59 / 250
一章 22話
しおりを挟む
一章22話
初めて亜人と出会って僕はテンションが上がり過ぎてしまい失敗した。
「こんなに沢山買ってもらって本当にいいんですか?」
「いやいや!怪我させたお詫びで受け取って下さい」
「ポーションでもう治ってますが…?」
舞い上がってその事を忘れてなんかいい言い訳がないか考えた。
「あー!痛い思いさせた!転がっていた時めっちゃ痛かったでしょ?そのお詫びで!」
「そ、そうですか…ありがとう」
よぉし!僕、天才!
彼女はお詫びを受け取ってくれて、もう少し話しがしたい僕は帰りにまで送ろうとした。
少し警戒している感じがしたがそれは当然であると思って出来るだけ彼女に気を遣いながら付いていった。
しかし、僕の好奇心ってやつは空気を読まなくて彼女の羽に興味津々で触りたい!欲しいとの衝動に駆られた。
「あの…羽を抜き取らないでくださいね」
「出会った記念で一つ…」
「痛いからいやです」
「ケチ…」
彼女は何故か僕が気になってる様子で質問してきた。
「あの、亜人…嫌いではないですか?」
「亜人って嫌われてるの?」
「はい…まぁ、この大陸の人はそうですね」
「あの?亜人ってケモノ耳とか尻尾とか生えたりします?」
「はい…種族に寄りますが生えてます…」
……キタコレ!
「そ、そ、そんなモフモフステキな方々を嫌いになるなんて!そんな人!人間やめたほうがいいですよ!信じられない!」
心を込めて熱く、チカラ強く!僕が思う亜人の素敵な所を語り出すと彼女は先まで固くてよそよそしい表情が笑顔に変わった。
「フフッ…そう思う人もいるんですね…あっ!私はラネース!その…司祭です、なったばかりのヒヨコですが…」
「僕は志村晴人!宜しくねラネース姉さん!」
「宜しくお願いします、シムラハルトさん!」
イェース!初めて会えた亜人さんと仲良くなれた!……気がする。
「ハルトでいいですよ!えーと…司祭って神様の祀って色々の?」
「はい…祭事や信徒の手助けをしてます」
「どの神様を祀ってますか?」
彼女は何故か僕の質問に答えるまで少し間があった。
「は、は、破壊の女神様です…」
「えっ……」
僕は聖都に来て早々…ルル姉の神殿の司祭と出会うと思ってもなかったのでびっくりしたが…彼女からは何故かただならぬ緊張感が漂った。
(やっぱ、この反応…お願いだから食材返してとか言わないでよ!)
それに急にこの人の目付きが変わった…。
「あの…お願いがありますが…」
(やっぱ来たわ!!やめろぉ!!この食材は絶対返さない!)
彼女は急に食材の包みを背後に隠しながらまるでいつでも逃げられるように僕から少しずつ距離を取り始めた。
「取らない!取らないから…そんなに距離取らないでよ」
「そ、そうですか…ご、誤解してすみません」
「それより…お姉さんの神殿に連れててー」
「あらまあ!破壊の女神様の信徒さんですか?」
「まあ、そうですね…」
「本当に!!嬉しい!!連れてあげますとも!もし祈りで遅くなったら今日、私と一緒におねんねしようね!」
はは…子供扱いかよ。
でも一緒におねんねか…本当にいいのぉ?
それに寝てる時、羽をニ、三本は取れそうで悪くないと思った。
僕は司祭ラネースさんの案内で破壊の女神の大神殿に着いた。
ルル姉の神殿に着いたのはいい事だが…僕は神殿を見て目を疑った。
ここに来るまで見てきた他の神殿と違って華やかさもなく…人の出入りのない殺風景でここが本当にルル姉の神殿か疑った。
確かにルル姉は神の中でも凄く偉い神とレイラさんから聞いている。
「あら、おかえりラネース!遅かったですね…何かあったか心配しましたよ」
「ただいまです」
神殿の中から司祭のような女性が出てきたが服装が華やかできっとラネースさんより上の者にみえた。
「遅くなってすみませんイッセリナ司祭長様!!ちょっと死にかけたですが大丈夫です」
「はい?ちょっと死にかけたって…?それにこんなに沢山の食材を買えるお金は渡してないですが…」
ラネースは今までの事情を司祭長に説明すると僕にお礼を言って飲み物を出してくれた。
お茶かと思ったがただのお水だった。
「司祭長のイッセリナと申します、ラネースを助けて頂いきありがとうございます…そしてこの温情も有り難く頂きます…」
「志村晴人です、こちらこそご迷惑をおかけしました…ごめんなさい」
「司祭長様!聞いて下さい!ハルトさんは我が女神様の信徒ですよ」
「まあー!本当ですか?」
「はい…」
信徒と聞いた二人は僕を女神像の前まで案内してくれた。
しかし、寂れたルル姉の神殿を見て僕は不満気に何故他の神殿と違うか聞いた。
それから司祭長から長々と亜人の事と聖魔戦争の事…その以降神殿の事を色々話しを聞かされた。
それで何故ルル姉が僕の世界にいたか理由を知った。
「残念ながら神の不在の神殿に寄付や祈りを捧げに来る者はいないでしょう……」
「不在?」
「イッセリナさん!!助けてください!」
その時…慌ててラネースさんが助けを求めると後ろから三人の亜人が神殿に尋ねて来た。
それに一人は大怪我をしていた。
「帰りに油断してやられた…これを治せるポーションは売れ切れて4日後に出来るらしい…」
どこも回復薬不足は同じのようで…こんな重傷を治せる薬は言うまでもなかった。
それにこの怪我を治せる回復薬は先使ってしまった。
「他の神殿に頼んではみたが…亜人だからって断れた…ちくしょー」
イッセリナさんは怪我を見て暗い表情で首を横に振った。
いくら司祭長でも崇める神が居なければこれほど大怪我を治せるような奇跡を使うのはできないらしく、この場のみんなは怪我した亜人を見ながらただ悲しむ事しか出来なかった。
どう見ても普通の人間なら即死するような深い傷なのにまだ意識もはっきりして話しも出来る…亜人の生命力は半端ないようだ。
「はぁはぁ…し、仕方ない…油断した私が悪…い…皆んな…ごめん」
「おい!ミレーナ諦めるな!」
「ちくしょー!」
神殿内は暗い悲しみに包まれていた。
初めて亜人と出会って僕はテンションが上がり過ぎてしまい失敗した。
「こんなに沢山買ってもらって本当にいいんですか?」
「いやいや!怪我させたお詫びで受け取って下さい」
「ポーションでもう治ってますが…?」
舞い上がってその事を忘れてなんかいい言い訳がないか考えた。
「あー!痛い思いさせた!転がっていた時めっちゃ痛かったでしょ?そのお詫びで!」
「そ、そうですか…ありがとう」
よぉし!僕、天才!
彼女はお詫びを受け取ってくれて、もう少し話しがしたい僕は帰りにまで送ろうとした。
少し警戒している感じがしたがそれは当然であると思って出来るだけ彼女に気を遣いながら付いていった。
しかし、僕の好奇心ってやつは空気を読まなくて彼女の羽に興味津々で触りたい!欲しいとの衝動に駆られた。
「あの…羽を抜き取らないでくださいね」
「出会った記念で一つ…」
「痛いからいやです」
「ケチ…」
彼女は何故か僕が気になってる様子で質問してきた。
「あの、亜人…嫌いではないですか?」
「亜人って嫌われてるの?」
「はい…まぁ、この大陸の人はそうですね」
「あの?亜人ってケモノ耳とか尻尾とか生えたりします?」
「はい…種族に寄りますが生えてます…」
……キタコレ!
「そ、そ、そんなモフモフステキな方々を嫌いになるなんて!そんな人!人間やめたほうがいいですよ!信じられない!」
心を込めて熱く、チカラ強く!僕が思う亜人の素敵な所を語り出すと彼女は先まで固くてよそよそしい表情が笑顔に変わった。
「フフッ…そう思う人もいるんですね…あっ!私はラネース!その…司祭です、なったばかりのヒヨコですが…」
「僕は志村晴人!宜しくねラネース姉さん!」
「宜しくお願いします、シムラハルトさん!」
イェース!初めて会えた亜人さんと仲良くなれた!……気がする。
「ハルトでいいですよ!えーと…司祭って神様の祀って色々の?」
「はい…祭事や信徒の手助けをしてます」
「どの神様を祀ってますか?」
彼女は何故か僕の質問に答えるまで少し間があった。
「は、は、破壊の女神様です…」
「えっ……」
僕は聖都に来て早々…ルル姉の神殿の司祭と出会うと思ってもなかったのでびっくりしたが…彼女からは何故かただならぬ緊張感が漂った。
(やっぱ、この反応…お願いだから食材返してとか言わないでよ!)
それに急にこの人の目付きが変わった…。
「あの…お願いがありますが…」
(やっぱ来たわ!!やめろぉ!!この食材は絶対返さない!)
彼女は急に食材の包みを背後に隠しながらまるでいつでも逃げられるように僕から少しずつ距離を取り始めた。
「取らない!取らないから…そんなに距離取らないでよ」
「そ、そうですか…ご、誤解してすみません」
「それより…お姉さんの神殿に連れててー」
「あらまあ!破壊の女神様の信徒さんですか?」
「まあ、そうですね…」
「本当に!!嬉しい!!連れてあげますとも!もし祈りで遅くなったら今日、私と一緒におねんねしようね!」
はは…子供扱いかよ。
でも一緒におねんねか…本当にいいのぉ?
それに寝てる時、羽をニ、三本は取れそうで悪くないと思った。
僕は司祭ラネースさんの案内で破壊の女神の大神殿に着いた。
ルル姉の神殿に着いたのはいい事だが…僕は神殿を見て目を疑った。
ここに来るまで見てきた他の神殿と違って華やかさもなく…人の出入りのない殺風景でここが本当にルル姉の神殿か疑った。
確かにルル姉は神の中でも凄く偉い神とレイラさんから聞いている。
「あら、おかえりラネース!遅かったですね…何かあったか心配しましたよ」
「ただいまです」
神殿の中から司祭のような女性が出てきたが服装が華やかできっとラネースさんより上の者にみえた。
「遅くなってすみませんイッセリナ司祭長様!!ちょっと死にかけたですが大丈夫です」
「はい?ちょっと死にかけたって…?それにこんなに沢山の食材を買えるお金は渡してないですが…」
ラネースは今までの事情を司祭長に説明すると僕にお礼を言って飲み物を出してくれた。
お茶かと思ったがただのお水だった。
「司祭長のイッセリナと申します、ラネースを助けて頂いきありがとうございます…そしてこの温情も有り難く頂きます…」
「志村晴人です、こちらこそご迷惑をおかけしました…ごめんなさい」
「司祭長様!聞いて下さい!ハルトさんは我が女神様の信徒ですよ」
「まあー!本当ですか?」
「はい…」
信徒と聞いた二人は僕を女神像の前まで案内してくれた。
しかし、寂れたルル姉の神殿を見て僕は不満気に何故他の神殿と違うか聞いた。
それから司祭長から長々と亜人の事と聖魔戦争の事…その以降神殿の事を色々話しを聞かされた。
それで何故ルル姉が僕の世界にいたか理由を知った。
「残念ながら神の不在の神殿に寄付や祈りを捧げに来る者はいないでしょう……」
「不在?」
「イッセリナさん!!助けてください!」
その時…慌ててラネースさんが助けを求めると後ろから三人の亜人が神殿に尋ねて来た。
それに一人は大怪我をしていた。
「帰りに油断してやられた…これを治せるポーションは売れ切れて4日後に出来るらしい…」
どこも回復薬不足は同じのようで…こんな重傷を治せる薬は言うまでもなかった。
それにこの怪我を治せる回復薬は先使ってしまった。
「他の神殿に頼んではみたが…亜人だからって断れた…ちくしょー」
イッセリナさんは怪我を見て暗い表情で首を横に振った。
いくら司祭長でも崇める神が居なければこれほど大怪我を治せるような奇跡を使うのはできないらしく、この場のみんなは怪我した亜人を見ながらただ悲しむ事しか出来なかった。
どう見ても普通の人間なら即死するような深い傷なのにまだ意識もはっきりして話しも出来る…亜人の生命力は半端ないようだ。
「はぁはぁ…し、仕方ない…油断した私が悪…い…皆んな…ごめん」
「おい!ミレーナ諦めるな!」
「ちくしょー!」
神殿内は暗い悲しみに包まれていた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
約束の子
月夜野 すみれ
ファンタジー
幼い頃から特別扱いをされていた神官の少年カイル。
カイルが上級神官になったとき、神の化身と言われていた少女ミラが上級神官として同じ神殿にやってきた。
真面目な性格のカイルとわがままなミラは反発しあう。
しかしミラとカイルは「約束の子」、「破壊神の使い」などと呼ばれ命を狙われていたと知る事になる。
攻撃魔法が一切使えないカイルと強力な魔法が使える代わりにバリエーションが少ないミラが「約束の子」/「破壊神の使い」が施行するとされる「契約」を阻む事になる。
カタカナの名前が沢山出てきますが主人公二人の名前以外は覚えなくていいです(特に人名は途中で入れ替わったりしますので)。
名無しだと混乱するから名前が付いてるだけで1度しか出てこない名前も多いので覚える必要はありません。
カクヨム、小説家になろう、ノベマにも同じものを投稿しています。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる