異世界で僕…。

ゆうやま

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15話 その3

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一章16話

ナーズラ村に開店した魔道士の店で無、闇属性の魔法本を購入した僕は宿に戻って早速読み始めた。

ここに来た時は字が読めなかった、装備メンテをして休みになった時にリリヤに教えてもらった。

不思議と復習する必要がなく頭にスラスラ入って来る感じでリリヤには天才とまで言われた。

僕は頭が悪い方では無いが流石にこれほど暗記力と理解力は無かった。

これもルル姉のお陰だろうか?

「ふむふむ…おー!上級無属性魔法は自分だけじゃ無くて物や他人まで強化できるんだな!使ってみたくなるー♩どれどれ…」

その時…隣の部屋の壁から'トン'と叩く音がして集中し過ぎると考えた事を口に出す僕の悪い癖で隣に聞こえてうるさかったようだ。

「すみません…静かにします」

一応、謝ってから今度は闇属性の本を読み始めた。

「へぇ…影を操るとか呪殺…それに本当にえげつない魔法が多いね…すげ…」

魔道士に聞いた通り闇魔法は大量殺傷を目的とした魔法が多かった。

「ん?これは上級魔法かな?どれ?魔神や闇精霊に同調…うん?空のカナタ…?闇の空間を歪み……巨山を降り落とす??まさか!これって!!あの伝説の魔法メテオストライク?待てよ?何故メテオが闇魔法?」

詳しく調べると空の果(宇宙)では特定のの空間以外は闇精霊しか存在できなくて、その闇精霊が術者に空間を繋ぎそこから隕石が落ちるらしい。

「なるほど…しかし、すげーよ!どれどれ…汝、全ての破滅を導く…偉大にして悍ましく…我は求む魔神の鉄槌…砕けて…滅せよ…全てな…」

僕はメテオストライクの詠唱を読みながら暗記を始めた。

その時、隣の部屋から凄い勢いの足音が聞こえてから僕の部屋のドアが壊れた。

「はぁはぁ…ハルトぉぉ!!」

「ハルトさん……」

僕の部屋を壊して入って来たのは双子でイリヤはすんご~く怖い顔で僕のクビを締め上げた。

「けっ!けっ!イ、イリヤ?な、なに?」

「なに?じゃないわよ!!無茶しないでって言ったよね!!あんた…人の話聞いてた?なんで上級魔法の詠唱始めてるのよ!死にたいの?死んでみる?死なせてあげようか?」

「けっけっ…死ぬ死ぬ…マジで死ぬって!けっけ…悪かった…イリヤ…」

イリヤの腕をトントン叩いてギブアップサインをした…。

しかし…悲しい事に異世界人にはこれが伝わらない!

「お姉ちゃん…まだ生きってるようですが…ひょっとして力弱めてない?」

「ち、ちょっと…リリヤさん?」

リリヤは氷のように冷たく怖い顔で僕を見ていた。

あー意識が…空から……闇の魔神がよんでるーわーい♩

意識を取り戻してから二人に長々と説教されて初級本以外は没収された。

話を聞くと…心配になった二人は僕の隣の部屋を借りてずっと監視していたらしい。

ストーカーかよ!

早く続きぐ読みたいのにこの雰囲気だと返してっと言ったら…殺されるそうなので、今度機嫌が直ったら返してもらおうと思った。




次の日…冒険者ギルドで双子と集合してイビルゲートに潜る準備をした。

「もう…イリヤ、ちょっと見てよ…クビにアザできてるよ!」

「じ、じ、自業自得だわ!」

「本当にいつもの癖で口に出してしまっただけだよ…」

くっきり残っているイリヤの手の跡を見せると申し訳ないような表情をしていたので許した。

「気になるならマフラーで隠します?ウフフフ」

「い、いや…」

「ほら、じっとしててくたさい…」

「はっはい!」

リリヤは氷のような笑顔でスカーフを僕のクビに掛けようとした。

絞め殺されると思ったがこれはお詫びに買ってくれたらしく有り難く頂戴した。

「ありがとう…最近かなり寒くなってきたからこれは助かる」

「気に入ってもらったようで嬉しいです」

「あの…没収された本なんですが…」

「なんか言いました?」

「ひぃー!なんでもないです!」

しかし…リリヤは怒るとまじで怖かった。

殺気が半端ねぇ…。

本を返してもらうまでまだまだ時間がかかりそうだ。

「よう!坊主、今日も潜るのか?」

「はい、とこにぶつければいいか分からないこの鬱憤を…魔物達に当て付けしたくてね…」

「なにそれ?まあ…いいけど、オレ達はまた…しばらく留守にするぞ」

「またなにかあったんですか?」

おじさんはまた完全武装し、大きいバッグまで装備していた。

受け付けなのに大変だな…。

「ああ、昨日王都から離れた荒野に星振りがあってね…それを調べにな」

「ほ、ほ、星振りですか?」

「その荒野は滅多に人は通らないから人的被害はなさそうだが凄い騒ぎになってる…」

「………」

「うちたげじゃなく周辺ギルドまで招集がかかってな…最近色々あるね、何か不吉な予兆かな…」

「……………」

うん…そうかそうか…それは大変だ。

「そんじゃ行って来る…坊主も気をつけな!それに…潜るのはほどほどにしろよ!」

「はい!お気をつけて!行ってらっしゃいまっせ!」

僕は力強く完璧な90度角度で腰を曲げた!

そう、記者会見でよく見るあの姿のように…。

「お、おう……?」

「イリヤ、リリヤ !今日はギルドの為に超頑張るぞ!!」

「ん?なに?どうしたの?」

「別にいいですが…?」

双子は知らない…。

僕が詠唱していた魔法が何かを…。

それに双子が僕を止めてくれなかったらこの村がどうなったか…。

おじさん…こめん!
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