異世界で僕…。

ゆうやま

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一章 33話

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封印されていた謎の少女の攻撃でに破壊されたイビルゲートは形すら残ってないただの地下空洞の状態になっていた。

その中で今、僕はどう考えてもおかしい状況に戸惑っている。

「あの……」

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!うーん!懐かしお兄ちゃんの匂いだ…クンガクンガ」

その謎の少女は僕に抱き付いてきて子供のように甘えている。

それに僕をお兄ちゃんと言っている。

「も、もう一度呼んでくれる?」

「ん?お兄ちゃん?」

イヤーッフー♪たっまりませぇん♪♪

いやいやいや!惑わされるな!こいつは一撃でこのイビルゲートを消しとばしたバケモノの中でバケモノだ。

でも、どうしても…口がにニヤけて緩み切った顔になってしまう。

それに先まで僕達に狂気に満ちた魔獣のように襲った者と思えないほど無邪気で可愛い!

「あ、あの…人違いじゃないですか?」

「違わないよー私が間違える訳ないもん!もう~お兄ちゃんの意地悪~♪♪」

きたぁぁぁあああ!キタコレ!もう!脳細胞が半分焼けて死んだわ!

それに、白髪と日焼けしたような麦肌色の絶妙なハーモニーがなんとも言えない!たまらん♪

妹!何たる破壊力!妹!バンザイ!

妹が…妹が空から降って……じゃなく!ダンジョンから湧いてきたぁぁああ!

今の少女からは禍々しい気配が完全に消えて兄に甘えてるただの可愛い妹の姿しかなかった。

ずっと夢見だ理想的な妹の仕草で翻弄されている僕の後ろから凄い殺気を感じだ。

その背中を突き刺さっている殺気がする方向に振り向くと双子が凄く怖い目で睨み付けていた。

「おい、ハルト…」

「幼女に鼻の下伸ばしてなにニヤけてますか?ハルトさん」

「いや…こ、これはですね…」

僕も訳がわからなくて、この状況どう説明すればいいか誰か教えて欲しいぐらいだった。

「お兄ちゃん、なにこの二匹のメスブタは!ブヒブヒうるさいな…」

妹はそんな汚い言葉を使ったらいけませんと心の中で叱ってみた。

「おい貴様ら…今、お兄ちゃんとの3000年ぶりの再会中だ…雑音入れるな!内臓引き抜いて肉詰めにするぞ?」

3000年?軽く計算しても僕より150倍以上年上で
それでお兄ちゃんと言われるのはどうも無理があると思ったが…。

まあいいっか!独り子の身でこれ以上贅沢な事は言えないしね。

少女は二人に凄まじい殺意を向けて双子もそれに反応して身構えた。

「くっ!ハルトから離れろ!化け物め!」

イリヤはギリギリ威圧感を耐えて身構えて、控えめで臆病なリリヤが…何故か堂々と乱れなく少女の前に出て立ち向かった。

「ふっ!へぇ~3000年ねぇー」

「ん?貴様…何が言いたい?」

リリヤは鼻で笑って敵意丸出しの顔で少女を見ていた。

「17歳のハルトさんがお兄ちゃんっておかしくてね…あなた、年の差…計算出来ませんか?」

「り、リリヤさん?」

「はっ?この私に向けてその口の利き方…どうやら死にたいみたいだな…せっかく機嫌がいいから見逃してやるつもりだったのに…貴様!この私を誰だと思ってる?」

「あら~先まで自己紹介はおろか、ギー、キキ、ウギャと吠えてばかりでしたのでね…何処のどなたか存じませんね!うふふっ!あの姿…滑稽でしたよ!キャハハ!」

リリヤはわざとらしく笑って少女を挑発した。

やめろぉ~!

「この私は!邪神ディシポーネー様だぞ!身の程知らずが!」

邪神だと聞いて、やはり最初に感じたあの気配とこの計り知れないこの力を考えると嘘ではないと確信した。

このまま機嫌を損ねて戦いになったらまず勝ち目はない…確実に死ぬ!

幸いに邪神は何故か僕の事を兄と勘違いしているようで、まずリリヤを落ち着かせてからこの少女から逃げるプランを考えた。

「はっ?邪神だがなんだか知りませんが、まずハルトさんから離れて言ってんの!幼女の皮を被った超ーーババァーが!」

おほほぅ…あぁ…終わった!ハイ!お疲れ様でした!

邪神相手でも引かないリリヤこそ、真の勇者だと思えきた。

「あ、あ、う、私を…ば、ば、ば……」

邪神ディシポーネーはドン引きした顔で僕に何か言いたがる表情をして、ショックで言葉が上手く出てこないようだ。

「こ、この私を……ばばぁ!だと?い、イかれてる!ははっ…まじイかれてるよ!!!お、お兄ちゃん!こいつと関わらない方がいいよ!ありえないでしょ!私…邪神だよ?」

邪神ディシポーネーは精神的に相当なショックを受けたようでしばらく僕にぶつぶつ説教を始めた。

このままだと本当に取り返しがつかない事になるではないかと思ってリリヤを止めようした。

「あの、リリヤさん…」

「お兄ちゃんに…お兄ちゃんに!悪性の毒虫が……消毒よ!燃やしてやる!炎魔よ!」

「黙れババァ!吹き飛べ!暴風の風吹!」

火と風を纏って構えた二人の中に入って僕は戦いを止めようとした。

「ちょっと!二人共!頼むから落ち着いて!」

「お兄ちゃん!どいて!あの毒虫を燃やせない!」

「ハルトさん!離れて!あのババァ!飛ばせない!」

「誰がババァだぁ!」

「誰が毒虫だよ!」

なんかさ…つい先まで命をかけて戦っていたはずなのにいきなりのラブコメみたいな展開に突っ込みどころがありすぎて何から言えばいいかわからなくなった。

「二人共!ちょっと待って待ってば!すこし、落ち着こうよ」

「この害虫め!骨の芯まで燃やし尽くす!」

「はっ?頭のおかしいババァにやられるほどやわではありません!」

必死に止めてはみたもののもう二人は僕の話を最早聞いてない。

これ…まじヤバイ。

「ハルトちゃんーー!無事で良かった~」

「ちっ…生きてやがる」

その時、僕の前に空から光の柱が現れて中からラズリックさんとレイラが現れた。

この方を見て初めて心の底から嬉しいと思った。
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