異世界で僕…。

ゆうやま

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一章 21話

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一章21話

傭兵達はもはや戦う意思を失って解散…その傭兵達を雇った人を尋問してヘリトリ公爵の手の者を捉えた。

マリーヌが真相を知る為に尋問を始めたが僕に怯えたその使いはカランディアにそそ抜かれた事も洗いざらい吐き出した。

「なんと…黒幕はカランディアでしたか!」

「明らかな盟約違反です姫さま!」

「そうですが、確実な証拠がありません…ただ叔父様の反乱と言われたらお終いです」

このしつこい襲撃を命じた者がフィリア姉さんの叔父…さぞかして複雑な気持ちと見えたが、今は大事な事は聖都に向かう事と思いフィリア姉に急ぐように言った。

立て続きの襲撃の中で1人も犠牲を出さずに僕達は無事に聖都に入った。

一件落着!依頼終了!

自爆しそうでやばかったけど何とかなった。

「本当にありがとうございます…皆様のおかげさまで無事に聖都に着きました…私達たけでは間違いなくどこかの道端で骸になっていたでしょう…」

「ありがとうございました」

近衛達は僕達に剣を胸の前に立てて礼を言った。

「聖都に着いたのはいいですが…帰りは大丈夫ですか?」

「ええ…王位の儀を終えて王の帰還中に良からぬ事をすれば神々の誓約を破る事になって全大陸の国々の敵と見なされます、それにわたくしが聖都に着いた時点で女王になれましたので王都の軍はわたくしの指揮下に置かれて王家の騎士団が迎えに来るはずです」

「なら、安心ですね!」

それなら安心してゆっくりこの聖都やらの観光が出来そうだと思った。

「女王様…そろそろ…」

「時間ですか…ハルト様、クイル様、ネイビー様…またお会いしまたく存じます」

「いずれまたな…」

「はい…」

「フィリア姉さん頑張ってね!」

「はい!ハルト様!必ずまたお会いに参ります…みんな行きましょう…」

フィリア姉さん達は主神の大神殿に向かった。

フィリア姉さんの膝枕…気持ちよかったな…。

また会えるといいなと思った。

「ハルト…俺達はしばらくこの聖地に残るがお前は?」

「イリヤ達が待ってるからナズーラ村に帰るよ…僕はそこで頑張る」

「そうか…お前はこれ以上頑張らなくていいんじゃないのか?」

バカ言わないでほしい…イビルゲート最深部攻略する為にはまだまだだ。

クイル兄とネイビー姉は思う所があるらしく超高難易度で有名な聖地のイビルゲートで修業すると言った。

「ハルトぉ!寂しくなるな、あぁ…舌と胃袋が泣いてるよ…」

「お前が居なくなったら俺は…栄養失調になってしまう!やっぱ、残るのやめる!」

「どっか生えてる草でも食っとけ!」

「ひどっ!」

抱きついて離れてくれないクイル兄とネイビー姉の涙と口から出る透明な液が僕の頭にポタポタ落ちた。

ヨダレと胃液に塗れた別れって人生初…いや…人類初かもと思った。

「保存食と焼肉タレあけるから…離れて貰いません?」

「ハルト様!」

「大好き!」

料理は偉大なり…。

「そうだ…姫、いや女王様からだ…ほぃー」

重い袋…ちゃりちゃりと金属の音がした。

追加報酬ってところかな?流石女王様!

クイル兄とネイビー姉はこれから一杯飲みに行くと言って二人と別れた。

僕はせっかく来た聖都なのでちょっと観光してからナズーラ村に帰ると決めた。

クイル兄さん…ネイビー姉さん…また会えるかな…ちょっと寂しい…。

センチメンタルになっても何も得られないのて、気を取り直して帰りに双子とおじさんのお土産を買って帰る為に市場に向かった。

聖都エデールの市場に向かって行くとたくさんの光の柱が目について不思議と思った。

その光は神殿のような建物から空高く発していた。

「1、2、3……13、14、15…あっ!」

「痛っ!あっ!うわぁー、けっ!くっ!くぇぇ!………」

角から走ってきた人が僕に打つかって倒れた。

しかし、運悪く…打つかったところは階段で…相手はどんどん下に転がった。

その転がっている姿は目も当てられないほど痛そうに見えた。

そんな事を考えてる場合じゃないと倒れているその人に急いで走って行った。

「ごめんなさい!だ、大丈夫ですか?」

「オフフ……これしきの事…だ、だ、大丈夫…」

頭から血が大量に流れて鼻血から口周りは血だらけのゾンビのようだった。

「ひぃー!どこが大丈夫なんだよ!死亡寸前だよ!ちょっと目玉も飛び出てるよ!」

「ああ…それも神の御意思であらば…」

「そんな神いらねぇよ!」

僕は急ぎ緊急時のポーションをその人に飲ませた。

すると……パンパガパーン!

さすが高級回復薬!すぐ効果が出て血が止まって傷も塞がった。

「うぉ…死ぬかと思った!」

「ふぅ…もう大丈夫と思いますが安静にして下さい」

「はい…ありがとうございます」

人を傷つけたと焦って気付かなかったがその人は…真っ黒の羽が生えて司祭のような服装をしていた。

話しは聞いた事あるけどこれが亜人…見るのは初めて驚いた。

彼女を見て僕は異世界にいると改めて実感して…また興奮した。

「あの…ごめんなさい、高いポーションまで…」

「いいえ、僕が前をしっかり見てなかったので…あと、ごめんなさい、お荷物ダメになって…」

「あ……」

彼女が持っていた果物やパンなど食材らしきものが汚れて散らかった。

それを彼女は黙々と拾い始めた。

通りすがりの人々は無関心でただ見て見ないふり…わざと踏んで行く人もいた。

あんにゃろう!食べ物を踏みやがった!顔覚えたからな!夜道気をつけろや!

僕はその食材を拾っていた彼女を止めた。

「食材を大事に思うのは僕も同じですが…それはやめましょう…」

「はい、そうですね……」

僕は落ち込んで泣きそうな彼女にフィリア姉さんからもらった金銭袋を見せながらニコッと笑った。

「あの…僕、こう見えても冒険者です!かなり稼ぎはいい方だと自負してますよ!弁償ぐらいさせて下さい!」

「えっ?…いいんですか?」
 
「もちろん!ぜひお詫びをさせて下さい」

「本当にありがとう!助かります!」

許可も貰ったし…ここは男の甲斐を見せる番とみてその亜人さんを連れて市場に行った。

そして…食材や日用品をあれもこれも見当たり次第爆買いした。

「あの…これ以上、持ちきれません!」

そうだな…なら、配達だ!

持ち切れなかった分は後で彼女の元に届けるようにして更に爆買いを続けた。

「す、すみません!もういいです!本当にありがとうございます!だからやめて下さい、お願いします!」

亜人さんは僕にドン引きした。

逆効果だったらしい…ちっ!
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