異世界で僕…。

ゆうやま

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14話 その2

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次の日…双子といよいよ中級エリアの20層に挑んだ。

相変わらず双子は早くきて僕を待ってくれている。

「やっときた…ん?」

「ハ、ハルトさん!どうしたんですか!その口は!」

「被れた…」

昨日取ってきたものを夜中遅くまで齧ったせいで朝起きたら僕の口周りはパンパン腫れていた。

「あれをどんだけ齧ったらそうなるのよ!」

「だ、大丈夫ですか?」

「うん…ちょっとヒリヒリして痛いけど大丈夫」

「あんたってやつは本当に!ちょっと待ってて!」

イリヤは冷たい水袋を出して腫れた口周りを冷やしてくれた。

「ああ…冷たくて気持ちいい♪」

「ちょ、ちょ!口を動かさない!」

「わかったよ…イテテ」

「腫れがひくまで口を動かさないでよ」

「そういう事か…イテテ」

「あんたバカでしょ?」

「……」

イリヤはいつも怒ってるが、何だかんだ僕の世話をしてくれている。

イリヤの口が辛さだけは玉に瑕だけど本当にこの二人と出会えて嬉しいと思った。

そして、いよいよ20階層の中級エリアを挑戦する。

僕達は気合を入れて19階層で回復薬や道具の再確認をしてから20階層に降りた。

さすが中級エリアであって…周りは魔物だらけだった。

「二人共構って!来るよ!」

「わかってる!」

「はい!」

僕達は何時もの陣形でやっていたが…20階層からは双子達が魔物達に手こずっていた。

このままでは長く持たない。

それでまとめ狩りは諦めて魔物達を一つ一つ確実に倒す安全な狩をすることにした。

「はぁはぁ…ごめんなさい、私が足を引っ張ってるようです」

「きつくなってきたね…もうやりがボロボロになってしまったよ」

「大丈夫…今日初めてだし…思った以上に魔物が強かったから…」

二人の武器はそろそろ限界のようた。

二人は初心者の武器としては最高級を買ってあるが、それでも中級エリアとなるとさすがに長く持たなかった。

しかし、それ以上になると金額が半端なく高くて手が出ない。

その装備を揃えるには為には地道に稼ぐしかないと思って地上に帰ろうとした。

その時…騒がしい音が聞こえた。

「た、退却だ!くっそ!何だあれは!」

「くっそ…やはりこいつは変種だ!全く歯が立たない…強過ぎる」

「どうする?完全に囲まれたよ」

「ジェンとマダーが深手を負っている…このままでは命が危ない!」

「無理矢理でも突破するしかないようね」

その5人はうちのギルドの中級冒険者でオーガー達に押されていた。

それに真ん中でいるあのオーガーは図体も他より大きくて普通じゃない感じかした。

同じ魔物で異常に高い能力を持つ奴を冒険者達は変種と言っている。

「あのままではあの人達…やられてしまいます」

「間違いないね」

双子は彼等を助けたいような表情で僕を見ていた。

あんな強そうな奴とはやりたくなかったが…そんな目で見られたらやるしかない…。

それにあれに勝てないなら最深部など夢のまた夢で終わる。

それで、自分の力がどれほど通用するか丁度いい機会と思って変種に挑む事にした。

「イリヤは彼らの退路を開いて!リリヤはイリヤの援護!僕はオーガー達を抑える」

「そうこなくちゃ!」

「わかりました!」

イリヤとリリヤが周りの魔物を片付けながら彼等の退路を開き、僕はオーガー飛び込んだ。

「今のうちに体制を整えて!」

「坊主か!すまん…助かる!」

中級冒険者達は負傷した仲間と退却した。

しかし、今度はタイミング悪くそのエリアに魔物達まで湧いて完全に囲まれてしまった。

「そんな!数が多くて捌き切れない!ハルトォー!」

「お姉ちゃん!そろそろ矢も尽きるよ、このままではハルトさんが!」

「わかってる!わかってるけど…」

双子は湧いた魔物達を片付けるだけで精一杯でオーカーの群れに飛び込んだ僕は完全に孤立…絶対絶命のピンチに僕は最後の手段を取るしかなかった。

それは加護の解放…。

たまに修行に来る神殿の司祭が冒険者達に自分が崇める神の祝福を与えてお布施をもらっていたのをみた。

その時、彼等の真似をして色々試した結果、一時的に自分の能力を何倍も強化できるようになった。

「我が女神に願い奉る…我に与えし力、我に与えし恩恵…今解き放さん!はぁぁああ!」

素早い動きで15体の魔物とオーカーを一瞬で切り倒した。

「ハルト…あんた、なに今の動きは?」

「す、凄いです」

「う…う……う」

「う?ハルト?」

「ど、どうしました?

「う、うぶっ…おぇ、おぇーおえーー!」

僕は大量のゲロをぶち撒いてしまった。

それを見た双子は僕から顔を逸らし、僕けらちょっと距離を取った。
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