異世界で僕…。

ゆうやま

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一章 26話

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レイラさんの渾身的な犠牲によって正気に戻った。

ラズリックさんは身の嗜みを整ったあと今までの事をまるでなかったように振る舞った。

あの状態が一週間続いたらどうしようと思ったが、さすが神であって効果切れが早く、本当に助かった。

「ふむふむ!!そうね、ほんの6時間でも今は無駄にできない時だしね…ハルトちゃん!今からナズーラ村のイビルゲート攻略してくれる?この装備なら確実に攻略出来ると思うよ」

何とか貞操の危機は去ったが6時間と聞いてドン引きした。

一体全体6時間もかけて何をするのーー!

ラズリックさん…怖っ!怖っ!要注意人物決定!

僕は素早くその装備を受け取ってラズリックさんから距離を取った。

ああーー♪格好いいな♪

しかし、その装備に触るとあり得ない違和感を感じた。

まるで人の肌のような生暖かい。

「あれ?なんかこれ金属みたいですがとても温かいですね…」

「ああ!よく気付いた坊や!それは大昔…幼い我が主!愛しきルナ様が破壊の女神の座に着く前に作ったものだ!そうだな…その時天下の幼い神の子達の間に勇者ごっこが流行ってな…」

僕の質問にレイラさんがその装備の説明を嬉しいそうな表情でしてくれた。

「へぇ、ルル姉がそんな遊びを?想像がつかないです!」

「まあ、それでルナ様は自分に相応しい装備の素材を求めてだな…」

まさか!オリハルコンとか?ミスリルとかの伝説の金属か何かじゃないかと胸が躍った。

「精霊界で鋼の魔神を生け捕りにして…その血肉をぐっと絞り取って作ったものた…なんとダイナミックな発想であるか!さすがルナ様だ!」

「ほぇ?」

金属ではなかった…。

血肉だった。

「温かい理由は…まだ…それ、生きてるぞ」

……………怖っ!

生きてんのこれ!返品してもいいですか?

でも格好いいな…どうしよう?やっぱ貰いおう。

怖くても自ら自分のアイデンティティを否定する事は出来ない!

格好いいは正義なり!!



「それに今ちょうど過去の因縁を断ち切る好機でね…攻略お願いね?」

ラズリックさんが何かしら物騒な事を言った気がするがこの装備なら攻略可能だとお墨付きで、例え死んでもルル姉の為なら攻略すると思った。

「ルル姉の為ですし…ラズリック姉さんの頼みなら頑張って攻略して見せます」

「もう…ハルトちゃんたら!はぁはぁはぁ」

ラズリックさんは鼻息が荒くなって、あの清純に見える外見と中身は真逆だと知って怖くなった。

しかし、誰かさんのように嫌われるよりはいいと思った。

「逃げるなよ!逃げたら私が殺す…ぶっ殺す!八つ裂きにして…かはっ!」

僕が逃げないように脅すレイラさんにラズリックさんの空中踵落としが炸裂した。

なんと綺麗な足さばき!

この方ならきっと、格闘界の新たな神話も作れると僕は確信した。

「今すぐナズーラ村に向かいます…でも僕はまだ馬に乗れないので、まず馬車を手配しないと…」

「う、う、待て!その必要は無い……」

「え?でも先…時間が惜しいと…」

街に行って馬車の手配に行こうとした僕を血塗れで床に倒れているレイラさんが呼び止めたあと、一瞬で回復して立ち上がった…。

凄い再生力でびっくりした。

そのあとレイラさんは片隅でで縮こまっている方々に目を向けた。

「司祭長は誰だ?…200年ほど前、私が預けた物があるはずだが……」

「い、い、イッセリナと申します…はい!レイラ様のお気に入りの神物と聞き及んで大切に保管しております!」

「うむ!それをすぐ出せ…」

「承りました!直ちに!」

レイラさんの命令で全員はその神物を取りに行った。

「レイラさん?なにが移動手段でもありますか?」

「そう!一瞬でナズーラ村まで行ける凄いものがある」

僕はテレポートや移動魔法みたいな転送装置かと思ってワクワクした。

「へぇ?おバカのレイラがそんな物も持ってるとは…意外だわ!」

「失礼な!!」

ラズリックさんはレイラさんを弄るのが趣味のようにみえたが神であるラズリックさんは使徒のレイラさんを上から目線のような態度は一切見えなかった。

この二人を見ると何故ルル姉がこの世界に帰りたかったかわかる気がした。

「よいしょ!よいしょ!よいしょ!よいしょ!」

「えっ?こ、このデカブツは!」

ラズリックさんは皆さんが持って来たそのデカイ装置を見て驚いた表情をした。

「きゃっ!なにこれ?」

「よっし!邪魔者の排除成功!」

レイラさんはこの大きな装置に気を取られたラズリックさんに光の縄で縛った。
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