異世界で僕…。

ゆうやま

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一章 14話

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僕は双子とパーティーを始めて一カ月が経った。

成績も上々でもう宿費用とか装備のメンテ費用に困る事はなくなった。

「ただいま!おじさん!」

「おっ!帰って来たか!相変わらず凄い量だな…」

僕達のバックはいつも破裂瞬前まで魔核でパンパンに詰めて帰っている。

これも双子のサポートのおかげで僕一人ではこんなにいかない…。

換金をしてからいつも宿に行って双子と食事をするのが楽しいひと時であるが……。

この世界の飯は味気ない。

「はぁ…この不味い飯はなんとかならんかな」

それを聞いた厨房の人の視線が痛い…。

「何贅沢言ってるの?」

「私は美味しいと思いますが…」

「うへ…本気で言ってるの?塩味しかしないじゃない!もうちょっとバリエーションが欲しい!」

肉料理は主に塩味がメインでパンは硬いし小麦粉の味しかしない。

はぁ…マクストルネードバーガーが食べたい!

あの柔らかいパンにこれでもか!ってほど挟まれたパーテとあぶれ落ちるタレ…くっそぉ!

「味といえば…うちの村に変な味がする草や木の種があったわね」

「小さい時にお姉ちゃんはなんでも口に入れて、私にも味見させて大変でしたよ!」

「リ、リリヤ…子供の頃の話はやめてよ」

「あはは…」

いかにもイリヤらしいと思った。

「そいえば辛い物やしょっぱい物とか色々あったよね」

「うん…」

「今なんと!その話し…詳しく教えてくれ!」

「急にどうしたの?顔がこわいわよ」
きのみ
双子は子供の頃村近くの森で良く遊んでいて、そこに生えている草や木の実をイリヤは良く口にしてた。

そのまま食べて腹を壊して苦労した事や舌が腫れてご飯も食べられなかった事とか二人は懐かしげに色々話してくれた。

その話を聞いてひょっとしたらこの不味い食事を改善出来るかもしれないとおもい次の日に双子と一緒にその森に行ってみた。

「懐かしいね…」

「うん…」

双子の父は戦争で農兵として強制的に連れていかれて亡くなったと前に聞いた。

日本では考えられない事だが、この世界にはそれが普通らしい。

その後…母も病気で亡くなって孤児院に入ったが、リリヤが他の子にいじめられていた。

その時、養子の話しがあってやっと孤児院から出てのはよかったものの、引き取った男はお金目当てで二人は奴隷商人に売られる事になった。

それで、行動派のイリヤは手っ取り早くお金を稼ぐ為には冒険者しかないと判断し、リリヤを引っ張ってイビルゲートに潜って僕と出会った。

イリヤは女の子なのに凄いと思った。

ちょっとがさつだけど…しっかり者で姉としてリリヤをしっかり守っている。

そんな姉が大好きでいつも心配してサポートするリリヤ…。

二人は理想的な姉妹と思い、独り子の僕としては双子が羨ましいかった。

「ここよ!まだ沢山生えているね」

「この草…お姉ちゃんが食べすぎて二日間寝込んだ記憶が…」

「へぇ、そんな事あったっけ?」

イリヤは懐かしい顔で…その草を口にいれて齧った。

「お姉ちゃん!食べないでね…またお腹壊したりしたら大変だから」

「ぷぷっ…わかってるって!うへ…相変わらず酸っぱいな…」

僕もそれを齧ってみると懐かしい味の…微かにポン酢の味がして歓喜に震えた。

それで双子に案内してもらい森の中を隅々探して色々な草や花、木の実と木の根まで有りあらゆるものまで味見しながら沢山採取してナーズラ村に持ち帰った。

これを何とか工夫すれば調味料が出来そうで馬車の中でニヤニヤして無意識に鼻歌が出た。

「ハルトさん、明日20層に行くけど装備のメンテは大丈夫ですか?」

「うん!ピカピカにしておいたから」

「あのさ、お金も大分溜まってるから新しい装備に変えなさいよ…あのブリキでよく怪我せずに凌いでるのね…」

「あははは、そうたね…だが断る!」

「おい…」

あれ以上カッコいい鎧以外身につける気に気にならない、あれ以上かっこいい鎧があれば即買いする。

「お願いですから気をつけて下さいね…」

「あんたが怪我でもしたらと思っていつもリリヤが回復薬を余分に買うから…」

「お、お姉ちゃん!」

双子は心配でたまらないようだが…大丈夫。

ルル姉の加護は凄まじくて、今までの階層まで特に厳しいと思った事もなく二人のサポートで余裕を感じるほどだった。

しかし…この先何があるかわからないし、僕に何があったら双子の身も危うい。

それを考えるとなんとかこのゼロに違い防御力をなんとかしないと思った。

帰ったら同士に頼んで防御力をすこしでも上げてもらうか…。

そして…ナーズラ村に着いた僕は宿に帰って森から取ってきた物の調合を始めた。
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