異世界で僕…。

ゆうやま

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11話 その3

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薬はおじさんからただでもらった物だし、命を救うために使ってよかったと思った。

それに彼女達の姿を見て何か見返りを要求する事は出来なかった。

二人は昨日の自分のようになんの防具もなく、今でも折れそうなボロボロの槍と弓を持って女の子二人だけでイビルゲートに潜ってる…。

そんな女の子に何か要求する程、僕は心まで落魄れてない。

「お礼なんていいです、気にしないで…とにかく二人が無事で良かったよ!」

「ほ、本当に?…あ、あ、有難う御座います」

「ありがとうございます!この恩はいつかお返しします」

「とにかくまだ怪我が治り切ってないからちょっと休んでください」

僕は怪我が治るまで休憩させて魔物から二人を護衛をした。

すると二人は僕に対して少し警戒を解いたようで表情も柔らかくなった。

彼女達は双子で僕と同じく冒険者見習らしく、二人の顔はそっくりだが…姉は活発で気が強そうに見えて妹の方はおっとりして穏やかな感じだった。

双子も僕と同じく街周辺の依頼が無くてここに潜る事になったと話してくれた。

「しかし…女の子二人でダンジョンに潜るなんって危ないですよ」

「だんじょん?イビルゲートの事ですか」

「は、はい、それそれ…」

「仕急にお金が必要でして…仕方なく」

お金が必要な事は痛いほど分かるが、だけど…そんな装備で無謀だとしか思えなく、二人にはなにか言えない事情がありそうにみえた。

「リリヤ、もう行こう…時間が惜しいわ」

「お姉ちゃん!まだダメだよ!」

「大丈夫…まだやれるわ」


それに傷も完全に治ってない姉のリリヤは時間に追われてるようでふらつく体のままでまた魔物に向かおうとした。

僕はそんな彼女達を放って置けなくて二人に提案をした。

「待って!提案があるけど聞いてくれる?」

「提案ですか?」

「なんでしょうか?」

「僕とパーティー組んでここ潜らない?」

「本当ですか?お姉ちゃん、シムラハルトさんは凄く強いですよ!オーク6体を一瞬で倒したよ!」

もう…褒め過ぎ♪ちょっとビビったけど…。

「シムラハルトさんが私達と組んでも何のメリットも無いと思いますが?」

むっ!そう来たか!

姉の方はまだ警戒してる…。

それは当たり前だけど…ちょっと傷ついた。

それで僕も今日初めてダンジョンに入った事と重装備のせいで戦利品をあまり持てなくて困っていると言い訳をした。

この鎧…全く重さなど無いブリキだけどな…。

また、三人だといざとなった時、助け合うことが出来るし、戦略の幅が広がって効率よく狩が出来ると彼女達を説得した。

「うっそ!私達と同じ見習いだったの?なのに何なのその装備!それに高価な回復薬も!」

やはり、二人はこの見た目だけは神話級の装備に勘違いしていたようで同じ見習いと聞きびっくりしていた。

「うん?この装備は今日ギルドから見習い限定で買った装備だよ?あと薬はギルドのおじさんがらもらい物だよ」

「はぁ?私達にはくれなかったのに……ということ?」

あっ…余計な事言っちゃった。

ごめん…おじさん。

「それに、その装備…初心者限定?まさか、あの子のあれを買ったの?」

双子もその鍛冶屋を知っているようで説明が省けて助かった。

「うん!そうだよー!凄い腕だったよ♪格好いいでしょ♪」

「あんた…頭の中…花畑なの?」

イリヤは僕の喜ぶ姿を呆れた目で見ていた。

同じ見習いと知って態度が急変するのはどうかとおもうが…年が近そうな二人に敬語を使われるのは擽ったくてやめて欲しいと思ったので助かった。

「お姉ちゃん!失礼だよ!それに、私は賛成だよ」

「まぁ、酷い事言って悪かったよ…私もいいわよ!」

おおーー!まじで?祝!脱ボッチー?イェーイー♪

「決まったね……んじゃ分配は?」

姉のイリヤは本当にしっかり者だった。

「三人山分けでいいよ!」

「えっ?本当に?」

記念すべきの日!もう全部あげてもいいと思った。

でも…僕もお金は必要です。

「後でやっぱ無しとか言わないでよ!!」

「言わないよ…」

「なんか怪しいな…」

「お、お姉ちゃん…」

疑い深いな…僕のガラスのハートにまた傷付けたわね…。

「それ以上疑われたら僕…泣きますよ?」

僕の泣きそうな顔に双子は笑ってしまった。

「ふふふ、ごめんなさい!分かったよ」

「では、宜しくお願いします、シムラハルトさん」

「んじゃここで切り上げて出ましょう」

「なんで?まだやれるわよ!」

「お姉ちゃん…シムラハルトさんのいう通りにしようよ…」

「リリヤ…」

気が強そうだが妹に甘そうなイリヤは仕方なく首を上下に振ってくれた。

ここで切り上げた理由はイリヤの負傷の事とパーティーを組んだばかりでお互いを知らない。

そのためにイビルゲートから出る最中に軽く合わせる為に体力を温存したいと思った。

「明日は今日の分まで荒稼ぎしますから!」

「うん……」

「お姉ちゃん……」

イリヤは仕方なく帰る感じで渋々僕の後ろに付いて来た。
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