタバッタと倒れていた。
「慌てるな!数は我が軍が圧倒してる!第三、四陣!回り込み左から攻撃!」
ガランディア軍は数の優勢を利用し突撃するラーズ軍を受け止め反撃を始めた。
「敵将も中々やりますね…」
「数の優勢を活かして我々の突撃を阻止しようとしてます…やはりそう簡単には崩れてくれませんね…」
両軍は膠着して益々戦は激しくなった。
「中央本陣!押し返せ!第六陣は後ろに回り込め!」
兵の数に勝るガランディア軍はラーズ軍を三の方向で囲み同時攻撃を仕掛けるとラーズ軍は一つの陣営を集中攻撃し、活路を切り開けた。
「騎兵隊!左の敵陣を叩け!敵に後ろを取られるな!騎馬兵は回り込む敵陣に崩せ!」
女王フィリアが先頭に立ち指揮をする事で数の劣勢のラーズ軍は士気が高く、地の利を活用して兵の数が3倍に近いカランディア軍と互角に戦っていた。
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ナーズラ村人の避難が終わって僕達は村の正門から戦さの状況を見るとラーズ軍の先頭にフィリア姉さんが軍を率いている姿が見えた。
女の身で戦場に立ち兵を動かしている凛々しい姿を見て女王の権威というものを実感した。
ラーズ軍は奮闘しているが、やはり数の劣勢に徐々に押されていた。
「ラーズ軍が少し押されてるようですが…」
「あら、あのはしたない女が心配なの?」
「一応、依頼してくれた人で、なにかあれば後味悪いじゃないですか…」
「ふーん、まぁ、そいうことにしとくわ、それと、心配する必要ないから私達はしばらくこの戦いを観戦するとしましょう」
「はい…?」
「しかし、遅いわね…そろそろ到着するはずだけと…」
ラズリックさんの心配無用と言われてなにかを待っている様子だった。
フィリア姉さんが心配になった僕は戦場に飛び込もうとしたがラズリックさんに止められた。
「うむ、ラズリック、来たぞ」
「あら、やっときたわね」
ナズーラ村北方向から大軍勢がこっちに向かっているのが見えてその中から高速で一人の翼人がこっちに飛んで来た。
「ハルト様ぁぁぁ!……けっ!ラズリック様!レイラ様!」
空から土下座したまま高速で降りた翼人は…司祭ラネースだった。
「ラズリック様、レイラ様…ハルト様!ただ今魔王テスラレイズが自ら魔王国軍1万5000率いて参戦に参りました!」
「えっ?ま、魔王!」
「やっと来たわね…私を待たせるとはいい度胸だわ」
「ひぃーーお許しを!」
「まぁいいわ、ラーズ軍に魔王軍が加勢すると伝えてなさい、まあ、ラーズ軍は退却しても構わないとも伝えてちょうだい、あとは…あの方達が動いてくれるの待つだけかな♪」
「は、はい!」
「ラズリック姉さん…僕はどうすればいいですか?」
魔王軍の出現はラズリックさんの差し金だと分かったが遠いマムンティア大陸の魔王軍をこの戦さに呼び出したその意図がわからなかった。
「ハルトちゃん…これはね、聖魔戦争の続きなのよー」
「あっ!そうか、そういう事ですか!」
「まあ、2000年前と違って勇者も賢者も居ないからつまんないけど、まぁいいでしょう…本命を楽しみに待ちましょう…ウフフ」
本命を待つと聞き、それはルル姉を異界に飛ばした四つの大神の事だとわかった。
それって神々の戦いになるのでは?そんな話し聞いてない!それとルル姉の復活と関係ないんですけど!
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