異世界で僕…。

ゆうやま

文字の大きさ
上 下
26 / 250

7話 その2

しおりを挟む
無限光による被害が完全修復されてレイラさんと僕は急いでルル姉がいる場所に戻るとまるで痺れたカエルの足のようにビックビック痙攣しているルル姉を発見した。

「うう…た、たえ切ったぞ……」

仰向けのままぶつぶつ呟くルル姉を見て無事とは言えないが生きているのを確認して一安心した。

レイラさんも安心した表情で僕を投げ捨ててルル姉の前に跪いた。

「ご無事で何よりです!ルナ様!」

「あっ?貴様の目にはこれが無事に見えるのか?」

「も、申し訳ございません、お許しを…」

僕はルル姉の前まで走ってそのボロボロになっている姿に涙が出てしまった。

「ルル姉…よかった、うぅ」

「良し良し、もう大丈夫だ…男の子がそう易々泣くでない…本当に涙脆いのう…」

ルル姉は僕を優しく抱き締めて優し声で囁くと後ろから痛い視線を感じた。

「あの…この扱いの差はなんですかね」

「あ?今何か言ったか?」

「いいえ、何も…」

自分の使徒であるレイラさんに対して何故か冷たい態度を取る理由がわからなくて戸惑う中、レイラさんの顔は血の涙と鬼のような表情で僕を睨み付けていた。

「ハルト君…私はあの鬼のせいで力尽きてこれから眠りに付かないといけなくなったんだ…」

「どれ…ぐらい?」

その話しだと普通の睡眠とは違うとすぐ気付いて
僕は涙をぽとぽと落としながらルル姉の手を握った。

「賢い子じゃな、現状正確には分からない…もうダメだな…レイラよ」

「はっ!」

「後の事とこの子を頼んだぞ…」

「拝命!承りました」

レイラさんの返事を聞いてすぐルル姉の体が光って姿が消えるとその場所から一つの剣の形のペンダントが残っていた。

「これは…一体?」

「それは神の器だ、神が力が弱体した時、その器に入って精と体を癒すと聞いている…」

「これが神の器…これでルル姉は大丈夫ですか?」

「それだけではだめだ…ルナ様の聖域の玉座の間に神の器を置かないと回復できない」

「では早く聖地へ…」

「無論…人と子の君は聖地に足を踏み入れるのは出来ない…さあ、その神の器を…」

僕はこの神器を渡す事を躊躇した…。

中にはルルが眠っている…ルル姉の使徒といえよく知らない者にぽいっと渡すのは抵抗があった。

「一緒に聖地に行けないんですか?」

「その方が主様も喜ぶと思うが…」

「では一緒に!!」

「人の子である貴様は聖地に入る前に、天界の門番が君をミンチにするぞ?」

「そこはなんとか話しして入れてもらえないですか?」

「話し?君を見た瞬間狂ったように襲いかかるし、奴は主神様以外の命令や頼みは一切聞かない」

「へ、へぇ…門番としては中々優秀な方ですね」

うちに毎日来るうっとしい訪問セールス達の防止の為に雇いたいぐらいだ。

「他の方法はないんですか?」

「ない事はない…主神に認められて資格を頂ければ無事に通れる」

「その資格とは?」

「人間の身であれば…そうだな……数々の偉業を成し遂げて名誉と財の頂点に立てば、謁見程度は?いや、その程度じゃ足らないな」

……詰んだ。

「はい、分かりました!ルル姉を頼みます」

「うむ…物分かりが良くて助かる」

その資格を取る為にどれ程時間がかかるか、出来るかどうか分からない。

そんな無理ゲーのような条件を聞き、無理だと判断して僕のワガママより…早くルル姉を回復させたいと思って器をレイラさんに渡す事にした。

その時…落雷が落てレイラさんの前に叩き込まれた。

「きゃー!!」

「だ、大丈夫ですか!」

「これは一体?こ、これは!主神の勅命!」

落雷した場所には見たことない文字が書かれてあってレイラさんはそれの前に跪いて読み始めた。

「拝見いたしました…」

読み終わったレイラさんは歯を食いしばって険しい表情をしていて嫌な予感がした。

「な、なんと書いてありますか?」

「主神様の勅令である…主様の器を君の自力で、君の手で玉座の間に届けるようにとな…正式な手段で…それに手助け厳禁だ!そうだ…」

「えっ…えーーー!!」

予感は的中した。

僕はその無理ゲーに挑む事になった。

「ついて来なさい、まず君に色々話しが聞きたい…それから君が天界に行ける方法を考えよう」

「そんな…マジな話しですか?」

「何故貴様に冗談を言う必要がある?」

「す、すいません」

「もう日が暮れるな、近くに人族の村があるからそこで貴様の話しを聞こう…付いてきなさい」

「はい…」

僕はルル姉を主と呼ぶレイラさんを信用していいと判断して彼女について行った。

これからルルを救う為にハルトの異世界の生活が始まる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

空間使いは暴虐の使徒

火魔人
ファンタジー
気が付くと異世界の森にいた。空間使いという異能(高性能です)。異能を成長させ、森を脱出し、異世界の人族と遭遇。不幸?な巡り合わせで、暴虐キャラに。俺の邪魔をする障害物は全て叩き壊す! ただし、その暴虐には使徒としての役割があった。主人公はこの先どうなっていくのやら。暴虐の限りを尽くしつつも、スッキリ楽しく人生を謳歌します!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

約束の子

月夜野 すみれ
ファンタジー
幼い頃から特別扱いをされていた神官の少年カイル。 カイルが上級神官になったとき、神の化身と言われていた少女ミラが上級神官として同じ神殿にやってきた。 真面目な性格のカイルとわがままなミラは反発しあう。 しかしミラとカイルは「約束の子」、「破壊神の使い」などと呼ばれ命を狙われていたと知る事になる。 攻撃魔法が一切使えないカイルと強力な魔法が使える代わりにバリエーションが少ないミラが「約束の子」/「破壊神の使い」が施行するとされる「契約」を阻む事になる。 カタカナの名前が沢山出てきますが主人公二人の名前以外は覚えなくていいです(特に人名は途中で入れ替わったりしますので)。 名無しだと混乱するから名前が付いてるだけで1度しか出てこない名前も多いので覚える必要はありません。 カクヨム、小説家になろう、ノベマにも同じものを投稿しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...